技能実習から特定技能に移行する方法|移行できる職種や条件などをわかりやすく解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

技能実習の在留期間が終わる外国人を、できればそのまま雇い続けたい。
そう考える企業は多いものの、「特定技能への切り替えは複雑そう」「何から手を付ければいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。

実は、技能実習から特定技能への移行には明確な要件と手順があり、ポイントさえ押さえればスムーズに進められます。さらに、移行にはコスト面・採用面で大きなメリットもあります。

この記事では、移行の要件・手続きの流れ・注意点・特例措置まで、担当者が知っておくべきポイントをわかりやすく整理しました。「今の実習生を特定技能で継続雇用したい」と考えている企業の方は、ぜひ読み進めてみてください。

技能実習から特定技能への移行を考えてらっしゃる方はお気軽にお問い合わせください

目次

1. 技能実習・特定技能の違い     

専門的な技術や知識を持っていなくても、日本で就労可能な在留資格に「技能実習」と「特定技能」があります。ただし両者は、制度の目的や内容は大きく異なります。  

1-1. 技能実習とは

技能実習制度は、開発途上国の外国人が日本の企業で一定期間働きながら技能を習得し、母国の発展に貢献するのが目的です。1993年に創設され、国際貢献を掲げていました。しかし実際には、労働力として採用する側面が強く問題視する声もあります。また転職や長期就労が原則できません。

外国人労働者問題はなぜ起こるのか?現状と解決策を事例とともにわかりやすく解説!

1-2. 特定技能とは

特定技能は、日本の深刻な人手不足に対応するために2019年に導入された在留資格です。一定の技能と日本語能力を有する外国人が、特定の業種で即戦力として働くことを目的としています。特定技能には「1号」と「2号」があり、2号では家族の帯同や在留期間の更新も可能です。

技能実習と特定技能は目的も仕組みも大きく異なるため、まずは両制度の違いを押さえておくことが重要です。
技能実習と特定技能の違いは、以下で詳しく解説!

特定技能「1号」「2号」の特徴は、以下をチェック

2. 技能実習から特定技能への移行メリット     

新たに特定技能で受け入れるよりも、すでに技能実習で働く外国人を国内採用する方が、企業の負担は少ないです。ここでは技能実習から特定技能に移行するメリットを説明します。

2-1. 長期雇用が可能になる

在留資格「技能実習」は、1号が1年、2号が2年、3号が2年の最長でも5年間しか採用できません。在留資格「特定技能1号」も、1年に1回、最大5回ビザを更新できます。

特定技能1号だけでは、5年間までしか雇用できません。その間に在留資格「特定技能2号」に切り替えることができれば、ビザ更新の回数制限はなくなります技能実習よりも、長い期間働いてもらうことができるのが特定技能です。

2-2. 受け入れ人数の上限がなくなる(建築・介護分野を除く)

技能実習と違い、特定技能は1企業が受け入れられる外国人労働者の人数制限がありません。ただし建築・介護分野は、適正な就労環境の確保などを理由に外国人労働者の人数の上限を設けています。

〈建築分野〉
特定技能1号+特定活動の在留資格で受け入れる外国人 ≦ 常勤の職員
➔社長が1人と短期的な業務委託による契約社員によって運営されている企業の場合、雇用できる外国人労働者の人数は1人
〈介護分野〉
事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限
➔介護分野は1事業所で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限

ただし企業単位ではなく、事業所単位であることに注意しましょう。
また「日本人等」には日本人だけでなく、特定の条件を満たした外国人介護職員も含まれます。

<日本人等>

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」により在留する者
  • 永住者や日本人の配偶者など,身分・地位に基づく在留資格により在留する者

3. 特定技能へ移行する際のデメリット            

技能実習から特定技能へ移行することには、多くのメリットがあります。しかし企業側にとって注意点や負担が増える部分も存在します。

3-1. 転職リスクの増加

技能実習生は、受け入れ先の企業を変更することはできません。ただし特定技能で雇用された外国人は転職ができます。雇用先の会社で働いてみたが、実際の待遇がよくなかったり、社員とのコミュニケーションが上手くできなかったりすると、早期離職してしまう外国人もいます。

採用面接や雇用後のコミュニケーションの際に、日本人からの一方的な話になってしまうのは避けましょう。外国人の話にも耳を傾けて、双方向のコミュニケーションを心がければ、早期離職の防止になります。

