特定技能「外食」で採用をするまでの7つのステップを解説

コロナ禍以降人手不足に苦しんでいる飲食業界では、「特定技能「外食」で外国人を採用したい、でも具体的になにをすればわからない」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では特定技能「外食」で外国人を採用する一連の流れを具体的、かつ分かりやすく説明しています。さらに、特定技能「外食」での採用を検討している企業では、社内の説明資料としても使えます。ぜひ最後まで読んで、参考にしてください。
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そもそも特定技能「外食」とは?
外食業とは飲食物調理・接客・店舗管理など、店舗で飲食を提供するビジネスに関わる業務が当てはまります。
この章では、外食業界で特定技能外国人を雇用できるポジション・業務内容について解説します。
特定技能「外食業」とは
「特定技能」とは特定の職種に対する人手不足を解消する目的に2019年に新たに新設された在留資格です。
特定技能が設置される前までは、外食業において「技術・人文・国際(技人国)」もしくは「留学」の在留資格で外国人を雇用することが可能でした。しかし、「技人国」は外国人に現場労働してもらうことが不可能で、「留学」は週28時間以内という就業時間の制限がありました。

特定技能「外食」の在留資格では、
- フルタイムでの勤務
- 現場労働
- 1号では5年間の雇用・2号では無期限で雇用
といったことが可能になり、まさに人手不足で苦しんでいる飲食業界で、外国人を雇用しやすい在留資格になっています。
特定技能「外食」については以下の記事でも詳しくまとめられています。

特定技能「外食業」で雇用できる業務内容
分野は飲食物調理・接客・店舗管理の3つです。 それぞれで従事する主な業務は以下の図の通りです。 上記に関連して「店舗において原材料として使用する農林水産物の生産」、「客に提供する調理品等以外の物品の販売」も従事可能です。
ただし、接客や調理等の業務がないデリバリーのみへの従事や、風俗営業許可が必要な店舗での業務は認められていません。キャバクラ、ホストクラブ、低照度な飲食店での接待業務はもちろん、同店舗での接待以外の就労もできません。 フードデリバリーについては接客や調理業務に付随する場合にのみ可となっています。
また、ホテル内のレストランでも調理や接客、配膳の業務に従事することは可能です。しかし、ホテル内のベッドメイキングや受付業務は行えないので注意してください。ホテル業務全般は特定技能「宿泊業」で従事させることができますので、ご確認ください。

参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)
STEP1. 企業の要件を確認
特定技能「外食」で外国人を採用するには、企業側が満たさなければいけない要件があります。 要件は大きく以下の2つです。
- 企業自体が適切である
- 協議会に参加している
① 企業自体が適切である
「企業自体が適切である」ということは、企業が労働関係法令を遵守していることや、1年以内に企業の責めに帰すべき事由による行方不明者を出していないことなどが挙げられます。
具体的な注意点について解説します。
労働・社会保険・租税に関する法令を遵守している
特に労働関係法令違反には注意が必要です。また、事業所が厚生年金や健康保険に加入していることや、税を適切に納付していることも重要な要件となります。
1年以内に企業の責めに帰すべき事由による行方不明者を出していないこと
雇用中の外国人が、企業の賃金の未払い・不当な長時間労働や時間外労働などが原因で行方不明になっていた場合、新たに特定技能外国人を雇用できなくなったり、既に雇用をしている特定技能外国人の雇用継続もできなくなる可能性が高くなります。
1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
「労働者を非自発的に離職させる」ということは、企業の倒産や不当な理由による解雇などが挙げられます。
支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと
雇用するに当たっての費用や雇用後の費用を外国人に負担させることはできません
② 協議会に加入している
受入れ機関の要件の一つとして、協議会への加入義務があります。
協議会とは
協議会とは特定技能制度の円滑な運用を図るために設置された機関です。 構成員としては「受け入れ機関」、「分野所管省庁」、「業界団体」、「登録支援機関」などが所属しています。 外食業の特定技能協議会は「食品産業特定技能協議会」で、管轄省庁は農林水産省です。
協議会への参加方法
入会方法はオンライン申請のみです。申請は2ステップあります。
事務局から届いたメールに必要書類を添付して返信する
メールの件名はそのままに、以下の書類をPDF等で添付し返信をします。
- すでに、特定技能の在留資格を取得済み、または在留申請を完了している場合
入管に提出した『特定技能外国人の受入れに関する誓約書』の写し を添付する - 今後、特定技能外国人を受け入れ予定でこれから在留申請を行う場合
『特定技能外国人の受入れに関する誓約書』 を添付する。 - 総合スーパーマーケット、または食料品スーパーマーケットに該当する受入れ機関は、上記に加えて『特定技能外国人の従事する業務に関する誓約書』も添付して返信する。
審査に通過したら、加入証がメールで届く
審査に通過したら、加入証がメールで届きます。審査には通常2週間~1か月程度かかります。
③ 外国人を支援する体制があり、計画が適切である
特定技能制度では、外国人が仕事と生活を円滑に行うことができるように、受入れ機関側に支援計画の作成とその実施が義務付けられています。

