【最新版】特定技能を自社支援に切り替える方法|登録支援機関なしで外国人を受け入れるには?

執筆者:大路(JapanJobSchool CSマネージャー)

特定技能外国人受け入れの要領がわかってきた、または登録支援機関に対してかかっているコストを削減したい、そんな考えから自社での支援を検討してはいるものの、、、

「果たして、自社支援をできる条件を満たしているのだろうか、、、?」
「結局のところ、登録支援機関に任せておいた方がいいのか、、、?」

そんな悩みはありませんか?

今回は、延べ200名以上の特定技能外国人を日本企業へ送り出し、支援しているJapan Job Schoolで、支援担当チームのマネージャーを勤める筆者が、特定技能外国人の自社支援に必要なこと、自社支援できるのか否かの判断基準やメリットデメリットをわかりやすく解説します。 

自社支援で何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください

目次

1. 特定技能を自社支援する要件

自社で支援しようと思っても、そのためには入管のルールに則って登録をすることはもちろん、満たさなければいけない要件がいくつか存在します。

1-1. 企業の要件

  1. 過去2年以内に外国⼈労働者の雇用または管理をした実績があること
  2. 過去2年以内に外国⼈労働者の⽣活相談等をしたことのある社員の中から⽀援責任者や⽀援担当者を任命していること
  3. 外国人が十分理解できる言語(基本母国語対応)で支援を実施することができる体制を確保していること
  4. ⽀援状況に関する書類を作成し、雇⽤契約終了⽇から1年以上保管すること
  5. ⽀援責任者⼜は⽀援担当者が、⽀援計画の中⽴な立場で実施を⾏うことができ、かつ、⽋格事由に該当しないこと
  6. 5年以内に⽀援計画に基づく⽀援を怠ったことがないこと

参考:「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」

要件①|過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の雇用または管理をした実績があること

少なくとも1名以上の中長期間日本に在留する外国⼈労働者を雇用した実績や、そういった外国人労働者の管理を行った実績が、2年以上あることが必要です。また、その間入管法や技能実習法、労働法等の外国人雇用に関連する法令を遵守していたことが条件です。そのため、そもそも外国人労働者の受け入れ実績がない場合、ほとんどのケースで支援を自社で行うことはできないです。

CSマネージャー|大路

中長期在留者に該当する在留資格には、下記が該当します。

1. 日本人の配偶者等ビザ
2. 定住者ビザ
3. 技術・人文知識・国際業務ビザ

4.技能実習
5.特定技能
6. 留学ビザ
7. 永住者ビザ


在留期間が3ヶ月以下の人、短期滞在ビザの人は該当しません。

要件②|過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の⽣活相談等をしたことのある社員の中から⽀援責任者や⽀援担当者を任命していること

中長期間日本に在留する外国⼈労働者の生活にかかるような相談に対応をした経験者が社内にいて、かつその経験者が「⽀援責任者」や「⽀援担当者」であることが必要です。

⽀援責任者と⽀援担当者に任命できる人の要件は、次の「支援責任者・支援担当者の要件」に記載しています。

要件③|外国人が十分理解できる言語(基本母国語対応)で支援を実施することができる体制を確保していること

外国人が余すことなく理解出来る言語、原則母国語で面談をしたり、相談の対応ができる体制が常時確保されていることが必要です。

常時対応できるというのは、特定技能外国人の勤務形態に合わせて、以下の対応が出来る体制が求められます。

  • 1週間当たり勤務日に3日以上
  • 休日1日以上
  • 相談しやすい就業時間外(夜間)

特定技能外国人からの相談はいつ何時あるか分からないことから、相談や苦情に対する専用の連絡先・メールアドレス等の設置をするなどして、可能な限り休日や夜間でも対応可能な体制を整えること、交通事故などの緊急時にも連絡を取ることができる体制を構築することも望まれます。

上記での対応が可能であれば、通訳者の職員として雇用することまでは必要なく、必要なときに委託する等して、通訳者を確保できていれば問題ありません。

要件④|⽀援状況に関する書類を作成し、雇⽤契約終了⽇から1年以上保管すること

特定技能外国人の支援の状況に係る文書を作成し、雇用契約の終了日から1年以上備えて置くことが必要です。

「特定技能外国人の支援の状況に係る文書」とは、下記のような管理簿を指しています。

  1. 支援実施体制に関する管理簿:従業員数、支援実績、対応可能な言語、各言語の相談担当者情報等
  2. 支援対象者に関する管理簿:号特定技能外国人の氏名、生年月日、国籍・地域や、特定技能外国人支援計画の内容等
  3. 支援の実施に関する管理簿:10個の義務的支援の実施日、実施場所、実施方法、実施担当者等

参考:「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」内の「(3)支援の実施状況に係る文書の作成等に関するもの」

