採用する前に知っておきたいスリランカ人の国民性・性格・特徴をわかりやすく解説!
執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門
監修者:カラニ(スリランカ出身支援担当者)
現在、日本で働く外国人労働者が急増していますが、そのうちの国の一つで重要な労働力の供給先となっている日本から遠く離れたインド湾に浮かぶ国「スリランカ」について知っている人は少ないかと思われます。
この記事ではスリランカとはどのような国なのか、またスリランカ人とはどんな人たちなのかという基本的なことから、スリランカ人と働く上での注意点、採用方法までわかりやすく解説します。
外国人を雇用する際、その国の文化の理解はとても重要です
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1.インド洋に浮かぶ国「スリランカ」とは
1-1.スリランカの基本情報
スリランカ、正式名称「スリランカ民主社会主義共和国」はインドの南東に位置する面積65,610平方キロメートル(北海道の約0.8倍)の小さな島国です。
1972年に旧国称セイロンからシンハラ語で「聖なる光り輝く島」という意味のスリランカに変更しました。
人口は約2,216万人と日本の約1/5、最大都市はコロンボで首都はコロンボの郊外に位置するスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテで島の南西部に位置します。
民族は先住民とインドのアーリア人が混合した民族であるシンハラ人が7割以上を占め、その他一部地域を除きタミル人、スリランカ・ムーア人が住んでいます。
また宗教では約7割が仏教徒で、その他ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒も一定数存在しています。
参照:外務省「スリランカ民主社会主義人民共和国 基礎データ」
1-2.スリランカと日本のつながり
政治について
第二次世界大戦後、1951年に行われた連合国諸国と日本の間で行われたサンフランシスコ平和条約において、セイロン(のちのスリランカ)代表として出席したジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ大統領は、「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用し、対日賠償請求権の放棄を明らかにし、日本の国際社会への復帰の道筋を作ったといわれています。
そして1952年、スリランカは戦後に世界で最も早く日本と国交を結びました。
その背景として日本は第二次世界大戦に敗れたものの欧米列強と肩を並べるほど発展し、ほかのアジア諸国から尊敬の念を抱かれていたからだとされています。
それ以降、日本の首相がスリランカを訪れた際には改めて感謝を伝えたり、スリランカで災害があった際には資金を送るなどの支援をしたりしています。
この同じアジア諸国としての尊敬の念から、スリランカ人は親日の人がとても多いです。
経済について
2016年、スリランカから日本への主な輸出ではアパレル、紅茶、魚であり、日本からの輸入では全体の半分以上を自動車と移動設備が占めており、その他薬品や手術機器、ショベルカーなどの重機があります。
スリランカにとって日本は重要な貿易国であり、スリランカの総貿易の3.8%、総輸出額の1.9%を占めています。
また2015年10月、スリランカの首脳が日本を訪れた際には投資・貿易の促進、スリランカの国家開発計画にまつわる協力などに注力していくことで両首脳が一致しました。
1-3.日本にいるスリランカ人の在留資格別割合
現在、在日スリランカ人は33,979人(出入国在留管理庁在留外国人統計2022年6月末)おり、主な在留目的は技術・人文知識・国際業務、家族滞在、留学でした。
また、スリランカ人における技能実習生と特定技能1号保持者の人数は2018年頃から近年急速に増え続け、今後も増加すると見込まれます。
このことから今後外国人を雇う場合、今大きな割合を占めている中国人やベトナム人のほかにスリランカ人も候補に挙がってくる可能性があるので、今後のためにぜひスリランカ人の性格や特徴も押さえておきましょう。
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2.スリランカ人の国民性・性格・特徴
次にスリランカ人の国民性や性格をご説明します。日本人と異なる点もあるのでぜひ今後スリランカ人と関わる際の参考にしてみてください。
2-1.家族を大切にする
スリランカ人は家族をとても大切にする傾向があります。
日本では結婚したら実家を出て新しい家族で一緒に暮らすというものが一般的ですが、スリランカでは結婚してもずっと自分の家族と暮らすことが当たり前です。ですので結婚した場合は奥さんの家族、旦那さんの家族、そして奥さんと旦那さんとその子供の新しい家族と3つの家族で一緒に暮らします。
大家族になってもけんかをすることはめったになく、家族同士仲良く暮らしています。
2-2.スリランカ人はとても話好き
スリランカ人はとてもおしゃべりで、集まると常に話しています。
特に職場で日本人は一人で食事をすることが多いですが、スリランカ人は一人で食事をとるということはなく常に複数人でおしゃべりをしながら食事をとります。
食事も自分が作ったり、持ってきたものは自分だけで食べるのではなく、みんなで分け合いおしゃべりしながら食べます。
2-3.上下関係を重んじる
スリランカ人はとても上下関係を重んじます。
家族の中では祖父・祖母が一番上の立場におり、その次に父親・母親、長男・長女、次男・次女と年功序列で権力構造が決まります。
職場では、上司の言うことは絶対で部下は常に従います。部下が上司に意見を言うことはめったにありません。
部下はそもそも上司に何か意見を持つことすら珍しいです。
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2-4.賢い人が多い
スリランカ人は賢い人が多いといわれています。その背景にはスリランカの教育制度にあります。
スリランカでは小学校から大学まで授業料はすべて無料で通えるので、ほとんどの子供は義務教育を受けています。
しかし大学に進める割合は15%とほんのわずかしかいません。大学に進学するには一般教育資格であるエーレベル試験を受け高得点をだす必要がありますが、スリランカにある大学の数は非常に少なく、倍率がとても高くなっていることが原因とされています。多くの学生はこの試験に向けて猛勉強をするので、スリランカ人は頭がいいといわれています。