定着率を上げる秘訣は、以下で解説しました。

3-2. 人件費(給与)の上昇

特定技能外国人の給与は、同ポジションの日本人と同等またはそれ以上支払う必要があります。技能実習生を受け入れていたときよりも、給与水準は確かに上がる点に注意しましょう。その分、一定レベル以上の技能を持った外国人を雇用できるため、一概に「人件費が高い」とはいえません。

技能実習からの移行であれば、送り出し機関費用や渡航費、監理団体の管理費などが不要になるため、新規採用時に発生するコストを大幅に削減できます。



参照:法務省・厚生労働省 「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」

4. 技能実習から特定技能へ|移行要件

技能実習から特定技能へ移行するためには、誰でも移行できるわけではありません。法律で定められた明確な要件を満たす必要があります。              

4-1. 移行可能な職種一覧

特定技能1号に移行するためには、職種の関連性が重要です。技能実習制度に存在し、かつ特定技能1号にも対応している分野だけを抽出すると、下記表の10分野になります。法務省のガイドブックに、特定技能に移行可能な技能実習の職種が載っています。厳密にはそちらをご覧ください。

移行できる分野補足
介護技能実習(介護職種)から移行可能
ビルクリーニング技能実習(ビルクリーニング職種)から移行可能
農業耕種農業・畜産農業ともに移行可能
漁業漁船漁業・養殖業ともに移行可能
飲食料品製造業食肉加工、パン、菓子など多数の作業が対応
工業製品製造業(製造業)鋳造・鍛造・溶接・機械加工など多数
建設業ほぼすべての技能実習建設職種が対応
造船・舶用工業溶接・塗装・機械加工など
自動車整備技能実習(自動車整備)から移行可能
林業技能実習(林業)から移行可能

<関連性がない職を選ぶときの注意点>
関連性がない職種へ移行する場合は、技能評価試験や日本語試験の合格が必要となり、通常の特定技能1号の取得手続きと同様の対応が求められます。

4-2. 外国人の要件2つ

技能実習から特定技能への移行の要件は2点です。

  1. 技能実習2号を良好に修了している
  2. 従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる

2つの要件を満たしていれば、在留資格「特定技能」の取得に必要な各特定産業分野の試験と、日本語試験が免除になります。

技能実習2号を修了したとしても、特定技能に移行するには技能試験が必要となる職種もあります。該当する職種の条件を事前に確認しましょう。

4-2-1. 技能実習2号を良好に修了している

「技能実習を良好に修了している」とは、技能実習を2年10ヶ月以上修了し、技能検定3級、もしくはこれに相当する技能実習評価試験に合格しているか、「評価調書」を取得状態の外国人のことを差します。

技能実習2号の修了に関する注意点は、主に次のとおりです。

  1. 技能実習1号から特定技能への移行は不可
  2. 技能実習3号から特定技能へ移行する場合は、技能実習3号を修了していることが必須
    ※技能実習2号を良好に修了していても、3号を修了していなければ移行はできません
  3. 特定技能に切り替える外国人を、同じ企業が技能実習生として受け入れていた場合以下の提出を省略可能
    ※過去1年以内に技能実習法の「改善命令」を受けていない場合に限る
     1. 技能検定3級(または同等の専門級実技試験)の合格証明書の写し
     2. 評価調書

改善命令の履歴は、OTIT公式サイト(行政処分等)で確認できます。過去の指導監督結果(改善命令、認定取消しなど)が事業者名、所在地、処分の種類、理由とともにPDF形式で掲載されています。技能実習生の在留資格を特定技能へ変更したい場合は、必ず事前に確認してください。

5. 技能実習から特定技能への移行手続き

技能実習から特定技能に移行するには、地方出入国管理局に必要書類を提出します。              

5-1. 必要な書類一覧と取得方法

書類の一覧は、特定技能総合支援サイトから確認・取得できます。主な書類は以下の通りです。

  1. 申請書(外国人・受入れ機関がそれぞれ作成)
  2. 技能水準、日本語能力水準に関する書類
  3. 労働条件に関する書類
  4. 労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人・受入れ機関)※JITCO保険も加入可能
  5. 特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類

申請に必要な書類は、技能実習から特定技能への移行であっても在留資格変更許可申請に必要な書類と大きく変わりません。

地方出入国管理局に書類を提出してから申請が承認されるまで、1~2か月かかります。提出書類の量も膨大で、特定技能外国人を受け入れるための社内体制を整えることが必要です。特定技能外国人の入社日から逆算して3~4か月前から必要な書類を準備することをおすすめします。

