登録支援機関の選び方|失敗しないために抑えるべき5つのポイント

執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)

2019年から始まった特定技能制度。コロナウィルスの影響もあってはじめはなかなか人数が増えなかったですが、2022年6月末時点で87,000人にまで増えてきました。

これから特定技能人材でのご採用を考えている方はもちろん、今現在すでに特定技能人材を採用している企業の担当者の方に向け、登録支援機関を選ぶポイントを本記事でお伝えしたいと思います。

我々JapanJobSchoolもと登録支援機関として特定技能外国人と企業様を支援しています
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目次

1. 登録支援機関一覧

登録支援機関は7,750件(2022年12月7日時点)の登録があり、登録数自体は増加傾向にあります。出入国在留管理庁のホームページから「登録支援機関登録簿」が常時、閲覧できるようになっており、登録簿には企業名、住所、電話番号のほかに対応可能言語が記載されており、受入れ企業は登録支援機関を自由に選択できるようになっています。

参考 出入国在留管理庁HP

1-1. 登録支援機関の実状・業種

登録支援機関として登録している業種は様々です。 一番多いのは、弊社と同じような人材紹介と合わせて支援も行っている民間企業ですが、他にも技能実習生の管理を行っている監理団体、ビザ取得と合わせて支援も行える行政書士事務所、日本語学校などの教育機関などがあります。

事業形態別登録支援機関数
参考 PR TIMES 「Vol.1 支援体制の現状・課題(登録支援機関)」

また登録支援機関のなかには「登録支援機関として登録だけして、まだ1人も支援をしたことがない」という企業が存在します。全体で23.9%、特に関東地方に限っては27.9%と4社に1社以上の割合で、まだ支援をしたことがない登録支援機関、となります。後程詳しくご説明いたしますが、支援業務の経験の有無は登録支援機関を選ぶうえで重要なポイントの一つになると考えます。

登録支援機関事業者の稼働状況について
参考 一般社団法人 外国人雇用協議会 セミナーレポート「特定技能登録支援機関 成功のために経営戦略」

2. 登録支援機関との間でよくあるトラブル・失敗事例

弊社はいままで200人を超える特定技能人材の支援を行ってきたなかで、様々な失敗やトラブルがございました。こちらではその中で特に多いトラブル事例および私共が考える解決策をご報告いたします。少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

2-1. 受け入れ企業と登録支援機関の間のトラブル

①  人材がすぐに辞めてしまい長続きしない

「すぐに退職をしてしまい、辞めてしまう」といったトラブルが企業側からの悩みとして1番多く挙げられます。特定技能は従来の技能実習制度と違い転職ができるため、働きながらも転職の情報収集をしている方も少なからずおります。

受け入れ企業と外国人の関係性が悪くなってしまうと修復するのは、なかなか厳しい印象です。弊社では就職が決まった後に全員必ずビジネスマナーの授業を受講するようにしています。 そこで使うテキストは過去にあったトラブルを中心に作っており、同じ理由で辞める人がいなくなることを目的としております。

ビジネスマナーの授業で使っているテキストの一例
※弊社の授業で使っているテキストの一例です。

また、退職理由の中にはやはり給与に関することが多いです。その中でも「各条件が聞いていた話と違う」という理由が一番多いです。

事前に母国語で説明をしているのに本人が理解していなかった、または理解していないフリをするという事例もいままでにあったので、弊社では本人に説明をしているところを録画する等を行い、「言った」「言わなかった」という争いになることを未然に防ぐようにしております。

昇給については、「〇〇の仕事が一人でできるようになったら」とか「この資格を取得したら」など明確なルールを決めるとうまくいくケースが多いです。

②  役割分担がわからない「どっちが支援するのか」問題

これは「登録支援機関の支援の範囲かどうか」という問題です。「ガスや電気の開通のような外国人の基本的な生活の支援」、「交通事故にあった際に病院で通訳が必要」、というケースでは登録支援機関が対応しております。しかし「仕事の覚えが悪い」のような個々人の能力については企業様のほうで行って頂く必要があります。

