タイ人の特徴は?国民性や一緒に働く上で気を付けることなどわかりやすく解説
執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)
「微笑みの国、タイ」
タイのイメージをきかれたら、私を含め、このように答える日本人が多いのではないでしょうか?
1年を通して温暖な気候であり、人々がニコニコしている。そのようなイメージがありますが、本記事ではもっと深くタイの人々と分かり合えるように、国民性や文化など、深く掘り下げていきたいと思います。
外国人を雇用する際、その国の文化の理解はとても重要です
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1.タイ人の特徴・性格
1-1.仏教の教えから進んで人助けをする
タイは国民の9割以上が仏教徒です。
タイの仏教の教えの中に「タンブン」というものがあります。「タンブン」とはタイ語で善行を行う、徳を積むという意味だそうです。
「タンブン」を行うことによって、自分だけでなく家族が幸せになったり、来世がよくなったり、などと信じられており、積極的に人助けをする人が多いようです。
誕生日には必ず「タンブン」を行います。
1-2.親日家が多い
こちらのデータは世界の国々の親日度調査になります。
タイは台湾と並び、日本を「とても好き」「まぁ好き」と答えた人が98.3%と非常に高くなっています。
ここまで親日家が多い理由として2つ挙げられます。
①古くから交流がある
日本とタイの交流は600年前にさかのぼると言われ、正式な国交が開始された「日暹修好と通商に関する宣言」から今年で136年になります。
その間に日本皇室とタイ王室は緊密な関係を築いています。
②日系企業が多く進出している
前項で挙げた自動車メーカーのほかにも多くの日系企業がタイに進出しております。
2021年3月の時点で5,856社になります。
また、タイで働く日本からの駐在員の数も78,431人(令和4年10月時点)と米国、中国、オーストラリアについで4番目に多い国となっています。
現地でも日系企業で働くタイ人も多くいることから、日本人と触れ合う機会が多いため、親日家が多いと思われます。
参考:外務省「タイ基礎データ」
外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計」
1-3.マイペンライの精神
「マイペンライ」という言葉は、タイ語のありがとう「コップンカー」の返答に使われます。
意味合いとしては、どういたしまして、というよりかは気にしないで、大丈夫、のほうが近いと言われています。
タイの国の人はこの「マイペンライ」の精神を心に持っており、例えば誰かがミスをしたとき、タイの人たちは「マイペンライ!」といって許してくれます。そして、自分がミスをしたときにも「マイペンライ」と言ってきます。
ここからは筆者の推測ですが、タイは気候といい人といい、すごく沖縄に似ていると感じます。
「マイペンライ」という言葉も、沖縄の言葉「なんくるないさ」にすごくニュアンスが似ていると思います。(沖縄のお酒、「泡盛」の原料はタイ米なんです。)
だから居心地がよく、日本からの旅行客が多いのではないかと思います。
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1-4.高い識字率
タイ政府の発表しているタイの識字率は2000年92.6%、2005年93.5%、2010年94.1%と徐々に上昇し、2005年の時点で青年層は98.1%となりました。また小学生の就学率がほぼ100%となったため、時間の問題で日本・香港・韓国といったアジア上位の国々と肩を並べる識字率になると予想されています。
2.そもそもタイってどんな国?
2-1.タイの基本情報
タイは、西と北をミャンマー、北東をラオス、東をカンボジア、南をマレーシアと国境を接する、東南アジアの中央に位置する国家です。
引用:外務省「タイ王国」
面積は約51万4000平方キロメートルと日本の約1.4倍、フランスとほぼ同じ大きさに当たります。人口は約7,180万人(2023年現在)で、国民の9割以上が仏教を信仰しています。
また、タイは世界有数の観光大国です。世界観光機関が公開しているコロナ禍直前の 2019 年のデータによると、タイの国際観光客到着数は約 4,000 万人で世界第 8 位、国際観光収入は約 610 億米ドルで世界第 4 位となっています。
参考:バンコク産業情報センター『タイにおける観光産業の概況(その3)』
2-2.タイの歴史
7~8世紀、先住民のドヴァラヴァディー人がチャオプラヤ川流域に王国を形成したあと、現在のカンボジア付近にあったクメール王朝がタイの東北部を占領しました。
13世紀初頭、クメール王朝の支配下にあったタイ族がクメール王朝を駆逐し、スコータイ王朝を築きました。このころ、数多くの寺院建設を行って上座部仏教の布教に尽力するなどタイ文化の基礎が築かれたとされています。
