在留カードの偽造が増えている⁉その見極め方と発見したときの対処法を解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

令和5年6月末の在留外国人数は3,223,858人と、前年末と比べて148,645人も増えており、過去最高を更新している状況です。

しかし、近年彼らにとって重要な身分証明書「在留カード」を偽造して働く外国人が増えています。もし在留カードを偽造した外国人を雇用してしまったら、その企業も罪に問われる可能性があります。

本記事では在留カードを中心に、偽造された在留カードの見極め方や発見した際の対処法、確認を怠った場合のペナルティなどを解説します。

何かご不明点などございましたらお気軽にJapanJobSchoolお問い合わせください

目次

1.在留カードとは?

まず最初にご紹介するのは在留カードについてです。在留カードとはどういうものなのか、在留カードの偽造状況はどのような状態なのかを解説します。

1-1.在留カードは常に携帯する義務がある

中長期在留者に関しては在留カードを常に携帯する義務があります。これは出入国管理及び難民認定法で定められており、中長期在留者に必ず交付されるのが在留カードです。この在留カードによって、法律に則った形で在留していることを証明してくれます。

また在留カードには許可証の意味合いも込められています。今まではパスポートが担っていた様々な許可の証印として働きが、在留カードに移行した形です。

在留カードが交付される場面は以下の通りです。

  • 成田や羽田など国際線がある7つの空港で交付される
  • 居住地の市区町村に転入届を提出後、郵便で郵送される
  • 在留期間の更新許可が出た時に交付される
  • 在留目的変更の申請を行い、許可が出た時に交付される
  • 日本で誕生した子供が出生後60日以降も日本に滞在する際に交付される

これらの場面において在留カードが交付されます。国際線で成田空港に降り立った場合には、成田空港で在留カードが交付される形です。船でやってきた場合などは転入届提出後に郵便で在留カードが届けられます。

1-2.在留カードの記載内容

在留カードは、ありとあらゆる情報が記載されており、1枚のカードを見るだけで外国人の状況をおおよそチェックすることができます。以下が在留カードの記載内容です。

引用:法務省|在留カード及び特別永住者証明書の見方

いずれの内容も非常に重要な内容なので、在留カードに書かれている情報に変更があれば、その都度変更の届け出も行う必要があり、この届出も義務となっています。そのため、在留カードの情報は常に最新の状態にしなければなりません。

1-3.近年在留カードの偽造が増えている⁉

近年問題になっているのが在留カードの偽造についてです。過去には偽造の在留カードを作る工場が相次いで摘発されるなど、在留カードの偽造が組織ぐるみで行われていることが記事になっています。※

※:神戸新聞「在留カード「偽造工場」国内で乱立 本物と見分けつかない精巧さ、安く入手容易に 制度開始10年」

偽造の在留カードは1枚あたり1500~7000円と意外と安いのが実情です。以前は数万円ほどしていましたが、日本国内に偽造の在留カードを製造する業者が増えたことで相場が下がったことが背景にあります。

また、中国のサイトで人員の募集が行われ、中国にいる指示役からデータが行われ、それを基に製造を行うというケースもあるなど、偽造の在留カードは相当数出回っていることは間違いなく、企業側も細心の注意を払う必要があるでしょう。

2.偽造された在留カードの見極め方法

ここからは偽造された在留カードを見極めるための方法について解説していきます。実際に見極めていく方法は以下の通りです。

  1. 目視で確認する
  2. アプリを使って確認する
  3. 出入国在留管理局のWEBサイトを使って確認する

偽造された在留カードを見極めていくための方法についてそれぞれご紹介していきます。

2-1.目視で確認する

在留カードには様々な偽造対策がなされていますが、目視でも偽造かどうかがすぐにわかる仕組みがいくつも取り入れられています。偽造防止対策は以下の通りです。

  • 顔写真横の「MOJ」と書かれた部分がカードを傾けると色が変化する
  • カードの左端を傾けると色が変化する
  • カードを傾けると顔写真にある「MOJ」のホログラムが立体的に動く
  • ホログラムを傾けると文字が反転する
  • 暗い場所でカードを強い光に当てるとMOJの透かし文字が見える

