特定技能「ビルクリーニング」とは|制度内容・注意点・採用方法を簡単解説
この記事では、ビルクリーニング分野における特定技能外国人の受入れについて解説しています。特に、採用方法や採用までの流れ、ビルクリーニング分野で特定技能外国人が従事できる業務、受入れ企業・外国人サイドの要件などをまとめています。
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1. 特定技能「ビルクリーニング」とは?
特定技能とは、2019年4月に新しく創設された在留資格です。
特定技能制度は製造業や建設業など人手不足に悩む14業種が対象となっており、この中にビルクリーニングも含まれています。この記事ではビルクリーニング分野での特定技能人材の受入れについて解説します。
特定技能の概要について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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【令和6年6月最新版】特定技能「ビルクリーニング」の受け入れ人数
令和2年度の厚生労働省の報告書によると、今後5年間で特定技能ビルクリーニングの受け入れ人数は最大で37,000人を想定しています。
一昨年の令和4年6月末時点での特定技能ビルクリーニングの受入れ人数が1,133人、一年前の令和5年6月末時点で2,728人、今年、令和6年6月末時点での特定技能ビルクリーニングの受け入れ人数は4,635人と毎年人数が2倍近く増えている傾向にあるので今後もますます増加していくことが予想されます。
参考:厚生労働省「ビルクリーニング分野における外国人材 受入れ体制適正化調査 事業報告書」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」
2. 特定技能「ビルクリーニング」の分野・業務内容
ビルクリーニング分野においては、ビルクリーニングに関する業務を特定技能人材に担当してもらうことができます。
具体的な業務は以下の通りです。
特定技能「ビルクリーニング」ではベットメイキング業務に従事可能
よくある質問に、ビルクリーニングで採用した特定技能人材にベッドメイキング業務を担当させられるのかというものがあります。結論として、特定技能人材がベッドメイキング業務に従事することは可能です。
ただし、ベッドメイキング業務は主たる業務として想定されているものではありません。制度上は「日本人もベッドメイキングをしているのであれば、特定技能外国人にもさせていいですよ」となっていることにご注意下さい。
3. 特定技能「ビルクリーニング」で採用できる企業の要件
ビルクリーニング分野で特定技能外国人を採用するためには、当然のことながら、受入企業がビルクリーニングに関する事業を行っていなければなりません。具体的には、「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている必要があります。また、以下で述べるように「協議会」の構成員となり、必要な協力を行うことも要件の一つとなっています。
3-1. 建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業への登録
建築物清掃業
建築物清掃業とは建築物内の清掃を行う業務(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない)を行っている企業が登録を受けられるものです。登録には以下の条件があります。
①物的条件
次の機械器具等を所有していること
- 真空掃除機
- 床みがき機
②人的条件
- 清掃作業監督者がいること
- 従事者研修を行っていること
詳しくはこちらのサイトをご覧ください
建築物清掃業ー東京都健康安全研究センター
建築物環境衛生総合管理業
建築物環境衛生総合管理業とは建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業を行っている企業が登録を受けられるものです。
登録には以下の条件があります。
①物的要件
次の機械器具等を所有していること
- 真空掃除機
- 床みがき機
- 浮遊粉じん量測定器
- 一酸化炭素検定器
- 二酸化炭素検定器
- 温度計(0.5 度目盛)
- 乾湿球湿度計(0.5 度目盛)
- 風速計(0.2 メートル毎秒以上の気流を測定することができる測定器)
- 測定に必要な器具(測定器固定用台車等)
- 残留塩素測定器(DPD法)
②人的要件
次のような人材がいること
- 統括管理者
- 清掃作業監督者
- 空気環境測定実施者
- 空調給排水管理監督者
③その他
- 従事者研修を行っていること
詳しくはこちらのサイトをご覧ください
建築物環境衛生総合管理業ー東京都健康安全研究センター
3-2. 協議会への参加
協議会とは、ビルクリーニング分野での特定技能に関し厚生労働省が設置している機関です。設置要項によると、「特定技能外国人の適正な受入れ及び保護に有用な情報を共有し、その構成員の連携の緊密化を図ることや、(中略)制度の趣旨や優良事例を全国的に周知するとともに、地域における人手不足の状況を把握し、必要な措置を講ずること」が設置目的とされています。
協議会の加入期限は特定技能外国人を受入れ始めて4カ月以内となっています。適切に加入手続きをしておかなければ特定技能外国人の在留資格の更新ができなくなりますので、注意が必要です。
