インドネシア人は建設業と相性◎?注目する理由と採用のポイント

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

日本では各種業界が人手不足に悩まされており、深刻な状況になりつつあります。中でも建設業界は建設投資額がバブル景気の時期に肩を並べようとしている一方、就業者数はここ10年以上横ばいが続いており、業界の成長に大きな影響が出ている状況です。

出典:国土交通省「建設業における人材確保に向けた取り組みについて」

建設業界の発展的な成長のためにも、人手不足の解消が求められます。そこで注目されているのがインドネシア人の活用です。インドネシア人が持つ性質・性格が建設業とマッチしているのではないかと言われています。今回はインドネシア人労働者を採用するメリットや、インドネシア人が持つ性格などを解説します。

本記事を読むことで、インドネシア人労働者を採用するメリットなどがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1. 日本で働くインドネシア人急増中

※:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」に基づいて編集部が作成

現状では、日本で働くインドネシア人は急増していると言われています。令和6年10月末時点において、外国人労働者は2,302,587人と過去最高を更新し、そのうち、インドネシア人は169,539人と前年比39.5%増で、5万人ほど増えている状況です。※

本項目では、日本における人手不足やインドネシアの近況などをまとめています。

1-1. 日本の人手不足

日本の人手不足は年々深刻さが増しています。例えば、日本の生産年齢人口は1995年から減少を続けており、最大8,716万人の生産年齢人口は2023年には7,395万人と1,000万人以上減少し、2025年には7,310万人、2030年には7,076万人と減り続ける未来が想定されているのです。※

※:総務省「令和6年版高齢社会白書(全体版)」

建設業でチェックすると、就業者数が最も多かったのは1997年度で685万人でした。徐々に人数を減らし、2023年には500万人を割り込んでいる状況です。一方で政府と民間の投資額はピーク時の80兆円台から40兆円台前半まで一気に減少したものの、2023年には70兆円にまで回復しています。業界としての成長が見込める中、人手はなかなか増えない現状と言えます。

※:国土交通省「建設業における人材確保に向けた取り組みについて」

建設業の年齢構成を見ても、29歳以下の割合は全産業で平均16.4%に対し、建設業は11.7%とピーク時と比べて半減し、55歳以上の割合は35.9%とピーク時と比べて急増しています。しかも、4人に1人が60歳以上であり、65歳以上の労働者は51.1万人もいるため、今後の大量離脱が想定できるのです。

若者が建設業を敬遠し、60歳以上の高齢者に頼らざるを得ないのが今の日本の建設業の実情です。少なくとも5年後、10年後に向けて少しでも人手不足の解消を図ることが求められます。

1-2. インドネシアの近況

インドネシアは年々人口を増やしており、労働力人口は1億5,305万人と、世界屈指の労働力を確保している国の1つです。失業率は5%弱と若干高めではあるものの、改善傾向にあります。一見すると順調に見えますが、若年層に目を向けると、決して良好とは言えません。※

※:JETRO「2月の失業率は4.76%、前回2024年8月時点から0.15ポイント改善」

20~24歳の失業率は15.34%と6人に1人が失業状態にあり、25~29歳でも7.14%と高い失業率となっています。インドネシア国内で若者がバリバリ働きたいと思っていても、実際には働き口が十分に確保されているとは言いにくく、深刻さが増しています。※

※:NNA ASIA|「長期停滞」、脱却に苦戦非効率性が先進国入りの壁に

冒頭でも触れたとおり、日本へ出稼ぎにやってくるインドネシア人は急増しており、外国人労働者全体の7%ほどがインドネシア人であり、国別で見ても全体の5番目です。労働人口が減り続けている日本と労働人口が増えつつもあるも若者の働き口が十分にあるとは言い難いインドネシア双方の需要と供給が一致していると言えるでしょう。

2. インドネシア人の特徴

外国人採用を検討し、特にインドネシア人の採用を検討する建設業の採用担当者にとって、注目しておきたいのがインドネシア人の特徴です。前もって知っておくことで、採用時に細心の注意を払いつつ、魅力ある人材を確保できるようになるでしょう。

本項目では、インドネシア人が持つ特徴について解説します。

2-1. 建設業とのマッチ◎

インドネシア人の性質・性格と建設業の相性は抜群であると言われています。そもそも建設業にマッチする人材の特徴として、体力や持久力があることや忍耐力、粘り強さなどを持ち合わせている人材であることが挙げられます。

建設業は他業種と比べてみると、宗教上の食べ物の制限に仕事内容が左右されにくい傾向にあるほか、インドネシア人は信仰心が強いために、自分に負荷をかけてストイックに取り組める要素があり、建設業に強くマッチすると言えます。

