【在留資格別に解説】就労ビザで働く外国人は副業やアルバイトをすることは可能?

執筆者:竹村(JapanJobSchool講師兼就職支援室マネージャー)

厚生労働省の発表した最新データで外国人労働者は約182万人となっており、過去最高を更新しています。特に都市部のコンビニや飲食店などでは外国人の方が働いていらっしゃるのをよく見かけます。「日本人が集まらないので、外国人アルバイトを活用していきたい」という事業主の方も年々増えていることでしょう。

それに比例して、「面接に来た外国人をそのまま雇用してしまって良いのだろうか?」「就労ビザを所持している外国人の場合はどうすれば良いのだろう?」「自社で正社員として雇用している外国人が副業をしたいと言い出している」といった不安の声も増えています。

そこで今回は、就労ビザで働く外国人は副業やアルバイトをすることが可能かについて、解説していきます。

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目次

1.資格外の副業は資格外許可申請が必要!

よく会話の中で「○○ビザ」という単語を使ってしまいますが、厳密には「ビザ」という言葉は「査証」と呼ばれ、持っているパスポートが本物であり、日本に上陸することが問題ないということを示すものです。

一方で、外国籍の方が日本に在留し、その資格に沿った活動をすること「在留資格」と言います。この在留資格は特定技能、技術・人文知識・国際業務、経営、教授など多岐に渡ります。在留カードの表面に記載されているのでご覧になった方も多いと存じます。

技術・人文知識・国際業務、身分系以外の在留資格を所持している外国人が副業をしようとした場合、必要になるのが資格外活動許可です。

1-1. 資格外活動許可を取得するための必要条件とは

資格外活動許可とは、現在所持している在留資格で行う活動以外に収入を受け取る活動をするときに必要な許可のことを指します。留学生も在留資格としては留学、つまり勉強が本分になる為、アルバイトをする際はこの資格外活動許可が必要です。本人の居住地の地方出入国在留管理局に申請を行います。

資格外活動許可には大きく2つの区分があり、両方取得することも可能ですが、現在所持している在留資格や資格外活動の活動を阻害しないといった必要条件があります。

包括許可

週28時間以内の収入を伴う活動、つまりアルバイトを想定されている場合はこちらが該当します。申請は申請書のみで可能です。

【該当するケース】

●「留学」の在留資格の方
●「家族滞在」の在留資格の方
●外国人の扶養を受ける配偶者若しくは子,又はそれに準ずる者として扶養を受ける者として行う日常的な活動を指定されて在留する方で,「特定活動」の在留資格の方
●継続就職活動又は内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格の方
●「教育」,「技術・人文知識・国際業務」又は「技能(スポーツインストラクターに限る)」のうち,地方公共団体等との雇用契約により活動する方

個別許可

技術・人文知識・国際業務などの就労資格を所持している人が他の就労資格に該当する活動を行う場合は、個別に判断され許可が出ます。申請時は活動の内容を説明する文書を提出します。

【該当するケース】

●留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事するとして週28時間を超える資格外活動に従事する場合
●大学で稼働する「教授」の在留資格の方が民間企業で語学講師として稼働する場合(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行う場合)
●個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合

※資格外活動許可書のサンプル

資格外活動許可書のサンプル

参考:在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁
   資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp
   地方出入国在留管理官署 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
   二.届出事項の確認方法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

2.【在留資格別】外国人労働者を副業でアルバイト雇用する方法

こちらの章では、在留資格別に外国人労働者を副業でアルバイト雇用する方法について述べていきます。

2-1. 資格外活動許可が必要な場合

こちらは主に週28時間の就労時間制限のある在留資格になります。原則として、風俗営業等に該当する仕事はすることができません。

留学生(アルバイト2個掛け持ち)

日本語学校、専門学校、大学などに留学して教育を受けている方が該当します。基本的には資格外活動許可を得ていれば学校の在学期間中はアルバイトが可能ですが、在留期間が残っていても学校を退学・卒業している場合はアルバイト不可のため注意が必要です。

アルバイト可能な時間が週28時間迄という制限がありますが、夏休み・冬休みなど教育機関の長期休業時には週40時間迄勤務可能です。ただ、これは1社につき週28時間ではなく、アルバイトを掛け持ちしている場合も計28時間迄という計算になります。

留学生は生活費に加え、学費も工面しなければならない関係で制限時間以上のアルバイトをしているケース(オーバーワーク)も見受けられ、オーバーワークをしていると在留資格更新の際に不許可となり帰国することになってしまう可能性もあります。

後述しますが、不法就労をさせてしまった場合、罪に問われる可能性もある為、雇用している留学生アルバイトが違反していないか、雇用主も注意していくことが必要です。

参考:「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

家族滞在

技術・人文知識・国際業務や教授など、家族の滞在が可能な在留資格取得者の配偶者や子が該当します。こちらもアルバイトをしても良い時間は週28時間迄という制限があります。