ただし、全ての支援内容を初めて外国人を採用する企業が行うのは非常に大きな負担です。そこで、多くの企業はこれらの支援義務をすべて登録支援機関に委託しています。
出典:農林水産省「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について」
出典:出入国在留管理庁「特定技能ハンドブック」
STEP2. 外国人は、試験に合格する
特定技能「外食」で採用する外国人は2つの試験に合格しなければなりません。
- 日本語能力試験
- 外食業技能試験
※技能実習2号を良好に修了した場合は免除
2-1. 日本語能力を測る試験
日本語能力検定試験(JLPT)のN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上に合格する必要があります。JLPTの実施は7月と12月の年に2回、JFT-Basicの実施は2か月に1回の年に5回です。国際交流基金によると、これらの試験の日本語レベルは「基本的な日本語を理解できる」です。
日本語試験の技能レベル
読む力
基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
聞く力
日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる
2-2. 外食業に関する実務的な知識をはかる試験
特定技能ビザの大きな特徴の一つが、各分野の専門試験(技能測定試験)に合格する必要があるということです。「外食」の場合は、外食業特定技能1号技能測定試験です。
この試験は年に3回、各都道府県と海外(ネパール・ミャンマー・フィリピン・タイ・カンボジア・インドネシア・スリランカ)で行われます。
試験概要
学科試験(100点満点)
①衛生管理
②飲食物管理
③接客全般
実技試験(100点満点)
①判断試験(図やイラストを見て、正しい行動を選ぶ)
②計画立案(計算式を使って、作業の計画を立てる)
合格基準は満点の65%です。合格率は約50%と決して高い数字ではありません。事前にテキストを解くなど、万全な対策をして試験に臨む必要があります。
海外在住者を雇用する場合
海外在住者を雇用する場合、日本語をはかるテストは日本語能力試験(JLPT) N4以上または国際交流基金日本語基礎テストA2以上に合格する必要があります。 また、外食業特定技能1号技能測定試験は、国外だとネパール・ミャンマー・フィリピン・タイ・カンボジア・インドネシア・スリランカに限られます。
国内在住者を雇用する場合
国内在住者を雇用する場合、日本語をはかるテストは日本語能力試験(JLPT) N4以上に合格する必要があります。
技能実習修了予定者を雇用する場合
国内で特定技能ビザに切り替えることが多いのが、技能実習修了者です。技能実習2号を良好に修了した外国人は、外食業特定技能1号技能測定試験が免除されます。
STEP3. 支援業務を委託するか選ぶ
「特定技能「外食」で外国人を受け入れたいが、外国人の支援計画を作成し、実行するのは不安だ」と感じている企業の方もいるかと思います。
実は、今現在すでに特定技能で外国人を受け入れている多くの企業が、特定技能外国人への支援をその専門機関に委託しています。
<支援機関に一部委託できる条件>
支援機関に一部委託をすることも可能ですが、それは以下の条件を満たしている場合に限られます。
- 直近2年間で就労ビザを保有している外国人の受け入れた実績がある
- 3-1に記載されている3つの支援を行う体制が社内で確立している
この2つの条件を満たしている企業が少ないため、登録支援機関に支援業務を委託する場合が多いのです。
3-1. 登録支援機関の業務
支援業務を行う「登録支援機関」が行う業務は以下の通りです。
- 外国人への支援を適切に計画・実施する
STEP1. 1-2で記載した、1号特定技能外国人支援計画を作成、実施する必要があります。 - 出入国在留管理庁への各種届出を行う
契約変更、契約終了などがあった場合に入管に報告します。 - 入管への定期的な報告
四半期に一度、支援責任者が外国人及びその上司と面談します。もし労働基準法に違反等があれば、通報する必要があります。
3-2. 登録支援機関への委託方法
出入国在留管理庁のホームページにて、登録支援機関登録簿が掲載されております。
以下に合わせて、条件に合った支援機関を選ぶことができます。
- 任意的な支援があるか
- 対応可能言語
登録支援期間である Japan Job Schoolでは、外国人紹介から支援まで一括で行っています。
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STEP4. 雇用条件・給与を決める
STEP1で触れたように、特定技能で外国人を雇用するときは、日本人と同等またはそれ以上の条件で雇用契約を結ぶ必要があります。
4-1. 直接雇用
特定技能とよく混同される技能実習制度では監理団体を通じて外国人を雇用する間接雇用をすることができます。しかし、特定技能は外国人と受け入れ機関(企業)が直接契約を結ぶ直接雇用のみです。
4-2. 待遇
給与・労働条件ともに、同ポジションで雇用をしている日本人従業員等と同等以上の条件である必要があります。
また、外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしてはいけないことも定められています。
〈同ポジションで雇用している日本人がいない場合は?〉
- 受入れ機関に労働規定・賃金規定がある場合
規定に基づいて判断します。 - 受入れ機関に労働規定・賃金規定がない場合
特定技能外国人が従事する業務と近い業務等を担う日本人労働者の労働条件・賃金と照らし合わせ、当該日本人労働者の役職や責任の程度を踏まえた上で、特定技能外国人との報酬差が合理的に説明可能か,年齢及び経験年数を比較しても報酬額が妥当かなどを検討して判断します。
STEP5. 求人募集を開始
求人募集を出すときに注意する点は、技能測定試験合格者以外も選考することです。というのも、技能測定試験は年に3回(2025年度は7月、10月、1月)しか行われないため、技能測定試験合格者に絞って選考すると、応募者がかなり少なくなってしまいます。
求人募集~採用の流れ

