特定技能「建設」について|建設業で外国人を雇うには?制度や受け入れ方法について解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

「2024年問題」が問題となっている建設業ですが、今後も深刻になる人材不足の解決策として、外国人の雇用を考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では建設業界において外国人を雇用する際の方法やポイントについて解説します。

↓簡潔に動画でご覧になりたい方はこちら!雇用する上での技能実習と特定技能の違いも解説しています。

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目次

1.  特定技能「建設」とは?

2019年4月に創設された新しい在留資格「特定技能」では建設の他、介護や製造業など12の分野で外国人労働者の就労が認められています。

ここでは、12分野の中でも特に深刻な人手不足に悩まされてきた建設分野で外国人受入が可能となる特定技能「建設」が創設された背景と現在の受入状況についてご説明します。

1-1.特定技能「建設」ができた背景

総務省の統計局労働力調査によると、建設業界の就業者数は1997年の685万人がピークとされ、2023年時点では483万人にまで減少しています。

【参考】厚生労働省 建設投資、許可業者数及び就業者数の推移

[建設業界における人手不足の背景]
・建設業就業者の高齢化による退職
・過酷な労働環境や不安定な雇用
・若者が建設業を志望しない

このような建設業界における深刻な人手不足の問題を打破するため、一定程度の技能を持ち、即戦力となる外国人の就労を認める特定技能制度が2019年に創設されました。

特定技能には、在留期間の通算が5年まで特定技能1号在留期間更新の上限がなく、家族帯同も認められる特定技能2号の2種類があります。特定技能2号への移行ができれば、最大5年と上限のある技能実習や特定技能1号とは異なり、在留期間更新の回数に制限なく長期にわたって就労してもらうことが可能です。


特定技能について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

1-2.特定技能「建設」の現状と受入見込み人数

特定技能が創設された2019年には特定技能「建設」で就労する外国人の人数は267人でしたが、コロナウイルスも落ち着き、2023年10月には22,309人とその受入人数は年々大幅に増加しています。

【参考】国土交通省 建設分野における外国人材の受入れ状況

また、2024年6月末時点では、建設分野は12ある特定技能の分野のうち、4番目に特定技能外国人の受け入れ人数が多い分野となっています。

【参考】法務省 特定技能在留外国人数

現在、特定技能外国人の受け入れ数に上限はありませんが、特定技能建設に関しては、事業所あたりに受け入れられる外国人の人数が決まっています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2. 特定技能「建設」で受け入れができる職種は?

これまで特定技能「建設」は19の業務区分に分かれていました。この制度では、ある区分で特定技能の資格を取得すると、それ以外の区分の業務はできず、業務範囲が限定されることや建設業に関わる作業の中で、特定技能の対象となっていない作業があるなどの問題がありました。
これを受け、2022年8月30日に業務区分の再編と特定技能の対象となる作業の見直しが行われました。

この結果、業務区分は【土木】【建築】【ライフライン・設備】の3つに統合され、1つの区分で特定技能の資格を取得すると同一区分内の作業すべてに従事できるようになりました。

以下で再編後の3つの区分とそれぞれの区分で従事できる作業についてご説明していきます。

2-1.土木区分

土木区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。

型枠施工:コンクリート圧送・トンネル推進工・建設機械施工・土木
鉄筋施工:
とび・海洋土木工
その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業

2-2.建築区分

建築区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。

型枠施工:左官・コンクリート圧送・屋根ふき・土木
鉄筋施工:鉄筋断手・内装仕上げ・表装・とび
建築大工:建築板金・吹付ウレタン断熱

その他、建築物の新築、増築、改築もしくは移転、修繕、模様替え又は係る作業

2-3.ライフライン・設備区分

ライフライン・設備区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。

電気通信・配管・建築板金・保温保冷
その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

これら三つの区分に共通して、以下のような想定される関連業務もあります。

① 原材料・部品の調達・搬送
② 機器・装置・工具等の保守管理
③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
⑤ 清掃・保守管理作業
⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業

