技能実習から特定技能に移行する方法|移行できる職種や条件などをわかりやすく解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

技能実習の在留期間を満了した外国人は、在留資格「特定技能」に切り替えて雇用し続けられるという特徴があります。

今回は、具体的な在留資格の切り替え方法や、切り替える際の注意点についてわかりやすく解説します

技能実習から特定技能への移行を考えてらっしゃる方はお気軽にお問い合わせください

目次

1.技能実習・特定技能とは

専門的な技術や知識を持っていなくても、日本で就労可能な在留資格に「技能実習」と「特定技能」がありますが、実は両者は制度の目的や内容は大きく異なります。

1-1.技能実習

在留資格「技能実習」は、国際貢献のために開発途上国等の外国人を日本で一定期間に限り受け入れ、技能を移転する制度です。そのため、外国人は日本で継続して働くことはできず、転職もできません。
参照:法務省・厚生労働省 外国人技能実習制度について

技能実習についてはこちらの記事で詳しくご説明しているのでぜひご覧ください。

ただ2023年9月、技能実習の人権上の問題が指摘され続けた結果、政府は技能実習制度の解消を表明しました

技能実習制度に代わる新しい制度が導入される可能性もありますが、まだ政府からの正式な発表がないので、技能実習制度に関する最新情報は常に確認する必要があるでしょう。

1-2.特定技能

在留資格「特定技能」は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。

特定技能1号では最長で5年、2号では3年、1年又は6か月ごとの更新で、ほぼ永続的に日本で働くことができます。また、外国人の意思で転職も可能です。

特定技能に関してはこちらの記事で詳しくご説明しているのでぜひご覧ください。

特定技能についてまとめた「特定技能まるわかり資料」のダウンロードはこちら

1-3.技能実習と特定技能の違い

技能実習と特定技能の違いをまとめると、以下のようになります。

技能実習と特定技能の違い

参照:出入国在留管理庁『特定技能ハンドブック』

技能実習と特定技能の違いについてはこちらの記事で詳しくご説明しているのでぜひご覧ください。

2.移行するための要件・移行可能な業種・職種

冒頭でも述べた通り、技能実習から特定技能へビザを切り替えることは可能です。
しかし、ビザを切り替えられる業種には制限があり、外国人にも一定の要件が課せられます。

2-1. 移行の要件

技能実習から特定技能への移行の要件は2点です。

  1. 技能実習2号を良好に修了している
  2. 従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる

それぞれについて説明します。

技能実習2号を良好に修了している

「技能実習を良好に修了している」とは、以下の状態の外国人のことを差します。

  • 技能実習を2年10カ月以上修了している
  • 第2号技能実習計画における目標である技能検定3級、若しくはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験に合格している
    又は 特定技能外国人が、技能実習を行っていた実習実施者により、当該外国人の実習中の出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等を記載した評価に関する書面「評価調書」を取得している

注意点は以下の通りです。

  • 技能実習1号から特定技能への移行はできない
  • 技能実習3号から特定技能へ移行するには、技能実習3号の実習を修了している必要がある。(技能実習2号を良好に修了した場合でも。)
  • 特定技能外国人を受け入れようとする雇用主が、その外国人を技能実習生として受け入れていた実習実施者である場合、過去1年以内に技能実習法の「改善命令」を受けていない場合のみ、技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し及び評価調書の提出を省略できる

特に3つ目の注意点にあるように、技能実習生として受け入れていた外国人を特定技能に切り替えたい場合、技能実習法の「改善命令」を受けていないことが要件となります。

改善命令については外国人技能実習機構のホームページに記載されていますので、受け入れている技能実習生のビザを変更したい場合は、必ずご確認ください。

参照:外国人技能実習機構 「改善命令」

従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる

特定技能1号に移行するためには、移行したい特定技能1号の職種と技能実習の職種に関連性があることも重要です。法務省のガイドブックに特定技能に移行可能な技能実習の職種が載っているので、どんな特定技能分野に移行することができるのか確認してみてください。

※出典:法務省「特定技能 ガイドブック」

これら2つの要件を満たしていれば、在留資格「特定技能」を取得するために必要な各特定産業分野の試験と、日本語試験が免除になります。

しかし建設分野航空分野宿泊分野の職種の中には、技能実習2号を修了したとしても、特定技能に移行するには技能試験が必要となる職種もあるので、該当する企業の方は注意してください。

技能実習を実施した職種と異なる分野で、在留資格「特定技能」を申請するには、新たに特定技能で働く職種の技能試験を受ける必要があります。
ただし、日本語能力試験は免除されます。

