特定技能「宿泊業」|外国人をホテル・旅館で採用する方法・給与水準・試験問題を簡単解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

「特定技能」とは2019年4月に新しく創設された制度(在留資格)で、人手不足とされる介護や宿泊業などの12分野において、外国人が正社員として働くことができる在留資格です。

現在特定技能外国人が急増しており、政府も2024年3月に「自動車運送業」「鉄道」など新たに4分野の追加を決定するなど、積極的に外国人を受け入れています。今回はそんな特定技能の宿泊業で採用する方法をわかりやすく解説します。

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そもそも特定技能について詳しく知りたい方へ
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目次

1. 特定技能「宿泊業」とは?

特定技能は人手不足対策として導入された外国人材受入れ政策の一つです。ホテルや旅館などの宿泊施設でも人手不足は深刻化しており、外国人材を積極的に活用する宿泊施設も増加しています。

この特定技能では、一定の日本語力、知識やスキルを有した外国人に宿泊施設のフロント、企画・広報、接客、レストランなどのサービスの提供に係る業務に従事させることが可能です

特定技能には1号と2号があり、1号で5年間満了したら2号に移行でき、永続的に働いてもらうことが可能です。

特定技能宿泊分野は以前まで特定技能2号の対象分野ではありませんでしたが、2023年6月に入管法が改正され宿泊分野も2号の対象分野になりました。

特定技能に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

2. 特定技能「宿泊業」の業務区分と業務内容

特定技能「宿泊業」において、特定技能外国人が従事する業務区分は、以下の通りです。

  • フロント業務ーチェックイン・アウト、周辺の観光地情報の安寧、ホテル発着ツアーの手配等
  • 広報業務ーキャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、HP・SNS等における情報発信等
  • 接客業務ー館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応等
  • レストランサービス業務ー注文への応対やサービス(配膳・片付け)、料理の下ごしらえ・盛り付け等

また、付随的な業務は「関連業務」として担当してもらうことができますが、関連業務のみに従事させるということは認められていません。主な業務を中心に仕事を割り振ることが求められます。

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参考:法務省:の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -宿泊分野の基準について

2-1.「技術・人文知識・国際業務」との違い

宿泊施設では、特定技能外国人だけでなく「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持った外国人も活躍しています。

しかし、この在留資格は大学などで学んだ知識や実務経験が必要だったり、学術的素養を背景とした業務を対象にしたりする点で、「特定技能」とは異なります。

ですのでホテルの業務で主に客室の清掃、ベッドメイキングなどを行う業務に従事するのであれば、単純労働とみなされて、「技術・人文知識・国際業務」の取得は難しくなります

もしそのような清掃業務メインで外国人を雇うなら特定技能ビルクリーニングという在留資格で可能です。

3. 特定技能「宿泊業」の企業の要件

宿泊業の特定技能外国人を受入れるためには、受入れるホテルや旅館が旅館業の許可を取得していなければなりません。ただし、簡易宿所営業や下宿営業での特定技能外国人受入れは不可となっています。

また、初めて特定技能外国人を受入れる施設については、受入れから4カ月以内に「協議会」へ加入し、国土交通省が行う調査や指導に対し必要な協力を行わなければならないこととされています。

3-1.協議会とは

協議会とは、「特定技能外国人の適正な受入れ及び保護を行う」ことを目的として組織された機関です。この記事を執筆している時点では入会金や年会費などは不要で、入会したからといって何らかの活動が必要なわけでもありませんが、法律上強制加入となっています。

協議会の加入期限は特定技能外国人を受入れ始めて4カ月以内です。適切に加入手続きをしておかなければ特定技能外国人の在留資格の更新ができなくなりますので、注意が必要です。

参考:宿泊分野特定技能協議会規約

4. 外国人が特定技能「宿泊業」を取得するには?

では次に外国人がどう特定技能「宿泊業」を取得できるのかご説明します。取得するには2つの試験を受けて合格する方法と技能実習からの移行の2つのルートがあります。

4-1.2つの試験に合格する

技能実習生ではない外国人が特定技能「宿泊業」を取得するには、日本語の試験と宿泊業に関する知識を問う技能試験の2つに合格する必要があります。詳しくは後の章でご説明します。

4-2.宿泊分野の技能実習から移行する

外国人が技能実習生なら以下の2つの条件を満たしていれば特定技能に移行することが可能です。

  1. 技能実習2号を良好に終了している
  2. 従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる

技能実習2号を良好に終了している、とはこのような状態のことをいいます。

  • 技能実習を2年10か月以上終了している
  • 技能検定3級、もしくは技能実習評価試験の実技試験に合格している、もしくは特定技能外国人が技能実習を行っていた実習実施者により、当該外国人の実習中の出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等を記載した評価に関する書面「評価調書」を取得している