4. 特定技能「ビルクリーニング」を採用する上での注意点
ビルクリーニング分野では、特定技能外国人の派遣やパート・アルバイトでの雇用は認められていません。
雇用形態はフルタイム直接雇用のみとなっています。そのため、特定技能外国人も必ず社会保険に加入させることが必要です。
また、特定技能外国人は転職が自由となっているため、採用して数カ月で転職してしまうということも考えられます。受入れ体制を万全にして、転職されないような職場環境を作ることも大切です。
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5. 特定技能「ビルクリーニング」の採用までの流れ
特定技能外国人の採用までのモデルケースは、以下のようなものになっています。
すべてが順調に行った場合でも、面接から入社まで少なくとも2カ月は必要です。
申請書類に不備があった場合や、海外からの採用の場合であれば、面接後3〜4カ月は掛かると考えておいたほうがいいでしょう。
6. 特定技能「ビルクリーニング」の外国人側の要件
6-1. 日本語能力水準
特定技能外国人については、「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準」を有していることが求められています。
具体的には、下記の4つのうちのいずれかを満たすこととなっています。
- 技能実習2号を終了していること
- 日本語能力試験(JLPT)のN4以上に合格すること
- 国際交流基金日本語基礎テストに合格すること
- 「日本語教育の参照枠」のA2相当以上の水準と認められるもの
技能実習とは何か、また技能実習から特定技能への移行はこちらの記事で解説しています。
6-2. 技能水準
特定技能外国人には、日本語能力に加えて所定の技能水準が求められています。
この水準は、ビルクリーニングの技能実習2号を修了するか、ビルクリーニングの技能評価試験に合格することで満たすことができます。
7.特定技能「ビルクリーニング」の試験内容
上記にもありました通り、基本的に技能実習から移行するのでなければ日本語力を図る試験と技能試験を受ける必要があります。
7-1. 日本語試験
日本語試験は主に2つあり、「日本語能力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」の2つをご紹介します。
日本語能力試験の試験内容・テキスト
日本語能力試験のN4とは、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベルとされています。語彙や文法、リスニングなどの問題が出題され、180点満点中90点以上獲得で合格です。
外国人向けの日本語能力試験としてもっともメジャーな試験で、テキストもさまざまな出版社から発行されています。公式問題集も、日本語能力試験のウェブサイトから購入可能です。
日本語能力試験の試験日程
日本語能力試験は毎年7月と12月に試験が実施されます。試験会場については日本国内だけでなく世界各国でも行われているため、海外で受験することが可能です。
日本語能力検定につきましてはこちらの記事で詳しく解説しています。
国際交流基金日本語基礎テストの試験内容・テキスト
国際交流基金日本語基礎テストは、「就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定することを目的」とした試験です。語彙や会話、リスニングなどの問題があり、250点満点中200点以上得点すると合格です。
テキストについては、国際交流基金が発行している日本語教材などが公式ウェブサイトで紹介されています。
国際交流基金日本語基礎テストの試験日程
国際交流基金日本語基礎テストはCBT方式で行われる試験で、日本国内ではほぼ毎日どこかの都市で実施されています。海外でも、特定技能外国人の割合が多いインドネシアやフィリピンなどでは1カ月に数回の頻度で開催されていて、受験しやすい環境が整備されています。
7-2. 技能試験
技能評価試験の試験内容・テキスト
試験は全国ビルメンテナンス協会が実施しており、実技試験と学科試験(判断試験)があります。実技試験の問題と学科試験の過去問は、全国ビルメンテナンス協会のウェブサイトで公開されており、事前学習が可能です。
技能評価試験の試験日程
試験日程についても、全国ビルメンテナンス協会のウェブサイトで公表されています。国内試験は半年に1回の頻度で開催されており、国外での試験はインドネシア、フィリピン、ミャンマーで開催実績があります。
ビルクリーニング分野での特定技能外国人の需要は今後も見込まれるため、開催国や開催頻度は増えていくものと思われます。
参考:特定技能外国人受入れに関する運用要領
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -ビルクリーニング分野の基準について
日本語能力試験
国際交流基金日本語基礎テスト
日本語試験と技能試験についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
8.まとめ
いかがでしたでしょうか?
特定技能ビルクリーニングで働く外国人はこれからさらに増えていくかとおもいます。フルタイムで採用をしたいとお考えの企業様は検討してみてはいかがでしょうか。
自社はビルクリーニングを受け入れできるのか?費用はどのくらいかかるのか?など少しでも気になる点があれば、
オンライン無料相談も行っているので、お気軽にご相談ください。