外国人労働者の社会保険【基礎知識】|制度の概要をわかりやすく解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

社会保障制度のうち、年金・医療・介護などをカバーするのが「社会保険」です。国民皆保険が日本の社会保険制度の特徴で、国籍に関係なく適用されます。外国人を雇用する事業所にも加入義務などが生じます

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目次

1. 外国人労働者も社会保険加入は必要?

日本に住所がある人(日本国内に住所がある人、住民基本台帳に登録されている人)は、外国人を含め、原則として、公的な社会保険に加入しなければなりません。就労のために一般的な在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」はもちろん、「特定技能」「技能実習」も社会保険に加入する必要があります。

1-1.対象者

厚生労働省と日本年金機構が、日本語を含む15の言語で、「みんなのための『社会保険』」というパンフレットを作成しています。この中で、社会保険(主に健康保険と年金保険)について、以下のような説明をしています。

日本にお住まいの方は、原則として、国籍によらず、日本人も外国人も必ず加入いただくユニバーサルな仕組みです!

出典:厚生労働省・日本年金機構 パンフレット「みんなのための『社会保険』」(日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、インドネシア語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語、カンボジア語、ロシア語、ネパール語、モンゴル語)

職場の健康保険(企業の従業員などが加入する健康保険)に加入する場合は、一定の条件を満たせば、追加の保険料を負担することなく、扶養している家族を健康保険の扶養対象にすることもできます。詳しくは、健康保険の箇所をご覧ください。

2. 外国人労働者を採用する際の社会保険

健康保険と年金は、

・職場の健康保険に加入する事業所かどうか(適用事業所かどうか)
・労働時間や労働日数が、通常の就労者と比べてどうか

によって、加入する人(被保険者)が区分されます。
日本に住所がある人であれば、多くの場合、外国人と日本人とで差はありません。

2-1.健康保険

健康保険には、企業などの従業員やその家族らが加入する職場の健康保険(被用者保険)と、職場の健康者保険の対象にならない人が加入する国民健康保険があります。

職場の健康保険の対象者(被保険者)とは

職場の健康保険(被用者保険)が適用される事業所で正社員として働いている人は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、一部の「適用除外」にあてはまる人を除いて、すべて職場の健康保険の対象者となり、職場の健康保険に加入します。一定の条件を満たすアルバイト・パートタイム労働者も対象となります。

【職場の健康保険の加入対象となるアルバイト・パートタイム労働者】

  1. 1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務を行っている正社員などの通常の労働者の4分の3以上である人
    ⇒例えば、通常の労働者の1週間の所定労働時間が40時間、1カ月の所定労働日数が20日間の場合は、1週間に30時間以上、1カ月に15日以上、働いている人が対象になります

2. 週の所定労働時間や月の所定労働日数が通常の労働者のそれぞれ4分の3未満であっても、以下の①~⑤の要件すべてに該当する場合は、被保険者となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金が8.8万円以上
  3. 勤務期間が2か月以上見込まれること。
  4. 学生でないこと。(夜間,定時制の方は除く)
  5. 従業員101人以上の企業であること。または従業員100人以下の企業で、労働組合などと事業主が社会保険の加入について合意していること。(2024年10月からは従業員51人以上の企業が対象となります)

参考:日本年金機構「年金Q&A」

健康保険の扶養対象

職場の健康保険では、労働者の家族も扶養対象とすることができます。扶養対象(被扶養者)とすることができる家族の範囲や収入の基準には、日本人・外国人の差はありません。配偶者は、事実婚の相手も含まれます。ただし、扶養対象の家族は、日本国内に住所がある人に限られます(一部例外があります)。

被扶養者の範囲図

 

出典:協会けんぽ 被扶養者とは

国民健康保険

国民健康保険は、職場の健康保険に加入しない人などが入ります。外国人も、観光などを目的にする人を除いて、日本に住所があり、職場の健康保険に入っていない人は国民健康保険に入らなければなりません。

【国民健康保険に加入する必要がある外国人】

  1. 適法に日本に中長期在留する人
  2. 特別永住者の人
  3. 一時庇護のために上陸の許可を受けた人
  4. 仮滞在の許可を受けた人
  5. 出生により日本に在留することとなった人
  6. 日本国籍の喪失により日本に在留することとなった人