<国外にいる外国人を雇用する場合>

国外在住者を採用する場合は「在留資格認定証明書交付申請」が必要です(国内在住者は在留資格変更許可申請)。必要な書類はこちらからご確認ください。

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5-2. 移行手続きの流れ

移行手続きの流れを、時系列に紹介します。

STEP
技能実習2号の修了
STEP
技能評価試験・日本語試験の受験(必要に応じて)
STEP

特定技能では、技能実習とは異なり「監理団体」を設けていません。
そのため企業と外国人の「直接雇用」が原則です。

STEP
支援計画の作成(登録支援機関と連携)
STEP

【事前ガイダンスとは】
特定技能外国人と雇用契約を結ぶ前後に、受入企業(または登録支援機関)が実施しなければならない説明。労働条件、生活に関する情報(住居・地域情報)、特定技能の制度について説明。
特定技能外国人への事前ガイダンスはどうすればいい?その内容や時間、確認書についてわかりやすく解説!  

STEP
出入国在留管理局へ在留資格変更申請
STEP
許可後、特定技能としての就労開始

【特定技能の支援義務】
特定技能外国人を受け入れる企業には、法律で定められた「義務的支援」を実施する責任がある支援計画の内容は、事前ガイダンス・日本語学習の機会・提供書類申請・外国人コミュニケーションサポートなど。
就労前に、支援計画を立てて実施しなければなりません。

ただし支援委託も可能登録支援機関と支援委託契約を結ぶケースも多いため、検討してみましょう。

詳しくは、出入国在留管理庁のページにてご覧ください。

5-3. 移行にかかる費用と内訳   

移行にかかる費用は、以下のとおりです。

費用項目目安金額
在留資格変更許可申請手数料4,000円(法定費用)
書類取得費用 (修了証明書、住民票など)数千円〜1万円程度
登録支援機関への支援費(企業負担)初期費用10万〜30万円、月額2万〜5万円程度
行政書士等への申請代行費用(任意)5万〜10万円


国内の技能実習生からの移行
なら、渡航費や一部の支援費用が不要のため、10万〜30万円程度に抑えられるケースもある。

登録支援機関を利用せず自社支援を行う場合は、支援費用を削減できるが、対応体制や法令遵守の観点から慎重な判断が必要。

特定技能外国人の自社支援と委託のメリット・デメリット!登録支援機関なしで採用する流れと必要書類

6. 特定技能へ移行する際の注意点・対策

特定技能への移行は制度上の要件が多く、タイミングや書類準備を誤ると不許可や在留切れにつながる可能性があります。ここでは、移行手続きで特に注意すべきポイントと、企業が取るべき実務的な対策をまとめました。

6-1. 一時帰国が必要となるケースへの対応

技能実習から特定技能へ在留資格を移行する際、外国人は一時帰国をする必要はありません帰国するかしないかは当人の自由です。

ただし、技能実習の在留期限内に、特定技能の在留資格を申請できなかった場合は一時帰国する必要があります。外国人が一時帰国を希望しない場合は、在留資格変更許可申請を、余裕をもって行うようにしましょう。

外国人が一時帰国を希望する場合のタイミングは以下の2つです。

  1. 技能実習の修了の前
  2. 特定技能への移行後

技能実習修了の前に一時帰国をする場合は、外国人の受け入れ先の企業が旅費を負担することになります(技能実習法に基づく帰国旅費負担義務)。特定技能への移行後に一時帰国する場合は、旅費は外国人本人が負担します。

6-2. 移行できる期間(タイミング)の管理

技能実習から特定技能に在留資格を切り替えることができるのは、技能実習2号が修了した時点、または、技能実習3号が修了した時点です。技能実習3号が修了する前に在留資格を切り替えることはできませんので、ご注意ください。

6-3.「特定活動」特例措置を利用ポイント

技能実習から特定技能1号へ移行する予定でも、在留期間の満了日までに必要書類を揃えられない場合、一時的に「特定活動(就労可)」へ在留資格を変更できる特例措置があります。期間中は、特定技能1号で就労予定の受入れ機関で働きながら、移行の準備を続けることができます。

