外国人労働者問題はなぜ起こるのか?現状と解決策を事例とともにわかりやすく解説!
執筆者:大路(JapanJobSchool CSマネージャー)
経済協力開発機構(OECD)によると外国人移住者数は移民国家カナダを6位に抑え、日本は第5位(2019年版)になっているほど、超少子高齢化の現代の日本社会を支えているのは、そしてこれから支えてくれるのは「外国人労働者」です。
ただ、入管法や在留資格に関するトラブル、日本語でのコミュニケーションの齟齬や習慣の違いなど、外国人雇用ならではの問題が多くあります。
今回は、延べ2000名以上の外国人を、400社以上の日本企業へ送り出してきた実績のあるJapan Job Schoolで、カスタマーサクセス部マネージャーを勤める筆者が、外国人労働者問題の原因と解決策をわかりやすく紹介します。
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1.外国人労働者問題の現状
外国人労働者が急増していることにより、現在日本では外国人雇用においての社会的問題がいくつかあります。今後外国人労働者を受け入れようと考えているのであれば、外国人の直面している境遇を理解したうえで雇用することをおすすめします。
1-1. 安上りな労働力だと思われている
日本人と同様の労働条件、給料水準で雇用する必要があると法律では定められているにもかかわらず、「日本人より安く雇える外国人」というステレオタイプな考えがまだまだ日本にはあります。
実際に弊社から外国人労働者の紹介をさせていただく際に、「外国人なのに日本人と同じ給料じゃなきゃいけないの?」「日本語が完璧とは言えないのに、給料は下げちゃいけないの?」等と聞かれることがあります。
法制度も大幅に改善されてきてはいますが、まだ完全に整備されているとは言えません。また、どれだけ法制度を整えても、日本社会の外国人労働者に対する考え方を変えるには、日本企業が外国人労働者に対して正しく認識をすることが必要だと思います。また、日本以外の国では最低賃金がどんどん高くなっています。このまま外国人を安い労働力と捉えていては、日本は選ばれない国になっていってしまうと思います。
1-2. 外国人差別
日本で生活して差別に直面する経験はほとんどないかと思います。日本には2020年5月にアメリカで起きたBlack Lives Matterのような差別は存在しない、そんなふうに思う方も多いのではないでしょうか?
でも、実際は平成29年に内閣府が行った調査「日本に居住している外国人に対して、現在どのような人権問題が起きていると思いますか?」では、「風習や習慣等の違いが受け入れられないこと」と答えた人が半数近く、そして「就職・職場で不利な扱いを受けること」と答えた人が3割以上でした。
私たちに見えていないだけで、日本にいる外国人労働者の3人に1人は差別を感じながら仕事をしています。
私も、これまでサポートしてきた外国人から「これだからベトナム人は○○」や「ネパール人はみんな○○」のように、国籍でまとめられて職場で指導され傷ついたという声を聞いたことは多々あります。
1-3. 技能実習制度への海外からの批判の声
日本にある外国人労働者を受け入れる制度の1つとして、「技能実習」というものがあり、世界から批判されています。「技能実習」というのは、日本政府が特定の事業者(事業所)に対して、技術を習得するために外国人に研修生として日本在留を許可するものです。就業場所を変えることも、仕事の種類を変えることもできず、転職ができないという特徴があります。
人材不足の企業様における一番の悩みは、離職率が高いことだと思います。そのため「転職がない」という部分に技能実習の大きなメリットを感じる企業様も多いようで、技能実習制度を「人手不足解消」として活用している企業も多いのが実態です。
そんな実態に海外からは批判が集まっており、「技能実習生の本来の目的である、『技能の実習』をさせずに、ただの労働者として扱っていないか?」などと物議を醸しています。また、現在日本政府は、2022年11月22日に外国人材の受け入れに関する関係閣僚会議を首相官邸で開き、技能実習制度の見直しに関する有識者会議の設置、2023年秋に最終報告をまとめることを決定しました。「選ばれる日本」になるために制度改善が進んでいく見通しです。
技能実習制度に関して詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
参照:技能実習見直しへ 政府が有識者会議設置 来春に中間報告 – 毎日新聞
2.外国人労働者とのトラブル|よくある事例と原因