3.特定技能に移行する方法

技能実習から特定技能に移行するには、地方出入国管理局に必要書類を提出します

3-1.提出書類を用意する

申請に必要な書類は、技能実習から特定技能への移行であっても在留資格変更許可申請に必要な書類と大きく変わりません。地方出入国管理局に書類を提出してから申請が承認されるまで、1~2か月かかります。提出書類の量も膨大で、特定技能外国人を受け入れるための社内体制を整えることが必要です。

したがって、特定技能外国人の入社日から逆算して3~4か月前から必要な書類を準備することをおすすめします。

主な書類は以下の通りです。必要な書類の一覧は、特定技能総合支援サイトから確認できます。

  • 申請書(外国人・受入れ機関がそれぞれ作成)
  • 技能水準、日本語能力水準に関する書類
  • 労働条件に関する書類
  • 労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人・受入れ機関)
  • 特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類

技能実習2号を修了し、国外にいる外国人を特定技能ビザで採用したい場合は、在留資格変更許可申請をする必要があります。必要な書類はこちらからご確認ください。

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3-2. 地方出入国在留管理局に申請

提出書類の準備が完了したら、企業が各地域の地方出入国管理局に提出します。

窓口の受付時間は平日午前9時から同12時、午後1時から同4時です。窓口が混雑している場合もありますので、なるべく早い時間に訪れることをおすすめします。さらに、手続により曜日又は時間が設定されている場合があります。

その際は、外国人在留総合インフォメーションセンター0570-013904)に問い合わせてください。

参照:出入国在留管理庁 特定技能総合支援サイト

4.移行するメリット・デメリット

新たに外国から特定技能外国人を採用するよりも、すでに技能実習ビザを持ち、日本で働いていた外国人を採用する方が、採用する企業の負担は少ないです。

ここでは技能実習から特定技能に移行するメリット・デメリットをそれぞれ説明します。

4-1. メリット

長く働いてもらえる

在留資格「技能実習」は、1号が1年、2号が2年、3号が2年の最長でも5年間しか採用することができません。
在留資格「特定技能1号」も、1年に1回、最大5回ビザ更新することができます。

特定技能1号だけでは、5年間までしか雇用することができませんが、その間に在留資格「特定技能2号」に切り替えることができれば、ビザ更新の回数制限はなくなります技能実習よりも、長い期間働いてもらうことができるのが特定技能です。

人数制限がなくなる(建築・介護分野を除く

技能実習と違い、特定技能は1企業が受け入れられる外国人労働者の人数制限がありませんただし建築・介護分野は、適正な就労環境の確保などを理由に外国人労働者の人数の上限を設けています。

〈建築分野
特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数と特定活動の在留資格で受け入れる外国人(外国人建設就労者)の数の合計が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く) の総数を超えないこと

つまり、社長が1人と短期的な業務委託による契約社員によって運営されている企業の場合、雇用できる外国人労働者の人数は1人になります。

介護分野
事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること。

介護分野は1事業所で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限になります。

ただし企業単位ではなく、事業所単位であることに注意してください。
また「日本人等」には日本人だけでなく、特定の条件を満たした外国人介護職員も含まれます。

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」により在留する者
  • 永住者や日本人の配偶者など,身分・地位に基づく在留資格により在留する者

新しく採用するより受け入れのコストが低い

すでに受け入れている技能実習生を特定技能ビザに切り替える方が、新たに外国人を雇うよりもコストが低いです。
特定技能外国人を募集する際に人材派遣会社を利用すると、会社によって異なりますが、約50万円程度かかります。
すでに技能実習生として働いている外国人を特定技能ビザで雇用すると、この人材紹介費がかかりません

また、海外在住の外国人を雇用しようとすると渡航費が約10万円程度かかります。
さらに、海外や国内でも遠方に住む外国人とはオンラインで採用面接をするかと思います。
オンライン面接だけでは人柄や雰囲気などを十分に把握できず、採用したとしても短期の離職に繋がってしまいます

特定技能外国人にかかるコストをまとめた「特定技能外国人コスト一覧表」のダウンロードはこちら

すでに企業で技能実習生として業務をこなしていた外国人であれば、離職の可能性も低く、新たに外国人を探すコストも必要なくなります。

4-2. デメリット

転職される可能性がある

技能実習生は受け入れ先の企業を変更することはできませんが、特定技能で雇用された外国人は転職ができます。雇用された先の会社で働いてみたが、実際の待遇がよくなかったり、社員とのコミュニケーションが上手くできないと、早期離職してしまう外国人もいます。

これについては、外国人側も企業を選ぶ自由を持っているということを意識する必要があります。採用面接や雇用後のコミュニケーションの際に、日本人からの一方的な話になってしまうのではなく、外国人の話にも耳を傾け双方向のコミュニケーションを心がければ、離職する可能性は低くなります。