参考:一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」
参考:国土交通省「土地・不動産・建設業」

3. 特定技能「建設」を採用するまでの流れ

さて、ここからは、実際に外国人材を採用する際の流れや要件についてです。
特定技能「建設」は他の分野と比べて必要な手続きが多くあります。
特定技能「建設」で外国人を採用する際は、手続きの種類や流れを把握し、早めに準備することをおすすめします。

特定技能「建設」採用の流れ

参考:法務省「特定技能ガイドブック(事業者用)」、JAC外国人受入マニュアル第2章01.受入

日本に居住する技能実習生や留学生を採用する際は、上記ステップ8の出入国在留管理局への申請で許可が下りると、特定技能「建設」に移行できます。
一方、海外にいる人材を採用する際は、出入国在留管理局での許可後、本国の日本大使館や日本領事館で査証(ビザ)を取得し、日本へ入国します。

参考:法務省「特定技能ガイドブック(事業者用)」
参考:一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」

4. 特定技能「建設」で外国人を受け入れるための企業の要件

特定技能「建設」で外国人を受け入れるために受け入れ企業は、①建設業許可の取得②建設キャリアアップシステムへの加入③JACへの加入④国土交通省による建設特定技能受入計画の認定の4つの要件を満たす必要があります。

詳しく見ていきましょう。

4-1.建設業許可の取得

軽微な建設工事のみを請け負う場合は不要の建設業許可ですが、外国人を採用する場合には建設業許可の取得が必須となります。

建設業許可の種類と受入予定の外国人が従事する職種が一致している必要はなく、何らかの建設業許可を取得して入れば特定技能の受け入れが可能です。

4-2.建設キャリアアップシステムへの加入

特定技能「建設」で外国人を受入予定の企業は一般財団法人建設業振興基金が運営する建設キャリアアップシステムの事業者登録をする必要があります。
また、日本に在留する外国人を特定技能として受け入れる場合には、外国人本人も建設キャリアアップシステムの技能者登録をする必要がありますので、事業者登録後に忘れずに登録を行いましょう。

【参照】建設キャリアアップシステムホームページ
事業者登録、技能者登録ともに、登録申請はインターネットまたは行政書士法人などの認定登録機関窓口で申請可能です

4-3.JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入

特定技能「建設」で外国人を受け入れるためには、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)正会員団体の会員またはJACの賛助会員として加入する必要があります。

特定技能「建設」の受け入れにはどちらの加入方法を選んでも問題ありませんが、会員となるために必要な費用が異なります。詳細は、6.特定技能「建設」の受け入れにかかる費用をご確認ください。

4-4.JACとは?役割・費用・正会員と賛助会員の違い

【JACとは
JACとは、低賃金、長時間労働といった問題を抱える建設業界の労働環境改善職業紹介技能評価試験の実施などを行い、建設業界で働く特定技能外国人の受入や育成をサポートする機関です。
JACは特定技能の他の分野で加入が必要となる「協議会」の役割も兼ねています。

JACに加入するためには、正会員団体の会員となる方法と②JACの賛助会員となる方法の2つの方法があります。

1.正会員団体の会員となる場合

JACの正会員である建設業者団体の会員となることで間接的にJACに加入したことになるため、JACへの年会費は発生しません。しかし、所属する建設業者団体の会員となるための費用を負担しなければなりません。

2.JACの賛助会員となる場合

この場合は、JACへ直接的に加入することになります。そのため、JACへ年会費を納める必要があります。

また、JACに加入するとJACまたは正会員団体に納める年会費の他に、特定技能外国人1人につき負担する必要のある受入負担金が発生します。

詳しくはこちらをご覧ください。
【建設技能人材機構(JAC)の会員になる2つのルート】

4-5.国土交通省による建設特定技能受入計画の認定

出入国在留管理局へ特定技能としての資格取得に必要な申請を提出する前に、特定技能「建設」では国土交通省による建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があります
建設特定技能受入計画の申請は外国人就労管理システムを通じてオンラインで行います。

建設特定技能受入計画作成のポイントはこちらの一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受け入れマニュアル」をご覧ください。

