「特定技能」と「特定活動」の違いは?名前は似てるが目的や業種も全然違う!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

令和5年6月末時点で在留外国人数は3,223,858人と過去最高を更新しており、その中でも急激な伸びを見せるのがおよそ17万人ほどの在留資格「特定技能」で、前年から32%ほど増えています。この「特定技能」に似た名前の在留資格に「特定活動」があります。

それぞれ名前は似ていますが、制度の内容は全く異なり、「特定技能」は人手不足の業界に人手を補うことが目的で設立され、「特定活動」は外国人が多様な目的で入国するのに対応する目的で作られました。

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目次

1.特定技能と特定活動の違い!どっちを選べばいい?

まず最初にご紹介するのは「特定技能」と「特定活動」の違いについてです。それぞれの在留資格はいつ設けられたのかを含め、2つの在留資格の違いについて解説します。

1-1.最も大きな違いはビザが創設された目的

2つの在留資格には違いもいくつかありますが、その中でも最大の違いは「ビザが創設された目的」です。どのような目的で創設されたのか、それぞれの在留資格で比較していきます。

「特定技能」は人手不足を補うことが目的

2019年4月に新設された「特定技能」は、その目的は国内で人材確保が難しい一部の産業において、専門性やスキルを持つ外国人を受け入れるためです。新設から5年ほど経っていますが、その間、在留資格「特定技能」を取得した外国人は急増しており、その伸びはコロナ禍以降さらに伸びている状況です。

2024年3月には現在の12分野から16分野まで増やすことが決定し、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」が追加される方針となっています。今後ますます特定技能の資格を得た外国人が多く来日する可能性が高まっていると言えるでしょう。

特定技能について詳しく知りたい方はこちらの記事で解説しています。

「特定活動」は外国人の入国の多様化に対応する目的

一方、在留資格「特定活動」は、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」という基準の下に与えられています。具体例では「アマチュアスポーツ選手及びその家族」や「医療滞在及びその同伴者」、「スキーインストラクター」、「日系四世」などがあります。※

※:出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』」

在留資格「特定活動」がある理由は、その他の在留資格に該当しないものの、日本へ入国する理由が正当なものであれば在留を認める必要があるからです。いわば、外国人の入国の多様化に対応する目的と言っても過言ではありません。

特定活動は現在46種類も想定しており、それぞれに在留期間や条件が定められています。その種類だけで見れば特定技能よりも段違いに多いことが言えるでしょう。

特定活動に関して詳しく知りたい方はこちらを記事で解説しています。

1-2.対象業種・在留期間も異なる

特定技能と特定活動では対象業種や在留期間も異なります。例えば、特定技能1号の在留期間は通算で上限5年となっており、2号になれば在留期間の上限が存在しません。

46種類もある特定活動の場合には在留期間が46種類それぞれバラバラで、5年の在留期間が与えられているものもあれば、法務大臣が個別に期間を指定できるケースもあります。

この他にも対象業務で見ると、特定技能は2024年2月時点で介護や外食業などの12分野、以降16分野になる可能性があり、特定活動はインターンシップやワーキングホリデー、研究等の活動など様々な活動が対象となっています。

2.人手不足を補うための「特定技能」

ここからは「特定技能」について解説します。特定技能は現状人数を大きく伸ばしている在留資格ですが、どのようなシステムの資格なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。特定技能の詳細について解説していきます。

2-1.特定技能とは

特定技能は2019年に新設された在留資格です。専門性やスキルを持つ外国人に来日してもらい、国内の特定産業における人手不足をカバーしていく狙いがあります。

特定技能の対象分野・業種

在留資格「特定技能」が取得できる特定分野は以下の12分野です。

【最新情報】新しく4分野が追加決定

2024年3月29日、政府は人手不足が深刻な分野で外国人労働者を受け入れる特定技能制度の対象に、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加することを閣議決定しました。

追加される予定の4分野はこちらです。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

2-2.特定技能は2段階に分かれている

特定技能は2段階に分かれています。最初に与えられるのが特定技能1号で、その次が特定技能2号です。それぞれの違いについて解説していきます。

特定技能1号

特定技能1号は事前に定めた特定産業分野において、一定の知識と経験などを持つ人が得ることができる在留資格です。在留期間は「法務大臣が個々に指定する期間」となっており、通算で上限5年です。

特定技能は家族の帯同が認められないほか、取得の際には技能実習から移行する場合以外は日本語能力に関する試験、各分野に関する試験を受け、合格する必要があります。

特定技能2号

一方で特定技能2号に関しては、特定産業分野において熟練した技能を要する業務に従事し続ける人が対象となっています。特定技能2号のいいところは、更新の上限が存在しない点です。特定技能1号では通算5年だったところ、特定技能2号では事実上無制限となります。

特定技能1号では永住権の取得は不可能ですが、特定技能2号では永住権の要件を満たせます。また、特定技能1号では認められなかった家族の帯同も特定技能2号では条件付きながら可能です。

その代わり、特定技能2号になるには特定技能1号で一定の経験を重ね、特定技能2号の試験に合格する必要があります。令和5年6月末では建設分野で12人しかいないなど、特定技能2号になっている外国人は数えるほどしかいません。しかし、今後その数が増える可能性は極めて高いでしょう。

