【注目度上昇中】特定技能から在留資格「介護」へ!スムーズな移行と定着率アップの秘訣    

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

コロナウイルスの流行から5年経過し、パンデミック以降に採用した特定技能外国人の在留資格の期限が近づいています。せっかく採用した外国人材が帰国してしまうのではないかと不安に思っている介護施設経営者の方もいるかもしれません。

介護分野では、特定技能から在留資格「介護」へ移行することで、日本で永続的に就労が可能となります。

そこでこの記事では、特定技能から在留資格「介護」への移行の流れと、移行のために必要な介護福祉士試験合格のための支援方法について解説します。

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目次

1. 在留資格「介護」とは

介護分野で外国人を採用できる在留資格は4つあります。

  • 介護
  • EPA介護福祉士(特定活動)
  • 特定技能 
  • 技能実習

この中でも在留資格「介護」は最も熟達した技能と日本語能力を持つ外国人が取得できる在留資格です。

他の在留資格との違いを踏まえつつ、在留資格「介護」の詳細を解説します。

1-1. どんなビザなのか

出入国在留管理庁のホームページには、在留資格「介護」に該当する活動は以下のように書かれています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動。 該当例としては、介護福祉士。

他の3つの在留資格と一番大きく異なる点は、介護福祉士の資格を持っていなければ在留資格を取得できないという点です。

在留期間は5年、3年、1年又は3か月と定められていますが、更新回数や在留可能年数に制限がないため、実質永続的に日本で介護業務に従事することが可能です。

在留資格「介護」の取得要件は以下の通りです。

介護福祉士の試験に合格していること契約する機関と適切な労働契約が結ばれていること
…同ポジションの日本人職員と同等以上の待遇であること等

2020年以前は、介護福祉士養成施設を卒業して試験に合格するルートでなければ在留資格「介護」を取得できませんでしたが、2020年以降はこのルートに加えて実務経験ルートで介護福祉士資格を取得した外国人も、在留資格「介護」を取得できるようになりました。

出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について」

実務経験ルートでは

  • 実務経験3年以上
  • 450時間の実務者研修を修了する

以上の2点を満たすことで介護福祉国家試験の受験資格を得ることができます。

介護福祉士養成施設を卒業して試験を受けるルートもありますが、養成施設に入学するには高等学校を卒業し、かつ日本語能力試験N2以上が必要です。

1-2. 従事できる仕事内容

在留資格「介護」を持つ外国人介護福祉士は、日本人介護福祉士と同様の仕事に従事することができます。

在留資格「介護」は実務だけでなく、学問としても体系的に介護を学んでいることから、専門職として介護を受ける本人やスタッフに助言をすることや、施設全体のマネジメントを任されることが多いです。

また、以前は訪問系サービスについては、介護職員が1対1でサービスを提供するという業務内容の特性上から、在留資格「介護」及びEPA介護福祉士(介護福祉士取得後)にしか認められていませんでした。しかし2025年4月より、介護職員初任者研修過程を修了し、介護事業所での実務経験が1年以上ある場合は、「特定技能」「技能実習」で訪問系サービスに従事することが認められました。

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1-3. 他の在留資格との違い

外国人介護福祉士を採用する際に、採用できる在留資格は「介護」以外に3つあります。

在留資格「介護」が上記3つと一番大きく異なる点は、介護福祉士の資格を取得しているという点です。そのため、知識・技能ともに上記3つより熟達した外国人介護福祉士を採用することができます。

在留資格「介護」と他3つの在留資格では、外国人の技能だけではなく、働ける期間や家族帯同、母数などにも違いがあります。

[出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」]

▼介護分野の在留資格の違いについて 関連記事はこちらから

2. 在留資格「介護」が注目される理由

2040年までに新たに約57万人の介護人材の確保が必要となり、比較的在留資格の取得のハードルが低い特定技能制度で外国人介護福祉士を採用している事業所もあるかと思います。

しかし、今は特定技能制度に加えて、外国人材の専門性が高く、在留資格取得のハードルが高い「介護」も注目されています。

その理由として2つが考えられます。

2-1. パンデミックから5年経過

2025年7月現在、コロナウイルスのパンデミック以降に特定技能制度で来日した外国人が日本に来て5年が経過しようとしています。

特定技能1号の在留期間の上限は5年で、5年以上経過する場合は特定技能2号や、在留資格「介護」など、他のビザへの移行が必要となります。特定技能1号のまま日本に滞在することはできません。

約5年日本の介護福祉施設で働いているため、在留資格「介護」の要件の1つである「実務経験3年以上」を満たしていることになります。

在留資格「介護」への移行を機に、外国人介護士に介護福祉士国家試験を受けてもらうことができます。国家資格を得ることで知識面でも技能面でもスキルアップでき、施設としてもゆくゆくは初任者指導や施設全体のマネジメント業務を任せることができるでしょう。

2-2. パート別試験の導入

在留資格「介護」への移行には介護福祉士国家試験への合格が必要であり、この試験は外国人介護福祉士にとって決して容易ではないと知られています。

そこで、国家試験の質を低下させることなく、より受験しやすい仕組みとしてパート合格(合格パートの受験免除)を2025年より導入しています。

2024年までは全科目の総得点が合格基準点(6割が目安)を超えることが合格の条件でしたが、2025年以降は総得点で不合格になっても、分割したパートごとに合格基準点を超えればそのパートは合格と見なし、翌年・翌々年までは合格したパートの受験は免除となります

この措置によって、不合格だった場合でも翌年度以降は不合格パートの学習に注力できます。日々の介護施設での仕事・日本語の勉強・介護福祉士国家試験の勉強を両立しなければならない外国人介護福祉士にとって、国家試験の受験の負担が減ることは大きなメリットとなるでしょう。