建設特定技能受入計画では申請から認定までにかかる標準的な審査期間は2ヶ月程度とされています。しかし、審査は非常に細かく、修正などの対応も多く発生するため、期間に余裕をもって申請することをおすすめします。

外国人受け入れまでのフローについての詳しい情報はこちら
一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」

5. 特定技能「建設」で働くための外国人の要件

外国人が特定技能の資格を取得するためには技能実習の経験者と未経験者で要件が異なります。

技能実習経験者は技能実習2号を良好に修了していれば、特定技能になることができます。
一方、技能実習未経験者の場合は技能検定3級の水準に相当する技能評価試験と日本語能力を測る試験の両方に合格する必要があります。

ここでは、技能実習未経験者が特定技能になるために必要な2つの要件について詳しくご説明します。

5-1.各分野・業種ごとの技能評価試験への合格

建設分野で特定技能になるためにはまず、特定技能1号、2号それぞれの評価試験に合格することが必要です。

1号評価試験の概要

学科試験

問題数30問
試験時間60分
出題形式〇×式、および2~4択式
実施方法CBT方式
合格基準合計点の65%以上

実技試験

問題数20問
試験時間40分
出題形式〇×式、および2~4択式
実施方法CBT方式
合格基準合計点の65%以上

2号評価試験の概要

学科試験                       実技試験

問題数40問
試験時間60分
出題形式4択式
実施方法CBT方式
合格基準合計点の75%以上
問題数25問
試験時間40分
出題形式4択式
実施方法CBT方式
合格基準合計点の75%以上

試験日程と試験場所は職種ごとに異なりますので、JACホームページの建設分野特定技能の評価試験情報と申込みをご確認ください。

また、建設分野特定技能1号評価試験は海外でも受験でき、2021年3月にはベトナムとフィリピンで建設分野では初めてとなる海外での技能評価試験が実施されました。しかし、海外での2度目以降の試験日程についてはまだ公開されていないため、海外に居住している外国人がすぐに技能評価試験を受験したい場合には日本で受験する必要があります。

 5-2.日本語能力を測る試験への合格

建設分野で特定技能になるための2つ目の要件が日本語能力を測る試験への合格です。

技能実習未経験者が特定技能として就労するためには、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上のどちらかに合格する必要があります。
日本語試験の合格は日本で生活したり、就労したりする上で必要な日本語能力を有していることの証明となります。

国際交流基金日本語基礎テストはアジア10ヶ国で受験でき、日本語能力試験は世界各国で受験することができます。

参考:JFTbasic 国際交流基金日本語基礎テスト日本語能力試験JLPT
参考:一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」
参考:一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」

6. 特定技能「建設」で外国人を採用する方法

特定技能「建設」で外国人を採用する場合には、大きく分けて3つの方法があります。

6-1.修了予定の技能実習生を採用する

特定技能「建設」で外国人を採用する1つ目の方法は、技能実習を修了しているまたは修了予定の技能実習生を採用する方法です。自社ですでに技能実習生を受け入れている場合、技能実習生本人が希望すれば、技能実習修了後に在留資格の変更を申請し、特定技能として就労してもらうことができます。

技能実習生の受入がない場合には、他社で受け入れている技能実習生を採用することも可能です。この場合、技能実習生本人は特定技能への移行を希望しているものの、技能実習を行っている企業では特定技能としての雇用を検討していない場合のみ採用ができます。

6-2.日本で学ぶ留学生を採用する

特定技能「建設」で外国人を採用する方法の2つ目は日本で学ぶ留学生を採用する方法です。留学生の場合、技能評価試験と日本語試験の合格が要件となる上、住民税や社会保険料を納めていることを証明する書類の提出が必要となるため、技能実習生と比べると申請上のハードルは高いと言えます。

6-3.海外からの採用

特定技能「建設」で外国人を採用する3つ目の方法は、海外にいる、技能評価試験と日本語試験の合格者を採用する方法です。しかし、特定技能「建設」の場合、現時点では海外での技能評価試験がほとんど実施されていないため、両試験の合格者を探すのは困難と言えます。