2-5.フレンドリー
スリランカ人はとてもフレンドリーです。
スリランカ人は挨拶をとても大事にしますが、特に朝の挨拶は重要で道で通りすがった知らない人でも目があえば必ず挨拶をします。
3.スリランカ人からみた日本人の特徴
続いて弊社のスリランカ人スタッフに直接インタビューをしてスリランカ人から見た日本人の特徴をお伝えします。
また今後仕事やプライベートでスリランカ人とかかわる際のポイントも一緒に解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
3-1.優しくて親切
スリランカ人から見て日本人はとてもやさしく、親切だそうです。
例えば仕事において、スリランカ人はあまり丁寧に仕事を教えてくれないそうですが、日本人はわからないことがあったらわかるまでとても丁寧に教えてくれるとのことです。
また日常生活でも、スタッフが親切に教えてくれたり、駅や道端でわからないことがあったら進んで教えてくれるなど至る所で日本人のやさしさを感じる場面が多かったそうです。
日本に来て間もないころは日本語が拙かったこともあり、仕事を覚えるのが大変でしたが、上司がとても優しかったので仕事に行きたくないと感じたことは一度もありませんでした。
3-2.時間を守る
これはとても有名な日本人独特の特徴ですが、スリランカ人から見ても日本人はとても時間に厳しいそうです。
スリランカ人は基本待ち合わせには30分から1時間ほど遅れる場合が多く、もしスリランカ人を仕事で雇った場合時間を守ることに関してはしっかり教えることをお勧めします。
スリランカ人を含む外国人スタッフとのコミュニケーションは定着率を上げるために最も重要なことの一つです
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3-3.自分の意見をはっきり言わない
また、日本人はスリランカ人と比べて自分の意見をはっきり言わないこともあげられます。
スリランカ人は常に自分の意見をはっきり相手に示しますが、互いが互いの意見を尊重するので空気が悪くなったりけんかになることはあまりないそうです。
ですのでスリランカ人と関わる際ははっきり意見を言うと良好な関係を築きやすいかもしれません。
4.スリランカ人を仕事で採用する方法
最後にスリランカ人を仕事で採用する方法を解説します。流れに沿ってご説明するのでぜひ参考にしてみてください。
4-1.スリランカ人材を見つける
求人サイト・自社サイトで募集する
スリランカ人を含む外国人を雇う際は求人サイトや求人サービスを介して応募をかけることが一般的です。最近ではLinkedInやwantedlyなどの海外にも展開している求人サイトを活用している企業も増えています。
募集をかける費用は少なくて済みますが、応募者の幅が広いので希望通りの人材が見つからない場合もあるので注意が必要です。
4-1-2.人材紹介会社に紹介してもらう
人材紹介会社は主に日本で働きたい外国人と外国人を雇いたい企業をマッチングさせるサービスを行っています。
メリットとしては希望する外国人材が見つかりやすいということと、ビザなどの複雑な手続きを代行してくれるというところです。特に外国人を正社員で雇う場合は日本人雇用とは異なる手続きが必要となるので、人材紹介会社を介すことでスムーズに外国人を雇うことが可能です。
また弊社では人材紹介のほか外国人採用後も外国人、日本企業両方をサポートしています
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4-2.在留資格の確認
在留資格は日本に3か月以上滞在する外国人の身分・活動の種類を明らかにするものです。雇用形態、また職種によって異なるので外国人を雇う際は確認が必要です。
アルバイトの場合
スリランカ人を含む外国人をアルバイトで雇用したい場合、以下が雇用可能な在留資格(ビザ)になります。
・留学
・文化活動(収入を伴わない学術や芸術の研究者)
・家族滞在(技術・人文知識・国際業務や教授など家族滞在が可能な在留資格取得者の配偶者や子)
正社員の場合
・特定技能1号・2号(人手不足の特定産業12分野のみ)
・技能実習1号・2号・3号(技能実習生として、技能実習計画に基づいた講習を受けた後その技能に関わる業務に従事)
・技術・人文知識・国際業務(単純労働以外で大学や今までの職務経験と関連する専門的な活動)
・高度専門職1号・2号(日本に資すると認められた高度人材)
・企業内転勤(外国の事務所からの転勤者)
・経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、介護、興行、技能、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道
※アルバイト・正社員など就労範囲に制限がない在留資格
・永住者、永住者の配偶者等
・定住者(特別な理由で一定の在留期間移住を認められた外国人)
・日本人の配偶者等
4-3.内定・雇用契約の締結
アルバイトの場合
採用までは日本人と同じです。求人サイトや人材紹介会社を介して募集をかけ、応募者に対し履歴書選考や面接を実施します。採用後も日本人と変わらず日本の法律が適用されます。
日本人と異なる点は採用時・退職時にハローワークへ届け出を提出する必要があります。
正社員の場合
スリランカ人を含む外国人を採用する場合採用前の第一歩として、まず雇用契約書、労働条件通知書などの書類の作成を行います。その際、外国人に書類の内容を理解させるために外国人の母国語で書類を作成したほうがようでしょう。
次に所持しているビザのままでは入社できない外国人を採用した場合、外国人のビザ変更申請をする必要があります。
入社後は外国人の保険や年金の手続き、ビザの更新を行います。
5.まとめ
労働力不足の解消、またこれからのグローバル社会に向けて外国人雇用はさらに注目されていくことが予想されます。
スリランカ人は親日の人が多く、また上下関係が厳しかったり学生時代は勉強に打ち込むなど日本人と通ずる部分があり、一旦打ち解ければ日本人の良いパートナーとなるでしょう。
弊社ではスリランカ人をはじめ、多くの特定技能の外国人採用などの無料相談を行っており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。