インドネシア人は全体の9割弱がイスラム教徒、1割程度がキリスト教徒と基本的にイスラム教徒が多い傾向にあります。ラマダンなどのルールは徹底して守り、礼儀正しく保守的な部分もあります。こうしたインドネシア人の性質が建設業とマッチしやすいのです。

2-2. 穏やかさと責任感の両立

インドネシア人の性質として、穏やかさや責任感の両立が挙げられます。インドネシアは赤道直下の国であり、常に食べ物が手に入り、計画的に過ごす要素が乏しいため、自然と穏やかでマイペースな性格の人が増えてきたのが実情です。

また、インドネシア人には、相互扶助の考え方が根強く存在します。相互扶助の考えを言い表す言葉に「ゴトン・ロヨン (gotong royong)」があります。一緒に仕事を行うという意味合いがあり、互いに手を取り合って支え合いながら仕事をしていく時に用いられます。ゴトン・ロヨンの考えも仕事に誠実に取り組んでいく姿勢につながっていると言えるでしょう。

一方で、インドネシア人が持つ信仰心の強さはストイックな部分に直結しやすく、責任感を持って仕事に取り組む姿勢につながりやすくなります。これらを総合的に見て、建設業の相性の良さにつながっているのです。

2-3. 日本語上達が早い傾向

インドネシア人の特徴として、日本語の上達が早い傾向にあることも挙げられます。2021年段階で世界の日本語学習者数は3,794,714人いる中で、インドネシア人は711,732人と中国に次いで2番目に多いことが明らかとなっています。※

※:独立行政法人国際交流基金「2021年度海外日本語教育機関調査結果概要」

元々インドネシアは中学校や高校で日本語の授業があり、第二言語として日本語を学んできた人が多いことが言われています。また、インドネシア人には親日家が多く、過去に行われた調査では、「日本は好きですか?」という質問に、大好き・好きと答えたインドネシア人の割合は、100%を占めています。※

※:アウンコンサルティング株式会社「2024年【世界14カ国・地域の親日度調査】」

インドネシア人が日本の好きな理由として、四季の風景や自然を挙げる人が最も多く、商品の質の高さ、日本食も上位を占めています。日本にはいつ頃行きたいかを問う質問では、すぐに行きたいと答えたインドネシア人は49.5%と他の国に比べてもズバ抜けて高い結果が出ました。一連のアンケートからも、インドネシア人の親日度合いが高いことは明らかです。

また、インドネシア人が日本語を学ぶ上で、インドネシア語との親和性の高さもポイントと言えます。本来日本語は、外国人からすると習得が難しい言語として有名です。しかし、インドネシア語と日本語は文法・発音的に似ているところもあるため、他国出身の外国人より日本語上達が早い傾向があります。

講師|松本

実際外国人求職者の方と話していても、インドネシア人の求職者は
日本語上達が早く、聞き取りやすい日本語を話す傾向を感じます。

3. 採用する際の注意点

性格的にも日本の建設業との親和性が高そうなインドネシア人ですが、実際に採用する際にはいくつかの点に注意が必要です。本項目では、インドネシア人を採用する際の注意点についてまとめました。

3-1. 宗教への配慮が必要

インドネシア人を採用する際には、宗教への配慮が必要不可欠です。インドネシアは国民の9割ほどがイスラム教徒であり、日常生活や価値観には宗教が深く根付いています。そのため、職場においても信仰に関するさまざまな配慮が求められます。

具体的には、1日5回の礼拝のための時間と静かなスペースの確保が重要です。5回のうち、昼12時ごろや午後3時ごろ、夕方6時ごろは職場でお祈りを行う可能性があります。礼拝自体は5~10分程度で終わるため、業務への大きな影響はなく、できればムショラと呼ばれるお祈りの部屋を用意しておくのが理想的と言えます。こうしたちょっとした配慮が職場での満足度や定着率向上につながりやすくなるのです。

他にも、ラマダンでは日の出から日没まで飲食を控えることになるため、イスラム教徒であるインドネシア人の体調や勤務スケジュールに柔軟な対応が必要求められるほか、食事面にも気を配り、ハラール対応の食事の確保なども必要です。

宗教的背景への理解を深めることで、インドネシア人が安心して働ける環境を整え、企業全体の多様性や成長にも貢献できます。

3-2. 時間感覚に違いあり

インドネシア人と日本人の間には、時間感覚に決定的な隔たりがあります。日本の場合、時間を守ることが常識であるとともに、遅刻を嫌う人が少なくありません。当然のことながら、約束や勤務時間に対して正確かつ厳格であることが求められます。

