特定技能外国人に受け入れ人数の制限はある?企業ごとに徹底解説します!
人手不足が深刻化している介護、建設などの12分野14業種で外国人を正社員雇用できる在留資格「特定技能」では1事業所当たり何人外国人を雇えるのでしょうか?
結論から言うと、特定技能では雇える外国人の人数制限はありません、
しかし、「介護」と「建設」分野に関しては受け入れ人数に制限がある場合があり、たくさんの外国人を働かせられないケースもあります。
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1. 【最新情報】特定技能に4分野追加が決定
2024年3月29日、政府は人手不足が深刻な分野で外国人労働者を受け入れる特定技能制度の対象に、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加することを閣議決定しました。4月から受け入れに向けて特定技能を取得するための試験準備などが進められています。
参考:NHK NEWS「特定技能」自動車運送業など4分野追加を閣議決定
2.介護・建設以外は特定技能外国人の受け入れ人数に制限はない
特定技能では16分野が指定されていますが、介護・建設を除いた10分野では、企業ごとの特定技能外国人の受け入れ人数に制限はありません。
国全体としては、当初の目的では介護・建設を含めたすべての分野において、2019年から5年間の受け入れ人数として34万5410人を受け入れ上限人数の目標としています。コロナ禍もあったために、実際の受け入れ人数は目標を相当下回っている状況です。
そのため、受け入れ目標人数に関しては1度見直しが行われて数値の変更が行われました。変更後の受け入れ人数の情報につきましては、「4.国全体での特定技能外国人の受入見込み人数」においてご紹介します。
「特定技能外国人を雇用したいけど、どのくらいコストがかかるか分からない」という企業様向けに作成した「特定技能外国人コスト一覧表」のダウンロードはこちらから
3.介護・建設の企業ごとの受け入れ人数枠は?
介護と建設に関して受け入れ可能人数に制限があるとご紹介しました。では、企業ごとに受け入れられる人数は何人なのか、介護分野・建設分野それぞれで解説します。
3-1.介護分野
介護分野における受け入れ可能人数ですが、基本的に「事業所単位」でカウントしていき、原則「日本人等の常勤介護職員の総数」が上限となります。企業全体の総数ではなくあくまでも事業所全体の総数になるので注意が必要です。
日本人等と定められているため、例えば技能実習生や留学生などは「日本人等」には含まれません。ただし、外国人であっても以下の条件に当てはまる場合は「日本人等」に該当し、常勤介護職員の総数に含まれます。
「日本人等」に含まれる外国人
- 介護福祉国家試験に合格したEPA介護福祉士
- 在留資格「介護」により在留するもの
- 永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留するもの
例えば、事業所に10名の日本人等の常勤介護職員がいた場合、10名を上限に特定技能外国人を受け入れられます。
3-2. 【最新情報】訪問介護を特定技能外国人も従事可能に
厚生労働省が外国人人材の介護訪問サービスについて、今は認められていない在留資格「特定技能」の人も従事できるようになります。2024年3月22日、厚生労働省の有識者検討会で大筋了承され、2025年度の実施を見込んでいます。
訪問介護サービスでは、介護を必要とする個人宅を訪れ、直接サービスを提供する形態が基本です。これまでは、在留資格「介護」の保持者、または介護福祉士の資格をもつ経済連携協定(EPA)の出身者に限られていましたが、今回の検討で特定技能に加え、技能実習とEPAに基づく介護福祉士の候補者が解禁されます。この3資格で介護現場で働いているのはおよそ4万6000人に上ります。
訪問介護に関する人手不足は深刻化しており、訪問介護のサービスを受ける人は介護サービス全体の2割程度ですが、需要は年々増えいています。訪問系の22年度の有効求人倍率は15.5倍で、施設勤務の介護職員はおよそ4倍にもなっています。
厚生労働省は、検討会での議論を踏まえて、特定技能などの訪問介護の解禁について要件を具体化し、順次実施する予定です。
参考:厚生労働省「外国人介護人材の業務のあり方に関する検討会」
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3-3.建設分野
建設分野に関しては、「受け入れ企業の常勤職員の数まで」と定められています。介護分野と違うのは企業全体にいる常勤職員の数との比較であり、介護分野と比べても受け入れ枠に柔軟性があります。
