今急増中の外国人介護士の利点と課題、そして今後の展望とは?【名古屋学芸大学名誉教授×株式会社JJS代表】
執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門
ゲスト:名古屋学芸大学名誉教授 石田路子教授
こんにちは!株式会社JJSのWebサイト「Divership」編集部です!
今回、名古屋学芸大学名誉教授の石田路子教授をお招きして、弊社代表の松里と特に外国人の雇用が進められている「介護」業界に関してオンライン対談を行いました!
「外国人介護士を雇いたいけど、どんな利点とリスクがあるのかよくわからない…」
「今外国人介護士は急速に増えているけど、今後はどうなるの?」
など、介護業界の専門家と多くの外国人介護士を輩出し、彼らをサポートしている株式会社JJSの代表が徹底議論します!
名古屋学芸大学名誉教授|石田路子教授
プロフィール
奈良女子大学大学院人間文化研究科複合領域科学博士後期課程修了 博士(社会科学)
城西国際大学福祉総合学部副学部長 理学療法学科教授(平成30年3月まで)
名古屋学芸大学看護学部 看護学科教授(令和4年3月まで)
同客員教授・名誉教授(現在に至る)
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事/社会保障審議会・介護保険部会委員/社会保障審議会・介護給付費分科会委員/千葉県障害者施策推進協議会会長/愛知県豊田市男女共同参画推進懇話会座長/愛知県日進市地域包括ケア検討会会長
専門分野は社会保障制度(とくに医療・介護分野)及び社会福祉制度(とくに高齢者・障害者分野)で、介護保険の制度改正等に関連した講演依頼を多く受けている。
その他には、人権問題や男女共同参画・ジェンダーに関連した講演も数多く行っている。また、地域共生社会をテーマとしたネットワークづくりや活動については、高齢者のみならず障害者の問題も含めて講演を行う。最近では高齢者の生活に重要な役割を果たしつつあるスマートフォン利用の実態について、自身の調査結果とともに対応策を含めた講演
も増えている。
株式会社JJS 代表取締役|松里優祐
プロフィール
外国人の紹介実績1,500名以上、支援実績250名以上を誇る株式会社JJSの代表取締役。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、2017年に教育スクールを創業。2019年の特定技能制度の開始に合わせて、人材紹介と登録支援機関もスタートし、現在では、介護業、外食業、宿泊業など様々な業種に、年間300名以上の外国人を紹介をしている。
また、2023年4月にはミャンマー校も開校し、さらに多くのミャンマー国籍の方を企業様にご紹介。
特に介護分野に力を入れており、日本語授業、ビジネスマナー教育のほか、介護福祉士取得のための授業も行う。
Q1,介護業界の人手不足を補うための外国人採用についてどのように考えていますか?
石田:絶対的な人手不足がある中で、介護分野で働きたいという人は日本人であれ、外国の方であれ、基本的にウェルカムと思っており、現在の介護業界における外国人材の採用は相当程度進んでいると理解しています。もちろん地域によっては偏りがあると思いますが。
松里:おっしゃる通り、現在の介護業界での外国人採用は進んできていますね。実際に「特定技能介護」の人数は非常に増えてきていて、EPAや技能実習など様々な在留資格がありますが、今は特定技能介護が一番人数が多くなってきています。直近のデータでは特定技能介護に従事している外国の方が2万2000人もいるので、特定技能介護が始まったばかりの頃と比べるとかなり増えていますね。
私たちもそうだったのですが、その主な原因の一つとしてコロナ禍で飲食や宿泊など他の特定技能分野への雇用が止まってしまった中、介護業界にアプローチをかける企業さまがかなり増えたということがあげられます。
石田:そうだったのですね。2008年から始まったEPAにより、介護分野について当初はインドネシアやフィリピンの方が主に来日していましたが、今はミャンマーなど新たな国からの人材も増えてきていますよね。
松里:そうですね。現在はベトナム国籍の方が一番多くなっており、ミャンマー国籍の方も増えていますね。
石田:そうですよね。今後は技能実習の制度が変わっていくこともあり、特定技能の重要性が高まっていきますよね。実際に特定技能介護を希望される外国人の方々は、そもそも介護に興味があって希望しているのでしょうか?つまり特定技能の12分野の中で考えた際、ほかの職種との比較から、どのような理由で介護を選んでいるのですか?みなさんの選択の動機などを伺いたいです。
松里:そうですね、実際特定技能介護を選んでいる外国人の主な理由というのは、まず特定技能の他の分野と比べて、試験が一番高い頻度で開催されている、ということがあげられますね。他の特定技能外食とかだと、年に数回しか開催されないので申込者が殺到してしまい、そもそも試験が受けられないということが起きています。ただ介護は毎日試験が開催されているので、他の分野と比べると試験が受けやすく、特定技能ビザの取得がしやすいです。ですので介護を選択する人が多いというのはありますね。
石田:なるほど、そういった物理的な要因もあるんですね。ただ、そういう理由で介護の仕事に携わっていただくことについて、それはそれで一つの選択肢であると思いますけど、実際に介護の仕事に従事してみて自分の思っていたものと違うと感じて辞めてしまうケースもあると思いますが、実情はどうでしょうか?
