ワーキングホリデービザで外国人を採用する方法は?要件や注意点などわかりやすく解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

様々なビザで日本にやってくる外国人がいますが、私たち日本人にもなじみ深いビザに「ワーキングホリデー」があります。

日本の大学生が夏休みなどの大型休暇を活用し、ワーキングホリデーを利用して海外で働くケースが以前からありましたが、日本にもワーキングホリデーを利用してやってくる外国人は少なくありません。

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目次

1.「ワーキングホリデー」とは

ワーキングホリデーとは、青年が相手国において休暇を楽しみつつ、一定の就労が行えるというビザです。二国間での取り決めによって成立しており、在留資格「特定活動」の1つです。原則相手国ごとに1回しか利用できない仕組みとなっています。

1-1.ワーキングホリデー協定国

引用元:外務省「ワーキング・ホリデー制度」

令和5年3月1日時点で、日本とワーキングホリデーの協定を結んだ国と地域は27か国です。1980年にオーストラリアが初めてワーキングホリデーの協定を結んでから、2023年にウルグアイが結ぶまで40年以上の歴史で27の国と地域がワーキングホリデーに参加しています。

ワーキングホリデーは当初限られた国としか協定を結んできませんでしたが、21世紀に入ってから多くの国と地域で結ぶようになっており、ワーキングホリデーで渡航する国の選択肢は広がっていると言えるでしょう。

またワーキングホリデーの協定国が今後増えることも予定されており、イタリア・フィンランドの2か国とワーキングホリデー協定に署名したことが明らかになっています。詳細に関してはこれから最終調整に入っていくと思われます。ワーキングホリデーの協定国が増えることはそれだけ多くの国から外国人がやってきて人材の確保につながりやすくなることを意味します。

1-2.ワーキングホリデーで日本に来る外国人の推移

引用元:e-Stat「政府統計の総合窓口」

ワーキングホリデーで日本に来る外国人の推移は、コロナ禍前までは右肩上がりに増えていることが分かります。コロナ禍直近の令和元年では18,955人と平成27年と比べて1.5倍にまで増えています。

この間もワーキングホリデーの協定国は増えており、より間口が広がったことも影響していると言えるでしょう。

1-3.ワーキングホリデーで日本に来る外国人の国籍別割合

引用元:e-Stat「政府統計の総合窓口」

令和元年におけるワーキングホリデーのビザが発給された国の上位を見ていくと、1位は韓国で、全体の31%を占める5,903人がワーキングホリデーで来日しています。2位は台湾で、全体の25%を占める4,707人が日本にやってきていますが、韓国と台湾はワーキングホリデーの年間発給数の枠が10,000と多いのが特徴です。

またイギリスやフランスは年間の発給数の枠ギリギリまで来日する人が多いほか、オーストラリアのように年間発給枠を設けていない国も存在します。

2.外国人側の要件・在留期間

2-1.外国人側の要件

ワーキングホリデーを利用できる外国人の要件ですが、以下の通りです。

  • 相手国や地域に居住する国民もしくは住民
  • 主な目的は休暇を過ごすため
  • 年齢制限をクリアしている
  • 子どもや被扶養者を同伴しない
  • パスポートと帰りの航空チケット、ないし購入資金を所持している
  • 滞在後一定期間において生計を維持できるだけの資金を持っている
  • 過去にワーキングホリデーのビザを発給されていない

ワーキングホリデーは大学生を始めとする若者を想定した制度であるため、あくまでも休暇のためにビザが出されて、滞在費を稼ぐために働いてもいいという意味合いが濃いと言えるでしょう。

上記でご紹介したビザ発給の要件は国によって異なり、例えば、2022年に協定に署名したイタリアの場合は「十分な医療保険に加入すること」や「犯罪歴を持っていないこと」などが発給の条件に書かれています。国によって細かなルールは異なりますが、おおむね上記の要件を満たせばワーキングホリデーを利用することは可能です。

2-2.年齢制限

ワーキングホリデーは青年を対象にした制度であるため、年齢制限が存在します。ほとんどの国が18歳から30歳までとなっており、一部の国では25歳以下で協定を結んでいる国はあるものの、それぞれの政府当局が認めた場合には30歳まで認められます。ちなみにアイスランドだけは18歳以上26歳以下と定められています。

2-3.在留期間

ワーキングホリデーは在留期間が半年もしくは1年と設定されています。在留資格によっては延長が認められるケースもありますが、ワーキングホリデーに関しては在留期間の延長が認められておらず、最長1年で何かしらの判断を迫られることになります。