求人募集から採用の流れについて、具体的に説明していきます。
以下のような文言で募集をかけることをおすすめします。
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上を保持している。またはそれと同等の日本語力を有し、これらの試験に合格するために勉強できる人
- 技能測定試験(筆記・実技)のために勉強ができる人(試験に合格した人大歓迎)
- 技能実習2号修了者(又は修了予定者)
また、現在留学ビザでアルバイトをしている外国人に、「留学が終わった後も特定技能ビザで継続して働いてみないか」聞いてみるのもおすすめです。特定技能ビザになれば正社員としてフルタイムで働け、給料もかなり多くなるので、アルバイトしている外国人にとってはメリットが多い提案となります
選考では日本語能力はもちろん、日本の就労文化(5分前行動、チームワークを大切にする等)に適応できるかを見極めることをおすすめします。
技能測定試験の日程は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のホームページで公開されています。入社までの残りの試験回数と、技能試験の合格率が50%前後ということを見込んで、多めに採用内定を出すことをおすすめします。
②で解説したとおり、内定を出した外国人を採用するには、外国人に技能測定試験・日本語能力試験(N4以上)に合格してもらう必要があります。試験の申し込み手続きは複雑なので、企業が代理登録をすると、確実に試験を受けてもらうことができます。
試験まで日数がある場合は、内定を出した外国人を集めて毎日試験勉強させるようにするといいでしょう。
STEP6. ビザ申請
ビザ申請は、当該外国人が日本在住の場合と、海外在住の場合で手続きが異なりますので、分けて説明します。
とはいっても、ビザ申請も外国人の支援同様、必要書類が多く、手続きが難しいため、登録支援機関や行政書士などの第三者に任せる方が多く、弊社もそうすることをおすすめしています。
もちろん自社で申請することもできるため、その場合の必要書類などを以下に記載しております。
6-1. 日本国内に在留している外国人を採用する場合
在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ行います。原則外国人本人による申請のみ受け付けていますが、地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合のみ、企業からの取次ぎが可能です。
申請等取次者の申請方法
地方出入国在留管理局で申請等取次の申出を行ってください。申出は、地方出入国在留管理局及び管下出張所の窓口または郵送にて受け付けています。
必要書類は以下の通りです。
- 申請等取次申出に係る提出書類一覧・確認表
- 申請等取次申出書(第1号様式)
- 承認を受けようとする者の写真(3.0㎝×2.4㎝)2葉
- 承認を受けようとする者の経歴書及び在職証明書
- 在留カードの写し(申請する人が外国人の場合)
- 入国・在留手続に関する知識を有していることの疎明資料
- 出入国管理行政に関する研修会等の受講(修了)証明書を提出する場合は、原則発行から3年以内のものを提出してください。
- 登記事項証明書(法人の場合(登記事項証明書が提出できない場合は、会社等の概要が記され たパンフレット等))又は住民票の写し(個人の場合)
- 本人確認資料の写し(本邦の公的機関が発行した身分証明書、健康保険証、住民票(外国人の場合は在留カード、特別永住者証明書)の写し)※郵送の場合のみ
- 返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上、404円分の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの)※郵送の場合のみ
在留資格変更許可申請方法
〈必要書類など〉
以下、在留資格に関わらず共通
- 手数料4000円(収入印紙で納付)手数料納付書
- 在留資格変更許可申請書(1通)
- 申請人名簿(申請取次者を介して、複数の申請人について同時申請する場合)
- 写真 1葉
以下、在留資格「特定技能」に変更する場合に提出
- 申請人のパスポート及び在留カード(提示)
- 申請人に関する必要書類 「特定技能1号」に係る提出書類一覧表
- 所属機関に関する必要書類
- 分野に関する必要書類(外食)外食業分野に関する必要な書類
以上の書類を持参のうえ、各地域の出入国管理局へ提出してください。
6-2. 海外から来る外国人を採用する場合
在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う必要がありますが、これも6-1と同様、地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合のみ、企業からの取次ぎが可能です。 在留資格認定証明書を受領できたら、海外にいる外国人に送付し、外国人本人が在外公館で査証(ビザ)申請をします。
STEP7. 入社
7-1.入社前に行うこと
入社前に行うことは、以下3点です。
- 事前ガイダンス
労働条件・内容等を説明する - 生活オリエンテーション
日本の生活のルールを説明する - 住所の確保・銀行開設のサポート
事前ガイダンス
特定技能外国人へ義務付けられている支援の一つです。
雇用契約を締結した後、かつ、在留資格に関する申請をする前に行います。
内容は主に下記の4点です。
- 労働条件|給与や勤務時間などの労働条件について説明する。
- 活動内容|特定技能1号で定められている活動内容について説明する。
- 入国手続き|入国のために必要な手続きを説明する。
- 保証金徴収の有無|特定技能の履行に関する保証金を結んでいないかどうか確認する。
※当該外国人が理解できる言語で行う必要があります。
生活オリエンテーション
こちらも、特定技能外国人へ義務付けられている支援の一つです。
約8時間分のオリエンテーションが必要です。日本のルールやマナー、公共機関の利用法や連絡先、災害時の対応等について、円滑に社会生活を営めるように説明します。
以下は内容の一例です
- 電車・バスの乗り方の案内
- 銀行や病院などの利用方法の案内
- 生活必需品の購入方法の案内
- 税金や年金に関する知識や相談先の案内
- 行政手続きの案内
- 災害時の情報の入手や避難方法の説明 など
※当該外国人が理解できる言語で行う必要があります。
住所の確保・銀行開設のサポート
住居を確保し生活の基盤を整えることは、異国で働く特定技能外国人にとって非常に重要です。生活周りの支援をどの程度手厚くできるかで、外国人の企業に対する信頼度も変わってきます。
以下を必ず行います。
- 外国人が住む住居を確保する
- 銀行口座の開設
- 携帯電話の契約
- 電気・ガス・水道の契約および開設
※案内を行うだけでなく、必要に応じて同行などの補助を行う
Japan Job School 住居支援担当私たちが、外国人の住居確保で意識していることは以下の2点です。
① 初期費用の安さ
② 職場からの近さ(通勤時間が30分以内)
7-2. 【2025年10月から変更】入社後継続して行うこと
外国人の入社後は、支援を行います。具体的な内容は以下4点です。
- 定期的な面談 :3か月に1回
- 定期届出の提出:1年に1回
- ビザ更新 :3年に1回(最長)
- その他 :常時
※日本語学習機会の提供・相談への対応・地元の人との交流機会の提供
それぞれ2025年に大きな変更があった部分です。すでに特定技能外国人を採用している機関の方も必ずお読みください。