特定技能1号と2号の違いに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

2-3.技能実習との違い

特定技能と似たようなものに「技能実習」があります。

ただ目的のところから特定技能と技能実習はだいぶ異なります。特定技能は国内の人手不足の解消のためですが、技能実習は日本で得た技術を持ち帰ってもらうという理由です。国際貢献の一環で技能実習制度が設けられましたが、特定技能ではあくまでも人手不足のためです。

また、特定技能では転職が可能であるのに対し、技能実習では転職ができません。ただ、転職ができないことをいいことに劣悪な環境で働かせる事業所が多く、社会問題化しているので、技能実習はまもなく廃止される見通しです。

特定技能と技能実習の違いを詳しく知りたい方はこちらの記事で解説しています。

2-4.特定技能のメリット

特定技能外国人を受け入れるメリットには様々なものが挙げられます。まずは人手不足の解消につながること、即戦力が賄えることなどが特定技能のメリットして存在します。しかも、日本語能力を既にパスして特定技能の資格は得ているので、安心して受け入れられるでしょう。

今後特定技能2号への移行を目指して特定技能1号を取得する人が増えることや、技能実習ではなくいきなり特定技能を利用する外国人など様々なケースが想定されます。それくらいに、特定技能のメリットがいくつもあることが言えるでしょう。

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特定技能のメリットをさらに詳しく知りたい方はこちらで解説しています。

3.多様な種類があり、目的によって選べる「特定活動」

ここからは特定活動について解説します。実に多彩な種類を誇る特定活動ですが、一体どういう在留資格なのか詳しくご紹介します。

3-1.特定活動とは

在留資格「特定活動」は、決まった職種がない中で在留に正当性がある場合に与えられる在留資格です。いちいち在留資格を作って法改正を行うよりも、ケースバイケースで法務大臣が柔軟に対応して許可を出すだけで問題なく、臨機応変に設定できるのも特定活動のメリットです。

特定活動の在留期間

特定活動の在留期間はそれぞれで異なります。5年の在留期間が与えられているものもあれば、法務大臣が個別に期間を指定できるケースもあります。

在留期間の延長が認められているケースやワーキングホリデーのように更新を認めないケースなど46種類の中でバラけて存在しています。在留期間の計算式も46種類の中で異なるので、注意が必要です

3-2.特定活動の種類

特定活動には以下の3種類が存在します。

  1. 出入国及び難民認定法に規定されている特定活動
  2. 告示特定活動
  3. 告示外特定活動

ここからはそれぞれの特定活動の種類についてご紹介していきます。

出入国及び難民認定法に規定されている特定活動

「出入国及び難民認定法に規定されている特定活動」に該当するものとして3種類あります。

  • 特定研究活動
  • 特定情報処理活動
  • 特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動

特定研究活動に関しては、高度人材と呼ばれる外国人を受け入れるために作られたもので、専門性の高い研究を行う外国人が審査の対象となります。

特定情報処理活動は、自然科学分野や人文科学分野における技術、知識を必要とする情報処理活動の仕事に従事する外国人を対象としたものです。そして、上記2つの在留資格を得た外国人の家族に与えられたものが「特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動」となります。

告示特定活動

告示特定活動は、法務省が定めた特定活動を指し、46種類の特定活動が存在します。1号から50号まであり、欠番となっているものは削除されてしまった特定活動で、48号に関しては2021年に行われた東京オリンピック関連のものです。

1号告示は外交官家事使用人、2号は高度専門職・経営管理家事使用人と決められており、50号がスキーインストラクターです。

この告示特定活動はそれぞれ要件が定められており、しっかりと運用がなされ、時に見直しも行います。例えば、2023年12月には「日系4世」に関する要件が緩和されたことがニュースとなりました。※

※:朝日新聞「日系4世の受け入れ拡大へ、入国時の要件など緩和 年内に告示見直し」

日系4世の資格は元々日本で働きながら日本の文化を学ぶことができる制度として新設され、生活支援を行うサポーターの存在や、5年の在留以降は本国に帰ることを大前提としていました。その後、在留資格「定住者」の資格への変更を可能にしており、多くの日系人を受け入れられるような形になっています。

このように今も見直しが進められており、今後特定活動の数が増えたり、中身が見直されたりする可能性は十分に考えられます。

告示外特定活動

告示外特定活動は、「出入国管理及び難民認定法されている特定活動」や「告示特定活動」のいずれにも該当していない特定活動を指します。法務大臣が外国人の事情を鑑みて在留資格を与えていきます。

この場合に告示外特定活動に該当するのは、その時点で日本に入国しているものの、理由があって告示外特定活動の資格を与えなくてはならなくなったケースです。

具体的な例を出すと、在留資格変更許可の申請を出したにもかかわらず不許可になってしまった場合です。この場合、いずれ日本を出国しなくてはならないので、出国するまでの間、特定活動に切り替えて対応を行うことになります。

4.まとめ

今回は特定技能と特定活動の違いなど、多くの人が気になる情報を中心に解説してきました。

特定技能で活動する外国人は年々増えており、コロナが落ち着いてからその数は一気に増えました。一方で、特定活動を利用する外国人は減っており、これまでの需要と供給が若干変わってきていると言えるでしょう。今後特定技能の分野が増える可能性が示唆されているため、その数はさらに増えることが予想されます。

今回ご紹介した内容を踏まえて、何かしらの特定技能資格を得た外国人労働者を積極的に採用し、日本で働きたい外国人を素早く確保していきましょう。弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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