出典:茅ヶ崎市ホームページ 外国人の国民健康保険

【住民票がなくても、国民健康保険に加入できる場合がある外国人】

  • 3カ月を超えて日本に在留すると認められる人で、
  • かつ、次のいずれかの「在留資格」を持っている人
  1. 興行
  2. 技能実習
  3. 家族滞在
  4. 特定活動(ただし、医療を受ける目的で日本に滞在する場合や観光などのために90日以上日本に滞在する場合は、国民健康保険に加入できません。)
  5. 公用

参考:茅ヶ崎市ホームページ 外国人の国民健康保険

【国民健康保険に加入する必要がない外国人】

  1. 在留期間が3か月以下の人
  2. 在留期間が切れている人
  3. 在留資格が「外交」または「短期滞在」の人
  4. 会社の健康保険などの社会保険に加入している人
  5. 生活保護を受けている人
  6. 日本と社会保障協定を締結している国から発行されている適用証明書を持参している人
  7. 在留資格が「特定活動」の人のうち、医療を受ける目的で日本に滞在する人やその介助者、または観光保養などのために90日以上日本に滞在する人及び同じ目的で滞在する配偶者
  8. 75歳以上の人(後期高齢者医療制度加入のため)
  9. 不法滞在など、在留資格のない人

出典:茅ヶ崎市ホームページ 外国人の国民健康保険

国民健康保険の保険料・扶養・納付

国民健康保険の保険料は、加入する人の住む市区町村によって異なり、世帯の中で国民健康保険に加入する人数、年収などによって決まります。なお、国民健康保険には、同種の事業または業務に従事する人で組織する国民健康保険組合が運営するものもあり、こちらは組合員の区分により、保険料が変わります。

国民健康保険には扶養という考え方やしくみはありません。扶養している家族でも、それぞれが国民健康保険に加入しています。
国民健康保険の保険料は、口座振替や納付書により、市区町村などに納付します。

2-2.厚生年金保険

日本の公的年金は、日本に住所がある20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務している人が国民年金に「上乗せ」する形で加入する「厚生年金」の2階建てになっています。いずれも日本に住所がある外国人も対象になります。

厚生年金保険の加入対象・保険料・扶養

職場の健康保険に加入している労働者は、厚生年金保険に加入します。適用事業所の条件、加入の条件は、職場の健康保険と同じです。厚生年金保険の加入対象にならない人は、国民年金に加入します(厚生年金保険に加入する人は、国民年金第2号被保険者にもなります)。

厚生年金加入者に扶養されている配偶者は、厚生年金には加入せず、国民年金の第3号被保険者となります。厚生年金加入者も配偶者も、配偶者の国民年金保険料を納付する必要はありません。また、職場の健康保険と同様、配偶者は日本国内に住所がある人に限られます。

国民年金(基礎年金)

外国人を含め、日本に住所がある20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入します。アルバイトやパートタイム労働者、無職の人も加入します。

国民年金保険料は、定額で、2023年度は月額16,520円です。口座振替や金融機関などから日本年金機構に納付します。
国民年金には、扶養という考え方はありません。配偶者に扶養されている人でも、配偶者が厚生年金保険に加入していない場合は国民年金に加入し、自分の分の保険料を納付します。

2-3.介護保険

外国人であっても、日本に住所があり、65歳以上の人または40歳以上65歳未満の健康保険加入者は、介護保険に加入します。
40歳以上65歳未満の健康保険加入者は、健康保険の保険料と合わせて介護保険料を納付します。

国民健康保険の加入者の保険料は、市町村などごとに、世帯の中で被保険者となる人数、年収などによって決まります。
65歳以上の人は、住んでいる市区町村に保険料を納付します。

介護保険の扶養は、職場の健康保険あるいは国民健康保険の扶養の考え方・しくみと同様です。ただし、職場の健康保険が「特定被保険者制度」を採用している場合は、扶養する家族の分の介護保険料を納付することになります。多くの健康保険組合がこの制度を採用していますが、最も多くの労働者やその家族が加入する協会けんぽは、この制度を採用していません。

3. 外国人労働者を採用する際の労働保険

3-1.雇用保険

労働者を雇用する事業は、その業種、規模などを問わず、すべて雇用保険の適用事業となります。適用事業に雇用され、適用要件に該当する労働者は、外国人であっても原則としてすべて雇用保険の加入者(被保険者)となります。

【雇用保険の適用要件】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

参考:厚生労働省 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!