ビザを更新する
従来、特定技能ビザの更新は1年ごとでしたが、2025年9月から「最長3年に1度」に変更されました。
ただし、申請して必ず3年間の在留資格が得られるわけではありません。1度の申請で在留期間を最長3年に指定できるようになりましたが、許可されるか否かは入管の審査次第です。
定期届出を年に1度提出する
入社後の特定技能外国人への支援項目として受入れ機関が一番注意しなければならないのが、入管への定期届出です。
「定期届出」とは
受入れ機関及び登録支援機関が、特定技能外国人の受け入れ状況・給与の支払い状況などを所定の様式に記入して、入管に提出することです。
定期届出は従来は3か月に一度でしたが、2025年9月から1年に1度に変更になりました。定期届出の対象年月日と、提出締切は以下の通りです。
| 報告の対象となる期間 | 定期報告の提出期間 |
| 4/1~翌年3/31 | 翌年4/1~5/31 |
1年に1度の提出になったからといって、提出書類まで簡素化されたわけではない点に注意してください。逆に様式が新しくなった書類や、改正法施行で新たに提出を義務付けられた書類もあります。
そのため、届出の対象期間中に必要な書類が提出できるように事前に把握しておくとスムーズに進められるかと思います。締め切り(翌年の5月31日)までに間に合うようご準備ください。
改正後の定期届出の必要書類・様式・提出期限についてはこちらの記事をお読みください。
【2025年4月から変更】3か月に一度の面談
入管への定期届出は1年に1度になりましたが、特定技能外国人との面談は従来通り3か月に1度行わなければなりません。
ただし、2025年4月1日から、定期面談をオンラインで行うことが可能になりました。オンライン面談には、オンライン会議システムやテレビ電話など、互いの表情を確認できるツールを使用します。
その他行うこと
相談があれば対応する
外国人への支援項目の1つに「苦情・相談の窓口を設け、随時対応」というものがあります。 業務内容だけでなく、職場環境、生活、日本語能力についてなど外国人従業員は様々な悩みを持っているでしょう。 登録支援機関に支援義務を委託している場合は、登録支援機関の職員が対応します。
日本語学習機会の提供
企業がすべき、特定技能外国人への日本語教育で求められることは以下の3つです。
- 自社か外部委託か日本語教育の方法の検討を行う
- できる限り自社でも日本語研修を行う
- 従業員同士の交流によるコミュニケーションを心がける
特定技能外国人が日本語を話す相手の大半は一緒に働いている従業員です。そのため日本語教育を外部へ委託したとしても、なるべく自社内でも従業員同士の日本語コミュニケーションが促進されるような工夫が必要です。



