【最新情報】特定技能に4分野追加され全16分野に|運転手や鉄道駅員、林業などで外国人の雇用が可能

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

2024年3月29日、政府は人手不足が深刻な分野で外国人労働者を受け入れる特定技能制度の対象に、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加することを閣議決定しました。4月から受け入れに向けて特定技能を取得するための試験準備などが進められています。

そもそも特定技能とは何か詳しく知りたい方
「特定技能まるわかり資料」をぜひご参考ください

目次

1.新しく特定技能に追加される4分野とは?

日本政府は、労働力不足に直面している産業への支援を目的として、特定技能1号ビザを通じた外国人労働者の受け入れ枠を拡大することを決定しました。この新たな方針により、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が特定技能に追加されます。それぞれの業種において、下記のような職種に受入れが可能です。

参考:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針|出入国在留管理局

いつ追加される?これからの動きは?

これらの新分野の追加が決定されたのは、2024年3月29日で、4月以降政府は必要な省令の改正などを行います。
ですので今後数ヶ月内に具体的なガイドラインが公表され、実施に移される予定です。関連する産業や企業は、この変更に備え、必要な準備を進めていると予想されます。

特定技能外国人の雇用にはいくらくらいの費用がかかるのか気になる方へ
「特定技能コスト一覧表」をぜひご参考ください

新たな4分野の受け入れ見込み人数は?

では新たな4分野で、政府はどのくらいの特定技能外国人数を受け入れようとしているのでしょうか?以下の表に詳しく載せています。

上の表は令和6年度~令和10年度末の5年間の受け入れ見込み人数ですが、新しく追加された4分野において、自動車運送が最も多い24,500人となっています。どの分野も多くの特定技能外国人を受け入れ予定ですので、いち早く受け入れ態勢を整えることが重要です。

参考:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針|出入国在留管理局

既存の分野でも対象業務が拡大

既存の特定技能分野でも、受け入れ対象業務が拡大しています。詳しく解説していきます。

飲食料品製造業

今まで、スーパーマーケットでの惣菜調理は飲食料品製造業には含まれていませんでしたが、食料品スーパーマーケット及び総合スーパーマーケットの食料品部門における惣菜等の製造も可能となるよう改正予定です。現在、特定技能外国人が多く働く飲食料品製造業ですが、これが実現されれば、さらなる拡大が見込まれます。

参考:特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)|出入国在留管理局

特定技能「飲食料品製造業」についてはこちらの記事をご参考ください。

介護

特定技能「介護」では訪問介護が認められていませんでしたが、2024年3月22日、厚生労働省の有識者検討会で大筋了承され、2025年度から特定技能外国人による訪問介護の実施を見込んでいます

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

製造業

これまで特定技能製造業は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」の3つに分かれていましたが、それが令和6年から「工業製品製造業分野」に統合されます。

また対象業種においても、鉄鋼業、プラスチック製品製造、縫製など多くの業種が新しく追加されます。

参考:製造業分野の特定技能制度について|経済産業省

造船・舶用工業

今までは溶接・塗装など6業務区分に分かれていましたが、それが3区分に再編され、さらに作業範囲が拡大し、造船・舶用工業に係る必要となる各種作業が新たな業務区分に追加されました。

参考:特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)|出入国在留管理局

3.特定技能外国人を受け入れるために準備すべきことは?

上記に当てはまる業界であれば、今から受け入れの準備をすることをおすすめします。
ここからは、特定技能外国人を受け入れる上で、準備しておくべきことを紹介します。

そもそも特定技能とは?

「特定技能」は人手不足が深刻な業界の人手不足解消を目的に、2019年4月に創設された制度(在留資格)です。
それまで該当する在留資格がなく、外国人の採用ができなかった業界でも外国人の採用が可能となりました。

特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

特定技能1号

「特定技能1号」は、特定技能として働く外国人が最初に取得をする在留資格です。
今回追加された4業種においても、まずは「特定技能1号」の在留資格を取得して、就労することになります。「特定技能1号」の特徴は、以下のとおりです。

  1. 通算で5年間働くことができる
    特定技能1号の在留資格を取得してから、通算で5年間働くことができます。
  2. 必要な支援を行う必要がある
    定められている義務的支援を実施する必要があります。

支援について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

特定技能2号

「特定技能2号」は、基本的に「特定技能1号」で就労し、実務経験を積んだうえで技能試験に合格すると移行ができるようになります。「特定技能2号」の特徴は、以下のとおりです。

  1. 在留期限の上限なく、働くことができる
    定期的に更新が必要にはなりますが、上限なく働くことができます。
  2. 支援を行う必要がない

今回の4業種について、特定技能2号への移行が可能になるかどうかに関する検討が行われているかは、まだ発表されていません。

特定技能について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

準備すべきこと①|給与制度の明確化

特定技能を持つ外国人労働者は、主に収入を得る目的で日本に来ます。その結果、彼らは日本人労働者以上に給与に関して厳しい視点を持つことが多いです。そのため、給与制度が現状で不明瞭な場合は、それを明確にすることが重要です。以下のようなポイントを具体的に示すと良いでしょう 。

