【社労士が解説!】外国人労働者の給料はいくらがいい?平均賃金や給与設定のポイントを解説

執筆者:竹村(JapanJobSchool講師兼就職支援室マネージャー)
監修者:玉上信明(社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー)

外国人雇用を検討される際、「給料はいくらに設定すれば良いんだろう?」という疑問は誰しも浮かぶことだと思います。結論から申しますと、日本人と同じ給料の水準が必要です!なぜなら、日本人の同職位の方と同等以上という条件がございます。外国人労働者も労働基準法などの労働関係法令の適用対象となる為、ひと昔前のように「外国人=日本人より安く雇える」といった図式は法律上、通用しなくなっています。そのため、日本人同様、当然のことですが最低賃金も守らなくてなりません。

そこで、今回は外国人労働者の給料はいくらに設定すれば良いのか、平均賃金や給与設定のポイントについて解説していきます。

外国人採用で給料設定にお困りの方の無料相談はこちらから

目次

1. 日本で働く外国人労働者の平均賃金

この章では、日本で働く外国人労働者の平均賃金について解説していきます。

1-1. 職業別の平均賃金

令和4年の段階で日本人労働者の平均賃金は311,800円というデータが厚生労働省より発表されております。

これに対し、外国人労働者の平均賃金は248,400円となっており、6万円以上の差があります。理由の一つとしては、外国人は日本人と違い在留資格があり、それに沿った活動しかできないという制約があります。つまり、在留資格によって選べる職業が決まってくるということです。

講師|竹村

外国人の方が日本に在留し、その資格に沿った活動をすることを「在留資格」と言います。この在留資格は特定技能、技術・人文知識・国際業務、経営、教授など多岐に渡ります。在留カードの表面に記載されているのでご覧になった方も多いと存じます。

それでは、職業別に見ていった外国人労働者の平均月収は下記表の通りとなります。

※外国人労働者の職業別の平均賃金(所定内賃金)

①建設業235,300円
②製造業196,600円
③小売、卸売業224,600円
④医療、福祉212,100円
⑤サービス業212,500円
⑥教育・学習支援461,800円

こう見ますと、教育・学習支援の賃金が最も高くなっています。これは、教育・学習支援は平均年齢が41.4歳、平均勤続年数も5.8年と全体の平均値(平均年齢32.7歳、平均勤続年数3.4年)と比べ高いことが理由と思われます。

また、後述する在留資格別のデータと照らし合わせることもでき、教育・学習支援分野は教授、教育、技術・人文知識・国際業務などの在留資格に分類される可能性が高いことも一因でしょう。

1-2. 在留資格別の平均賃金

続きまして、在留資格別に見た平均賃金は下記のようになります。

在留資格別の平均賃金(参考令和4年)

①専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務、経営、介護など)299,600円
②特定技能   205,700円
③身分に基づくもの(永住者、日本人の配偶者、定住者など)280,700円
④技能実習177,800円
⑤その他(特定活動、家族滞在など留学以外の資格外活動)200,900円

こうして見ると、先述の外国人労働者の平均賃金に比べ、①の専門的・技術的分野、③の身分に基づくものは平均賃金が高いことが伺えます。これは専門的・技術的分野では経営者層も含まれてくることが一因です。また、技術・人文知識・国際業務の場合、金融業やエンジニアのような一般的に賃金の高い業界を選ぶことも本人の勉強内容や能力次第で可能です。

また、身分に基づくものの場合は日本人と同様に労働できる業種に制限がありません。永住者などになりますと、比較的勤続年数も長くなっていくので自然と賃金が上昇していく可能性が高いです。

それに対し、特定技能や技能実習は平均賃金が低いです。特定技能は日本の人手不足解消を目的に作られた制度であり、労働できる業種が14分野に絞られます。技能実習も86職種に限定されており、職業選択できる幅が少ないことが平均賃金の差に繋がっていると思われます。また、その2つの在留資格は現状、在留できる期間が決まっているため、勤続年数による賃金上昇が見込みにくいことも要因でしょう。