そのあと、アユタヤ朝、トンブリー王朝と続き、18世紀にラッタナコーシン王朝が始まりましたが、この時期はヨーロッパの勢力が押し寄せ、ビルマ(ミャンマー)やラオス、カンボジアなどの近隣諸国が相次いで植民地にされていきました。しかし、ラーマ4世やラーマ5世はイギリス、アメリカ、フランスなどと貿易を行い、巧みに外交政策を行った結果、東南アジアで唯一独立を守りました。
1932年の立憲革命により王は象徴的な存在となり、立憲君主制へ移行しました。そして1939年にシャム国から「タイ王国」へと呼称が改められました。
2-3.タイと日本の貿易
日・タイ両国は、600年以上にわたる交流関係があり、伝統的に友好関係を維持してきています。
タイはお米の生産量が世界第6位(2020年)と高く、日本も1993年の記録的冷夏による米不足の際には、タイからお米を緊急輸入していました。
日本からの輸出品
機械(部品含む)鉄・鉄鋼、自動車部品
タイからの輸入品
自動車、PC(部品含む)
タイにはトヨタ、日産、いすゞ自動車など、日本の自動車メーカーの多くが工場を持っています。
そのため、日本からタイに自動車部品を輸出し、それをタイの工場で組み立てて、完成した自動車を日本及び他の国にも輸出をする、といったケースが多いということになります。
3.日本にいるタイ人の割合
3-1.在留タイ人の数
令和4年末の時点での在留外国人を国籍別にみてみると、タイは10番目に多い国となります。
()は前年末比になります。
1 中国 | 761,563人 (+44,957人) |
2 ベトナム | 489,312人 (+56,378人) |
3 韓国 | 411,312人 (+ 1,457人) |
4 フィリピン | 298,740人 (+22,125人) |
5 ブラジル | 209,430人 (+ 4,551人) |
6 ネパール | 139,393人 (+42,284人) |
7 インドネシア | 98,865人 (+39,045人) |
8 米国 | 60,804人 (+ 6,642人) |
9 台湾 | 57,294人 (+ 6,103人) |
10 タイ | 56,701人 (+ 6,377人) |
3-2.タイ人の在留資格別割合
参考:出入国在留管理庁「令和4年末現在における在留外国人数について」
タイの人の在留資格は、ベトナムのように技能実習生や特定技能が多いわけでもなく、フィリピンのように日本人の配偶者が極端に多いわけでもありません。
すべての在留資格の方が満遍なく在留している、といった形になっています。
4.タイ人と仕事をする際の注意点
ここからはタイ人の方々と一緒に働くことを想定した注意点を上げていきたいと思います。
4-1.タイ人は計画性に乏しい傾向がある
前項で挙げたようにマイペンライの精神があるので、「なんとかなるさ」「大丈夫だろう」というように考える人達が多いため、なかなか計画を立てるというのが難しいようです。
また、タイは熱帯の国で昔から果物などの食料が豊富にあったため、いつでも食べ物に困らなかったそうです。農耕や狩りなどをある程度計画的に行っていた我々日本人とは、もともと考え方が違うのも当たりまえかもしれません。
4-2.時間にルーズ
相手が時間に遅れても、マイペンライの精神であまり怒る人がいないので、必然的に時間を守ることが少ないそうです。
この辺も私が沖縄に似ていると感じた要因の一つになります。
私がタイに旅行に行ったときも電車が1時間以上遅延していても、乗客の誰も怒っていませんでした。
4-3.人前で怒られことを嫌う
これはタイだけでなくミャンマーやベトナムもそうなのですが、みんなの前で怒られることをとても嫌います。恥ずかしいことだと感じるようです。
そもそも仏教で怒りを感じること自体良くない事と考えられているので、そう思うのも無理がありません。
注意をするときは、個別で呼び出して1:1で指導すると良いでしょう。
タイ人を含む外国人スタッフとのコミュニケーションは定着率を上げるために最も重要なことの一つです
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4-4.牛肉は食べない人が多い
こちらも仏教に関係することなのですが、タイの仏教徒の方々は、観音様の出家を反対した観音様の父親が、生まれ変わって牛になったと信じられているので、観音様の父親に敬意を表して食べないということがあります。また、農家で働いている人々の中では、牛は農作業を手伝ってくれる動物であり、牛を食べるのは良くないという考えが強かったそうです。
5.まとめ
タイと日本は長年にわたって国交があり、タイに進出している企業もとても多く、それでいて関係がとてもうまくいっているのは、二つの国は国民性が合うといってもいいのではないでしょうか?
私も個人的に大好きな国なので、これからもっと一緒に働く機会が増えていけたら、と思っております。
弊社では主に特定技能外国人の採用を行っておりますので、外国人採用にご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。
ここまで読んでいただきまして、コップンカー!