日本で生活すれば、自然と外国人の日本語力が伸びると思われるかもしれません。
しかし、外国人を雇用している企業様にお話を伺うと、
「想像していたほど外国人の日本語能力が向上しない」というお悩みの声を多くいただきます。
日本人との交流機会の提供
外国人従業員が会社だけでなく地域のコミュニティとの関わりを持つことは、外国人従業員の日本の生活の満足度を向上させます。結果として長期的に活躍してくれる人材を確保することにつながるでしょう。 例えば、地元のお祭りや交流会の情報提供・参加の補助等を行います。
10.【2024年開始】特定技能2号への移行方法
2023年に、外食分野でも特定技能2号に移行できるようになりました。 この章では外食業で特定技能2号に移行する流れを解説します。
外食分野特定技能2号とは
| 特定技能2号 | 特定技能1号 | |
| 在留期間 | 上限なし ※3年・2年・1年・6か月ごとに更新が必要 | 通算5年(一部例外あり) ※3年、1年、6か月、または4か月ごとに更新が必要 |
| 家族帯同 | 可能 | 不可 |
| 永住権の取得しやすさ | 取得しやすい ※取得要件にある10年の在留(うち5年は就労ビザ)に、カウントできる | 取得しにくい |
| 業務内容 | 店舗の管理業務(メニュー開発、従業員教育など) | 調理・接客・デリバリー・店舗管理 ※デリバリー業務のみに従事させてはいけない |
在留資格「特定技能2号」とは、高度な技能と豊富な実務経験を持つ外国人が取得できる在留資格です。特定技能1号からキャリアアップするための制度だといえます。
外食分野特定技能2号の取得要件と、取得までの流れを詳しく解説します。