3.ワーキングホリデーで外国人を雇用する3つのメリット

年間1万人以上がワーキングホリデーを利用して日本を訪れています。ワーキングホリデーを利用して日本にやってきた外国人を雇用するメリットについてご紹介します。

3-1.就労可能な業務の幅が広い

1つ目のメリットは、就労可能な業務の幅が広い点です。現状就労が認められていない業務は風俗営業法関連の仕事のみで、それ以外はどんな仕事でも働けます。例えば、慢性的に人手不足で困っている建設などの業務においてもワーキングホリデーでやってきた外国人を雇用することが可能です。

基本的に在留資格に関連した以外の仕事に就けないのが一般的で、例えば、在留資格「特定技能」は事前に試験を受けて合格した特定の分野の中でしか働けません。一方、ワーキングホリデーはメインが休暇を過ごすことであり、就業に関するビザではないからこそ、幅広い業務に就くことが可能なのです。

3-2.就労制限がない

2つ目は就労制限がないことです。例えば、在留資格「留学」の場合は資格外活動許可が出ることで、週28時間までの就労が認められます。ワーキングホリデーの場合、基本的に就労制限がなく、週単位の就労時間の上限などを心配せずに働いてもらうことが可能です。

一方で、日本人が海外でワーキングホリデーを利用した場合、国によっては同じ雇用主で半年を超える労働はできないといったルールが存在するケースもあります。

3-3.英語対応ができる外国人が多い

3つ目は英語対応ができる外国人が多いという点です。ワーキングホリデーを利用してやってくる外国人の中にはヨーロッパ系の外国人や英語が母国語の人も少なくなく、インバウンド事業を展開し、外国人観光客との応対をするような仕事であれば活躍の場は比較的多いと言えるでしょう。

ワーキングホリデーでやってくる外国人は、日本のことを学びたいと思ってやってくる向上心の高い人たちが中心なので、日本語を教えつつ英語でのコミュニケーションを教えてもらうような交流にも期待が持てます。

3.ワーキングホリデーで外国人を雇用する際の注意点

ワーキングホリデーで外国人を雇用する際にはメリット以外にも注意点があります。外国人を雇用する際の注意点をまとめました。

3-1.ビザの延長は原則不可

1つ目は、ワーキングホリデービザの延長が原則不可である点です。ワーキングホリデーの場合、最長1年間となるため、1年間が経過してもまだ日本に滞在したいという場合に、ビザの変更といった対応が求められます。

ビザの変更を行うと、ワーキングホリデービザの大きなポイントだった就労制限がないメリットがなくなり、多少制限があるビザに変更になる場合があります。ですので、当初の予定である1年間を経てもまだ働いてもらいたい場合、ビザの変更を視野に入れて早めの対応が求められます。

3-2.雇用する際は在留カードと合わせてパスポートも確認する

引用元:出入国在留管理庁「在留カードとは?」

2つ目は雇用する際に在留カードと合わせてパスポートも確認することです。外国人を就労させる際には、不法就労を避けるためにも在留カードのチェックは欠かせません。しかし、在留カードのチェックだけだと、ワーキングホリデーを利用してやってくる外国人を就労させる場合には不十分です。

ワーキングホリデーはあくまでも在留資格「特定活動」の1つに過ぎず、在留カードには「特定活動」としか書かれていません。つまり、在留カードだけではワーキングホリデーかどうかは分からないのです。

そこで必要となるのがパスポートのチェックです。パスポートには指定書が添付されており、ワーキングホリデーを利用していることが書かれています。在留カードとパスポートの2つをチェックして初めてワーキングホリデーを利用してやってきた外国人であることが分かります。

3-3.所得税は20,42%ということを外国人と確認する

3つ目は、所得税が20.42%であることを外国人と確認することです。ワーキングホリデー中の労働に関しては、日本にいる期間が1年に満たないという理由から非居住者という扱いになります。実際に給与を受け取る際には、源泉所得税として20.42%を差し引きます。

源泉所得税を実際に還付するには、本国に戻ってから本国で確定申告を行うことになります。納税証明書が必要となれば源泉徴収義務者、今回のケースでは給与の支払い者を通じて税務署で交付を受けてから手続きに入ります。

また日本から出国する前に納税管理人を申告しておくことで、納税に関する手続きをやってもらうことが可能です。日本では1月1日時点で日本に住所があれば住民税の支払いの対象となるため、その後帰国することになった際、納税管理人が手続きを行ってくれることになります。