  1. 給与の計算基準
    労働時間、残業、休日労働など、給与計算の基本的な要素となる基準を明確にします。
  2. 支払いのタイミングと方法
    給与の支払いがいつ、どのように行われるかを示します。月払い、週払いなど、支払い周期と支払い方法(銀行振込、現金支払い等)を明記します。
  3. 手当と福利厚生
    住宅手当、交通費支給、健康保険への加入など、給与以外に提供される福利厚生や手当について説明します。
  4. 昇給や賞与の条件
    昇給の基準や賞与(ボーナス)の支給条件を明確にします。業績連動の有無、評価制度の概要などを含めると良いでしょう。
  5. 退職金制度
    適用される場合、退職金の支給条件や計算方法を説明します。

準備すべきこと②|休暇制度の明確化

外国人社員の多様な文化的背景を尊重し、円滑な職場環境を維持するためには、休暇管理に関する配慮が不可欠です。

雇用契約において、休暇に関する条件を明確に記載します。これには、休暇の申請方法、必要な通知期間、休暇日数の上限、そして特別休暇の取り扱いに関する規定を含めるべきです。

準備すべきこと③|やさしい日本語への対応

特定技能外国人のサポートには、言語の壁を低減するアプローチが重要です。特定技能外国人は非英語圏の方が多く、英語能力が必ずしも役立つわけではなく、多言語対応が現実的に難しい状況を考慮すると、以下の対策が有効です。

  1. 「やさしい日本語」の活用
    外国人労働者が日本語をある程度理解できるという前提に立ち、「やさしい日本語」でのコミュニケーションを促進します。これは、複雑な漢字や専門用語を避け、簡単な言葉や文法を用いて意思疎通を図る方法です。作業指示や安全規則、社内マニュアルなど、日常業務に必要な情報を「やさしい日本語」で提供することが望ましいです。
  2. ビジュアル素材の利用
    言語に依存しないコミュニケーション手段として、図表やイラスト、写真などのビジュアル素材を活用します。視覚的な情報は言語の壁を越えて理解を促すため、安全教育や作業手順の説明などに有効です。
  3. 言語学習の支援
    特定技能外国人がより高度な日本語能力を身につけられるよう、日本語教育の機会を提供します。これには、職場内での日本語クラスの開設や、オンライン学習プラットフォームへのアクセス提供などが含まれます。
  4. 文化間コミュニケーションのトレーニング
    日本人スタッフに対して、異文化理解と文化間コミュニケーションスキルのトレーニングを実施します。これにより、多様な背景を持つ労働者とのより良い関係構築を促進します。

4.受け入れまでの流れ

ここからは、大まかな特定技能外国人を受け入れるまでの流れについて解説します。

STEP
求職者募集

初めての場合、人材紹介会社や、現地の送り出し機関等から紹介を受けることが一般的です。

STEP
面接

人材紹介会社等であれば、面接に同席してサポートをしてくれることが多いです。

外国人の面接は日本人と違って何を質問すればいいのかわからない人が多いです
「外国人採用面接質問シート」をぜひご参考ください

STEP
雇用契約締結
STEP
在留資格の申請・許可

特定技能ビザを取得するには、出入国在留管理庁への申請が必要です。多くの書類が必要なため、通常は行政書士に依頼します。審査期間が数ヶ月かかるので、希望の入社時期の半年以上前に手続きを始めることが大切です。

STEP
勤務開始

受け入れまでの流れを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

5.特定技能外国人を受け入れる際の注意点

特定技能外国人を受け入れる際に注意すべき点を以下にまとめます。

給料は日本人と同等かそれ以上

特定技能外国人に支払う給与は、同じ仕事をする日本人労働者と同等かそれ以上でなければなりません。これは、外国人労働者の権利を保護し、公平な労働条件を確保するために重要です。

外国人の給料に関してはこちらの記事をご参考ください。

身分証明書(在留カード)を偽造している可能性がある

外国人労働者を採用する際には、提出される身分証明書やその他の書類が偽造されていないか慎重に確認する必要があります。偽造書類による不正な就労を防ぐために、適切な検証プロセスを確立しておくことが重要です。

身分証明書(在留カード)が偽造されているかどうか見分ける方法はこちらの記事で解説しています。

日本語が流暢だとは限らない

特定技能外国人は、一定レベルの日本語能力が求められますが、必ずしも流暢に日本語を話せるとは限りません。そのため、職場でのコミュニケーションを円滑にするために、簡易な日本語や図解を使用するなど、相互理解を促進する工夫が必要です。

外国人とよりよい関係を築くことは定着にもつながります
「外国人労働者と良い関係を築くためのコミュニケーションマニュアル」をぜひご参考ください

6.まとめ

特定技能ビザ制度の拡大は、日本の労働力不足を補う重要な一歩です。
自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野への外国人労働者の受け入れ拡大は、これらの産業の持続可能な発展に寄与します。企業は、外国人労働者の受け入れに向けて、適切な準備とサポート体制の整備が必要です。多様な背景を持つ人々が協力し合うことで、日本の産業はさらなる成長を遂げることができるでしょう。

弊社は、特定技能外国人の紹介と就労支援を行う登録支援機関です。もし、外国人採用に興味があれば、ぜひお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

株式会社JJS(JapanJobSchool)の代表

主に「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」を対象とした人材紹介と支援を行っており、年間300名以上の卒業生を輩出しています。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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