松里:やっぱり中にはそういう方も出てきます。ですので事前に私たちの方でも介護の仕事について外国の方に詳しく説明して、実際働いたときに感じるギャップがないよう努力をしています。特にミャンマーやベトナムは介護の仕事についてあまりなじみがないので、事前の理解が必要だと考えています。
石田:そうですね。松里さんの感覚で構いませんが、とりあえずビザが取れて日本で就労できるのであれば介護をやってみてもいい、というようなケースの場合、定着率というのはだいたいどのくらいなのですか?
松里:定着率に関して特定技能全体でよく情報として出ているのは、だいたい45%が1年以内に辞めてしまうということです。ただ弊社の場合ですと、1年以内の退職率はだいたい18%くらいですね。
石田:なるほど。その中で介護は特定技能全体の定着率と比べてどうですか?
松里:他の分野もそうですが、業界によって定着率が大きく変わることはなく、どちらかというと地方で働いていた外国人の方が都会に行きたがって転職する場合が多いですね。ただ、それも当初と比べると全体的に定着率は上がってきています。
私たちが行っていることとしては、外国人の方に対して事前に仕事内容を説明してギャップを減らすことだけではなく、介護福祉士取得のための試験対策も行うことで将来の日本でのキャリアビジョンを明確にしています。そして外国人の方に対してだけではなく、企業さま側への働きかけも必要だと考えており、例えばどのくらいで給料が上がるのかだったりなど、なるべく明確化していくことで定着率は上がってきています。
石田:なるほど。私は10年以上前にはなりますが、外国人介護人材に関して北欧で実態調査をしたことがあります。例えばフィンランドでは、アジアに限らずリトアニアなどバルト三国や、その他の東欧諸国から仕事を求めて来る人も多かったと記憶しています。また、ノルウェーでは高齢者ケアなどに関する専門資格を取得するなどのキャリアアップをしていけばその職種に定着することができ、家族とともに住み続けることもできました。北欧の国々は外国人介護人材への教育補償が手厚かったので、様々な支援を受けてキャリアアップしていきたいという方々が多くいたのではないかと思います。私も専門学校を訪問して直接学生たちにインタビューしたのですが、勉強して専門知識や技術を身に着け、しっかり勤めてキャリアアップを目指すという人が多かったです。移民については大きな課題がありますが、外国人のマンパワーに期待するところが大きいということも事実です。
日本でも、松里さんがおっしゃったように、介護という仕事は景気によって左右されることも少なく、むしろ将来的にますますニーズが高くなることは明白です。入管法における在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を所持するようなキャリアを積めば永住権がもらえるということですので、その仕事に適性がある人であれば大きなメリットはあります。このことは、ぜひアピールしたい点ですよね。そういうことからも、今松里さんが行っているお仕事は重要な意味を持っています。これからもっと広く展開していくことが期待されていると思います。
Q2,介護従事者の方々から見ると、外国人介護士の採用に関するプラス面としてどういったことが考えられますか?
石田:介護事業所にしてみると、専門技術を身に着け、業務をしっかり担ってくれるのであれば、一人でも多くの人材に来てほしいと望んでいると思います。ただ、事業者の方々からの意見を聞いてみると、地域格差があるそうで、多くが大都市を希望しており地方に来たがらないとのことでした。実際にベトナムやミャンマーからいらっしゃる方は働きたい場所のニーズはありますか?やはりみなさん都会の方がいいのでしょうか?