外国人労働者の問題と言っても、様々幅広くありますので「日本企業によって引き起こされる問題」「外国人労働者によって引き起こされる」に分けて、実際によくある事例とその原因の紹介をします。
2-1. 日本企業によって引き起こされる問題の事例
外国人労働者の視点に立って客観的に見ると、日本人の私たちが気づかぬうちに受け入れている日本企業の違和感や問題に、気づくことができるかと思います。
問題①|サービス残業
事例
居酒屋を営む企業で勤務していた外国人労働者から、「23時退社のシフトで、最後のお客さんの対応で23時4分に上がった。でもその4分の残業代がついていない」と不満があがったことがあります。
原因
もちろん、労働基準法通りに雇用することは当たり前で、残業には残業代が出ることが普通ですが、ここで問題となったのはこういった外国人労働者の方の声に、日本人社員が「そんな細かいこと気にしないでほしい」という姿勢をとったからです。
法律にルーズなところから外国人労働者の企業に対する不信感は生まれます。
また、円安が進む今、円の価値が下がり「1円でも多く」稼ぎたいという外国人労働者の給与への執着は強まっていると感じます。
問題②|雇用条件書通りではない労働状況
事例
上記の内容とも重なりますが、同じく飲食店で働く外国人労働者から「雇用条件書には、休憩時間は2時間と書かれているけど、入社して間もなくて仕事が終わらなかった時に休憩時間が丸々2時間とれなかった」という相談もありました。
また、コロナ禍でクラスターが出た介護施設などで急遽シフトに入ってもらうことになった外国人労働者からも、「雇用条件で書いてあった時間以上の勤務をさせられている」等の声も出たことがあります。
逆にコロナの影響で、臨時休業をしたり営業時間の変更などをした際にも、「最初に約束した労働時間働かせてもらえない」などの不満が出た企業も少なくなかったようです。
原因
外国人労働者が不当に働かせられている、架空の税徴収があった等の外国人の労働環境に対する悲しいニュースが日本である限り、外国人労働者は正しく雇用されているかどうかに非常に敏感になっています。サインした雇用条件書通りに雇用されていることを、逐一確認しているのは、自分の身は自分で守ろうという防衛意識からです。
問題③|在留資格に対しての知識不足
事例
「在留カードの交付を待っている間に働けていないのは、収入がなくて可哀想だ」と、まだ就労するための在留資格を取得していない外国人を働かせようとした企業がありました。
原因
入管法、在留資格についての知識が浅いことで引き起こされる典型的な問題であり、よくある間違った優しさです。この不法就労が入管に見つかれば、外国人は不法就労者として日本で働く資格を失いかねません。
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2-2. 外国人労働者によって引き起こされる問題
問題①|身元保証人・緊急連絡先がいない
事例
外国人労働者が交通事故にあったとき、すぐに連絡が取れる家族が日本にいない、身元保証人がおらず、警察や救急隊が家族に連絡をとろうとも母国にいる家族には連絡がつかないというケースがありました。
原因
日本に出稼ぎに来ている外国人労働者は、日本国内には家族はいないことが多く、入社書類の身元保証書、物件契約書などで書くことのできる人がいないからです。
問題②|報連相不足によるトラブル
事例
引っ越しのスケジュールを報告せずに、勝手に引っ越しの手配をして会社近くに引っ越しをした外国人の方がいました。企業から「いつ引っ越しをするの?」と連絡を取ると、「もう引っ越しは完了しています」と回答があり、驚かれたことがありました。こういった逐一の報告が抜けるということは、仕事の中でも起こりえることです。
原因
外国人の方は行動力のある方が多く、そのため報連相なく行動することがありびっくりされることもあるかもしれません。また、「できない、わからない、手伝ってください」ということは良くないと考えてることもあり、質問せずに自分で判断することも多々あります。また、忙しそうで声をかけづらい空気を感じ、相談を躊躇する外国人も少なくありません。
3.他国の外国人労働者問題
外国人労働者問題は、日本だけではなく、他国でも問題になっています。参考までに、韓国とドイツの労働者問題について取り上げます。
3-1. 韓国の外国人労働者問題
日本よりも一足先に外国人労働者の受け入れに動いてきた韓国で起きている問題にも注目が集まっています。
問題①|国内の外国人による犯罪件数が急増
外国人労働者の増加に伴って、外国人による犯罪件数も増加しており、韓国の警察庁によれば2003年に6,144件であった外国人の犯罪件数は2015年には35,443件に5倍以上に増えたそうです。