STEP1|指導・管理の実務経験を積む
特定技能2号を取得するためには、日本国内の飲食店で2年以上の指導・監督業務の経験が必要です。また、店舗運営の補助業務にも携わっていることが条件となります。 具体的には、サブリーダーや副店長として複数の従業員を指導・管理した経験が求められます。 店舗運営の補助業務とは、衛生管理全般、求人・雇用の関する事務、顧客情報の管理、経営事務管理などの業務を補助することです。
資格申請の際は、「実務経験証明書」や「指導等実務経験に係る契約書」を「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)」へ提出する必要があります。
なお、母国での外食業経験や、他の在留資格での実務経験は対象外となるため、注意してください。
STEP2|日本語試験に合格する
特定技能2号「外食」の申請には、日本語能力試験(JLPT)N3以上が必要です。 特定技能2号で日本語要件が定められているのは外食業と漁業のみなので、他分野とは異なっている点に注意してください。
JLPT N3は、N4と比べて出題される漢字・語彙の数が激増します。そのためN4までは楽に合格できていたが、N3取得のためには必死に勉強したという外国人が多いです。
企業がJLPT取得のための学習の場を提供することをおすすめします。
JLPTのレベル感・必要な学習時間などはこちらの記事を参考にしてください。
STEP3|技能試験に合格する
試験は学科試験と技能試験の2つに分かれています。
特定技能2号評価試験を受験するためには日本国内の飲食店で2年以上の指導・監督業務に携わっていることが必要です。受験の申し込みの際に実務経験証明書(p.8,9)を提出してください。
試験の前日までに管理等実務経験が2年に満たない場合であっても外食業2号技能測定試験を受験していれば、試験の日から6か月以内に指導実務経験を2年以上有することが見込まれることで受験要件を満たします。
【2025年10月改正】特定技能1号の在留期間が最大6年に延長
特定技能2号試験に不合格となった特定技能1号の外国人のうち、一定の条件を満たす者については、通算在留期間が最大6年となります。
(※主に「2号試験を受験し、合格点の8割以上を取得した方」が対象。)
STEP4|在留資格変更の申請をする
在留資格変更許可申請書を含む必要書類を準備し、最寄りの地方出入国在留管理局・支局(空港支局を除く)に提出して手続きを進めてください。
必要書類は以下の通りです。
| 全分野共通書類 | 在留資格変更許可申請書をはじめとした「※1申請人に関する必要書類」 「※2所属機関に関する必要書類」 |
| 外食分野の書類 | 外食業特定技能2号技能測定試験の合格証明書の写し JLPT(N3以上)の合格証明書の写し 保健所長の営業許可証又は届出書の写し 外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式第14-1号) |
| 企業内で初めての「特定技能外国人」採用から4か月以上経過している場合 | 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関) |
※参考:外食業分野に関する必要な書類|出入国在留管理庁
STEP5|特定技能2号として勤務開始
在留資格変更許可申請が通過し、新しい在留カードを受け取ったら特定技能2号としての業務を開始できます。
特定技能2号外国人が監督として店舗管理や従業人指導を行うことで、他の1号外国人従業員にとっても働きやすい職場となるでしょう。
【経験談】外食業で 特定技能外国人を雇用した事例
JJSでは、外食分野で特定技能を雇用している企業さまにインタビューしています。特定技能外国人を雇用する前にした準備や、採用してみてみえた課題について尋ねました。外国人の雇用体制を整える準備の参考になるでしょう。
<事例1>
仕事を頑張ってくれる姿勢から不安もなくなった|外食業 企業さまインタビュー