つまり、比較的日本人に近い条件の在留資格は平均賃金も日本人に近いですが、制限の強い在留資格の場合は平均賃金が下がってしまうという傾向が見えてきます。

特定技能外国人の給与設定に関して何かご質問等ございましたらお気軽にご相談ください
特定技能まるわかり資料のダウンロードはこちらから

それぞれの就労ビザについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

2. 海外の平均賃金

日本における外国人労働者の平均賃金がわかったところで、諸外国の平均賃金について見ていきたいと思います。ここでは主にアジア諸国の平均賃金について述べていきます。

※アジア諸国の平均賃金

①ネパール約14,000円
②ミャンマー 約21,551円
③インドネシア約26,000円
④フィリピン約35,349円
⑤ベトナム約41,540円
⑥中国約205,000円
⑦韓国約310,000円

※日本は307,400円です。

※ミャンマーは平均賃金を公表していないため、国際貿易振興機構(ジェトロ)の調査による日系製造業の作業員の平均賃金を掲載しております。

やはりこう見ると日中韓は突出して賃金が高いことが伺えます。韓国は日本の平均賃金307,400円を上回っています。実際、韓国はベトナム人やネパール人にも出稼ぎ先として人気がある国です。

それに反して、東南アジア、また南アジアに位置するネパールとミャンマーは突出して平均賃金が低いことが伺えます。原因として、ネパールは農業や観光業への依存度が高く工業化が遅れていること、またミャンマーはクーデターなどで国内情勢が不安定なことに加え、軍が行った人権侵害が理由で経済制裁を受けていることなどが挙げられます。

一方、ベトナムでは2022年7月に最低賃金が引き上げられ、失業率も減少するなど、これからも平均賃金が上昇していく可能性が高い考えられます。

当校は外国人留学生向けの就職予備校を運営しておりますが、平均賃金が低い国から来ている生徒の方が、比較的長く日本で働いていきたいという意向が強いです。逆に、経済発展が進んでいるベトナム人は、将来的には母国に帰国し、現地の日系企業で働きたいという意向が強い傾向にあります。

3. 最低賃金と労働基準法などの労働関係法令

続きまして、こちらの章では外国人労働者の最低賃金や労働基準法などの関係法令の適用について解説していきます。

結論から申し上げますと、外国人労働者にも日本人の同職位の方と同等以上の給与が必要となります。これは在留資格を取得する際にも重要になりまして、技術・人文知識・国際業務の場合、これが守られていないと申請しても不許可になる可能性が高いです。また、特定技能の場合はそもそも審査以前に「改善してください」と返却されてしまいます。

参考:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」

3-1. 外国人労働者にも最低賃金以上の賃金を払う必要がある

後述します労働基準法第三条にありますように、外国人労働者も最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
「外国人雇用はルールを守って適正に」という厚生労働省の外国人雇用のルールに関するパンフレットで次のように明記されています。
「最低賃金以上の賃金を支払うとともに、基本給、割増賃金等の賃金について金額を払うこと。」

前に「外国人は日本人に比べ言語の面で劣るし、教育も時間がかかるので賃金差を付けたい。安く雇えなければ外国人を採用するメリットがない。」という意見を企業の方からお伺いしたことがありますが、少なくとも最低賃金を下回ることはできないのです。

2023年10月現在、東京都の最低賃金は時給1,113円になりますので、東京都の企業様でアルバイト雇用や技術・人文知識・国際業務、特定技能の在留資格などで受け入れをする場合は、少なくともこの賃金を上回らなければなりません。

技能実習の場合は、以下の2種類の内、高い方を支給することとなっています。

  1. 地域別最低賃金 (都道府県毎の最低賃金)
  2. 特定(産業別)最低賃金( 特定の産業毎を対象に定められている最低賃金)
講師|竹村

例として、地域別最低賃金=時給853円、特定(産業別)最低賃金=時給888円だった場合、高い方の時給の888円を支給しなければなりません。

3-2. 外国人労働者の労働基準法などの労働関係法令の適用

つづきまして、外国人労働者の労働基準法などの労働関係法令の適用について、厚生労働省のウェブサイトでは下記のように記載されています。

日本国内で就労する限り、日本人、外国人を問わず、原則として労働関係法令の適用があります。

労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等については、外国人労働者にも適用されます。また、労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を禁止しています。

雇用保険法についても、日本国で就労する外国人の方については、原則として、国籍のいかんを問わず被保険者として取り扱うこととしています。

外国人労働者に対する労働関係法令の適用 | 愛媛労働局

つまり、国籍を問わず、日本で労働をする場合は、各種労働関係法令が適用され、また雇用保険にも加入する義務があるということです。

また、労働基準法第三条においても下記のように記載されています。

使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない

労働基準法(◆昭和22年04月07日法律第49号)