また、なかでも外国人による薬物犯罪が急増していることが問題視されているようです。外国人の薬物犯罪件数は2012年の359件から、2021年は2335件。約6.5倍にも増えています。薬物犯罪をおこしている外国人の国籍も、2012年では31国籍だったのに対し、2021年には71国籍にまで増えたというデータもあります。
参照:外国人の薬物犯罪10年で6.5倍に 国籍も多様化=韓国
問題②|不法労働者・不法滞在者が増加
韓国では、1991年より外国人単純技能労働者の就労を認める産業技術研修制度が導入されたことにより、不法労働者、不法滞在者の数が増加しています。その理由は、研修生を受け入れたかったけど、受入基準を満たせずに受け入れることができなかった企業が、研修生として受け入れる企業よりも高い給料を支払うことで研修生を違法に雇うことが多いからです。
そのため、より高い給料を求める研修生は、研修先から失踪して、しっかりとした産業技術研修制度に沿って受け入れをしない企業でこっそり働くことが増えているんです。
ソウル聯合ニュースによると、今年韓国に滞在する外国人のうち、不法滞在者が初めて40万人を超えたとのことです。不法滞在者は2014年(20万8000人)で、そこから毎年少しずつ増え続け、2017年(25万1000人)、2018年(35万5000人)と1年間で10万人以上も増えた過去もあります。その後も毎年2000〜4000人増加し、今年40万人を超え、国内にいる外国人の5人に1人が不法滞在者という計算になるそうです。
参照:不法滞在の外国人 40万人突破=韓国 – 聯合ニュース
3-2. ドイツの外国人労働者問題
続いてドイツでの外国人労働者問題についてです。その国々ならではの問題があることがわかると思います。
問題①|難民・移民への差別
アメリカに次いで難民や移民を多く受け入れている、難民受け入れに寛容で、人口のおよそ2割が移民やその子孫からなると言われるドイツですが、今もなお難民や移民への差別があるようです。
少し古いですが、2018年にサッカーのドイツ代表で中心的人物だったメスト・エジル選手(トルコ系移民)は突然引退をし、その引退の理由として「トルコ系市民に対する人種差別がチームにあった」としていて、ドイツ国内のみならず世界中でニュースになりました。
また、ドイツはどんな仕事でも国家資格が必要となる「資格社会」で、職業訓練を受けて国家資格を取る必要があります。ただ、職業訓練を受けても国家資格を得られない人が、69%もいるそうです。その理由というのが、移民の若者が国家資格取得に必要な職業訓練を受けたくても、就職をしたくても、履歴書を送ると中東圏諸国の血筋をもつことがわかるような特有の名前を見ただけで、書類選考で落とされてしまうことが多いからです。
徐々に移民の若者が差別なく職業訓練を受けられるように、就職できるようにという話し合いもされるようになり、今ではいくつかの自治体が動いて、履歴書に国籍や名前等を書かなくてもいい「匿名の履歴書」の制度を始めたということもあります。
参照:ドイツはなぜ難民を受け入れるのか?政治的リーダーシップと強靭な市民社会
4.外国人労働者問題の解決策
「1.外国人労働者問題の現状」の中でも書いた通り、外国人雇用に対する社会問題にたいする解決策を整えていくことはもちろん大事です。ただ、どんな日本人、日本企業に出会うかで外国人労働者の日本という国の見え方は決まります。
だからこそ、まずは外国人労働者を受け入れる各企業でできる解決策を紹介したいと思います。
4-1. 手取り・待遇面が明確にわかる求人票を提示する
手取り額、手当、待遇が明確にわかる求人票で募集・採用することをおすすめします。
日本で働く外国人労働者の多くが持っている働く理由は、お金を稼ぎ母国の家族を養うためです。⾃国と比べ平均賃金も、数倍〜数十倍違うため、借金を抱えてまで日本に稼ぎに来ている方もいます。そのため、「1円でも多く稼ぎたい」という気持ちを持って就職先を探しています。
曖昧な条件記載がある求人票だと、入社後に「聞いていた条件と違う」「面接時には聞いていない」などの不満が出やすくなります。また、そういった不満が転職・退職の引き金となることが非常に多いです。お金関連でのトラブルを最小限にするために、求人票は可能な限り明確にし、実際の手取りがどれぐらいになるかを、最初に伝えたうえで雇用しましょう。
4-2. 外国人労働者の受け入れ体制を整える
受け入れてから起きる問題の多くが、事前に準備できていれば防ぐことができたことばかりです。事前に準備しておくべきこと、整えておくべきことをご紹介します。具体的には下記のようなことです。
- 現場の理解を得る働きかけをする
- 明確なキャリアアッププランを立てる