【特例措置の要件】

  • 在留期限までに特定技能1号の申請が困難である合理的理由がある
    (例:試験結果の遅延、企業側書類の準備が間に合わない等)
  • 特定技能1号で従事予定の業務に従事(技能実習と関連する業務であることが前提)
  • 特定技能1号で支払われる予定の報酬額が適用
  • 技能実習2号を良好に修了

特例措置の期間: 6か月(就労可能、週28時間以内などの制限なし)
※2024年1月9日以降の申請分から、従来の「4か月」から「6か月」に延長されました

6-4. 分野・国籍ごとに異なる要件の確認

特定技能の要件は、分野や出身国によって異なる場合があります。たとえば、送出し国との協定内容により、必要な書類や手続きが変わることもあります。

【二国間協定(MOC)】
特定技能外国人の送出国と日本との間で結んだ雇用上の取り決めです。MOCを締結している国では、手続きやルールが明確に定められています。

【日本と二国間協定を結んでいる国】
フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド、マレーシア、ラオス、キルギス  
特定技能の二国間協定(MOC)とは?受け入れから雇用手続きまで完全ガイド

7. 技能実習の今後「育成就労制度」へ

政府は、技能実習制度を段階的に見直し、新たに「育成就労」制度を創設する方針を示しています。これにより、技能実習はすぐに廃止されるわけではありませんが、一定期間を経て育成就労へ切り替わっていく見込みです。            

7-1. 新制度「育成就労」とは

「育成就労」は、技能実習制度に代わる新たな制度として検討されています。現在、外国人労働者の人権保護とキャリア形成を重視した仕組みです。技能実習よりも転籍がしやすく、キャリア形成を重視しているのが特徴です。

【技能実習制度との主な違い】
育成就労と技能実習の大きな違いは、以下の表にまとめました。

育成就労制度の目的は、従来の技能実習制度が抱えていた「実態との乖離」や「人権保護」の課題を解消することです。技能実習よりも転籍がしやすく、外国人労働者のキャリア形成を重視しています。

「特定技能1号」への移行を前提としているため、原則として特定技能と同じ産業分野が対象です。また転籍ができるのは、同一業務区分に限ります。

特定技能と同様に、産業分野ごとに受入れ数の上限が設定されています。国内労働市場の動向や経済情勢等に応じて適時変更される予定です。採用活動を進める際には、対象職種の動向をチェックしておきましょう。

詳しくは、以下の記事で解説しました。
【新制度】育成就労制度とは|いつから始まる?特定技能との関係は?

7-2. 技能実習の経過措置・切替時期

育成就労制度の創設を決めた「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」で、新制度のスタートから3年間の移行期間を設ける方向で調整を始めました。現時点では2027年から育成就労制度を開始し、2030年までを移行期間とする見込みです。

7-3. 育成就労から「特定技能」への移行方法

育成就労制度のゴールは、3年間の就労を通じて「特定技能1号」へ移行できるレベルまで人材を育成することにあります。

特定技能1号へ移行するためには、以下の要件を満たす必要があります。

育成就労から特定技能1号への移行要件
①技能検定試験3級等、または特定技能1号評価試験に合格する
②日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)に合格する
③受け入れ機関がこれらの試験を外国人に受験させる


これまでの技能実習では、「特定技能と職種が一致しない」「教育体制が不十分」「日本語能力の不足」といった課題があり、希望しても移行できず帰国せざるを得ないケースが少なくありませんでした。

育成就労では、特定技能を見据えた「職種設定」と「段階的な教育」が仕組み化されています。

  • 職種の一致:育成就労産業分野を特定技能と連動させ、職種のミスマッチを解消
  • 計画的な育成:3年間で合格水準に達するよう、企業側の支援を強化

このルートが確立されることで、特定技能2号へのステップアップによる永住権取得など、外国人材にとっての「日本での長期的なキャリア形成」がより現実的なものとなります。

※出典:育成就労制度の概要

\技能実習が廃止される前に特定技能へ切り替える/
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8. まとめ:技能実習から特定技能に移行して負担軽減!

技能実習から特定技能へ移行する方法は、新たに外国人材を採用する場合と比べて、工数・コストの両面で負担が小さいのが大きな利点です。外国人本人にとっても、技能試験や日本語試験が免除されるため、日本で継続して働きたい場合に非常に有効な選択肢になります。

現在技能実習生を受け入れており、今後も同じ外国人材と働き続けたい企業のご担当者様は、ぜひ一度「JJS」へご相談ください。移行の可否や必要な手続きについて、状況に合わせてサポートいたします。


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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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