技能実習とは?制度の内容・職種・注意点をわかりやすく解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

技能実習生は永住者に次いで多く、2022年末の時点では324,940人と前年より48,817人も増加しました。そのため外国人を採用しようと思っている企業は自然と技能実習生の受け入れも視野に入ると思います。ただ実際に技能実習について理解している方は少ないのではないでしょうか。

この記事では技能実習制度の概要、技能実習生の受入方法、受入までにするべき準備、優良企業に成るための要件、技能実習制度のメリット・問題点など、技能実習制度について幅広い情報をまとめています。

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目次

1.技能実習制度とは

1-1.技能実習制度の目的

1993年に創設された技能実習制度の目的について、国は「我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的」としています。要するに、日本の進んだ技術を海外に移転することが制度の目的とされているのです。

一方、技能実習生自身は「技術移転」などは二の次です。彼らが技能実習生として日本に来る主な目的は、一言で言うとお金を稼ぐことです。3年間で200〜300万円を貯めて帰国し、地元に家を建てたり起業したりします。

参考:外国人技能実習機構

1-2.技能実習生の在留期間は最長5年

技能実習生は3年契約で来日します。3年満了後は、①帰国②技能実習を2年間延長③特定技能に移行の3パターンがあり、技能実習生が自由に選ぶことができます。この時点で転職が可能になり、同じ会社で技能実習を2年間延長を延長することもできますし、転職して特定技能に移行することも可能です。

特定技能とは何か、また技能実習から特定技能への移行はこちらの記事をご覧ください。

1-3.技能実習制度の種類|1号・2号・3号の違い

技能実習制度では、1号・2号・3号という呼び名も使われます。1号は1年目の技能実習生を指し、2号は2・3年目の技能実習生、3号は4・5年目の技能実習生を指します。

1号から2号、2号から3号に移行するためには、技能検定などの試験を受けなければならないとされており、この試験に合格することができなければ、移行できずに帰国となってしまいます。

1-4.技能実習と特定技能の主な違い

1-4-1.技能実習では転職できないが特定技能では転職できる

技能実習と特定技能でもっとも大きく異なるところは、転職の可否です。技能実習では最初の3年間は原則として転職ができないのに対し、特定技能は転職が自由となっています。

1-4-2.技能実習は途上国に技術を伝えることが目的で、特定技能は人手不足解消が目的

特定技能は日本の人手不足解消を目的とし、外国人労働者を受け入れるための制度です。一方で、技能実習は先述の通り国際貢献を目的とした制度であり、発展途上国人材に日本の先進技術を学び母国の発展に活かしてもらうための制度となります。

1-4-3.技能実習の在留期間は最長5年で、特定技能では2号に移行すれば永続的に在住できる

特定技能と技能実習では在留できる期間に違いがあります。

先述の通り、技能実習の場合はあくまで途上国への技術移転が目的であるため、技能実習生は最大5年間の契約期間を満了後帰国をしなければいけないというルールがある一方で、特定技能は労働者を受け入れるための制度であるため特定技能1号は通算5年ですが、特定技能2号に移行することができれば日本で永続的に働くことが可能です。

その他、技能実習では、技能実習生に従事させることができる仕事が厳しく制限されていて、それぞれの「職種」ごとに決められている作業以外に従事させることは認められていません。一方、特定技能において、特定技能外国人は日本人従業員と同じ業務に従事させることができるため、いわゆる単純労働をさせることも許容されています。

技能実習と特定技能の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

2.技能実習の対象職種・業種

技能実習生を3年間受入れることができる職種は、2022年4月25日の時点で86職種(156作業)となっています。

技能実習制度移行対象職種・作業一覧
参考:法務省「外国人技能実習制度について」

職種は年に2〜3種類ぐらいのペースで追加されており、これまで受入れることができなかった職種でも、いつの間にか職種が追加されて技能実習生の受入れができるようになっているということもあります。

2-1.技能実習の職種別人数

参考:OTIT 外国人技能実習機構 令和3年度業務統計

上の図のように、建設関係と食品製造関係がかなりの割合を占めています。このデータはコロナ禍のものなので、今後はコロナによる規制も緩和したことから、コロナ前の366,167人ほどに戻ると思われます。

3.技能実習の要件

技能実習にはいくつか要件があり、採用する前にこれらを満たしているか確認する必要があります。

  1. 18歳以上であり、帰国後習得した技術を要する業務に従事する予定があること
  2. 団体監理型の場合は従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること

4.技能実習の受入方法

技能実習の受入方法は、「企業単独型」団体管理型」の2つの方法があります。

4-1.企業単独型

技能実習制度でよく耳にする「監理団体(いわゆる「組合」)」を通さずに技能実習生を受入れる方法です。しかしながら、この方法は一定の規模以上の企業などにしか認められておらず、令和3年度時点で技能実習生全体の1.6%にとどまっています。

