特定技能の「雇用契約書」「雇用条件書」の作成方法|記入例・雛形ダウンロード付き

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

特定技能外国人を受入れる際に締結する雇用契約書はトラブルを未然に防ぐためにも非常に重要です。
相手が外国人ということもあり、記載内容一つでトラブルの元になることもあります。そのため、特定技能外国人との雇用契約では、雇用条件を詳細に記載した雇用条件書も必要になります。

この記事では記入例とともに雇用契約書と雇用条件書の作成方法をわかりやすく解説します。

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目次

1.特定技能の雇用契約書・雇用条件書とは

特定技能外国人を雇用しようとする場合、必ず①雇用契約書②雇用条件書を作成して契約をする必要があります。
特に、雇用する相手が外国人であるということもあり、母国語の併記も必要です。

以下の画像は、ベトナム語で翻訳された、雇用契約書と雇用条件書のフォーマットです。

1-1.雇用契約書・条件書はオリジナル様式ではダメ?

雇用契約書の様式は出入国在留管理庁のウェブページで掲載されており、一般にはこの様式が使用されています。

自社オリジナルの雇用契約書の様式がある場合は、使うことも可能ですが、出入国在留管理庁の様式で求められている情報をすべて追記することが必要です。

当然、契約を締結する特定技能外国人の母国語の追記も必要です。

1-2.雇用契約書・条件書はいつまでに締結すべき?

雇用契約の締結は、採用内定後、速やかに行うのが良いでしょう。

外国人採用では、手続きが進んでから雇用条件の認識の相違で内定辞退になることがあります。
特定技能外国人を雇用するためには出入国在留管理庁へ書類申請をしなければなりません。この手続きは、時間と労力を要するため、辞退になりうる可能性は早めに潰しておくべきです。

2.雇用契約書・雇用条件書の記入例

以下の画像は雇用契約書と雇用条件書の記入例です。
主に間違えやすい点を解説します。わかりやすいように、日本語の参考様式で解説をしていますが、実際は、特定技能外国人の母国語のフォーマットを利用する必要があるので、注意してください。

また、3章で、各言語の参考様式ダウンロードURLを貼ってあるので、以下を参考にして作成してみてください。

2-1.雇用契約書の記入例

雇用契約書のダウンロードはこちら

記入の注意点

  1. 雇用条件書の説明を母国語で説明した後に署名をもらうようにしましょう。

  2. 特定技能外国人の署名欄
    自筆で書いてもらいましょう。

2-2.雇用条件書の記入例

雇用条件書のダウンロードはこちら

特定技能雇用条件書記入例ページ1

記入の注意点|ページ1

  1. 前提として母国語での様式と母国語での口頭説明が必要です。

  2. 就業の場所
    複数の場所で勤務の可能性がある場合、可能性のある勤務地は全てあげときましょう。入れておかないと、後で書類を出す必要があります。

  3. 従事すべき業務内容
    分野・業務内容は、特定技能ので認められている業務内容を記載しましょう。

  4. 労働時間等
    1年単位の変形労働時間制や、交代制の勤務時間の組合せが多く書ききれない場合などは別途添付書類を用意しましょう。



特定技能雇用条件書記入例ページ2

記入の注意点|ページ2

  1. 賃金
    賃金については特に細かく説明をしましょう。特に残業代の有無や固定残業代の計算方法などは誤解が生まれやすいです。

  2. 受取人(署名)
    パスポートの氏名と同じようにアルファベットで綺麗に記載をしましょう。
特定技能雇用条件書記入例ページ3

記入の注意点|ページ3

  1. 基本賃金
    1時間あたりの金額は、最低賃金を上回っているか注意しましょう。
  2. 賃金支払時に控除する項目
    自分の手取りはいくらなのかを理解してもらうためにも、ここも注意して説明しましょう。ここの認識が異なると、入社をしても結局すぐに退職してしまう恐れがあります。

3.母国語での参考様式一覧|ダウンロードURL

前述した雇用契約書など特定技能外国人自身が理解してサインする書類については、母国語併記が求められています。母国語併記の様式は、出入国在留管理庁のサイトからダウンロードできるようになっています。