<事例2>
人手不足から外国人採用へ 今後も積極的に採用したい | 外食業企業さまインタビュー


よくある質問
- 外国人が日本語試験・技能測定試験に合格する前に、雇用契約を結ぶことはできますか?
-
外国人が日本語試験・技能測定試験に合格する前に、雇用契約を結ぶことはできません。しかし、各試験の合格前に内定を出すことは問題ありません。特定技能雇用契約を締結した上で,受験することもできますが、各試験に合格しなければ,受入れが認められないことに留意してください。
- 受け入れ機関等による事前ガイダンス・健康診断・生活オリエンテーションはいつ行う必要がありますか?
-
事前ガイダンス・健康診断は雇用契約締結後に行ってください。外国人本人の理解できる言語で行います。生活オリエンテーションは、特定技能ビザの活動許可後から行うことができますので、勤務開始後に速やかに行ってください。
- 特定技能外国人を雇用したいと考えていますが,どのように求人すればよいですか。
-
国内外の職業紹介機関を活用する企業が多いです。国内の募集であればハローワークを通じて採用することも可能ですし、外国人採用に特化した職業紹介サイトなどに掲載することもできます。
登録支援機関であるJapan Job School では、外食業で働きたい外国人材を紹介できます。
最後に
特定技能「外食」で外国人を採用するイメージはつきましたでしょうか。特定技能ビザで外国人を採用するためには義務的支援が必須あったり、ビザの手続きが煩雑であったり、最初はハードルが高いかもしれません。しかし、複雑な手続きは支援機関など外部に委託することもできますし、特定技能「外食」で外国人を採用することは、それ以上の大きなメリットがあります。
人手不足を解消し、さらに外国人観光客にも対応できるグローバルな飲食店として成長するためにも、特定技能「外食」での採用をご検討ください。当スクールでは特定技能外国人の採用に関するご相談を承っていますので、特定技能で外国人を採用したい方や具体的な採用方法について知りたい方はお気軽にご相談ください。


特定技能に関するオンライン無料相談
100名以上の特定技能支援を行う、特定技能の専門家が対応いたします。
どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。




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