このように国籍などを理由に労働条件を変えることは法令違反となっております。

但し、2020年の調査で実際は技能実習生の失踪理由として最低賃金違反が58人、契約賃金違反が69人といった結果が出ており、未だに違反する企業がいるということが分かります。
労働基準法第百十九条にありますように、労働基準法第三条の違反の場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」に問われる可能性があります。

3-3. 賃金差がついても問題にならないケース

先の項で述べたように、国籍などを理由に賃金差を付けることは認められていません。

一方、同職位の方や同時期に入社された方でも、能力によって業務内容が変わったり、また能力の違いにより昇進スピードは違ったりしますので、そのような理由により賃金差ができるのは合理的と判断される可能性が高いでしょう。

4. 外国人労働者の人気を集める給与設定のポイント

大まかな平均賃金や最低賃金が理解できたところで、外国人労働者の人気を集める給与設定のポイントを見ていきましょう。ここでは、外国人留学生向けの就職予備校を運営する当校において、私共が実地で感じることをまとめております。

※外国人労働者の人気を集める給与設定のポイント

  1. 同業他社の平均賃金より高く賃金を設定する
  2. 年収ではなく月収で勤務先を選ぶ傾向にある
  3. ボーナスは少額であっても有りと記載する
  4. 残業代が見込まれる場合の残業代の見込みも記載する
  5. 転居を伴う場合は社員寮も重要

外国人の給与設定で何かお困りのことがございましたらお気軽にお問い合わせください
特定技能外国人の雇用にかかる一覧表のダウンロードはこちらから

4-1. 同業他社の平均賃金より高く賃金を設定する

当たり前の話ですが、外国人の方も収入が多い企業様に流れてしまう傾向にあることは否めません。平均賃金が低い国から日本に働きに来ている人たちの目的は出稼ぎです。家族の生活もかかっているため、同じ業種であるならば多少勤務時間の差などがあっても賃金が高い企業を選ぶ傾向にあります。

また、コロナ禍を経た影響で全国的にオンライン面接が広まっております。求職者もこれまでは同地域内の企業様が比較対象であったのが、今は全国の企業様を比較対象にすることができます。地方の企業様も大都市圏の企業様に負けない賃金設定をしていかないと優秀な人材を確保するのが難しくなってきております。

4-2. 年収ではなく月収で勤務先を選ぶ傾向にある

外国人の方の場合、年収よりも月収で勤務先を選ぶ傾向にあります。これは、ことわざの「明日の百より今日の五十」と同じように、将来のことよりまずは今のことが大切という考え方です。社会保障などが比較的しっかりとしている日本に比べ、海外はそのような保障は意味をなさないという考え方が強く、自分たちの身は自分で守るという人も多いです。

そのため、年収ベースで求人を出すよりも月収ベースで求人を出した方がより訴求力が高いでしょう。
また、社員寮がある企業様の場合、「月給180,000円で社員寮無料」という記載ではなく、「月給210,000円で社員寮月30,000円」など、基本給などの賃金とそこから控除される内容は明確に書き分けて記載するべきでしょう。これも、月収210,000円という数字が訴求力に繫がっていくでしょうし、後で社員寮費の明確な説明がなかったなどという紛争を避けることにも繋がります。諸物価高騰のため寮費値上げをしたくても「月給180,000円で社員寮無料」という記載では、月給の引き下げにも繋がりかねないと思われます。

4-3. ボーナスは少額であっても有りと記載する

「ボーナスといっても数万円程度しか出せないし、それであれば期待させるのも悪いからボーナスは無しで求人票を出そうかな・・・」と思われているなら、それは大きな間違いと言えます。もし月収が同業他社様より突出して高いのであればそうとも言い切れないですが、外国人の方は日本人以上に労働条件をシビアに見てきます。たとえ数万円であったとしてもボーナスは有りと記入して頂いた方が良いでしょう。

但し、外国人の方は、ボーナス有り=会社の業績やご自身の働きぶりなどに関係なくボーナスがもらえると思っている傾向が強いです。それだけでなく、労働契約全般に関して日本人よりシビアで主張をハッキリする傾向にあるということも覚えておきましょう。

