特定技能「資源循環(廃棄物処理)」とは?いつから導入?対象業務や要件を解説

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)
廃棄物処理・リサイクル業界の深刻な人手不足を背景に、特定技能制度に「資源循環」分野が追加されました。2027年4月から始まる本格的な運用を前に、多くの企業が受け入れ準備を始めています。
この記事では、特定技能制度「資源循環」の対象業務や、新制度「育成就労」からの採用ルートなど、最新情報を詳しく解説します。現場での安全管理や育成就労制度における「転籍制限2年」といった実務上の注意点も必見です。
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1.特定技能「資源循環」分野とは
特定技能「資源循環」は、2026年1月の閣議決定により正式に追加されました。2027年4月から実際に運用が開始します。
1-1.新設の背景と目的
日本の廃棄物処理現場では、慢性的かつ深刻な人手不足が続いています。令和6年度の有効求人倍率は5.35倍と、全産業平均を大きく上回る極めて厳しい状況です。
こうしたなか、生活環境の保全と循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を両立させるため、特定技能制度に「資源循環」分野が新設されました。
循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の「大量生産・消費・廃棄」から脱却する仕組みです。資源を効率的に循環させ、環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。
資源循環の実現には、廃棄物を資源へと変える高度な選別技術と、現場を支える専門家が欠かせません。そこで、新制度「育成就労」から「特定技能」への移行ルートを整備。日本の技術を習得した外国人が、即戦力として長期的に循環型社会へ貢献できる仕組みが作られました。
参考:資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 及び育成就労に係る制度の運用に関する方針|法務省
1-2.受け入れ見込み人数
環境省の運用方針(試算)によると、資源循環分野では令和10年度までに1万7,000人の廃棄物処分業(中間処理)従事者が不足すると見込まれています。深刻な人手不足に対応するため、政府は以下の通り外国人の受け入れ見込み数(上限)を定めています。
特定技能資源循環分野
<分野全体の受け入れ見込数>
4,500人(令和8年度〜令和10年度までの3年間)
<内訳>
特定技能1号:900人(令和8年度からの3年間)
育成就労:3,600人(令和9年度からの2年間)
人手不足数(1.7万人)に対し、受け入れ枠4,500人は、決して多くありません。これは、ICTの活用による生産性向上や国内人材の確保を前提とした、現実的かつ厳格な試算に基づいています。受け入れを検討されている企業様は、早めの情報収集と準備が必要です。
1-3.環境省が管轄
特定技能の多くは、農林水産省や国土交通省が主務省庁です。しかし資源循環分野の場合、環境省が所管します。申請時に求められる書類や「協議会」の運営ルール、遵守すべき「廃棄物処理法」の基準などは環境省の指針に従いましょう。
1-4.2027年4月開始へのスケジュール
資源循環分野での受け入れは、2027年4月から本格的に開始される見通しです。現在は環境省を中心に、分野独自の「特定技能協議会」の設立準備や、技能評価試験の策定が進められています。
<今後の見通し>
| 時期 | 状況 | 実務上の内容 |
| 2026年1月 | 閣議決定 | 資源循環分野が特定技能に正式追加(法的な確定) |
| 2026年度内 | 準備期間 | 協議会の発足、試験問題の作成、評価試験の第1回実施 |
| 2027年4月〜 | 本格運用開始 | ①育成就労の開始。 ②特定技能試験合格者の入国・就労開始 |
受け入れ企業は、2027年のスタートと同時にスムーズな採用ができるように準備しましょう。今のうちから制度内容の把握や社内体制の整備を進めておくことが、優秀な人材を確保するのに役立ちます。
そもそも、特定技能とは何かについて知りたい方は
「特定技能まるわかり資料」をご活用ください
2.資源循環分野(廃棄物処理)の対象業務と基準
自社の事業内容が、特定技能「資源循環」の対象であるか確認しましょう。ここでは対象となる作業範囲と企業要件をまとめました。
2-1. 従事できる作業範囲
資源循環分野における特定技能外国人の業務区分は、「廃棄物処分業(中間処理)」と定義されています。家庭や事業活動から排出された廃棄物を、再利用や最終処分のために適切に処理する工程が対象です。
具体的に従事できるメイン業務と、付随的に認められるのは以下の通りです。
| 区分 | 具体的な作業内容 |
| メイン業務 | 廃棄物の中間処理 (廃棄物の選別、減量化、減容化、安定化、安全化) |
| 付随業務 | 設備操作や付帯作業 (破砕・中和・焼却等の設備操作、燃え殻の集約作業、施設の清掃など) |
<付随業務について>
メイン業務である「施設内での選別・処理」に付随する範囲内であれば、収集運搬の補助や、処理後の燃え殻の集約などを任せても問題ありません。
現場では「どこまでの業務が対象なのか」が判断しづらい場合もあるでしょう。あくまで選別・処理の作業員を育成・雇用するという主旨に沿った業務配分が求められます。
2-2.受け入れ企業が満たすべき要件
受け入れ企業の要件は、以下の3点です。
1. 事業許可の確認
2. 協議会への参加
3. 給与は日本人と同等の待遇
1.事業許可の確認
特定技能「資源循環」および新設される「育成就労」で外国人を受け入れるためには、受け入れ企業としての要件を満たしているか確認しましょう。また欠格事由(過去の法令違反がないか)もチェックされるため要注意です。
保有している許可証に、以下の名称が記載されているかをご確認ください。
- 産業廃棄物処分業者(中間処理・最終処分※)
- 特別管理産業廃棄物処分業者
- 一般廃棄物処分業者
- 再生利用認定業者・広域的処理認定業者
- 各種リサイクル法に基づく認定業者(容器包装、特定家庭用機器、小型電子機器、プラスチック資源循環、資源循環高度化法など)
<注意点:対象外となるケース>
以下の場合は、現時点では対象外となる可能性が高いため注意しましょう。
・「収集運搬のみ」の許可:トラックの運搬のみをしており、自社で選別や破砕などの中間処理をしていない
・「浄化槽」関連の許可のみ:浄化槽の保守点検や清掃業のみを営んでいる
参考:別添(第二2及び第三4関係)|資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 及び育成就労に係る制度の運用に関する方針
2.協議会への加入・タイミング
特定技能「資源循環」分野では、環境省が管轄する協議会への加入が義務付けられています。
他の分野では「受け入れ後4か月以内」に加入すればよいケースが一般的ですが、資源循環分野ではルールが異なり、受け入れ前に協議会へ加入し、「書面および実地確認(優良機関認証)」を受けることが必須です。
新設分野で手続きも厳格なため、審査に時間がかかる可能性があります。採用を検討し始めた段階から、早めに協議会加入と社内体制の準備を進めることが重要です。

