家族滞在ビザ取得の条件とは|基本情報をわかりやすく解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

日本で働く外国人の中には、「家族を日本に呼びたい」「家族と一緒に生活したい」と考える人も多いでしょう。そうしたときに、どのような方法があるのか、どのような手続きが必要なのか、ご紹介します。

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目次

1. 家族滞在ビザとは何か

家族滞在ビザとは

90日以内の滞在で、滞在中に報酬を得る活動をしない場合は、家族が直接、在外日本公館で「短期滞在ビザ」を申請することになります。

一方で、本国にいる扶養家族を90日を超えて日本に呼び寄せる場合に必要となるのが、家族滞在ビザです。
家族滞在ビザの対象は、就労している外国人の扶養を受ける配偶者や子どもで、親や兄弟は対象外です

日本人の配偶者との違い

日本人と結婚している外国人の場合は、「日本人の配偶者等ビザ」を取得します。また、永住者と結婚している外国人の場合は、「永住者の配偶者等ビザ」を取得します。

日本人の配偶者等ビザを取得する場合、結婚の実態があることや、生活していく経済力があることが審査されます。

2. 家族滞在ビザの条件・対象者とは

家族滞在ビザ取得の条件

家族関係が証明できること

家族を呼び寄せる外国人と、その家族との関係を証明する必要があります。以下のような書類が必要となります。

次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書

  • 戸籍謄本
  • 婚姻届受理証明書
  • 結婚証明書(写し)
  • 出生証明書(写し)
  • 上記 1~4までに準ずる文書 適宜

出典:出入国在留管理庁ウェブサイト

外国人の場合、日本と同じような書類や証明書があるとは限りません。その場合は、こうした書類に準ずる公的な証明書・書類を提出します。外国語で作成されている書類を提出する場合には、訳文(日本語)を添える必要があります。

扶養者に十分な扶養能力があること

在留資格「家族滞在」は、扶養を受けている家族が日本に滞在することを認める在留資格です。家族も一定の条件の中で就労(アルバイト)することは認められますが、家族を日本に呼び寄せて経済的に生活できるかどうかも審査されます。そのため、以下のような書類の提出が必要になります。

【扶養者に収入がある場合】

扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合の必要書類

  • 在職証明書または営業許可書の写し等
  • 住民税の課税(又は非課税)証明書
  • 納税証明書

扶養能力が認められる基準は、住んでいる地域の物価や住居の家賃、扶養する家族の人数などによって変わります。ただし、扶養者が就労ビザで働いている場合だと、「収入が月額で18万円程度以上あることが一つの目安と考えられます」とする専門家もいます。

出典:VisaMate(ビザメイト)運営:行政書士オフィスJ

留学などの在留資格で日本に滞在し、扶養者に収入がない場合は、扶養者名義の預金残高証明書や、奨学金給付に関する証明書を提出します。この奨学金給付に関する証明書は、給付金額や給付期間をわかるものでなければなりません。

配偶者や子(日本に呼ばれる側)が実際に扶養を受けていること

在留資格「家族滞在」を取得する場合には、日本に呼ばれる配偶者や子が、実際に扶養を受けていると認められなくてはなりません。

明確な基準などは明らかにされていませんが、以下のようなことが判断されると考えられます。

  • 配偶者の場合は、扶養者と同居し、扶養者に経済的に依存していること
  • 子の場合は、扶養者の監護養育を受けていること。子どもに送金していること

手続きにあたって、出入国在留管理庁の判断により、他の証明書など追加書類の提出を求められる場合があります。家族へ送金した記録のある通帳のコピーなども準備しておくとよいでしょう。

滞在の目的が就労ではないこと

在留資格「家族滞在」は、扶養を受ける配偶者や子が日本に滞在するためのものです。この資格に該当する活動(認められている活動)は、「扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」とされています。ですから、就労を目的とする活動は認められていません。就労を目的とする場合は、就労のための滞在資格・ビザを取得する必要があります。

