【現場社員が解説】特定技能外国人の定着率を上げる方法!主な離職理由とともに徹底解説
特定技能は転職が許されている就労ビザの一つです。介護業や外食業など、日本国内で人手不足が叫ばれる12業種において試験に合格していればどの業種への転職も可能です。
ですので、特定技能外国人の方々に定着してもらうには、特定技能の方々が「ここの企業で働いていたい!」と思えるよう、対策をする必要があります。今回は特定技能外国人を定着させるための効果的な対応策について解説します。
まず、特定技能の理解を深めたい方
⇒「特定技能まるわかり資料」をぜひご参考ください。
1.特定技能外国人の主な離職理由
退職理由は企業により様々ですが、よくある退職理由を下記で解説します。
人間関係
特定技能の方を採用される際には、代表取締役の方や採用担当の人事の方々が検討され採用されることが多いかと思います。
また、四半期に一度ある定期面談では、特定技能の方々を指導・監督される方が支援責任者として特定技能の方々の仕事の様子を話します。
ですが、実際に働く現場では、採用や入社準備に関わる方々も含め、支援責任者の方でさえも目の届かない現場での仕事が特定技能の方々にもあるかと思います。
そうした現場で、日本人従業員の方々が何気なく発した「やっぱり○○人は…」といった言葉や、外国籍だからという偏見から能力はあるのに業務の一部を任せられないといったことがあります。
A社では、「外国人に自分の仕事の一部を任せることなんてできない。」
B社では、「ある日本人従業員の方が、特定技能の外国籍の方にだけ挨拶をしない」 など。
そうした職場での特定技能の方々の悩みにもちろん母国語スタッフが相談に乗ったりとサポートはするのですが、やはりそういった状況がなかなか職場で改善されない状況が続いてしまうと離職の原因の一つになってしまいます。
外国人とよりよい関係を築くことは定着にもつながります
⇒「外国人労働者と良い関係を築くためのコミュニケーションマニュアル」をぜひご参考ください。
給与と雇用条件と異なる休憩時間での労働
入社してから少し時間が経つと、特定技能の方々も多くの業務ができるようになります。
そんな中、理由もなく日本人従業員の行っている業務を任せてもらうことができず、なかなか昇給できないといった状況などができてしまうと、給与に不満がでてきてしまい転職されることもあります。
また、手当について勤務開始した初月からつくと思っていたものが、勤務開始から半年経たないとつかないといった事実が勤務開始後に発覚したり、、といった原因です。
そもそも雇用条件と異なる休憩時間で労働は違反になりますが、、中には同じ法人内であっても店舗や施設によって休憩のタイミングや時間が異なる場合もあります。
中には、人事の方々がキャッチしきれないような店舗ごとの雰囲気により、所定の休憩を取らせてくれないということもあります。
日本人従業員の方々がタイムカードを押した後も業務を行っていたり、、
本来3名で担当するところを特定技能外国人の方のみに任せて、他の方は休んでいたり他の場所を担当していたり、、など。
そんな環境で働き続けた結果、体調不良が出始め身の危険を感じて退職されることもあります。
2.特定技能外国人を定着させる方法
特定技能1号として働ける期間は最大でも5年間。しかし、特定技能2号や在留資格「介護」を取れば、半永久的に働くことができます。
5年と言わず、その先も見つめるためにはどういった環境であれば働き続けてもらえるのか、、定着のための環境作りの要素について少し紹介します。
2-1.給料は満足感のある額で設定する
特定技能として働きに来る外国籍の方々の多くは、日本で賃金を稼ぎ母国の家族を養うために働いています。
⾃国と平均の賃金も、数倍〜数十倍違います。1円でも多く稼ぎたい気持ちから、昇給を主張されることもあります。
ただ、給与のアップというのは、日本人従業員に対しても難しいことの方が多いかと思います。そんな相談があった際に、効果的と考える2つの対応策をご紹介します。
1.話し合いの場を設け、互いの妥協点を模索する
外国籍の方々は協力的な企業かどうかという点を気にしています。
そのため、話し合いの場を設けずに放置してしまうと非協力的な企業と判断し、そのまま転職活動を進めてしまう可能性が高いです。
まずは、特定技能の方々とお話合いの場を設けていただき、どういった根拠から昇給を相談したいのかなどをヒアリングしていただき、企業様としての見解や考え等も共有していただいて、お互いの妥協点を模索していただくことが効果的と考えています。
2.評価制度を明確にする
特定技能の方々に対しても、客観的な根拠を用いて現状の待遇を説明する必要があります。