介護分野では特定の条件下にある外国人も常勤職員の総数に含まれましたが、建設分野では特にそのようなルールはなく、あくまでも「受け入れ企業の常勤職員の数まで」が受け入れ人数の上限となる形です。
また、建設分野において受け入れ企業ごとに上限が定めれている理由として、国は以下の3つを挙げています。
- 工事によって、建設技能者の就労場所が変わるため、現場ごとの就労管理が必要になる
- 季節や工事受注状況によって、仕事の報酬が変動する可能性がある
- 特に外国人に対しては適正な就労環境確保への配慮が必要である
4.国全体での特定技能外国人の受入見込み人数
「介護」「建設」分野以外では特定技能外国人の受け入れ人数に制限はありませんが、国全体での受け入れ人数が定められており、これが上限といわれています。
ここからは国全体での特定技能外国人の受入れ見込み人数について、2023年末までの人数、2024年以降の人数についてまとめました。
4-1.2023年末まで
2022年に特定技能の受入れ上限の見直しに関して閣議決定が行われ、飲食料品製造業と製造業の2業種に関しては受入れ見込み数の上限を引き上げる一方、外食業や宿泊業など9業種に関しては引き下げが行われました。
ただし、全体の受入れ見込み人数に関しては見直し前と同じ345,150人です。特定の業種の受け入れ見込み数を減らして別の業種の受け入れ見込み数に上乗せする形がとられました。
下記は受入れ見込み数見直し後の人数となります。
分野 | 受入れ見込み数 | (令和5年6月末時点) | 特定技能1号在留外国人数
介護 | 50,900人 | 21,915人 |
ビルクリーニング | 20,000人 | 2,728人 |
(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業) | 製造業49,750人 | 35,641人 |
建設 | 34,000人 | 18,429人 |
造船・舶用工業 | 11,000人 | 6,377人 |
自動車整備 | 6,500人 | 2,210人 |
航空 | 1,300人 | 342人 |
宿泊 | 11,200人 | 293人 |
農業 | 36,500人 | 20,882人 |
漁業 | 6,300人 | 2,148人 |
飲食料品製造業 | 87,200人 | 53,282人 |
外食業 | 30,500人 | 8,842人 |
合計 | 345,150人 | 173,089人 |
出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
業種によっては受入れ見込み数にかなり迫っている業種とまだまだ余裕がある業種が分かれており、人材の確保が進んでいる業種、そうでない業種の存在がはっきりとしてきました。
4-2.【最新情報】2024年度から5年間で特定技能外国人を最大82万人受け入れ見込み
新型コロナウイルスのパンデミックが落ち着いた現在、政府は2024年度から5年間で特定技能外国人の最大受け入れ人数を82万人と見込んでいます。
2023年12月の時点で特定技能外国人数は208,425人ですので、5年後にはその約4倍まで増やす見込みです。
また、新たに追加された4分野では、政府はどのくらいの特定技能外国人数を受け入れようとしているのでしょうか?以下の表に詳しく載せています。
上の表は令和6年度~令和10年度末の5年間の受け入れ見込み人数ですが、新しく追加された4分野において、自動車運送が最も多い24,500人となっています。どの分野も多くの特定技能外国人を受け入れ予定ですので、いち早く受け入れ態勢を整えることが重要です。
参考:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針|出入国在留管理局
参考:出入国在留管理庁|特定技能外国人数
5.まとめ
新型コロナウイルスの影響で想定されていた受入れ見込み数と比べて増え方がかなり鈍く、人材不足の解消にはつながっていない状況がありました。しかし、コロナ禍が落ち着いてきたこともあり、特定技能外国人は増えており、わずか1年で倍以上に増える状況に至っています。このペースであれば、特定技能外国人全体の受け入れ人数の上限に到達するまでそんなに時間はかからないでしょう。
今回ご紹介した内容を踏まえて、特定技能外国人を積極的に採用し、特定業種の知識と経験を併せ持つ優秀な人材を確保して、慢性的な人手不足の改善に結び付けていきましょう。弊社JapanJobSchoolでは特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。