企業の採用担当必見!特定技能外国人の【健康診断とは】
特定技能外国人を採用するときにも健康診断を受診してもらわなければなりません。受診料や受診機関、いつまでに受診しなければならないのかなど気になるポイントがたくさんありますよね。
そこでこの記事では、特定技能外国人の健康診断についてわかりやすく解説しています。企業の採用ご担当者はぜひ最後まで読んで理解を深めてください。
1. 特定技能外国人の健康診断とは
1-1. 健康診断が必要な理由
特定技能外国人が健康診断を受けなければならない根拠は、出入国在留管理庁による特定技能外国人受け入れに関する運用要領です。
特定技能外国人の要件の一つに健康状態が良好であることが挙げられています。外国人が特定技能ビザを得るための要件に、日本語試験・技能試験に合格することがありますが、それに加えて健康状態が良好であることも必要となります。労働は体が資本なので、働くために十分な健康状態であることをチェックするのは自然なことだと言えるでしょう。
健康状態が良好であることを客観的に示すためには、以下の2つの書類の提出が必要です。
- 健康診断個人票
- 受診者の申告表
それぞれの資料の詳細については、「4. 健康診断で確認対象の書類」を参考にしてください。
1-2. 健康診断の費用と負担者
特定技能ビザ申請のための健康診断の費用の相場は約一万円です。外国人を雇用する企業が負担する必要があります。
1-3. 健康診断を受ける場所
国内在住の外国人であれば、日本の病院や健康診断を行っているクリニックで受診できます。ただし、健康診断個人票に記載のすべての項目を検査してもらわなければなりません。
海外在住の方は海外在住の病院で受診可能ですが、健康診断個人票にあるすべての項目を検査するためには、規模の大きい国立の病院で検査しなければならないケースがほとんどだそうです。
2. 健康診断を受けるタイミング
2-1. 国内在住の外国人
国内在住の外国人で技能実習生や留学生、また特定技能ビザで転職をする外国人の場合は、在留資格変更許可申請を行う1年以内に診断した健康診断個人票を提出しなければなりません。
他方、技能実習生や留学生などで在留中の者が、「特定技能」へ在留資格を変更しようとする場合(在留資格変更許可申請を行う場合)には、申請の日から遡って1年以内に、日本の医療機関で医師の診断を受けていれば、診断書を提出することとして差し支えありません。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れに関する運用要領
1年以内に健康診断を受診していない人は、在留資格変更許可申請を行う前に健康診断を受診し、医師に個人票を記入してもらう必要があります。
2-2. 国外在住の外国人
海外在住で日本に新たに入国する外国人は、在留資格認定証明書交付申請を提出する日から遡って3か月以内に、健康診断を受診しなければなりません。
国によっては病院やクリニックの予約が取りづらい場合もあるため、健康診断を申請日の3か月以内に受診できるのか、外国人にしっかりと確認するようにしましょう。
[出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」]
3. 健康診断での診断項目
提出する「健康診断個人票」に記載しなければならない項目は以下の通りです。
- 個人情報(氏名、性別、生年月日、年齢)
- 検診年月日
- 業務歴及び既往歴
- 自覚症状及び他覚症状
- 身長
- 体重
- BMI(身長・体重より算出)
- 胸囲
- 視力
- 聴力
- 結核等(X線検査)
- 血圧
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
- その他の検査
3-1. 注意点
- 「医師の診断」の欄には、異常なし・要精密検査・要診療等の医師の診断を記入する必要があります。
- 現在治療中の診断がある時には、「医師の診断」の欄に、現病歴・病名等医学的に特筆すべき病状を記載しなければなりません。その場合は処方されているすべての薬を備考欄に記載する必要があります。
- 胸部X線検査の欄に所見がある場合は、喀痰検査を実施し、活動性結核を否定してください。
4. 健康診断で確認対象の書類
入国管理局に提出しなければならない健康診断に関する書類は2つあります。
- 健康診断個人票
- 受診者の申告書
それぞれ詳しく説明します。
4-1. 健康診断個人票
健康診断個人票は出入国在留管理庁が書式例を提示していますが、必ずしもこれに沿う必要はありません。ただし、書式例に記載された診断項目はすべて検査されていなければなりません。
もし診断漏れ、記入漏れがある場合には個人票の再提出が求められる場合があります。
さらに、個人票の一番下には検査を担当した医師の署名が必要です。外国人が日本で安定・継続的に就労活動を行うにおいて、健康上の支障がないことを示します。
留意点として、健康診断個人票は受診した外国人当人が理解できる言語で作成されなければなりません。外国人が理解できる言語と、さらにその日本語訳の提出が求められます。
健康診断個人票の各国語での様式も、出入国在留管理庁のホームページで公開されています。雇用する外国人の母語、または理解できる言語があるかを確認することができます。
4-2. 受診者の申告書
「受診者の申告書」とは、健康診断を行うにあたって、通院歴や手術歴、当薬歴などを噓偽りなく医師に申告したうえで健康診断を行ったことを証明する書類です。
受診者の申告書も、健康診断個人票と同様に外国人の理解できる言語で作成されなければなりません。
さらに、受診者の申告書は健康診断後に作成しなければならないことに注意してください。
5. 特定技能外国人の健康診断において企業が注意すべきこと
日本人の従業員ではなく、特定技能外国人の健康診断において、企業側が留意すべきことは大きく分けて2点あります。
5-1. 有効期限があることを理解しておく
健康診断の結果には有効期限があります。健康診断を早く受けすぎないように注意してください。
健康診断の有効期限は、特定技能ビザの申請日から過去1年以内です。
5-2. 健康診断の結果は必ず確認する
健康診断の結果に問題があると特定技能ビザの申請が認められない場合があります。さらに、身体に以上があると一度雇った外国人であっても、病気が原因で長期の就労が難しくなってしまいます。
そのため、外国人から受け取った健康診断の結果は入国管理局に提出する前に必ず企業内で確認するようにしましょう。
外国人の中には、もし日本で就労するのに不利な結果が出た場合であっても日本での就労を逃したくなく、自己申告しない人もいます。
採用面接をするタイミングで、健康診断の結果は企業も確認すること、その結果によっては日本で就労できない可能性があることを伝えておくことをおすすめします。
6. よくある質問
- 健康診断の結果に問題があった場合はどうなりますか?
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健康診断で異常が発見され、日本での安定・長期的な就労が困難だと判断された場合には、ビザの申請が不許可になる可能性があります。
しかし、健康診断に問題があったからと言って必ずしも不許可になるわけではありません。再検査を行い日本で就労可能であることを確認することもできます。
特に、個人票内の「胸部X線検査」に問題がある場合は、喀痰検査を実施し、活動性結核を否定しなければなりません。
7. まとめ
ここまで特定技能ビザの申請に必要な健康診断について解説しました。特定技能外国人の要件であるだけでなく、雇用した外国人が身体上の不安なく業務に当たってもらうためにも、健康診断は不可欠です。
特定技能外国人の採用について、健康診断に限らず何か不明点がある場合はぜひ当スクールにご相談ください。