ワーキングホリデー制度による入国者や留学生(昼間学生)については、雇用保険の適用除外となります。ただし、昼間学生であっても、一定の出席日数を課程終了の要件としない学校に在学する者であって、当該事業において、同種の業務に従事する他の労働者と同様に勤務し得ると認められる方等は、被保険者となるケースもあります。

雇用保険には、扶養という考え方やしくみはありません。扶養されている家族でも、要件を満たしたらそれぞれが雇用保険に加入します。

3-2.労災保険

労災保険は、国籍を問わず、日本で労働者として働く外国人にも適用されます。就労することができる在留資格を持っている方はもちろん、「資格外活動」の許可を得てアルバイトやパートタイム労働者として働く人や技能実習生にも適用されます。
参考:厚生労働省 外国人労働者向け労災保険給付パンフレット 他(各国語版あり)

労災保険は、不法就労者であっても、適用されます。事業主は、アルバイト・パートタイム労働者などを問わず、労働者を1人でも雇っていると労災保険に加入しなければならず、保険料は、全額事業主が負担します。
参考:神奈川県 労働問題対処ノウハウ集 外国人労働者の労働災害・社会保険・税金はどうしたらよいか

 4. 社会保険協定とは

転勤や系列会社への異動など事業主によって日本に派遣されている外国人労働者の場合、日本が社会保障協定を結んでいる国の出身者であれば、日本の社会保険に加入する必要がなくなる場合があります。ただし、日本で採用された外国人は社会保障協定の対象外となりますので、日本の社会保険に加入しなければなりません。

日本が社会保障協定を結んでいる国は、先進国を中心とした約20カ国です。協定を結んでいる国の出身者が日本に派遣されて働く場合、派遣期間が5年以内であれば、一定の条件の下で、出身国の社会保障制度にのみ加入します(協定の細かい内容は国ごとに違いがありますので、出身国ごとに確認が必要です)。

社会保障協定の目的は、以下の2つです。

  • 「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)
  • 年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)

出典:日本年金機構 社会保障協定

社会保障協定を結んでいる国などは以下の通りです。

日本と社会保障協定を結んでいる国

*の国は、保険料の二重負担防止のみで、年金加入期間の通算はありません
2023年3月14日現在
出典:厚生労働省 海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)

5. 社会保険加入の手続き・必要書類

職場の健康保険など社会保険加入の手続きは、多くの場合、事業主が行います。一方、職場の健康保険に加入しない外国人労働者は、国民健康保険などの手続きを市区町村の役所などで自分で行うことになります。

社会保険・制度ごとに所管する役所や機関があり、手続きや提出書類は異なりますが、手続きをする役所・機関、手続きの内容は、多くの日本人を採用する場合と変わりません。ただし、一部、追加の手続きや書類が必要になります。

社会保険の種類と加入などに関する窓口

5-1.事業主が行う手続きと必要書類

職場の健康保険・厚生年金保険

職場の健康保険と厚生年金保険に加入するときは、事業主が「資格取得時の本人確認」を行ったうえで、「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所や健康保険組合へ提出します。

被保険者資格取得届の提出前の「本人確認」では、マイナンバー(個人番号)や基礎年金番号も確認します。被保険者資格取得届では、マイナンバー(個人番号)または基礎年金番号を記入する欄があります。外国人でも日本に住所がある人には、マイナンバーが割り振られ、通知されています。合わせて在留カードで、在留資格や在留期間、就労の条件などもしっかり確認しましょう。

外国人で、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない人の場合は、被保険者資格取得届と合わせて、「ローマ字氏名届」を提出します。マイナンバーと基礎年金番号が結びついている人は提出不要ですが、資格取得届の提出後に判明すると別途、ローマ字氏名届を提出することになるため、外国人労働者の資格取得届の提出時には必ずローマ字氏名届を提出するという団体もあります。
ローマ字氏名は、在留カードや特別永住者証明書、住民票に記載されているローマ字氏名を大文字で記入します。

ローマ字氏名届の記入例

出典:日本年金機構 ローマ字で氏名を登録(変更)するとき

扶養に入れる家族がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」や「国民年金第3号被保険者関係届」を合わせて提出します。合わせて以下の書類を添付します。

  • 続柄確認のための書類
  • 収入要件確認のための書類
  • 仕送りの事実と仕送り額の確認のための書類(別居している場合)
  • 内縁関係の確認のための書類(該当している場合)

雇用保険

雇用保険については、事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
日本人と同様の内容に加え、在留カードなどの内容を確認の上、「18.備考欄」に以下を記入して、提出します。

  • 国籍・地域
  • 在留資格
  • 在留期間
  • 資格外活動許可の有無
雇用保険被保険者資格取得届の見本

出典:厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク 外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!