参考:「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

特定活動(就職活動)の在留資格を持っている場合

法務大臣が個別に滞在目的を任命する在留資格となり、目的は多岐に渡ります。大学や専門学校を卒業した留学生の方が就職活動を継続するために取得するのもこの特定活動に当たります。こちらもアルバイトをしても良い時間は週28時間迄という制限があります。

参考:継続就職活動又は内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格に係る資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

2-2. 資格外活動許可が不要な場合

技術・人文知識・国際業務 (業務内容が一致する場合)

日本の会社で働く在留資格で代表的なものとして、「技術・人文知識・国際業務」という資格があります。大学などで学んだ知識や実務経験、学術的素養を活かした業務を行うもので、大学や短期大学、もしくは日本の専門学校を卒業していることが取得の条件になります。

代表的な職種としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等、比較的ホワイトカラーの仕事が挙げられます。このように業務内容が在留資格の内容と一致している仕事に該当する場合は、資格外活動許可を取得することなくアルバイト雇用は可能です。

逆に、工場でのライン作業やコンビニスタッフなどのお仕事は単純作業とみなされ、技術・人文知識・国際業務の対象外のため、アルバイト雇用をすることはできません。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
※技術・人文知識・国際業務については、こちらの記事もご参照ください。

身分系の在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者を持つ場合)

永住者とは、一般的に、永住権を所持している方たちのことです。在留期間の定めなしに日本に在留することができ公的機関以外への就労が認められています。

また、定住者は、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人など、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める方たちのことです。こちらも永住者のように公的機関以外への就労が認められています。

日本人の配偶者等は、日本人と結婚した方(配偶者)、実子、特別養子の方などが該当します。尚、日本人と婚姻中のみ有効のため、離婚や死別した場合は対象外となります。

これらの在留資格は就労に制限が無い為、資格外活動許可の対象外となっています。

参考:永住許可(入管法第22条) | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
在留資格「定住者」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
在留資格「日本人の配偶者等」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

特定活動(帰国困難)※ミャンマーに限る

ミャンマーは2021年2月に軍事クーデターが発生した影響で、2023年12月現在も尚、国内の情勢が不安定です。国軍及び治安当局と民主派勢力との衝突が起きており、多くの死傷者が出ている状況です。外務省のホームページでも渡航中止勧告が出されている地域が多く見受けられます。

日本に在留しているミャンマー人の方々で情勢不安を理由に帰国を希望しない方向けに、緊急避難措置として在留・就労が認められています。技術・人文知識・国際業務や技能実習などの在留資格で滞在していた方で、在留期間が満了する方も「特定活動(1年・就労可)」への変更申請が可能です。

この在留資格は就労時間の定めや業務制限が無い為、幅広い仕事に就くことが可能です。

ミャンマーの情勢が改善しない場合は、更新申請を行うこともでき、許可が下りれば継続して在留・就労することも可能です。

参考:本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
海外安全ホームページ: 危険情報詳細 (mofa.go.jp)

2-3. 副業ができない在留資格

逆に副業が禁止されている在留資格として、特定技能・技能実習が挙げられます。

特定技能・技能実習

特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野で日本の人材不足を解消するためのものです。一方、技能実習とは、開発途上国の人材に日本の技術を教え、母国での発展に活かしてもらうための国際貢献です。

特定技能に関してわかりやすくまとめた「特定技能まるわかり資料」ダウンロードはこちら

それぞれ14職種、85職種と対象職種が限定されており、対象外の業務に従事することは認められていません。

出入国在留管理庁のホームページ上で資格外活動許可の要件として「申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること」と明記されているように、特定技能・技能実習の業務内容は資格外活動許可の対象外になっています。

入管法の第十九条第一考に記載されているように、資格外活動許可を取得することができないにもかかわらず副業をしてしまった場合、禁固刑などの罰則が科される可能性があります。

たまに風俗店の摘発などで外国人の方が逮捕されていますが、技能実習など働いてはいけない在留資格で勤務しているケースがあります。令和3年の入管法違反では資格外活動にかかわるものは計37件発生しています。

参考:資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
出入国管理及び難民認定法 | e-Gov法令検索
[PDF]01 令和3年 入管法違反事件・報道発表資料【表紙】 – 法務省
中には入管法違反疑いも…ベトナム人従業員らをホテルに派遣、売春させたか 風俗店経営者ら4人逮捕|FNNプライムオンライン

※特定技能・技能実習については、こちらの記事もご参照ください。

3.許可のない資格外の就労は企業も罰せれてしまうので注意

副業をしたいという外国人を不適切に雇用してしまった場合、企業側も不法就労助長罪(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の処罰対象になる可能性があるので、注意が必要です。