- 専任の教育担当者を立てる
- 母国語でサポートできる支援体制を整える
現場の理解を得る働きかけをする
採用に携わる人事や管理職の方だけでなく、実際に一緒に働く現場社員に理解を得ることが重要です。どんな国民性があるのか、どんなバックグラウンドを持っているのか、知ろうと思えば事前にたくさんの情報収集ができると思います。現場社員がどれだけ理解を持ってあたたかく受け入れるかが長期雇用の決め手になりますので、現場社員の理解を得ることが先決です。
実際に私もはじめて外国人を受け入れる企業のリーダーの方々、現場の社員皆さんを集めていただき「外国人理解セミナー」を開催したことがあります。その国の情勢や文化、国民性を共有することで現場社員の方には、外国人労働者に対して親近感が湧き、事業所が一丸となって受け入れをしていく心構えを持ってくださいました。その事業所で働きはじめた外国人労働者の方と話すと毎回、「寄り添ってくれる優しい職場です」と言ってくれます。
外国人理解のために東南アジア国籍の人の特徴をまとめた「外国人理解ブック」のダウンロードはこちら
明確なキャリアアッププランを立てる
どんなことができるようになったら評価対象になるのか、努力するとどんなキャリアアップができるのか、プランを明確にしておくことも大切です。
「手取り・待遇面が明確にわかる求人票を提示する」にも少し通じる部分でもありますが、努力をどのように評価してくれるか明確にわかると、モチベーション高く働くことができると同時に、「外国人だから評価されない」などの不満に対して、客観的な事実で対応をすることができます。
私が担当した企業では、日本語能力検定で一つ上のレベルに合格すると手当がつく等外国人向けのキャリアアップのシステムを整えています。外国人労働者は率先して、仕事終わりに勉強をして、年2回の試験チャンスに真剣に臨んでいます。
専任の教育担当者を立てる
異文化や言語の壁に対応できるメンター的な教育担当を専任することも効果的です。特に下記のような人物が教育担当向きです。
- 声をかけられた時に嫌な顔をせず教えることができる人
- 忍耐強い人
- 最後まで人の話を聞ける人
仕事のことだけでなく、いつでも味方でいてくれる相談しやすい存在が職場にいることは、外国人労働者の精神面の悩みや問題を未然にキャッチすることにつながります。
また、毎回違う人から仕事のやり方を教わると、「人によって違うやり方を教えるから混乱する」という外国人の声も多いです。新人の日本人にも同じことが言えるかと思いますが、決まった人から教育した方が混乱が少ないでしょう。
母国語でサポートできる支援体制を整える
やはり外国人労働者は、ある程度日本語でコミュニケーションができる方、流暢に日本語で会話ができる方も非常に増えてきているとはいっても、母国語でのサポートに勝る安心感はありません。細かなニュアンスや法律、税金、保険関連などの、日本人でも理解が難しい複雑なことについては特に母国語で認識に相違なく伝えることが大切です。
ただ、自社で通訳を採用するなども負担が大きいと思いますので、日本には母国語で外国人労働者を支援することができる機関として国から認定を受けている組合や登録支援機関と呼ばれる機関があります。
雇用する外国人の在留資格について理解を深める
外国人労働者を採用する際には、やはり雇用する外国人労働者がどんな職種、業種、業務内容で働くことが許されている在留資格を持っているのかをしっかりと把握しておく必要があります。
入管が許可した在留資格の範囲を超えた業務に従事している場合などは、外国人労働者本人はもちろん雇用している企業も入管法違法に該当する場合があります。在留資格や入管法をある程度理解し、正しくルールを守って雇用することは、雇用している企業の責任の一つと言っても過言ではないのではないのでしょうか。
5.外国人を雇用するメリット・デメリット
5-1. メリット
ここまで多くの外国人労働者の問題を紹介しましたが、それでも冒頭に伝えたように外国人を受け入れている企業がこんなにも多くあるのは、雇用するうえでのメリットもしっかりとあるからです。
- 人手不足の解消
- 社内活性化
- 日本人の指導力向上
メリット①|人手不足の解消
外国人労働者の存在が、日本の深刻な人手不足を救う一番の近道だと思います。厚生労働省によると、少子高齢化により人口の年齢構成が変化していて、生産年齢人口比率は1990年の69.5%をピークに減少がスタートし、2010年は63.7%、2030年には58.5%、2050年は51.8%となることが見込まれているそうです。