パート別試験の導入に伴い、それまで午前と午後の2つの試験だったものが、A,B,Cの3パートに分けられました。午前中にAパート、午後にB、Cパートを実施します。

出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について」

3. 介護ビザ移行の流れ

特定技能1号ビザから介護ビザへの移行の流れは以下の通りです。

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特定技能「介護」を取得する

特定技能ビザで海外から外国人を呼び寄せる場合の要件は3つです。

  • 介護技能評価試験に合格する
  • 日本語試験で一定の水準に合格する(日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト200点以上)
  • 介護日本語評価試験に合格する

介護技能評価試験、介護日本語評価試験共にCBT方式(Computer Based Testing)で行われます。開催国は日本、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナムです。

上記3つの試験に合格して、在留資格認定証明書交付申請が許可されたら日本の介護施設で就労できるようになります。

▼在留資格「特定技能」の申請はオンラインでも可能です。詳しくはこちらの記事をお読み下さい。

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特定技能「介護」で在留中に介護福祉士国家試験を受験し合格する

特定技能1号の在留期間は最大5年です。

この5年間に介護福祉士国家試験の合格を目指します。

試験を受験するには3年以上の実務経験実務者研修の受講が必要です。介護福祉士国家試験は1年に1回(2025年は1月26日)しか実施されません。働き始めて3年以降なので、実質4年と5年目しか国家試験を受験できるチャンスはありません。日々の就労に加えて、国家試験に向けた勉強を進めましょう。

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介護ビザへ切り替える

国家試験に合格したら在留資格変更許可申請を入管に提出します。

特定技能1年の在留期間満了日までに切り替えが完了するように、在留期間満了日の3か月以上前に申請すると安心です。

3-1. ビザの切り替え方法

在留資格「介護」への在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の7つです。

  1. 在留資格変更許可申請書 1通
  2. 写真 1枚
  3. パスポート及び在留カードの提示
  4. 介護福祉士登録証 1通
  5. 労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通
  6. 申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣契約に基づいて契約する場合)
  7. 招へい機関の概要を明らかにするいずれかの文書
    (1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容等が詳細に記載された案内書 1通
    (2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

これらの書類を外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ提出してください。オンライン申請も可能です。

[出典:出入国在留管理庁「在留資格「介護」]

▼JJSが支援する企業さまの声 「ビザの書類面で多々助けられ、感謝しています」

4. 企業ができるサポート

介護ビザ取得のために必要な国家試験の合格や、ビザ移行のための書類準備など外国人従業員本人だけでは準備が難しいことが多いです。

そこで、外国人従業員を受け入れている企業(または事業所)ができるサポートを3つ説明します。

4-1. 必要書類の準備

介護ビザへの移行にはこちらの書類が必要ですが、日本で長年生活している外国人であっても行政書類は理解しにくい部分が多いです。書類の準備は受入企業の職員がサポートすると、外国人従業員も安心して準備できます。

  1. 在留資格変更許可申請書 1通
  2. 写真 1枚
  3. パスポート及び在留カードの提示
  4. 介護福祉士登録証 1通
  5. 労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を
    明示する文書 1通

  6. 申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣契約に基づいて契約する場合)
  7. 招へい機関の概要を明らかにするいずれかの文書
    (1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容等が詳細に記載された案内書 1通
    (2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

「労働者に交付される労働場を明示する文書」や、「招へい機関の概要を明らかにするいずれかの文書」は外国人本人ではなく受入れ機関が準備する資料です。外国人従業員からこれらの書類を依頼されなかった場合は、日本人側から声をかけるといいでしょう。

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4-2. 費用負担

介護ビザを取得するには以下のような費用がかかります。

実務者研修の費用約10万円
介護福祉士国家試験 受験料・登録料など約3万円(受験料:18,380円)
介護ビザへの移行費用(行政書士等外部に委託する場合)約10万円

これだけの費用がかかるとなると、外国人従業員にとっても介護ビザへの移行を簡単に決めることはできません。

これらの費用負担は義務ではありませんが、受け入れ機関が支援することで外国人介護士たちは積極的に介護ビザへの移行を決め日々の業務や勉強に集中できます

CSマネージャー|大路

企業によって様々な支援の仕方があります。
・実務者研修費用のみ企業負担
・介護福祉士合格後、かかった費用を本人へ返す
・企業が負担する代わりに、介護福祉士合格後1年は同じ施設で働いてもらうよう提案 など
企業と本人の状況に応じて、双方にとって最適な支援のやり方を探しましょう。

4-3. 外国人が質問しやすい環境を

介護福祉士国家試験に向けて勉強している外国人従業員が、他の外国人従業員だけでなく日本人従業員にも質問しやすい環境を作ることも重要となります。

就業時間内は業務に集中しなければならないため、就業時間の前後や、休み時間に声をかけることや、介護福祉士国家試験に向けた勉強会を開くなど、機関全体で国家試験合格に向けたサポートをすることをおすすめします。

▼JJSが支援する企業さまの声 「お互いに努力。特別扱いはしないが、必要な配慮を」

5. まとめ

特定技能1号では通算5年までしか働くことができませんが、介護ビザへ移行すれば永住的に日本で働くことができ外国人従業員の定着率の改善につながります。さらに、国家試験の受験を通して外国人従業員のスキルアップも期待できます。

新たに介護ビザを持つ人材を探すよりも、すでに雇用している特定技能外国人を長期的に雇用することを考えている介護施設経営者の方は、ぜひ一度当スクールへご相談ください。

当スクールは介護分野で数多くの特定技能外国人を紹介しており、介護分野における外国人採用の経験が豊富なスタッフが対応いたします。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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