引用:法務省|「在留カード」及び「特別永住者証明書」の偽変造防止対策

これらは単なるコピー、印刷ではそう簡単に偽造できるものではなく、どれだけ精巧に偽造の在留カードを作ったとしても目視で簡単に見破ることが可能とされています。

一方で、ホログラムなど偽造の在留カードでもつけることは可能とされ、目視だけでは本物と見分けがつかないケースも出てきているのが実情です。目視だけで判断するのは不十分な部分もありますが、それでも一定の効果は得られるでしょう。

外国人雇用で何かお困りのことがございましたらお気軽にお問合せください

2-2.アプリを使って確認する

在留カードが偽造されているかは、法務省が出しているアプリを使って調べることもできます。実は在留カードにはICチップが搭載されており、ICチップをチェックすることで偽造か同課を見破ることができるのです。

アプリを使う方法は次の通りです。

引用:出入国在留管理庁|在留カード等読み取りアプリケーション

ICチップに登録されているのは交付時点での情報なので、仮に違いがあれば何かしらの偽造があった可能性が高いという仕組みです。アプリに関してはパソコン版、スマホ版とあるので誰でも簡単にチェックできます。

地方出入国在留管理局に連絡を入れるべきケースは以下の通りです。

  • 在留カードと読み取った画像がそれぞれ異なっている場合
  • アプリは作動しているのにICチップを読み取れない場合

ICチップが読み取れない場合はICチップ自体が搭載されていない偽造の在留カードである可能性が考えられるため、不安になった方はアプリでチェックすることをおすすめします。

2-3.出入国在留管理局のWEBサイトを使って確認する

より確実な方法として、出入国在留管理局のWEBサイトでの確認があります。出入国在留管理局では「在留カード等番号失効情報照会」というページがあります。在留カードや特別永住者証明書に記載されている番号と在留カードの有効期間を入力し、失効しているか同課を確認できます。

仮に失効していれば、その時点で不法滞在ということになってしまうため、契約することはもちろんできませんし、就労させれば不法就労として本人だけでなく企業側も告発されてしまいます。在留カード等番号失効情報照会も行って、チェックをすればより確実です。

2-4.その他確認すべきこと

偽造の在留カードを見破るための方法をご紹介しましたが、これらとは別にチェックした方がいい項目が2つあります。

  1. 在留カードの有効期限
  2. 就労制限の有無

チェックすべき2つの項目についても解説します。

外国人雇用で何かお困りのことがございましたらお気軽にお問合せください

在留カードの有効期限

在留カードには有効期限が記載されています。この有効期限が切れた時点で不法滞在という形になってしまうため、有効期限が切れているかの確認は必要です。

一方で有効期限が切れていたらすぐにアウト、とも言えないケースがあります。例えば在留期間の直前に手続きを行った場合、更新申請中に有効期限が切れてしまうことがあるのです。この場合は申請をしているため、在留期間の満了日から2か月間に関しては不法滞在とはなりません。

うっかり忘れた場合、本来は期限切れ後の申請はできませんが、「特別受理」の要件を満たしていれば受け付けてもらうことは可能です。要件として天災や事故、疾病などが対象となり、本来申請すれば確実に許可がとれるようなケースであれば認められる可能性があります。

万が一期限切れになったら、大至急出入国在留管理局に出向いて説明を行いましょう。免許証のように更新のハガキが来るわけではないので、企業関係者も更新のスケジュールをしっかりと管理するようにしましょう。

就労制限の有無

就労制限の有無の項目には、「就労不可」、「在留資格に基づく就労活動のみ可」、「就労制限なし」などが記載されています。最も後者の「就労制限なし」は永住者やその配偶者、日本人の配偶者、定住者が対象で、在留資格「留学」などでは就労は原則できない形です。

ただし、「留学」でも資格外活動許可が出ていれば一定の時間までの就労が認められます。資格外活動許可に関しても在留カードでの記載があるのでその部分のチェックもしましょう。資格外活動許可の項目には「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」や「許可(「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「技能」に該当する活動・週28時間以内)」などが記載されています。

裏面に許可がなされていることが書かれていれば問題ありません。

3.偽造を発見したら最寄りの出入国在留管理局へ連絡を!