参考:外国人技能実習機構「技能実習区分別 技能実習計画認定件数

4-2.団体監理型

監理団体(いわゆる「組合」)を通して技能実習生を受入れる方法のことです。技能実習生を受入れる際には、基本的に団体監理型となります。

5.受け入れの流れ

5-1.技能実習生を採用する

まず提携する監理団体を探し、面接の申込みをします。通常は1カ月程度で面接となります。採用する技能実習生を決定した後は、監理団体から書類の準備を依頼されるのでその対応を行ったり、先程述べた養成講習を受講したりします。

5-2.寮・生活用品の準備

面接から約6〜7カ月で技能実習生が入国してきますので、頃合いを見計らって前もって寮を契約し、日用品の購入や運び込みをして技能実習生が来るのを待ちます。技能実習生は入国後1カ月間日本語講習を受け、その後入社となります。

会社寮が既にある企業であれば問題ありませんが、そういった企業でなければ、アパートや一軒家を借りる必要があります。その際、敷金・礼金や鍵交換代などを技能実習生に負担させることはできません。技能実習生から寮費として徴収できるのは月々の家賃のみです。

さらに、寮費には相場ができあがっており、監理団体から「上限を2万円にしてください」などと求められることがあります。こういった場合でも2万円を超える金額に設定することはできますが、技能実習生の面接を行う際に応募してくる技能実習生が減るなどのデメリットがあります。

5-3.責任者・指導員の選任と養成講習の受講

技能実習生の受入企業は、以下の3つの担当者を選任することが必要です。

  • 受入れに関する総責任者(実習責任者)
  • 技能実習生に仕事を教える者(実習指導員)
  • 生活面のサポートを担当する者(生活指導員)

このうち、実習責任者は6時間の養成講習の受講が求められています。通常、技能実習生の面接後1〜2カ月経つまでに受講が必要です。なお、実習指導員と生活指導員向けの養成講習もありますが、こちらの受講は任意となっています。

5-4.技能実習の監査と実習日誌

技能実習生を受入れている間は、3カ月に1回の頻度で監理団体から監査を受けなければなりません。監査では、実習生との面談や実習日誌をはじめとする帳簿書類の確認が行われます。
実習日誌とは、技能実習生に指導した内容を毎日記録しておく日誌です。受入企業が備え付けておく書類として重要なものの一つなので、きちんと作成しておくことが大切です。

6.監理団体とは

技能実習生の監理事業を行う許可を得た団体が監理団体と呼ばれます。その多くは協同組合であるため「組合」とも呼ばれています。

監理団体の業務は、外国の送出機関と提携して技能実習生の人材紹介をしたり、さまざまな書類作成や入国後の受入れサポートをしたりすることです。監理団体ごとに経験やサポート力が大きく異なりますので、監理団体選びが技能実習生受入れの成功のカギとも言えます

6-1.監理団体一覧

技能実習制度の監督官庁である「技能実習機構」のホームページに、全国の監理団体一覧が掲載されています。
参考:外国人技能実習機構

7.送出機関とは

現地で技能実習生の募集を行う会社を送出機関と呼びます。また、面接に合格して日本に行くことが決まった技能実習生の日本語教育も行います。

送出機関によって優秀な技能実習生を募集できるか、日本語教育の能力が高いかは異なりますが、技能実習生の受入企業が直接送出機関を選ぶことは通常できません。

7-1.送り出し機関一覧

技能実習制度の監督官庁である「技能実習機構」のホームページに、各国の送出機関一覧が掲載されています。

参考:外国人技能実習機構外国政府認定送出機関一覧

8. 技能実習の問題点

8-1.原則転職ができない

制度の問題として、転職ができないことがしばしば指摘されています。このことが技能実習生への人権侵害や失踪の一因になっています。

8-2.借金を背負って来日

技能実習生の出身国によっては、借金をして送出機関への手数料を支払うことが通例となっていることもあります。多くの技能実習生は1年目で借金を返済し、2・3年目で貯金をして帰国するというのが一般的になっていますが、いずれにせよ借金をしなければならないという点が批判の的になっています。

8-3.技能実習生による犯罪

技能実習生による犯罪も増加しています。犯罪の種類も万引きだけにとどまらず、銀行口座売買や大麻の栽培、麻薬の密輸など多岐に亘るようになっています。このように、技能実習制度には外国人犯罪を誘発している側面があることも否めません。

参考:「ラジオ関西トピックス」相次ぐベトナム人の薬物密輸 神戸税関、合成麻薬MDMA5000錠押収 サプリのボトルに隠す

8-4.技能実習が現代の奴隷制度と言われてしまう理由

転職不可、借金しての来日といったことに加え、給与不払いなどの問題もあることから、技能実習制度は奴隷制度と批判されています。しかし、奴隷制度と言われてしまうのは、一部の悪質な業者がいるからであり、本来はそんな制度ではありません。

まとめ

この記事では技能実習制度について一通りご紹介しました。技能実習生を受入れる際には、制度や仕組みについて正しい知識をインプットしておくことが重要です。技能実習生の受入れを成功させて、受入企業・技能実習生の双方がWIN-WINになることを願っています。

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この記事を書いた人

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