一方で、在留資格「家族滞在」で滞在する外国人であっても、資格外活動の許可を取得すれば、一定の条件の中で働くことができるようになります。一般的には、週28時間までのアルバイト・パート的な仕事が認められます。詳しくは後でご説明します。

家族滞在が認められる在留資格

在留資格「家族滞在」が認められる在留資格(呼ぶ側の外国人の在留資格)には、外国人が日本で働く場合に代表的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国(ギジンコク)」)をはじめ、「技能」「特定技能2号」「留学」などがあります。

出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の一の中で家族滞在が認められる在留資格

  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道

入管法別表第一の二の中で家族滞在が認められる在留資格

  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 特定技能第2号

入管法別表第一の三の中で家族滞在が認められる在留資格

  • 文化活動

入管法別表第一の四の中で家族滞在が認められる在留資格

  • 留学

熟練した技能を要する特定技能2号については、以前は建設分野と造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、2023年6月の閣議決定により、この対象が拡大されました。

家族滞在が認められない在留資格

家族を日本に呼びたいと考えても、呼ぶ側の外国人の在留資格によって、家族滞在が認められていないものもあります。「特定技能1号」や「技能実習」の滞在資格では、在留資格「家族滞在」を取得して、家族を日本に呼び寄せることができません。

家族滞在が認められない主な在留資格

  • 特定技能1号
  • 技能実習
  • 研修

3. 申請に必要な書類と手続き

新規入国で家族滞在ビザを取得する場合

現在、日本に滞在してない家族が、あらたに在留資格「家族滞在」での日本入国を希望する場合は、在留資格認定証明書の交付申請の手続きを行うことになります。必要な書類は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真
  • 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)
  • 申請人と扶養者との身分関係を証する文書 以下のいずれか 戸籍謄本婚姻届受理証明書結婚証明書(写し)出生証明書(写し)上記に準ずる文書
  • 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
  • 扶養者の職業および収入を証明する文書
    (1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合 在職証明書又は営業許可書の写し住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
    (2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合 以下のいずれか 扶養者名義の預金残高証明書給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書申請人の生活費用を負担することができることを証明するもの

ほかの在留資格から家族滞在ビザに変更する場合

現在、別の在留資格で日本に滞在している家族が、在留資格「家族滞在」への変更を希望する場合は、在留資格変更許可の申請を行うことになります。必要な書類は以下の通りです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真
  • パスポートおよび在留カード(提示)
  • 申請人と扶養者との身分関係を証する文書 以下のいずれか 戸籍謄本婚姻届受理証明書結婚証明書(写し)出生証明書(写し)上記に準ずる文書
  • 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
  • 扶養者の職業および収入を証明する文書
    (1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合 在職証明書又は営業許可書の写し住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
    (2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合 以下のいずれか 扶養者名義の預金残高証明書給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書申請人の生活費用を負担することができることを証明するもの

4. 家族滞在ビザを持つ外国人の雇用の可否

在留資格「家族滞在」で日本に滞在する外国人は、原則として、就労することはできません。しかし、資格外活動の許可を取得すれば、一定の条件の中で働くことができるようになります。

資格外活動許可とは、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。

資格外活動の許可には、「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。

包括許可

家族滞在で就労する場合の資格外活動の許可で一般的な形が「包括許可」です。

  • 1週間に28時間以内の勤務であること
  • 活動内容が風俗営業ではないこと

の要件を満たす場合、包括許可を得ることができます。

なお、包括許可、個人許可とも、それぞれの要件に加えて、共通する以下の要件(資格外活動許可の要件(一般原則))を満たしている必要があります。
入管庁のウェブサイトなどでは、「いわゆるアルバイト的な活動が想定されます」とされていますが、雇用形態が限定・制限されているわけではありません。