松里:そうですね。すでに留学生として日本に来ているなど、日本に滞在している方に関しては、やはり都会に行きたいという方が圧倒的に多いですね。
石田:そうですよね。特に地方の事業所の場合は、外国人の方に研修を受けてもらい、ある程度の知識や技術も身につけて、ようやく一人前になったと思ったら、一定の期間が満了したということで辞めて都会へ行ってしまうようなことが多いので、それがとても残念だとおっしゃっていました。事業者側としてはそこが一番つらいところかなと思います。
ただ、この間厚生労働省の担当官に聞いたのですが、九州の宮崎県などではこの問題を解決するために、地域、自治体をあげて、外国から来た人たちにその地域自体を好きになってもらうための様々な工夫をし、定着率を上げている、という取組みが始まっているそうです。都会に住むメリットも確かにありますけど、そうではなく自分が親しんで、さらに言えば自分が求められている場所があり、自分の技能を発揮できるところで仕事を続けることのメリットを外国人研修生たちにわかっていただけるといいなと思っています。こういったことはぜひ、松里さんの学校の方でアピールをしていただけると、地方の事業者の方々にとっては歓迎されるのではないかと思います。地方の事業者も、そういったリスクが少ないのであれば、印象として外国人の受け入れに非常に前向きであると思います。
松里:そうですね。おっしゃる通り、せっかく教育、研修して一人前になってもらったのに都会に行ってしまうことはなくはないです。ですので私たちが行っていることとしては、生活する上でどれくらいお金が残るのかという手取り額のシュミレーションを出して、理解をしてもらうことをしています。やはり都会の方が生活コストは高いので。ただ、なによりここの事業者様にいたいと思ってもらうことが一番大きくて、多少給与面に不満があったとしても職場の居心地が良ければ、もっといたいと思う人はたくさんいるので、それを目指していくのがいいのかなと思います。こればかりは事業者様の協力無しには難しいところですが…。
石田:そうですね。ですから事業者と松里さんのような中間にいる組織の連携というのはすごく大事になっていきますね。
松里:はい、その通りだと思います。また実際に私たちが普段業務を行っている中で、事業者の方からよく聞くプラス面というのをご紹介したいと思うのですが、多く聞くのは若手の外国人の方が多いので、職場が活気づいたといったということです。あとこれは結構意外だったのですが、外国人の方が入ってこられることによって、気の緩んでいた日本人スタッフに競争心が芽生え、全体として士気が上がったというお声も伺うようになりました。
石田:そうですね、私たち委員の中でも、利用者さんと外国人スタッフの言語や文化の違いから何らかの齟齬も生じるのではないかと想像して、相互の関係性というところを一番懸念していたのですが、少なくとも調査で上がってきている限りでは、利用者の方は外国人スタッフに対して非常にウェルカムでした。外国人スタッフは利用者への対応が大変優しいとか丁寧である、あるいはとても親切であるという反応が多かったことを伺っています。つまり、日本語がまだ流ちょうに話せないとか、そんなことはあまり関係がないみたいですね。利用者さんとの間では、むしろコミュニケーションをより密にとるとか、お互いにわかるまで何度も繰り返しながら話しているうちに、より距離が縮まっていくそうです。少なくとも私が見た限りの調査結果では、想像よりはるかに利用者さんと外国人スタッフとの関係というのはスムーズなのかなという印象を受けています。
松里:そうですね。実際に利用者の方と外国人の方との壁はどうしてもあるのですが、だからこそなるべく簡単に説明しようとすることで現場の指導力が上がった、というお声をいただいたりとか、あいまいだった評価制度を明確化するいい機会になったということも聞いています。
石田:それはすごく大事なことだと思います。これまでは阿吽の呼吸で当たり前に通り過ぎていたものが、データで残していくなどして普遍的な形となり、誰がやってもできるようなノウハウが蓄積される。このように外国人の方を雇うことで業務の改善につながっていくこともメリットの一つではないかなと思います。
Q3,介護従事者の方々から見ると、外国人介護士の採用に関するリスク、課題としてどういったことがあげられますか?
松里:課題として、言語の問題ももちろんあるのですが、それ以外にも先ほどお話に上がった転職ということがあげられますね。
他には海外から直接紹介するというのも進んできているのですが、そうなると住まいの問題というのも出てきています。特に地方になると、外国人を受け入れない大家さんも多いので住まいを探すのが結構大変で、そこで受け入れが止まってしまうということも多くあります。ですので先ほどおっしゃっていたように、地域の方々の協力はやっぱり重要になってくるのかなと。特に海外から外国人を呼び寄せると、住まいの問題はありますが定着率は高くなるので。
石田:なるほど。基本的なことですが、このように外国の人材を受け入れるにあたっては、間に監理団体などの中間の団体が入りますよね。松里さん方のような学校はその監理団体とはどのような位置づけなのですか?