従業員の在留カードをチェックした場合や面接にやってきた外国人の在留カードを確認した場合に、もしも偽造の在留カードだった場合には、大至急最寄りの出入国在留管理局へ連絡をしましょう。

出入国在留管理庁では情報の受付を行っており、メールでの受付も行っているので、必ずしも出入国在留管理局に足を運ぶ必要はありません。例えば閉庁日に電子メールで情報を送付することもできます。

ちなみに情報提供によって調査が進んでいるかどうかの問い合わせには対応していないため、通報によって動きを見せるかどうかは外からではわかりませんが、何かしらの調査はしていると思われます。

4.在留カードの確認を怠ると罰せられる可能性がある

企業関係者も偽造の在留カードに細心の注意を払わないといけません。その大きな理由は、もしも在留カードの確認を怠り、不法滞在が発覚した場合、本人はもちろんのこと、雇用していた企業側も罰せられる可能性があるためです。

不法就労助長罪という法律は、雇用の段階で不法就労者だと知らなかったとしても、在留カードなどの確認をしない過失があった場合に処罰の対象になる場合があります。その場合の罰則は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科です。懲役刑も罰金刑もセットで受け入れなければならないこともあり得るのです。

外国人を雇用する際、事業主には義務があります。その1つが雇用前の身分確認で、万が一怠れば先ほどの懲役刑などがペナルティとして出てきます。うっかりチェックをしなかった結果、不法就労助長罪などに問われて、不本意な形で前科がつくようなことがないよう、管理はしなければなりません。

5.企業が行うべき在留カードの管理方法

不法就労助長罪など犯罪に問われないためにも、企業側が率先して在留カードを管理し、スケジュールを確かめていく必要があります。それぞれの管理方法についてまとめました。

5-1.在留カードの更新

在留カードの更新をする際には出入国在留管理局で更新申請を行うことになります。この申請ではパスポートや在留カード、顔写真、申請書が必要です。申請できるのは申請人本人や親族などの代理人、出入国在留管理局長から申請取次の承認を受けている人物や弁護士、行政書士などです。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」などのケースでは、企業側が書類を準備しなければなりません。カテゴリーによって異なるので、該当するカテゴリーを見つけて書類の準備を進めていきましょう。

在留カードの更新についてはこちらの記事で詳しく解説しています

5-2.外国人が在留カードを紛失したら

万が一外国人が在留カードを紛失してしまった場合には、14日以内に再交付申請を行う必要があります。この場合の14日以内は在留カードを紛失したとわかった日から14日以内です。

紛失自体は罰則対象ではないものの、14日以内に再交付申請をしなかったら、そのペナルティとして1年以下の懲役などがあります。外国人から在留カードを紛失したと報告を受けた時点で大至急再交付申請ができるようにする必要があるのです。

在留カードの再発行は、最初に警察署で紛失届を出してから、出入国在留管理局に出向いて再交付申請を出します。その日のうちに新しい在留カードが受け取れるので準備を進めていれば特に問題はありません。

在留カードを紛失したときの対処法はこちらの記事で詳しく説明しています

6.まとめ

今回は在留カードや偽造の在留カードに関する情報を中心に解説してきました。

不法に外国人を働かせるケースは毎年根強く存在しており、ニュースにおいても不法就労に関する犯罪が取りざたされています。自分たちには関係がないと思っていても、うっかりミスなどで不法就労に加担してしまうことも十分に考えられるでしょう。ゆえにできる限りの対処を行って、チェックを怠らないようにしましょう。

今回の記事でご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!
Divership公式キャラクター
ものしりシップくん
たくさんの外国人求職者が登録しています

いま、外国人求職者の登録が増えています。ご相談や求職者を見ていただくだけでも結構です!まずは、今まで1000名以上の紹介実績のあるJapanJobSchoolにお問合せください!

この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

☆☆☆JapanJobSchool☆☆☆
紹介実績1,500名以上!支援実績250名以上!
主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」外国人の人材紹介と支援を行っています。また、入社してからのスキルアップのために日本語授業も提供しています。

目次