以下の要件のいずれにも適合する場合に資格外活動を行う相当性が認められ,許可されます。

  • 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。
  • 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。
  • 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること。
    (注)下記2(1)の包括許可については当該要件は求められません。
  • 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。  
    ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動  
    イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動
  • 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。
  • 素行が不良ではないこと。
  • 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については,当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。

出典:出入国在留管理庁ウェブサイト

個人許可

包括許可の条件に当てはまらない場合(包括許可の範囲外の活動を行おうとする場合)、特定の勤務先や業務内容に対して、個別に就労を許可する形が「個人許可」です。

個人許可の場合も、資格外活動許可の要件(一般原則)を満たしている必要があります。

5. 家族滞在ビザの外国人雇用をする際の注意点・メリット

契約をしている現場の画像

注意点

在留資格をしっかり確認する

在留資格の確認が不十分だと、不法就労の状態となってしまいます。その場合、外国人を就労させている企業の経営者が出入国管理法違反の容疑で摘発される可能性もあります。在留資格の確認は重要です。

在留資格は、「在留カード」で確認することができます。在留カードは、在留資格に関する許可の結果として日本に中長期間、在留する外国人(中長期在留者)に対して交付され、適法に在留している人であることを証明する「証明書」としての性格を持っています。

在留カードにより、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地などのほか、「在留資格」、「在留期間」、「就労の可否」なども確認することができます。
なお、「在留カードの偽変造が疑われるケースもあるため、注意が必要」との呼び掛けもなされています。

出典:東京商工会議所 江戸川支部「中小企業・小規模事業者向け 外国人材活用ハンドブック」

労働時間の制限

在留資格の確認と同様、労働時間の確認も重要です。定められた時間以上に勤務すると、不法就労となり、この場合も企業の経営者が出入国管理法違反の容疑で摘発される可能性もあります。

東京商工会議所のハンドブックでは、留学生アルバイトに関するQ&Aの中で、勤務時間の管理について「現場任せにせず、経営幹部が時間管理に主体的に取り組み、慎重を期すことをお勧めします」としています。

このハンドブックでは、「上限時間を守りながらも、十分な勤務時間を確保できる勤務シフトを組むこと」、「他の職場との掛け持ちで、合算で上限時間を超えることを防ぐ」、制限時間を超えそうになった場合、「代替のスタッフを入れられるように、なるべく余裕をもってスタッフを確保しておくこと」などを奨励しています。

出典:東京商工会議所 江戸川支部「中小企業・小規模事業者向け 外国人材活用ハンドブック」

メリット

辞められるリスクが低い

「家族と一緒に暮らしたい」という気持ちは、日本人も外国人も同様です。国を離れて日本で働く外国人にとっては、家族と一緒に生活することができるようになれば、気持ちも安定するでしょう。

母国の家族と暮らしたいという理由で離職することも少なくなると考えられます。

家族の呼び寄せや家族の就労などについてもサポートしてくれる会社なら、より長く働きたいと考える人も多いでしょう。

6. よくある質問

家族滞在ビザから就労ビザへの変更は可能なのか

可能です。家族滞在ビザで在留資格で在留している外国人が、在留資格変更許可申請を行い、就労を目的とする在留資格を取得することが認められることが条件となります。

外国人が日本で働く場合に代表的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国(ギジンコク)」)の場合、学歴や専門的な知識、実務経験、業務内容、雇用する企業の状況なども審査されます。

7. まとめ

日本で働く外国人が家族とともに生活できるようになることは、本人や家族、雇用している会社にとって大きな意味があります。逆に、家族と一緒に暮らすことができない状況は、日本で働き、生活している外国人にとって、かなり厳しい状況とも言えるでしょう。

しかし、制度をしっかり理解していないと、思いがけず不適法な滞在や不法就労の状態となってしまうことにもなりかねません。また、外国人の雇用や採用、入国や在留に関する制度は変化し続けていますので、常に新しい情報を確認しておくことも大切です。

在留資格について詳しく知りたい方、外国人採用を検討しているは当スクールまでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

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