松里:私たちも登録支援機関になっており、そのような中間組織の役割を果たしています。ですので現在、日本語スクールと登録支援機関と両方行っています。
石田:そうなんですね。この登録支援機関に関して事業者の方々から、どういったところがどういったことをやっていて、自分たちから連絡するようなときはどういった手続きをとったらいいのか、あるいは、いくつかある登録支援機関をどう選んでいくのかなど、よく質問受けるのですが、私自身もよくわからないのでぜひ教えていただければと思います。
松里:そうですね。登録支援機関でいうと現在8000社くらいあって、実際その中で100人以上の支援をしている、要はきちんと支援機関として動いている機関は2%もないって言われているんですね。
石田:たった2%ですか!?ではあとの98%はどういったことをしているのですか?
松里:登録支援機関が始まったときに、どんな事業者でも許可自体はとれたんですよ。ですので、特定技能が始まったときにとりあえず取っておこうという企業が非常に増えたので、数は多いのですが実際動いている企業はそんなにいない、ということが実態ですね。
石田:なるほど…。では実際に事業所が連絡を取りたいというときは、登録支援機関の一覧がどこかに表示されているのですか?
松里:そうですね。一応入国管理局のサイトで、登録愛煙機関の一覧表はエクセルで公表しているので、そこから探すということももちろんできます。
石田:ただ今みたいに、2%しか実際には機能していなければ、そのリストからどうやって2%を選んでいいかというのはわかりにくいですよね。
松里:そうですね、どの機関が良いのかというのはたしかに探すのが難しいと思います。ですのでそれはやっぱり私たち登録支援機関側が努力していかなければいけないところだと思います。
石田:実際に松里さんが代表を務めるJJSのようなところが、こういうことやっていますよというのはもちろんホームページにアップしているとはいえ、それをどう探し当てていくかとなると、かなり難しいですよね。
松里:はい。ですので私たちはその手段の一つとして、ネットでいろんな方の目につくように対策をしてコンテンツを届けています。このダイバーシップの運営もその一つです。
石田:ぜひそういったことを続けていただきたいですね。きちんと稼働している機関が明らかにされるということは大事なことだと思います。私自身も知っているところには、こういう機関もありますよとJJSのことをお話しさせていただきますね。
松里:ありがとうございます。あともう一つ課題ということでいうと、電子ケアカルテってやっぱり事業者様のなかでも普及ってそんなにされていないですよね。カルテの問題ってけっこう大きいと思っていて…。
石田:カルテというのは利用者のデータですよね。今、国を挙げてDX化の推進が叫ばれていますが、厚労省も医療や介護に関連する個人情報をデータ化するという施策を推進しています。実際私は外国人材の導入の時に並列してやっていく必要があるかなと思ったりもしています。彼、彼女たちがいちいち日本語で字を書くのではなく、データで入力していくというのは現場の作業の効率化にもつながりますし、これは業務の刷新化としてやっていくことが大事かなと思っています。
松里:そうですね。やっぱり言語的な問題でここのハードルはあるかなと思っていて、最近ベトナム語など多言語対応している電子ケアカルテも増えてきているみたいなんですよね。ですのでやっぱりそういったものを導入していただけると、より外国人採用が進めやすくなるなと思っています。
石田:そうですね。多分ですけど、ここ数年の間に今の状態から飛躍的に進むのではないかなと感じています。デジタル機器の進歩は目覚ましいものがありますし、多国籍言語に対応可能な電子ケアカルテの普及ということも、時間の経過とともに相当速いスピードで進んでいくかと思います。
Q4,利用者の方から見て、外国人介護士ならではのプラス面やリスク、課題について何かございますか?