給与水準が高くなる

特定技能外国人を採用する場合、給与は同ポジションの日本人と同等またはそれ以上支払う必要があります
技能実習生を受け入れていたときよりも給与水準は確かに上がりますが、その分、一定レベル以上の技能を持った外国人を雇用することができるため、コストが高いとは一概には言えません。

給与水準が上がったとしても、技能実習生を特定技能に移行する場合、採用コストが低く抑えられるため、全体で見てもコストは低くなります。

技能実習から特定技能へ移行する場合、外国人の受入れコストは低く抑えられますが、特定技能ビザで雇用する場合に定められている特定技能外国人への支援業務が必要であることは留意する必要があります。

また支援は登録支援機関に委託する場合が多いです。

参照:法務省・厚生労働省 「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」

5.移行する際の注意点

最後に、技能実習から特定技能へ移行する際の注意点を3点解説します。

5-1. 一時帰国について

ビザが変更されるため、特定技能へ切り替える前に外国人が一時帰国をしなければならないか不安ですよね。
そこでまずは、一時帰国の有無から解説します。

帰国する必要はあるか

技能実習から特定技能へ在留資格を移行する際、外国人は一時帰国をする必要はありません帰国するかしないかは当人の自由です。

ただし、技能実習ビザの在留期限内に、新たに特定技能ビザの申請ができなかった場合は一時帰国する必要があります
外国人が一時帰国を希望しない場合は、在留資格変更許可申請を、余裕をもって行うようにしましょう。

帰国するタイミング

外国人が一時帰国を希望する場合のタイミングは以下の2つです。

  1. 技能実習の修了の前
  2. 特定技能ビザへの移行後

技能実習修了の前に一時帰国をする場合は、一時帰国の旅費は外国人の受け入れ先の企業が負担することになります。
特定技能ビザへの移行後に一時帰国する場合は、旅費は外国人本人が負担します。

5-2. 移行可能な時期

技能実習から特定技能に在留資格を切り替えることができるのは、技能実習2号が修了した時点、または、技能実習3号が修了した時点です。

技能実習3号が修了する前に在留資格を切り替えることはできませんので、ご注意ください。

5-3. 特別措置

「特定技能1号」の在留資格への変更を希望していたけれども、技能実習の在留期間の満了日までに、申請に必要な書類を揃えることができないなど、在留資格変更許可申請が適切に行うことができない場合は、一時的に特定活動(4か月・就労可)」への在留資格変更許可申請を行うことができる特別措置があります。
その間に「特定技能1号」で就労を予定している受入れ機関で就労しながら移行のための準備を行うことができます。

要件

上記特別措置が適用される要件は以下の通りです。

  • 申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
  • 申請に係る受入れ機関において特定技能外国人として在留資格「特定技能1号」に該当する業務に従事するために、同在留資格への在留資格変更許可申請を予定していること
  • 申請人が申請に係る受入れ機関との契約に基づいて在留資格「特定技能1号」で従事する予定の業務と同様の業務に従事すること
  • 申請人が特定技能外国人として就労する場合に支払われる予定の報酬と同額であり、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
  • 申請人が特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること
    ※技能実習2号良好修了者等として試験免除となる場合も含む。
  • 申請に係る受入れ機関又は支援委託予定先が申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること
  • 申請に係る受入れ機関が、申請人を適正に受け入れることが見込まれること

必要書類

特別措置の申請に必要な書類は以下の通りです。
特に4つ目については特定技能1号への変更許可申請に必要な書類と同じものです。

  1. 在留資格変更許可申請書顔写真が必要です。)
  2. 受入れ機関が作成した説明書
  3. 雇用契約書及び雇用条件書等の写し
  4. 特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること
    又は、技能実習2号良好修了者等の試験免除であることを証明する資料

記載例はこちらをご確認ください。

注意事項

  1. 上記の特別措置(4か月の特定活動ビザ)で在留中に、受入れ機関の変更により、改めて特例措置の特定技能ビザへ在留資格変更許可申請を行うことは、原則認められていません。
    →申請した外国人が原因の理由に因らずに、従前の受入れ機関での就労が困難となった場合は、この申請が認められる場合があります。
  2. この在留資格(4か月の特定技能ビザ)で在留した期間は、在留資格「特定技能1号」の通算在留期間(上限5年)に含まれます。

参照:特定技能制度に関するQ&A
照:出入国在留管理庁 「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について

6.まとめ

新たに特定技能外国人を採用するよりも、工数もコストもかからないのが技能実習からの移行です。外国人も、技能試験と日本語能力試験が免除になるので、日本で長く働きたい場合には便利な制度と言えるでしょう。

今まで技能実習しか受け入れてこなかったが、雇用している外国人を特定技能で引き続き雇用したいと思っている企業のご担当者様は、ぜひ弊社JJSへお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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