これらの書類を独自で作成・保管し、入管の監査などが来た場合に、速やかに提示できることが求められます。

要件⑤|⽀援責任者または⽀援担当者が、中⽴的な立場で支援計画の実施を⾏うことができ、かつ、⽋格事由に該当しないこと

中⽴的な立場とは、特定技能外国人と異なる部署に所属しているか、当該外国人に対する監督命令をする立場にない状態で、異なる部署の人であったとしても、実質的に監督命令権をする立場にある人は、中立とは言えません。そのため、代表取締役、当該外国人が所属する部署を監督する上司など、組織図で見た時に縦のラインにいる立場の人は中立性がないということになります。

要件⑥|5年以内に⽀援計画に基づく⽀援を怠ったことがないこと

支援機関は、「特定技能外国人が安定して円滑に生活できるようにするための支援」に関する計画、いわゆる「1号特定技能外国人支援計画書」を作成し、計画に沿って実施しなければなりません。過去5年以内に、この支援計画に基づく支援ができていなかった場合は、支援機関としてはふさわしくないとみなされます。

1-2. 支援責任者・支援担当者の要件

「支援責任者」とは、特定技能外国人を受け入れている企業の役員または職員で、支援担当者を監督する立場にある人です。支援担当者が行う支援を管理、監督したりします。

「支援担当者」とは、特定技能外国人を受け入れている企業の役員または職員で、支援計画に沿った支援を実施することを任された人のことをいいます。

常勤であることが望ましく、様々な手続きの同行や、定期的な面談、入管への報告書類の作成等、外国人雇用にまつわる様々な業務を担当することになります。支援責任者と支援担当者は、1人の人が兼任することも可能ですが、その場合でもそれぞれの基準を満たさなければなりません。

支援責任者

  1. 企業にて役員または職員であること
  2. 過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の雇用または管理、⽣活相談等を適切にしたことがある
  3. 登録拒否事由に該当してないこと
  4. 役員の配偶者、2親等内の親族、受け入れ企業の役員と密接な関係でないこと

要件①|企業にて役員または職員であること

企業に所属する役員または職員であることが求められます。

要件②|過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の雇用または管理、⽣活相談等を適切にしたことがある

少なくとも1名以上の中長期間日本に在留する外国⼈労働者を雇用した実績や、そういった外国人労働者の管理を行った実績が、2年以上あることが必要です。また、その間入管法や技能実習法、労働法等の外国人雇用に関連する法令を遵守していたことが条件です。

賃金の不払いがあったり、技能実習の実習実施者だった場合の「改善命令」や「改善指導」を受けた場合は、該当しません。

生活相談においては、相談の内容や何件以上の相談等に制限はありませんが、業務として行われたことが必要で、友人の相談やボランティアで行った経験は、実績には含みません。

要件③|登録拒否事由に該当してないこと

支援のために必要な能力・体制を整備できない場合や、心身に障害がある場合、暴力団関係者が事業活動に関わっている場合等は登録拒否事由となります。

要件④|役員の配偶者、2親等内の親族、受け入れ企業の役員と密接な関係でないこと

支援の中立性の観点から、受け入れ企業の役員の配偶者であったり、2親等内の親族、役員と密接な関係を持っている人は、ふさわしくないとされています。特定技能外国人と受け入れ企業で、なにか問題が発生した場合に、第三者として客観的に対応できることが必要であるという考え方からでしょう。

支援担当者

  1. 企業にて役員または職員であること
  2. 過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の雇用または管理、⽣活相談等を適切にしたことがある
  3. 登録拒否事由に該当してないこと

要件①|企業にて役員または職員であること

企業に所属する役員または職員であることが求められます。また、支援担当者においては、常勤であることが望ましいとされています。

要件②|過去2年以内に外国⼈労働者(中長期在留者)の雇用または管理、⽣活相談等を適切にしたことがある

少なくとも1名以上の中長期間日本に在留する外国⼈労働者を雇用した実績や、そういった外国人労働者の管理を行った実績が、2年以上あることが必要です。また、その間入管法や技能実習法、労働法等の外国人雇用に関連する法令を遵守していたことが条件です。

賃金の不払いがあったり、技能実習の実習実施者だった場合の「改善命令」や「改善指導」を受けた場合は、該当しません。

生活相談においては、相談の内容や何件以上の相談等に制限はありませんが、業務として行われたことが必要で、友人の相談やボランティアで行った経験は、実績には含みません。

2. 自社支援の場合にしなければならないこと

多くの企業が、登録支援機関に委託している全ての支援業務を自社で対応することになります。

2-1. 支援計画の作成

特定技能外国人を採用するにあたって、まず「1号特定技能外国人支援計画書の作成」が必要になります。支援計画は特定技能外国人が仕事や日常生活を円滑に行うため、というのが目的です。

支援計画書は、当該外国人が十分に理解できる言語の翻訳をつけ、かつ余すことなく理解出来る言語で本人に説明をしたうえで、署名を得る必要があります。

参照:「特定技能外国人の在留諸申請に関するもの」の「1号特定技能外国人支援計画書 参考様式記載例(自社支援用)」

CSマネージャー|大路

支援計画書の作成は、自社支援でなく登録支援機関にすべての支援業務を委託している場合でも、基本的に外国人を受け入れる企業が作成を行う必要があります。
(登録支援機関のサポートを受けることは問題ありません。)