③一時帰国

国籍によって帰国したい時期というのは重なります。ベトナムであれば旧正月にあたる1月後半から2月、ネパールでは大きなお祭りがある10月など、イベントに合わせて帰国したいと希望する方が大半です。対応策として「事前に帰国時期や入社○ヶ月は帰国できない」や「他の特定技能人材と時期を重ならないように」など入社前にルールを設けるほうがいいでしょう。

3. 登録支援機関を選ぶ5つのポイント

登録支援機関として登録されている機関は常にこちらの出入国在留管理庁のホームページから見られるようになっています。基本的には採用した外国人の言語に対応していれば、どこの機関でも依頼することができます。

では、そんな7,692の機関の中から何を基準に選べばいいのか、私の考えを述べさせていただきます。

3-1. 実績で選ぶ

まずは支援実績で選ぶ、という方法です。冒頭でも申し上げたように、まだ一人も支援をしたことがない機関もあります。

こちらの表をご覧ください。

全国の登録支援機関事業者の支援人数規模
参考 一般社団法人 外国人雇用協議会 セミナーレポート「特定技能登録支援機関 成功のために経営戦略」

支援人数が1~5名の登録支援機関が一番多く、100名を超える登録支援機関は1%未満です。弊社は現在200名を超える支援を行っております。その経験から、支援実績があったほうがいい理由は「勤務開始までのスピード」にあると考えます。

企業としては「採用をしたらなるべく早く働いてもらいたい」と考えるのが一般的です。ですが外国人が特定技能として働くには、必ずビザの申請が必要になり、ビザが下りるまでは基本的に働くことができません。

申請の種類としては、海外から人材を呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」とすでに別のビザで日本に滞在している外国人を特定技能に変更する「在留資格変更許可申請」があります。この2つの申請に若干違いはあるものの、とても煩雑な書類の提出が求められます。

ビザの申請の際に受け入れ企業は以下の書類が必要となります。

  1. 雇用契約書
  2. 雇用の経緯に係る説明書
  3. 二国間取決において定められた遵守すべき手続きに係る書類

また特定技能で働く外国人は以下の書類が必要となります。

  1. 直近1年分の個人住民税の課税証明書及び納税証明書
  2. アルバイト等の給与所得源泉徴収票の写し

詳しくはこちらの参考をご覧ください。
参考:出入国在留管理庁HP

企業側が用意する書類も煩雑ですが、一番困るポイントとしては外国人側の書類の収集です。

税金や年金に関する書類は、基本的に本人のみが取得できます。外国人の中には「こういう手続きをやったことない」という方は少なくありません。彼らに「どういう案内の仕方をすればスムーズに進むか」というのは経験によって変わってくると思います。 実績のあまりない、慣れていない登録支援機関にお願いをすると、採用から半年経ったのにまだ許可がでていないというケースもあります。

3-2. 対応している言語の多さで選ぶ

登録支援機関を選ぶ際のルールとして「特定技能で働く外国人が理解できる言語での支援ができること」が必須条件になっております。(例えばベトナム国籍の人材を採用したら、ベトナム語が話せる人が支援を行わなければならない、ということです。)

一つの国の外国人だけ採用すると「結束力が強くなる」などメリットはもちろんありますが、人数が多くなりすぎるとデメリットもあります。

例えば先ほどトラブルの原因の一つで挙げた一時帰国の時期があります。ネパールではお祭りがある10月、ベトナムでは旧正月にあたる1月後半から2月前半にあたりますが、1つの国の人材しか採用していない場合、帰国の希望時期が全員重なり、帰国できない外国人は不満を持つようになります。他にも「仕事中に母国語を使う」や「結束力が強くなりすぎて、日本人の言うことを聞かなくなる」というトラブルも聞いたことがあります。

もし「他の国の人材も採用してみよう」と思ったときに、その登録支援機関が1つの言語にしか対応していない場合、新たな登録支援機関を探さないといけません。 ですので、対応している言語の多さは多いに越したことはないでしょう

弊社では英語、ベトナム語、ミャンマー語、ネパール語、ヒンディー語、中国語、フィリピン語に対応しております
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3-3. コストパフォーマンスで選ぶ

「料金が安い登録支援機関を選ぼう」というわけではありません。「どのくらいの料金で、どのくらいの範囲の支援を行ってくれるか」というのが重要になります。

登録支援機関の業務の中には様々なものがあります。例えば月10,000円の支援費用で「外国人の銀行の口座や携帯電話の契約などに同行する」や「夜9時に外国人が交通事故にあったときの緊急対応」などをやってくれる登録支援機関は決して多くないと思います。