労災保険

労災保険については、はじめて従業員を雇用したとき以外は、加入手続きをする必要はありません。

5-2.労働者本人が行う手続きと必要書類

国民健康保険

市区町村の窓口で手続きをします。必要となる書類は、以下の通りです。

  • 在留カードまたはパスポート
  • マイナンバーカードまたは通知カード

それまで別の会社などで職場の健康保険に加入していた人は、以下のいずれかの書類も必要です。

  • 社会保険喪失証明書
  • 離職票
  • 退職証明書

国民年金

市区町村の窓口で手続きをします。窓口受付の場合の持ち物は、以下の通りです。

【窓口受付の際の持ち物】

  • 身分証明書(在留カード、パスポート、特別永住者証明書、運転免許証などお持ちください。)

    <初めて年金に加入する場合>
  • パスポート(遡って加入するため、日本への初上陸許可日が分かるパスポート)
  • 在留カード

    <以下、既に持っていたらお持ちください。>
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書(年金の番号を確認します。)
  • マイナンバーカードもしくは通知カード

出典:東京都練馬区 外国人住民の年金の手続きについて(年金)

6. 外国人に社会保険を説明する際のポイント

条件を満たす場合、外国人であっても社会保険の加入は義務となります。多くの場合、社会保険の加入の手続きは事業主が行うので、外国人労働者本人が「社会保険に入ろうか、どうしようか」と考える場面もあまりないかも知れません。しかし、保険料の負担や会社に対応などに疑問を持たれた場合などは、社会保険の意義やメリットをしっかり伝え、離職などにつながらないようにしましょう。

6-1.外国人労働者が社会保険に入るメリットを伝える

日本の国民皆保険制度は、外国人を含め、日本に住むすべての人が加入し、保険料を負担します。その結果、病気になったときやケガをしたときに、歯科医院を含めてどの医療機関でも低額で医療サービスが受けれられます。多くの場合、大人は医療費の3割を医療機関の窓口で負担し、子どもは窓口負担はありません(多くの自治体で、中学生または高校3年生相当の年齢まで)。

また、年金保険は、老齢になったときの給付だけではなく、年金保険に加入中(日本で働いている間)に障害を負った時は、定期的に現金給付が受けられるようになります。
このような日本の医療・保険制度は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とも言われ、世界の多くの国や国際機関が注目するモデルになっています。

具体的には、以下のようなことを説明しましょう。

医療費の70%、子どもは全額がカバーされる

病院や歯科医院で治療を受けた時、健康保険に加入していれば、窓口で支払う金額(自己負担額)は原則、医療費の3割ですみます。残りの7割が健康保険の保険料でまかなわれます。健康保険に未加入の場合は、全額(10割)を負担することになりますので、支払額は3倍以上になります。

子どもの医療費については、多くの自治体で健康保険の自己負担分を助成する制度があり、東京都では乳幼児から高校3年生相当の子どもまで、窓口での自己負担は不要(無料)です。対象の年齢や助成内容は自治体により異なります。健康保険未加入の場合は、助成の対象にならないため、本来の医療費の全額を負担することになります。

各月の医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分の金額が健康保険から払い戻されます。自己負担限度額は、健康保険の制度、非保険者の収入などにより変わります。職場の健康保険の場合は、扶養している家族の分も含めて自己負担額を計算します。

障害年金受給の対象になる

年金というと、一定の年齢を超えてから支給(給付)されるイメージが強いですが、年金保険に加入している間の病気やけがが原因で一定以上の障害が残った場合、障害年金が給付されるようになります。

また、保険料を納付している期間に加入者が死亡した場合、加入者に扶養されていた配偶者や子どもには、一定の条件の下で遺族年金が支給されます。国民年金の場合は、遺族国民年金が支給されるのは、子どもがいる配偶者か子どもだけとなります(子どものいない配偶者には支給されません)。