石田:今色々課題が出ていて、例えば訪問介護というのはまだ外国人スタッフ一人ではできない業務となっています。平時の時は問題ないのですが、緊急事態、あるいは想定外のことが起こったときに臨機応変な対応ができるのは、かなりの経験を積む必要があります。また、的確な情報をいち早く伝えなければならないときに、まだ日本語を勉強中という人では難しいのではというような心配はあるかなと思います。ただ、これは外国の方だからという心配よりは、キャリアが短い日本人の介護職にとっても同じことがいえると思います。つまり、様々なツールを使いながらも、その人の業務のスキルがどれだけ上がっているかということが重要なので、「外国人だから」ということに関しては、キャリア次第で先々はあまり関係なくなってくるかなと思っています。
松里:そうですね。やっぱり利用者さまのご家族も含めて、時間の経過とともにもう少し理解が進めば解決していくこともあるのかなと思います。実際にあるお声としては、緊急事態への不安だったりもそうですし、最近あったのは、ミャンマー人の方で利用者さんと一緒に外にお散歩に行ったとき、戻ってきたらその利用者さんにたんこぶができていたそうなんですね。それをご家族に説明するときに、本人から直接日本語で伝えられなかったので、ご家族の方があまり良い顔をされなかったというのがありました。ですので、利用者さんのご家族の方への理解というのも必要だなと思った事例ですね。
石田:そうですね、そのようなことはこれからもでてくると思いますね…。
松里:はい…。ただこれも、もう少し外国人介護士というものが当たり前になれば理解もされるのかなと。
石田:そうですね。実際に利用者さんご本人より、難しいのはそのご家族という場合も少なくないですよね。日々の日常をご存じないので、時々様子を見たりしたときに「なんでうちの親を外国の人が担当しているのか」とか、その瞬間だけ切り取ってクレームになることはありうるかもしれないですね。ただそれも、世の中で外国人人材の当たり前さが広がれば、そこまでの齟齬はでてこないのではないかなと想像しています。
松里:それは本当にそうだと思います。またそうなっていけば良いなと思いますね。
石田:はい。ただ実際私たちが思っている以上に、もう日本に暮らす外国の方って増えているんですよね。もう少し時間が経過すれば、外国の方との共生が当たり前になってくるのではないかなと思います。もちろん軋轢はでてくるし、さまざまな違いはありますので、意見の対立やもめ事が起きることも想定されますが、そういうことも乗り越えて行かざるを得ない段階にきているのかなと感じています。
Q5,最後に、特定技能介護の今後の可能性についてどのように考えていますか?
石田:これはとても大事なところだと思います。やっぱりこれからの介護分野の外国人人材は特定技能介護というところが主流を占めていくことになるのではないかなと思います。ですから余計に、最初松里さんがおっしゃっていたような、特定技能の介護分野を選択した動機は何であれ、その仕事を自分でやってみて、この仕事も悪くないなと感じた方に関してはぜひスキルを身に着けていただいて、その分野の専門的な人材として成長していただきたいし、そうしていただくことによって長期的に日本で仕事ができるということをぜひ広くアピールしてほしいと思っています。
ただ、今介護人材に関して国際競争化が進んでいて、日本に限らず、もっと条件が良ければ他の国に行ってしまうということも少なからずあります。その中で日本を選んで、日本で技術をしっかり学んでもらえるのなら、そういった方たちにはスキルアップの道筋を提示したうえで、我が国の必要な専門介護人材として、ずっと仕事し続けてほしいなと思っています。これまでも介護分野の中でスキルアップの道筋や、その研修プログラムが様々に提供されてきました。しかし、今後さらに多くの外国人材を受け入れることによって、スキルアップのプロセスやそのプログラム内容などをよりわかりやすく明確にしていく、一般化していくことが必要になってますので、このことから介護業界全体の中で非常にプラスの効果というのが期待できます。つまり、外国の方たちを教育していくプログラムは日本人にとっても、教える立場・学ぶ立場ともに非常に有効な内容になると思うからです。スキルアッププログラムが非常にわかりやすいということで、目標が明らかになれば、彼らもそれに向かって頑張れます。こうしたことは外国の方のためのみならず、介護従事者の方々にとってもプラスになることですから、きちっとプログラム化していただいけると、より有効なものになるのではないかと思います。
松里:そうですね、そこは私たちが頑張らなければならないところです。今回コロナのパンデミックが起きて、私たちにとって可能性が広がったのはオンライン面接やオンライン商談が当たり前になったということがありますよね。
石田:そう、それは私も本当にそう思います。コロナがもたらした唯一の効果はこれですよね。今もこうやってお話しできたり、オンラインで会議をできるようになったことで、時間を有効に使うことができますね。デジタル化はより一層私たちの生活にとってプラスに働くことが多くなってきましたし、私たちもそれをプラスにしなければいけないと思っています。これからは、ぜひ若き松里さんのようなリーダーがそういった役割を果たしていただくことに期待をしております。ぜひこれからも頑張ってくださいね!
松里:ありがとうございます、頑張ります!