特定技能は人手不足を解消する目的で作られた在留資格なのに、支援業務に自社の人材を使ってしまたら、本末転倒です。トラブル事例のところでも挙げましたが「どこの業務までフォローしてくれるか」は必ず契約前に確認をしましょう。

3-4. 「法令を遵守しているか」で選ぶ

当たり前と思われるかもしれませんが、私が見てきたなかでも法令を遵守していない登録支援機関が存在します。例えば先ほど3-2で挙げた「対応言語」にて、対応できる国籍を1つ増やそうとしたときに、その国の言語を話せる人を新たに雇用しなければなりません。そのコストを削減するために、雇用関係にない者を名前だけ借りて実際はすべて日本語で対応するという事例があります。また3-3で挙げたように、支援料はとても安いが、やらなければならない義務的支援すら行っていない機関などもあります。

もし、法を遵守していないことにより登録支援機関としての登録を取り消しされてしまったら、また別の機関をすぐに探さないといけません。対策として、内定後すぐに支援担当者が誰かを確認し、その方の対応言語を確認したほうがいいでしょう。

3-5. 紹介と一括で選ぶ

実際に選ぶ理由として、一番多いのがこちらです。

特定技能の人材紹介をしている企業の多くは登録支援機関として登録をしています。特定技能ビザの申請にあたり時間がかかるのは企業側が用意する書類ではなく、外国人側が用意する書類です。

人材紹介会社は面接や採用に至るまでに、ある程度の外国人の情報を入手しています。「採用が決まってから新たに登録支援機関を探す」となると時間もかかりますし、情報の精度も落ちます。 弊社から人材を紹介した企業の90%以上が登録支援機関としても選んでいただいております。

4. 登録支援機関としてやるべきこと

ここで私たちが登録支援機関として行っている取り組みの一部をご紹介いたします。

4-1. こまめな面談をオンラインでサポート

外国人から仕事の中での疑問や不満を気軽に相談できるオンラインでの窓口を用意し、母国語が話せるスタッフが対応をしております。

いままでの経験から、問題が大きくなってからでは企業様との関係性も修復できず、結果的に退職ということになってしまうケースがありました。未然に防ぐためには問題が小さなうちに、報告、連絡、相談を行うことだと考えます。

4-2. 授業の拡充

弊社、JAPAN JOB SCHOOL は元々スクール運営を2017年から行ってきました。

外国人に日本語を教えるだけでなく、ビジネスマナー等も彼らに学んでもらい、スムーズに勤務開始できるような授業を心がけております。また、日本語の授業も生徒のレベルに合わせ3つのクラスを用意し、担当講師は日本語学校の教員の資格を持っております。

4-3. 相互理解の促進

「外国人は想定もしないところで傷つけてしまう」ということはどうしても発生してしまいます。そこで弊社としては外国人のほうからもわかってもらう努力が必要なのではないかと、考えました。

弊社で最近始めた取り組みとして、働く外国人に「自分の取扱説明書」を作ってもらっています。

具体的には、呼び方やどんなことをされるとう嬉しい、悲しい、好き・嫌いな日本の食べ物などの項目を書いてもらっています。 この取り組みによって、企業の方から「助かりました」というお声もいただいております。

5. まとめ

いかがでしたか?

登録支援機関は外国人の権利を守るためや、企業の意向を外国人に理解してもらうためになくてはならない機関です。登録支援機関と企業が力をあわせて、これからも外国人の方々に「日本で働きたい!」と思えるようになってもらわないといけないと感じています。

正しい登録支援機関を選んで、日本で働きたい外国人に選んでもらう労働環境をつくっていきましょう。

もし登録支援機関の選び方について詳しく聞きたい、もしくは弊社に興味を持っていただけたならオンラインで無料相談も行っているので是非ご活用ください。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)の講師兼就職支援室長。
所有資格:行政書士・外国人実習雇用士

今まで500名以上の「技術・人文知識・国際業務」外国人を就職に導く。外国人との対話は笑顔とフランクさを信条に、外国人生徒からの人気No1の先生。

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