そのため、現時点では建設分野の技能実習を修了して本国へ帰国している元技能実習生を採用する方法が現実的です。技能実習から特定技能への移行のケースと同様に、自社で技能実習生を受け入れたことがない場合でも、他社で技能実習を修了した元技能実習生を特定技能として海外から呼び寄せることが可能です。

参考:出入国在留管理庁「特定技能のガイドブック(外国人の方向け)」
参考:一般社団法人 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル」

外国人を採用したいけどどうしたらいいかわからない!という方は、ぜひ弊社JJSにご気軽にご相談ください。

7. 特定技能「建設」の受け入れにかかる費用

特定技能「建設」として外国人を受け入れる際には、関係する団体や機関に支払う費用特定技能外国人へ支払う給与が発生します。

特定技能外国人を採用する方法や就労してもらう地域によっても費用や給与額は異なりますが、関連する団体や機関に支払う費用と特定技能外国人へ支払う給与のおおよその金額についてまとめました。

7-1.団体・機関ごとにかかる費用

特定技能「建設」で外国人を採用する場合、主に以下の費用が発生します。

JAC年会費賛助会員24万円
正会員36万円
JAC受入負担金1人あたり年額15~24万円
※技能評価試験の受験有無などにより異なる
建設キャリアアップシステム事業者登録料:0~24万円(5年有効)
※資本金により異なる
技能者登録料:2,500~4,900円(9年有効)
※申請方法により異なる
管理者ID利用料:1IDあたり年額11,400
特定技能外国人の紹介費用相場1人あたり10~60万円
出入国在留管理局への申請代行費用相場1申請あたり10~20万円
登録支援機関への支援委託料相場1人あたり月額15千~3万円

団体・機関ごとにかかる費用のうち、特定技能外国人の紹介費用や出入国在留管理局への申請代行費用、支援委託料については、依頼する団体・機関によって大きく異なります。特に支援委託料については料金設定に関するルールがないため、月額固定で設定している場合や支援する項目ごとに費用を設定している場合など、団体・機関によってさまざまな料金体系が存在します。

そのため初めて特定技能外国人を受け入れる際は、どのようなサービスにいくらかかるのか、費用は固定なのか変動するのかなどについて、特定技能外国人受入前に把握しておくことが重要です。

参考:一般社団法人 建設技能人材機構「年会費と受入負担金」
参考:建設キャリアアップシステム「ご利用方法・料金」

弊社JJSでも建設業人材の紹介を行っております。ご気軽にお問い合わせください。
各種資料ダウンロードはこちら「3分でわかるJapan Job School」「特定技能コスト一覧表」

7-2.特定技能外国人に支払う給与

特定技能「建設」で外国人を受け入れる際に必要となる国土交通省への建設特定技能受入計画の申請では、特定技能として受入予定の外国人の給与について他の分野に比べて厳しく審査されます。これには低賃金や外国人労働者には日本人に付与される手当を付けないなどといった不当な扱いをする企業を排除する目的があります。

建設特定技能受入計画の認定を受けるためには以下のポイントを押さえて給与額を設定する必要があります。

・基本給、手当ともに同等の技能を持つ日本人従業員と同等以上であること
・特定技能外国人が就労する地域における建設業の賃金水準と比較し、低額でないこと

特定技能外国人が就労する地域における建設業の賃金水準については、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で都道府県・産業分類別の賃金水準を確認できます。

参考:一般社団法人 建設技能人材機構「年会費と受入負担金」

8. まとめ

国内の人材を募集してもなかなか人が集まらない建設業において、外国人を雇用する企業が年々増加しています。そのような状況の中で注目を集める特定技能「建設」での外国人の受け入れは、若い労働力の長期的な確保や労働環境の整備につながるなど、メリットが多くあります。

一方、特定技能制度には複雑なルールも多い上に、特定技能「建設」は他の分野と比べて煩雑な手続きを伴うため、自社ですべての手続きを行うのは難しいと感じる方も多いでしょう。そのため、特定技能外国人を採用する際は知識や経験豊富な外国人雇用のプロに相談することをおすすめします。

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