2-2. 義務的支援・任意的支援の実施

支援計画の中には、必ず行わなければならない「義務的支援」と、行うことが望ましいとされる「任意的支援」という2つが存在します。

支援計画に「この支援を行います。」と記載した場合、それが「任意的支援」であっても支援義務が生じることとなりますので、注意ください。

事前ガイダンス

出入国の際の送迎

住居確保・生活に必要な契約支援

生活オリエンテーション

公的手続き等のサポート

日本語学習の機会の提供

相談・苦情への対応

日本人との交流促進

転職支援

定期的な面談、行政機関への通報

自社支援のことで何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください

3. 自社支援のメリット・デメリット

特定技能外国人の支援を自社で行うか、委託をするかどうかは、それぞれの受け入れ企業の状況によって判断されると思います。ここでは自社支援をする場合のメリット・デメリットを紹介します。

3-1. メリット

弊社から人材を紹介した企業でも90%以上の企業で、支援委託を弊社にいただいているぐらい自社支援でのハードルが高い中ですが、自社支援ができるとしたら下記のようなメリットがあると思います。

委託にかかるコスト削減

全部の支援業務を委託する場合、おおよそ月々20,000〜30,000円の登録支援機関が多いようです。

その毎月のランニングコストを削減できるとすれば、当該外国人へのお給料に加えて支払う費用が削減できます。年間に換算すると、240,000〜360,000円を削減できるとしたら大きいのではないでしょうか。

費用に関して詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

トラブル時、すぐに自社で対応可能

もし万が一トラブルがあった際、委託先の支援担当者が駆けつけるまでは少し時間がかかるかもしれないことを考えると、何かあった際、自社に知識のある支援担当者と責任者がいれば、迅速にかつ的確に対応ができると思います。

3-2. デメリット

メリットもあれば、デメリットもあります。自社支援をすることで起こりうるデメリットを紹介します。

時間と労力がかかる

義務的支援・任意的支援であげた支援業務を、日々の業務に加えて対応するとなるとかなり時間と労力がかかるかと思います。また、最初のうちは知識経験がない状態で支援業務を行うとなれば、入管へ問い合わせをして確認したり、行政機関へ問い合わせをしたりと、かなり負担が大きいと言えます。

支援に必要な人件費がかかる

自社支援の要件にもあったように、外国人が余すことなく理解出来る言語での対応が必要なため、その言語で対応が可能な人材を雇用する、もしくは外部に委託する必要があります。何かあった際にすぐに対応できる融通の利く人材を確保するとなると、それなりに費用が発生するケースが多いようです。

専門的知識が必要

自社で支援する際には、ゼロから入管法のルール等を勉強する必要があると思います。例えば、介護施設であれば、介護業務に係る知識以外に、入管法や在留資格に関する知識、生活の支援ができるだけの情報等が求められます。

また、特定技能は2019年4月に施行された比較的新しい在留資格であり、今もなお頻繁に制の改正がされるため、正しい情報を得ることが簡単ではないのが実態です。

4. 自社支援で外国人を受け入れる全体の流れ

自社支援をする場合と、登録支援機関に委託をする場合の受入までの流れの違いは大きくはありませんが、登録支援機関で支援してくれていて、受け入れ企業には見えていないことも多々あります。

「2.自社支援の場合にしなければならないこと」であげた10個の支援業務がいつ求められるのか時系列でご紹介します。

「2.自社支援の場合にしなければならないこと」で紹介した内容を、上記のタイミングで実施していくことが求められます。

勤務期間中の「日本語学習の機会の提供」「相談・苦情への対応」「日本人との交流促進」「定期的な面談、行政期間への通報」は、雇用している期間中に随時対応していく必要があります。

5. よくある質問

自社支援を検討されている企業からいただく質問をいくつかあげさせていただきます。

母国語スタッフは必要ですか?日本語である程度コミュニケーションがとれたら問題ないでしょうか?

外国人が余すことなく理解出来る言語で対応する必要があるので、100%の理解を測れる言語での対応が必要です。日本語が流暢だからコミュニケーションは問題ないと考えられていても、雇用条件書の説明など、日常会話レベルで問題ない方でも、母国語でのサポートがあった方が良いでしょう。

登録支援機関になる手続きに費用はかかりますか?

登録の際に登録料28,400円がかかります。5年間有効です。(更新料11,100円)

参考:出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請」

全部の支援はできないですが、一部だけ外部に委託することは可能でしょうか?

登録支援機関にすべての業務を委託することはもちろん、一部の業務のみを委託することも可能です。ただ、その際も、受け入れ企業は自社支援の要件を満たしていないと、支援業務ができませんので、ご注意ください。

登録支援機関の選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

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この記事を書いた人

外国人200名と企業80社の支援を行うカスタマーサクセスのマネージャー。
大学時代一年間休学しワーキングホリデービザでカナダのイエローナイフへ。オーロラのツアーガイドを経験し、異国の地で働く大変さ・差別を経験。
「国籍関係なく、自分がかかわる人を幸せにしたい」そんな気持ちを持って、このサイトで日本社会へDiversityを発信していく。

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