トラブルを未然に防ぐために、入社時に「必ずもらえるお金」と「会社の業績やご自身の働きぶりなどに左右されるお金」をしっかりと説明し雇用契約書の記載内容を説明すること、ボーナスも前年度実績を記載するなどの対策をしておくことが重要です。

4-4. 残業が見込まれる場合の残業代の見込みについても記載した方が良い

お金を稼ぐ意欲が強い人ほど、残業をたくさんして収入を増やしたいという意向にあります。おおよその残業代の支給額が固まっている場合は、それも求人でアピールすると良いでしょう。但し、ここでもトラブル防止のため、雇用契約書の記載内容の説明をしておいた方が良いです。

なお、2024年4月から募集時などに明示すべき労働条件が追加されます。
最低限明示しなければならない労働条件も含めて、次のパンフレットで一度ご確認ください。
(例えば「固定残業代」についてトラブル防止のために明確な記載が求められています。)
参考:「求人企業の皆様 募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」

外国人を採用する際には、残業代の有無含め面接の段階でしっかりと条件を確認しておく必要があります。
「外国人採用面接質問シート」では外国人特有の質問をまとめています、是非ご覧ください。

4-5. 転居を伴う場合は社員寮も重要

賃金だけでなく、社員寮などの福利厚生についても触れなければなりません。

私共の経験上、採用した人が転居を伴う場合、自分で部屋を契約する初期費用を捻出できないという外国人の方も多いため、社員寮の有無を重視する傾向が強いです。特に、技能実習生から他の在留資格に切り替えをしている人を採用した場合、海外から人材を呼び寄せる場合は寮の有無は非常に重要です。元技能実習生の場合は、寮があるのが当たり前と思っているケースも多いです。海外から人材を呼び寄せる場合は、海外からは物件契約が難しいので、寮を希望する方がほとんどです。

また、出ていくお金を少しでも少なくしたい、手取り金額を増やしたい、という気持ちも強いので、社員寮も自己負担額を数千円台など、低額にして頂いた方が求職者を募りやすいです。例えば、特定技能の場合は手取り金額15万円以上が良い人材を採用する際のボーダーラインとなってくる傾向にあります。

その他、技術・人文知識・国際業務の場合、家族滞在(配偶者・子)の申請をすることが可能なため、家族寮も有るとより有利と言えます。但し、どうしても法人契約が難しい場合は、最低でも住宅手当を用意すると良いでしょう。

5. まとめ

外国人労働者の給料はいくらに設定すれば良いのか、平均賃金や給与設定のポイントについて、お分かり頂けましたでしょうか。

外国人労働者の場合、職業や在留資格によって平均賃金が大きく異なることが特徴として挙げられます。但し、国籍などの理由によって賃金差を設けることはできないということです。また、自社が外国人労働者の人気を得るためには賃金設定や求人の見せ方に工夫が必要となります。

これからの日本の労働力として、外国人労働者の雇用は避けて通れなくなってくる課題かと存じます。是非これを機に前向きにご検討くださいますと幸いです。

Japan Job Schoolは、数多くの企業様の外国人採用に携わってきた経験があります。外国人労働者の給与設定や外国人採用に関して何かお困りの方はお気軽にご相談ください。
JapanJobSchoolとはどんな会社?3分で分かるJapanJobSchoolダウンロードはこちら

この記事を監修した人|

玉上 信明(たまがみ のぶあき)
社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー:
社会保険労務士 玉上事務所/公式ブログ/公式YouTube/Facebook/多言語活動
三井住友信託銀行にて年金信託や法務、コンプライアンスなどを担当。定年退職後、社会保険労務士として開業。執筆やセミナーを中心に活動中。人事労務問題を専門とし、企業法務全般・時事問題・補助金業務などにも取り組んでいる。

  • URLをコピーしました!
外国人専門
日本語・コミュニケーションスクール
スクールの卒業生を採用できます

日本語だけでなく、日本人と良好な人間関係を築くコミュニケーションを教えるスクールで学んだ生徒を採用できます。定着率の高い人材採用なら、今まで1000名以上の紹介実績のあるJapanJobSchoolにお問合せください!

この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)講師兼就職支援室マネージャー

元東証一部グループの介護会社の経験を活かし、介護施設への就職やサービス業への就職を支援。600名以上の外国人を就職に導く。

目次