扶養家族の医療費もカバーされる

 職場の健康保険の場合、追加の保険料を負担することなく、扶養している家族も健康保険の対象となります。

事業主が保険料の半分以上を負担する

職場の健康保険や厚生年金保険の場合、保険料の半分を事業主が負担します。このため、多くの場合、職場の健康保険の保険料は国民健康保険より少なくなり、将来受け取る年金は国民年金(基礎年金)に上乗せされます(国民年金より多くなります)。雇用保険の保険料は半額以上、労災保険の保険料は全額、事業主が負担します。

帰国時には脱退一時金が支給される

厚生年金保険の場合も国民年金の場合も、日本で働いている間に納付した年金保険料の一部を、日本を出国した後に請求することができます。これが脱退一時金です。金額は、国民年金、厚生年金、それぞれの規定により、計算されます。保険料として納付した金額の30~50%の金額が脱退一時金として支給されます。

詳しくは脱退一時金のブログをご覧ください。

6-2.加入しないと法律違反になることを伝える

日本に住所がある人はすべて、健康保険や年金保険に加入することが、法律で義務付けられています(一部加入資格のない人を除く)。そのため、健康保険や年金保険に加入しないことや、保険料を納付しないことは、法律違反になります。

6-3.社会保険加入が就労ビザ変更の条件になることを伝える

在留資格「特定技能」の外国人が在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請を行うなどには、地方出入国在留管理局に対し、社会保険関係の保険料の納付状況を確認できる書類の提出が必要となっています。その他の在留資格に関しても、外国人労働者に対して、社会保険の加入を厳格に確認する動きが強まっています

その他の就労ビザに関しては、在留資格の変更や在留期間の更新の申請をするときには、窓口で保険証の提示が求められます。ただし、出入国在留管理庁は、その目的を、「社会保険への加入の促進を図るため」としていて、ガイドラインでは、「(注)保険証を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可とすることはありません」とも記載されています。
出典:出入国在留管理庁 在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(2020年2月改正

出入国在留管理庁の「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン」では、在留資格の変更や在留期間の更新の判断に当たって、以下のような事項も考慮するとしています。社会保険に加入していないことが、ビザの変更や更新の判断に影響を与える可能性もあります。

ビザ更新書類作成マニュアルダウンロードはこちら

7. よくある質問

保険料を支払わなかった場合どうなるのか

社会保険の保険料を支払わなかったときに、一番起こる問題は、病気やケガで病院にかかったとき、医療費の全額を支払わなければならないことです。その他、以下のようなことも起きます。

職場の健康保険や厚生年金保険に加入しなければいけない外国人労働者を加入させず、未加入が発覚した事業主は、加入を求められ、過去2年間にさかのぼって未納の保険料を徴収されます。悪質と判断された場合は、事業主は6カ月以下の懲役か、50万円以下の罰金が科されます。

国民健康保険や国民年金への加入の手続きや保険料の納付は、労働者自身で行いますが、保険料の納付がない場合は市区町村や年金機構から督促されます。それでも納付しない場合、通常の保険証が使えなくなることもあります。さらに財産が差し押さえられることになります。

国民健康保険や国民年金の保険料は収入に応じて決まりますが、収入が少ない場合は保険料の軽減や免除、納付猶予が認められる場合もありますので、市区町村や年金機構に相談します。

法律や自治体の条例により、国民健康保険の加入の届出をしなかった場合などで、悪質と判断された場合、10万円の罰金が科せられることもあり得ます。ただし、国民健康保険の加入や脱退に関して、罰金が科されるケースは、実際にはほとんどないようです。

 外国人の配偶者の両親も社会保険の扶養に含まれるのか

職場の健康保険の場合、以下のすべての条件を満たせば、外国人労働者の配偶者の両親も社会保険の扶養対象となります。

  • その労働者が扶養している
  • 配偶者の両親の住所が日本国内にある
  • その労働者と配偶者の両親が同居している

外国人労働者自身の両親の場合は、日本に住んでいれば、同居していない場合も対象になります。
国民健康保険に加入している場合は、扶養という考え方・しくみはありません。

8. まとめ

外国人であっても、日本に住み、日本で働いている場合、日本人と同様、社会保険に加入することが基本です。

給与から保険料が天引きされるため「損」をしているように感じる人もいるかも知れませんが、多くの場合、本人以上に事業主(会社)が多くの保険料を負担し、家族を含めて病気やけがなどの場合の大きな支えになります。
こうした利点をしっかり説明し、理解を得てください。労働者、家族の安心にもつながるはずです。

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この記事を書いた人

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