副業には資格外活動許可の取得が必要な在留資格にもかかわらず資格外活動許可を取得していない人を雇用してしまったり、就労時間制限以上の勤務をさせてしまったり、風俗営業等に従事させたりといったケースです。

参考:外国人の適正雇用について 警視庁 (tokyo.lg.jp)
   外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうかを確認してください。|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

4.アルバイト雇用での就労ビザ取得は難しい

続きまして、こちらの章ではアルバイト雇用での就労ビザ取得について述べていきます。タイトルにあるように、現状は難しいというのが結論です。

第2章で述べた通り、技術・人文知識・国際業務で認められた職種は、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等、比較的ホワイトカラーの仕事が挙げられます。従って、それらに該当しない職種の仕事をすることはできません。

これはアルバイトも同様で、技術・人文知識・国際業務で認められていない職種のアルバイトは、できないことになります。逆に言うと、技術・人文知識・国際業務で認められた職種であれば、アルバイトができます。

ただ、技術・人文知識・国際業務は大学などで学んだ知識や実務経験、学術的素養を活かした業務を行うためのものであり、本来はフルタイムの就業を想定されたものです。例えば、アルバイト雇用でもフルタイムの条件で通訳やデスクワークをする、といったケースに該当しない場合は、アルバイト雇用での就労ビザ取得は難しいということです。

アルバイト雇用での就労ビザ取得が認められるケース

  • アルバイト雇用でもフルタイムの条件で通訳やデスクワークなど技術・人文知識・国際業務で認められる業務を行う

アルバイト雇用での就労ビザ取得が認められないケース

  • 工場でのライン作業やコンビニスタッフなどの業務を行う
  • 特定技能、技能実習の在留資格でアルバイトをする

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
※技術・人文知識・国際業務については、こちらの記事もご参照ください。

5.副業希望の外国人を雇う際の企業側の注意点

5-1. 今働いている会社で副業がOKか本人に確認する

雇用契約を結んでいる企業が、アルバイトや副業を禁止している場合には、アルバイト、副業はできませんし、仮に認めていても「届出が必要」という規則であれば、無断で行うことはできませんので、注意が必要です。

就業規則違反になってしまった場合、元々働いていた企業を解雇されてしまったり、場合によっては民事訴訟などに発展してしまう可能性も0ではありません。働きたいという外国人本人も就業規則をよく理解せずに面接に来ている可能性がある為、そのようなリスクも強調して確認した方がいいでしょう。

外国人の採用面接でチェックしておきたいポイントを徹底解説「外国人採用面接質問シート」のダウンロードはこちら

5-2. 外国人の在留資格の確認をしっかり行う

第3章で述べたように、副業をしたいという外国人を不適切に雇用してしまった場合、企業側も不法就労助長罪(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の処罰対象になる可能性があるので、注意が必要です。

アルバイト雇用ができない在留資格の方を雇用してしまったり、在留期限が切れている方を雇用してしまわないように注意が必要です。雇用主が不法就労と気付いていなかった場合でも、在留カードの確認を行っていないなどの過失があった場合は罰則の対象となります。

※在留カードのサンプル

在留カード サンプル

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格の方の在留カード表面の「就労制限の有無」の欄が「在留資格に基づく就労活動のみ可」となっていれば、技術・人文知識・国際業務に該当する仕事をすることが可能、という意味になります。

注意が必要なのが、特定活動の在留資格の方で「就労制限の有無」の欄が「指定書により指定された就労活動のみ可」となっている場合は、パスポートの指定書を確認しないとなりません。

※指定書のサンプル

指定書のサンプル

指定書とは、パスポートに貼り付けられている紙で、滞在の理由や期間、特定活動の詳細な内容が記載されています。こちらの指定書に「原則週28時間以内風俗営業等の従事を除く」と記載されていれば風俗営業等以外の仕事に週28時間就くことができる、という意味合いになります。

また、就労制限の有無」の欄が「就労不可」となっていても裏面下部の「資格外活動許可欄」に下記のどちらかが記載されていれば、雇用が可能です。

  1. 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
  2. 「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」

参考:「在留カード」はどういうカード? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

6.まとめ

以上、就労ビザで働く外国人の副業やアルバイトについて解説致しました。

結論として言えば、就労系の在留資格を持っている方をアルバイト雇用するのは難しい為、検討するのであれば留学生や家族滞在、身分系の在留資格の人を想定した方が良いと言えるでしょう。

また、雇用の際は在留資格の確認を必ず行うことをおすすめいたします。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)講師兼就職支援室マネージャー

元東証一部グループの介護会社の経験を活かし、介護施設への就職やサービス業への就職を支援。600名以上の外国人を就職に導く。

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