3.給料は日本人と同等以上
特定技能外国人の給与を決定する際には、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 労働関係法令等を遵守していること
- 外国人の給料が日本人と同等額以上であること
参考:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領 p.5」
外国人労働者の給与について、初心者でもわかりやすく解説しました。
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新設されたばかりの分野だからこそ、早めの情報収集と準備がスムーズな受け入れにつながります。「現場で熟練した技術者」を育てるために、制度への理解を深めておきましょう。
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3.外国人に求められる技能と日本語能力
特定技能「資源循環」の在留資格は、2つの試験に合格していなければなりません。試験では「分野に関する技能」と「日本語能力」が問われます。
ただし公式には、具体的な試験内容は発表されていません。随時、環境省「資源循環分野における特定技能・育成就労制度」ページをチェックするようにしましょう。
3-1.資源循環分野特定技能1号評価試験への合格
特定技能「資源循環分野」のビザを取得するには、分野ごとに実施される「技能評価試験」への合格が必要です。
【試験の内容(予測される範囲)】
運用方針に定められた「専門技能」や「安全教育」の基準にしたがうと、以下の内容が出題される見込みです。
- 廃棄物の基礎知識:廃棄物の種類や危険性、適正な処理ルール(中間処理)の理解
- 安全衛生:現場での事故を防ぐための安全知識や、標識・指示の理解
- 実務技能:選別や機材操作など、中間処理の現場で即戦力として動くための知識
3-2.日本語水準(日本語教育の参照枠のA2.2相当以上)
資源循環分野の特定技能1号では、現場での安全確保や正確な作業を目的として、「日本語教育の参照枠A2.2相当以上」という日本語能力の基準が設定されています。
「日本語教育の参照枠」とは、文化庁が定める「日本語で何ができるか」を評価する世界基準の指標です。多くの特定技能分野で基準とされる「A2(初級)」は、「日常生活での基本的なやり取りができるレベル」ですが、資源循環分野ではそのなかでも上位の「A2.2」という、より高い習熟度が求められています。


4.特定技能「資源循環」の注意点
資源循環の現場は、粉塵や騒音、鋭利な廃棄物の手選別、大型の破砕・圧縮機の操作など、他分野(外食や介護など)と比較して労働災害のリスクが高い傾向にあります。
労働災害を防ぐ対策をする
| 対策項目 | 具体的なアクション | 期待できる効果 |
| 1. 母国語マニュアル | 機械の停止手順や「混ぜると危険」などの禁忌事項を、図解入りで母国語訳する | 緊急時の正しい判断と行動を徹底できる |
| 2. 日本語レベルの確認 | 指示を出したあと、本人に「何をすべきか」を自分の言葉で復唱させる | 「分かったつもり」による誤操作や、返事だけの放置を防げる |
| 3. 視覚的な安全対策 | 危険箇所にピクトグラム(絵文字)を掲示し、直感的に危険を察知できる環境を整える | 騒音で声が届かない場所でも、瞬時に危険を共有できる |
「分かりました」を過信しない
騒音のなか、聴き間違いをしたり、わからないのに質問ができなかったりするケースも。外国人が「わかりました」と返事をしても、実際には理解できていないケースがあることを念頭に置きましょう。「実際に作業をやって見せてもらう」「重要な指示は紙やホワイトボードで視覚化する」といった二重の確認を心がけましょう。
外国人を採用してもうまくコミュニケーションがとれるか不安…
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5.特定技能「資源循環」採用の流れ
募集から入国までの基本ステップは、以下の通りです。
1. 求人募集・面接
2. 雇用契約の締結
3. 事前ガイダンスの実施
4. ビザ(在留資格)の申請・発給
5. 入国・就労開始
詳しい手順については、こちらの記事「特定技能の採用の流れ」をご覧ください。
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6.JJSの外国人採用支援で即戦力になる教育体制を!
2027年4月から本格始動する特定技能「資源循環」分野は、深刻な人手不足を解消する大きなチャンスです。一方で、新設分野ゆえの制度の複雑さや、他分野より高い現場の安全管理リスクへの対策が急務となります。
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