以下で各言語のURLをまとめていますので、必要なリンクを踏んでダウンロードしてください。

言語様式
英語(WORD) (EXCEL) (PDF)
ベトナム語(WORD) (EXCEL) (PDF)
タガログ語(WORD) (EXCEL) (PDF)
インドネシア語(WORD) (EXCEL) (PDF)
タイ語(WORD) (EXCEL) (PDF)
ミャンマー語(WORD) (EXCEL) (PDF)
カンボジア語(WORD) (EXCEL) (PDF)
モンゴル語(WORD) (EXCEL) (PDF)
ネパール語(WORD) (EXCEL) (PDF)
中国語(WORD) (EXCEL) (PDF)
出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

4.その他必要な書類

ここまで、雇用契約書と雇用条件書について解説しましたが、特定技能外国人の在留資格変更申請では多数の書類を用意しなければなりません。以下では特に重要なものや、準備に時間がかかるものをピックアップしてご紹介します。

ちなみに、雇用契約書と雇用条件書は自社で把握をする必要がありますが、そのほかの変更申請に関わる書類は膨大なため、行政書士等への申請代行をおすすめしています。

そのほかの必要書類一覧

特定技能外国人の報酬に関する説明書

この書類は、日本人と同程度以上の賃金の支払いができるのかどうかをチェックするための書類です。比較対象となる日本人と同程度である理由を記載する必要があります。比較対象となる日本人がいない場合は、その理由も記載しましょう。

特定技能外国人の報酬に関する説明書|ページ1
特定技能外国人の報酬に関する説明書|ページ2

健康診断個人票

特定技能での就労許可を得るためには、入管に「就労可」ということがわかる健康診断結果を提出する必要があり、法令で定められている項目を網羅していることが求められます。特に会社の健康診断では血液検査を省略しているところもあるので、注意が必要です。不足している項目があれば、入管申請前に追加で受診しなければなりません。

海外からの受入れの場合は、入管申請の前3カ月以内に海外で受診した健康診断結果を提出することになります。外国語で書いてある場合はもちろん翻訳文も必要です。

健康診断個人票のダウンロードはこちら

事前ガイダンスの確認書

雇用契約書と雇用条件書の詳細説明等を母国語で受けることを事前ガイダンスと言い、事前ガイダンスの内容を理解した旨を特定技能外国人が署名する確認書です。

事前ガイダンスの確認書のダウンロードはこちら

支援計画書

特定技能外国人を雇用するためには「支援計画」を作成しなければなりません。実施が必要な支援は「事前ガイダンス」や「生活オリエンテーション」など多数定められており、それぞれをいつ実施するかといったところまで決めておく必要があります。

参考:出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

5.雇用契約書に変更があった場合の対応方法

雇用契約の内容に変更があった場合は、変更日から14日以内に入管に届出書を提出しなければなりません。基本給や始業・就業の時間など、雇用契約書に記載されている項目すべてが届出の対象です。

届出書についても出入国在留管理庁のサイトにPDFとWordで様式が用意されていますので、そちらをご利用ください。

6.よくある質問

最後に、特定技能の雇用契約におけるよくある質問をまとめました。こちらも併せてご覧ください。
もしその他にご質問等ある場合は、無料相談も行っていますので、お気軽にお問合せください。

雇用契約を結ぶときに特に注意すべきことは何ですか?

特定技能においては、同一労働同一賃金という考え方を基にした審査が厳しくなっています。特に建設業においては国交省による審査もあり、日本人従業員の賃金台帳の提出が必要なのはもちろん、例えば日本人従業員にボーナスが支給されている場合は、特定技能外国人にもボーナスの支給が必須になります。

アルバイト・パートタイム契約といったことはできますか?

特定技能外国人はフルタイム勤務でなければなりません。このため、特定技能外国人が複数の企業を掛け持ちすることも認められていません。

雇用契約を満了したときはすぐに帰国しなければなりませんか?

特定技能1号においては在留期間の上限が5年となっています。雇用契約を満了したときの通算在留期間が5年未満であって、在留カードに記載されている在留期限が残っていれば日本での滞在を継続できますが、在留期間が5年に達したことで雇用契約を満了したときは、すぐに帰国しなければなりません。

自社で雇用契約を結んでいる特定技能外国人を、閑散期などに、知り合いの会社などで働かせることはできますか?

できません。また、自社の仕事であっても、特定技能で認められていない業務はできないので注意が必要です。

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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

株式会社JJS(JapanJobSchool)の代表

主に「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」を対象とした人材紹介と支援を行っており、年間300名以上の卒業生を輩出しています。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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