詳しくはこちらの記事でまとめているのでぜひご覧ください

特定技能宿泊業で外国人の採用をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。
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5.特定技能「宿泊業」の試験内容

では先ほどご説明した試験について詳しく解説していきます。

5-1.日本語を測る試験

まず日本語能力についてです。特定技能外国人に関しては、「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準」を有していることが求められています。

具体的には以下の4つのうちのいずれかを満たすこととなっています。

  1. 技能実習2号を終了していること
  2. 日本語能力試験(JLPT)のN4以上に合格すること
  3. 国際交流基金日本語基礎テストに合格すること
  4. 「日本語教育の参照枠」のA2相当以上の水準と認められるもの

以下では、2番と3番の試験について解説します。

参考:法務省:特定技能外国人受入れに関する運用要領
   法務省:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -ビルクリーニング分野の基準について

日本語能力試験

日本語能力試験は外国人向けの日本語を測る試験としてもっともメジャーなものです。特定技能外国人が取得することが必要な日本語能力試験のN4とは、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベルとされています。語彙や文法、リスニングなどの問題が出題され、180点満点中90点以上獲得で合格です。

日本語能力試験の試験問題・解答テキスト

日本語能力試験については、受験者も多いことからテキストもさまざまな出版社から発行されています。公式問題集も、日本語能力試験のウェブサイトから購入可能です。

日本語能力試験の試験日程

毎年7月と12月の第一日曜日に試験が実施されます。試験会場については日本国内だけでなく世界各国でも行われているため、海外で受験することが可能です。

外国人がどれくらい日本語力があるか知りたい方はこちらの資料で詳しく解説しています

国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストは、「就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定することを目的」とした試験です。語彙や会話、リスニングなどの問題があり、250点満点中200点以上得点すると合格です。

参考:国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストの試験問題・解答テキスト

テキストについては、国際交流基金が発行している日本語教材などが公式ウェブサイトで紹介されています。

国際交流基金日本語基礎テストの試験日程

国際交流基金日本語基礎テストはCBT方式で行われる試験で、日本国内ではほぼ毎日どこかの都市で実施されています。海外でも、特定技能外国人の割合が多いインドネシアやフィリピンなどでは1カ月に数回の頻度で開催されていて、受験しやすい環境が整備されています。

5-2.技能評価試験

特定技能外国人には、日本語能力に加えて所定の技能水準が求められています。

技能評価試験の試験内容

試験は一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施しており、実技試験学科試験があります。出題範囲については、以下のようになっています。

↓↓↓執筆者註・以下引用です↓↓↓

宿泊業で必要とされる技能や知識である「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生その他基礎知識」の5つのカテゴリーより出題され、日本の旅館・ホテルでの業務に従事するための技能レベルを確認します。試験は学科・実技に分かれ、学科試験は真偽法による30問を出題、実技試験は上のカテゴリーより、現場を想定した実際の対応能力を判定いたします。

参考:一般社団法人宿泊業技能試験センター

試験は国内外で行われており、国内試験の最近の合格率は50%前後となっています。確実に合格するには事前学習が欠かせません。

技能評価試験の問題・解答テキスト

実技試験の過去問と学科試験のサンプル問題は、宿泊業技能試験センターのウェブサイトで公開されており、問題の難易度を事前に把握することが可能です。

また、宿泊業の協議会が作成した「宿泊業における生活・業務マニュアル」も宿泊業技能試験センターのウェブサイトで公開されています。31ページありますが、このマニュアルから複数の問題が出題される模様ですので、読み込んでおくことをおすすめします。

6. 特定技能「宿泊業」で採用する方法

6-1.技能実習から特定技能への移行

先ほどもご説明しましたが、宿泊職種で技能実習3号を良好に修了した人材であれば、先に述べた日本語試験や技能評価試験を受けることなく特定技能へ移行することができます。宿泊職種の技能実習生を受入れている企業がよく活用する方法となります。

6-2.留学生から特定技能への移行

留学生から特定技能へ移行するためには、在学中に日本語の試験と技能評価試験に合格しておく必要があります。卒業と同時に特定技能へ移行することができるよう、計画的に試験を受けることが大切です。

6-3.海外からの採用

日本語の試験、技能評価試験ともに海外でも開催されていますので、海外で合格した人材を採用することも選択肢の1つです。また、宿泊職種の技能実習を3年終えて帰国している人材を呼び寄せることも可能です。

なお、海外から採用する場合は、現地大使館へのビザ申請なども必要となるため、国内人材の採用よりは時間を要することがやや難点です。。

7. まとめ

いかがでしたか。
弊社のお客さまの中にも、これから外国人観光客がどんどん増えていくことを想定して、特定技能「宿泊」で採用をする企業様も増えてきています。少しでも興味がありましたら、無料相談も活用してみてください。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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