そんな日本の現状を受けて、人手不足に悩む12業種向けに、即戦力となる外国人を雇用できる「特定技能」という新たな在留資格の設立もされました。日本人の若い人材獲得競争に苦しみ続けるよりは、海外から働きに訪れている若くて労働意欲に溢れた人材を採用する方が、今の日本では得策なのではないでしょうか。
メリット②|社内活性化
新しい文化や価値観を職場にもたらしてくれることは、日本人社員の良い刺激になったり、社内の活性化につながります。
千葉県の介護施設で働くベトナム人の方は、「ご利用者さんにベトナム料理を振る舞いたい」と提案し、施設設立から初の施設内プチベトナムフェスティバルが開催されたこともあります。栃木県の介護施設の事務長様からは「採用した明るくていつも陽気なネパール人の方のおかげで、日本人介護職員もご利用者さんへの向き合い方を見つめなおせた」ともおっしゃっていました。
マンネリしている社内に新しい風をふかせてくれると思います。
メリット③|日本人の指導力向上
日本人を教育するよりも、外国人にはより丁寧にわかりやすく教育することが求められることで、日本人社員の指導力向上につながります。日本のハイコンテクストカルチャーに慣れていると、なんとなく察することのできる1つの行動の背景や、言語化しなくても伝わることが、外国人には理解できないことが多くあります。
「どうしてやるのか?なぜ必要なのか?」等の意味づけも含めて説明することが必要になってくる外国人への教育は、指導側も大きく成長します。
実際に建設業、宿泊業をされている企業様から「外国人雇用のおかげで、社内マニュアルや教育方法などを見直すいいきっかけになった」と言われたこともあります。「指導の手間が増える」と思いがちなことを、「指導力向上」のチャンスと捉えることが鍵だと思います。
5-1. デメリット
ただし、何事もメリットがあればデメリットもゼロではありません。
- 入管のルールや手続きが複雑
- 文化・習慣の違いによるトラブル
デメリット①|入管のルールや手続きが複雑
日本人の雇用にはないルールや手続きが様々あることはデメリットだと思います。外国人を社員として雇用する場合、日本で働くための在留資格の取得手続きを行い、出入国在留管理局及び難民認定法で決められた条件を満たして審査を経て、在留カードの交付を受ける必要があります。
また、在留資格もたくさん種類がありますので、その在留資格ごとに定められた受入の条件、ルールをしっかりと守っていく必要があります。特に受入した後も定期的な面談や入管への報告書の提出等の支援業務が必須である「技能実習」や「特定技能」は煩雑な手続きが多いです。
ただ、そんな煩雑な手続き、支援を政府から認定を受けた「管理組合」や「登録支援機関」に委託することも可能です。企業の負担を可能な限り減らすことができる外国人雇用のサポートができる機関の力を借りながら、受け入れすることをおすすめします。
上記の「4.外国人労働者問題の解決策」内の「外国人労働者の受け入れ体制を整える」でも記載した母国語でサポートしてくれる企業が、言語面だけでなく書類作成もサポートしてくれるケースもあります。
デメリット②|文化・習慣の違いによるトラブル
育った環境も違えば、文化、価値観も違いますので、やはり日本人の当たり前が通用しないことで起こるトラブルもあります。「郷に入っては郷に従え」という言葉もありますが、それでもやはり文化の違いで違和感を覚えることもあるかと思います。
実際に、弊社でサポートさせていただいていた外国人労働者と企業であったトラブルで、非常にオープンであまり自身の給与について話すことにも抵抗感がない外国人労働者が、職場の日本人社員に自分の給与明細を見せたり、ボーナスを聞いて回ったりということがありました。
外国人労働者を受け入れるということは、新しい価値観や多様性を受け入れる覚悟が必要だと感じます。
6.まとめ
いかがでしたか?
今回は外国人労働者の問題にかかわる様々な観点からのお話しを紹介しました。外国人労働者側の問題もありますが、雇用する側や日本社会が引き起こしている問題も多くあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
今後ますます少子高齢化が進む事が予想される日本、若くて優秀な人材を確保するには外国人採用を検討していく必要があると思います。事前に外国人労働者の現状を知り、どんな問題が起こりうるのか、またそれに対する解決策をもったうえで雇用すればある程度のことには対応できると思います。また、外国人労働者が気持ちよく長く働いてくれる職場は、日本人労働者の長期雇用にも繋がると感じます。ぜひあなたの会社の未来のために外国人雇用を検討してみてはいかがでしょうか?
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