しかし、インドネシアでは日本人ほど時間を守る意識が高くなく、遅刻に対しても寛容です。インドネシア人の時間感覚を象徴する言葉に「ゴム時間」があります。インドネシアでは交通渋滞が生じやすいなど、予定通りに進まないことが日常茶飯事です。そのため、時間を守ることより調和を優先する傾向にあります。

一方で、日本の建設現場は時間厳守の中で行われることも多く、遅刻は基本的に許されません。日本人労働者からすれば、インドネシア人労働者の怠慢と受け止められかねず、和を乱す存在と思われやすくなるでしょう。

あくまでも文化的な価値観の違いを認識するとともに、日本では時間に正確で厳格であることを
インドネシア人労働者に伝えることが求められます。

3-3. コミュニケーションは慎重に

インドネシア人とコミュニケーションを取る際は、慎重に行わないといけません。インドネシアでは調和を優先し、対立や衝突を避けつつ相手を尊重することが重要視されます。たとえ自分の意見や本音があっても、相手を傷つけたり場の空気を悪くしたりしないようにします。そのため、あえて本音を言わずに曖昧な返答をすることがあるのです。

本音を言わないことも多いインドネシア人は職場での悩みや不満、ストレスを自分の中にため込みやすく、表に出すことが少ない傾向があります。表面上は穏やかで問題がないように見えても、実は内心でストレスを感じていたり、困っていることがある場合も少なくありません。そのため、上司や同僚は日頃から気軽に相談できる雰囲気を作り、定期的に声をかけて本音を引き出す工夫が大切です。

指示や注意をする際は、感情的にならないよう心がけ、相手の立場や気持ちを尊重した丁寧な説明をすることで、信頼関係の構築につながります。円滑な職場を築くためには、インドネシア人の特性を理解し、コミュニケーションにおいて相手のサインを慎重に見ることが重要です。

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4. 採用の流れと費用

実際にインドネシア人を採用する際には、技能実習と特定技能の2つがあります。本項目ではそれぞれの採用の流れと費用についてまとめました。

4-1. 技能実習

インドネシア人を技能実習生として採用する流れとして、受け入れ企業は監理団体や人材紹介会社を通じて、インドネシア国内の送り出し機関と連携し、候補者の募集・選考を行っていきます。選考後、技能実習生は日本語や日本での生活、業務に関する事前研修を受けます。

次に、在留資格の申請手続きが必要となり、書類作成や申請は監理団体や行政書士がサポートすることが一般的です。ビザが取得できたら、航空券を手配し、来日後はさらに入国後講習を実施します。その後、受け入れ企業での実習がスタートします。実習期間中は、監理団体による定期的なフォローや生活支援が行われます。

配属までの費用はおおむね数十万円程度とされ、現地での面接を行うとなると、さらに費用がかかることが想定できるでしょう。また、配属してからも毎月監理団体に対して毎月数万円程度の費用を支払うことになります。

4-2. 特定技能

インドネシア人を特定技能で採用する際の流れは、独自の手続きが必要です。

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まず、日本の受け入れ企業はインドネシア政府が管理する「IPKOL」と呼ばれるシステムに求人情報を登録し、人材募集を行います。
応募者が現れると、企業とインドネシア人労働者の間で雇用契約を締結します。この時、特定技能分野の技能試験と日本語能力試験に合格している必要があります。建設業に該当するのは、特定技能「建設」です。

雇用契約を結んでから企業は、地方出入国在留管理局に対して、「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。証明書が交付されたらインドネシア人労働者に送付します。インドネシア人本人は送付された証明書を活用し、インドネシア政府が管理する「SISKOTKLN」に登録し、移住労働者証(E-KTKLN)を取得します。

そして、特定技能ビザの申請を行い、必要書類を提出してビザが発給されれば、日本への入国が可能です。インドネシア人の特定技能採用は、手続きが面倒なため、専門機関・専門家のサポートが欠かせません。

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ちなみに、費用は人材紹介手数料や送り出し機関への手数料など、初期費用だけで80~200万円前後がかかり、ランニングコストとして月数万円程度かかります。

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5. まとめ

建設業界は人手不足が進むほか、高齢化が進んでおり、策を講じない限りは深刻な状況が続きます。一方で、建設に対する需要は高く、人手を確保することが企業の成長につながる可能性は高いでしょう。建設業界での人材確保を進めていくべき中で、インドネシア人労働者などを採用することで、人手不足の改善につながっていきます。インドネシア人は日本に親しみを持つほか、調和を重んじて、マジメに取り組むため、建設業界においてもマッチしやすい人材が豊富です。

今回ご紹介した内容を踏まえて、インドネシア人を積極的に採用し、いち早く人手不足の解消を目指していきましょう。

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