日本だと源泉徴収として1割引かれるのが常識となっているため、20.42%も徴収されるのは重税に思えますが、オーストラリアのように稼げば稼ぐほど累進課税となって重税になっていくケースもあります。少なく稼ごうが多く稼ごうが同じ20.42%というのは、見方を変えればワーキングホリデーでやってきた外国人に優しいシステムと言えるでしょう。

4.ワーキングホリデーから就労ビザへの変更は可能か

最長1年、延長不可のワーキングホリデー。一方で働きぶりが優秀で今後も働いてもらいたい場合にはビザの変更が求められますが、その際のルールなどをまとめました。

4-1.対象の5か国なら日本にいながら変更可能

ワーキングホリデービザから就労ビザへの切り替えの際、27の国と地域の中で上記の5か国が日本にいながらにして就労ビザへの変更が可能となっています。

上記の5か国は日本にいながら就労ビザへの切り替えが可能になります。基本的にワーキングホリデービザを発給する際、多くの国では滞在が終わったら日本を出国する意図を持っていることが前提となって発給されます。

本来はワーキングホリデービザから就労ビザへの変更は想定されていないと言えますが、上記5つの国に関して日本を出国する意図を持っている持っていないに関係なくワーキングホリデービザが発給され、結果として就労ビザへの変更が可能です。

4-2.その他の国は一度帰国する必要がある

イギリスやアイルランドのように滞在が終われば日本を出国する意図があることがワーキングホリデービザの発給条件になっている国では一度本国に戻る必要があります

例えば、イタリアの場合は滞在が終わったら日本を出る意図を有することだけでなく、滞在中に在留資格を変更しないことを条件にワーキングホリデービザが発給されます。滞在中に在留資格を変更しないと明言されてしまえば、一度帰国しなければならないのは致し方ないことでしょう。(※)

※:外務省「日伊ワーキング・ホリデー協定の署名」

またイタリアと同じタイミングでワーキングホリデー協定の署名を行ったフィンランドに関しても医療保険や犯罪経歴がないことなど、イタリアの内容とほぼ同じです。今後ワーキングホリデーの協定国が増えても、在留資格を変更する際には一度帰国することが一般的になると言えるでしょう。

在留資格を変更するためには、まず本国に戻ってもらってから、在留資格認定証明書交付申請を行います。ここからの動きは外国に居住する外国人を日本に呼び寄せる際の動きと変わりません。以前は、最初に紹介した5つの国以外でも帰国せずに就労ビザへの変更が認められたこともありましたが、今では厳格に運用されている状況です。

4-3.変更する際の注意点

ワーキングホリデービザから就労ビザへ変更をする際には主に2つの注意点があります。その注意点についてまとめました。

就労ビザで就労可能な業務か確認する

1つ目は就労ビザで就労可能な業務か確認することです。ワーキングホリデービザであれば就労制限がなく自由に働けた分、就労ビザになることで色々と制限が生じます。

就労ビザの変更を行った際に就労ができる業務かどうかを確認することが求められます。仮に就労ビザの内容的に厳しければ、一定の時間をとって必要とされる就労ビザを確保してから再び呼び寄せるような形となるでしょう。

在留資格「特定技能」では人手不足の業界で外国人を従事することができます。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

給与は日本人と同等かそれ以上

2つ目は外国人に支払う給与は日本人と同等かそれ以上にすることです。労働基準法は外国人にも適用され、給与に関しても日本人と同等であることが求められ、能力があれば日本人以上の給与を与えても何ら問題はありません。

日本では最低賃金が設定されていますが、外国人も最低賃金以上の賃金がもらえることになります。本来は技能実習生でも最低賃金を下回らない形で給与を支払うことになっており、ワーキングホリデービザから就労ビザへ切り替える際にも一定レベルの賃金確保が求められます。

5.まとめ

コロナ禍で一時的にワーキングホリデービザで日本にやってくる外国人は減りましたが、コロナ禍に入る前までは右肩上がりでした。再び外国人観光客が増えた現状を鑑みると、ワーキングホリデービザを使って日本にやってくる外国人は再び増えることも十分に考えられます。

ワーキングホリデービザでやってくる外国人は日本に対する憧れや興味が強く、向学心にあふれた人も目立つことから日本の文化への教育など、一般的な外国人労働者よりもしやすい可能性が高いでしょう。ワーキングホリデービザの外国人を積極的に活用することや就労ビザへの切り替えを求めていくのはある意味必然と言えるでしょう。

今回ご紹介した内容を踏まえて、ワーキングホリデービザを使って日本にやってくる外国人を積極的に採用し、人手不足の改善につなげていきましょう。弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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