そのため、できる限り客観的な評価制度を整備すると効果的でしょう。
成功例としては、日本語能力検定の階級に応じて給与に差を設けている企業様がいらっしゃいます。
実例:日本語能力検定を取得→昇給:2,000円
2-2.職場環境を整える
技能実習制度を活用している企業で、悪質に架空の税金徴収や年金徴収をする悪質な企業があります。そのため、特定技能の方々も自分の身を守るために労働条件に違反がないか敏感です。
特に契約内容と支給された給与とに違いがあったり、残業代の未払いがあったりした場合は必ず外国人から確認があります。
時には、給与に覚えのないプラスの金額があった際にも、説明を求めることもあります。そんな中で、環境整備の一環として、効果的と考える2つの対応策をご紹介します。
1.雇用条件と労働基準法を守る
これは、会社としてはごく当たり前のことを書かせて頂いてはいるのですが、、外国籍の方々は契約書を重視します。
もしかしたら、私の感覚として日本人よりも細かく見ているかもしれません。
そのため、雇用条件書で提示をされた給与以下の給与支給となってしまうと必ずトラブルに発展します。ビザ申請時に提出する雇用条件書に必ず誤りがないかご確認ください。
2.給与に関する説明には法的根拠を元に説明をする
給与に関する質問には丁寧に回答する必要があります。
「難しい日本語も多いから…」などと細かな部分を割愛し、十分な説明がないと外国籍の方々が疑心感を持ってしまう原因となってしまいます。
一度疑心感を持ってしまうと、それを払拭するのは非常に困難になります。
そのため、日本人にとっては当たり前だと思うような質問だとしてもご説明が必要です。
2-3.異文化を理解する
外国籍の方々は、日本とは異なる文化を理解し”違いを受け入れてもらえるか”、”違いがあることを考えてくれるか”という不安を抱えている場合が多いです。
そのため、そういった不安を解消することが、”日本で働いて良かった”、”この会社で働いてよかった”を実現する一助になると考えています。
外国籍の方々の文化を理解することで定着につながります。
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一時帰国の主張
外国籍の方々は、家族と画面越しでも顔を合わせるほど家族を大切にする人が多いです。
そういった行動をみると、日本人以上に家族とのつながりや時間を大切にしているように感じることが多くあります。
海外から出稼ぎに日本に来ているだけでも、かなり遠い場所から来ていますが、自国の空港から飛行機やバスを乗り継いで片道12時間かかるような場所に実家があるような方もいます。
また、祝日に対する考え方も日本人とは違うので、他の日本人との休日の取り方が不公平にならないように休日のルールを作ることが有効です。
例えば、繁忙期の時期など休暇を取得してほしくない時期を事前に伝えたり、同じ国籍の外国籍の方には休暇時期をずらすように要求したりすることが大切です。
プライベート意識の違い
日本人は、自分の給料や家族のことなどプライベートなことに関して、人に話すことにためらいがある人が多いかと思います。
ですが、外国籍の方々は、そういった部分もオープンに話す方が多いです。
特定技能として働く1名の給与を上げたところ、次の日には同じく特定技能として働く他数名にもその方の昇給のことが広まっていたというようなこともあります。
3.その他受け入れ前に準備すべきこと
ここからは定着のための具体的な行動の提案をいたします。
3-1.教育担当者の選定
特定技能の方々を多く受け入れられている企業様の中で、教育担当者の方を選任している企業様をみることがあります。
そんな教育担当の方を選定する基準を作っている企業様もございます。
例えば、『声をかけられた時に嫌な顔せず答えられる人』や『忍耐強い人』、『最後まで人の話を聞ける人』といったようなものです。
3-2.特定技能外国人理解研修
特定技能の方々が入社される前に、特定技能の方々を受け入れる体制を企業の中で作るため、研修を行っている企業様もいらっしゃいます。
企業様の中には、現場社員を全員参加にして研修を開催し、現場の隅々の方々の理解を得る取り組みをされていらっしゃるところもあります。
内容としては、採用している時点でどの国の方々が特定技能として働くのかが明確なため、受け入れる外国籍の方々の国の文化や国民性の共有などをされていたりします。
研修ではありませんが、特定技能の方々が勤務された後に、その方々の国の料理をメインとしたお食事会を会社の中で開かれている企業様も少なくありません。
このように企業様から特定技能の方々に近づく機会があると、特定技能の方々も自分たち自身のことも理解しようとしてくれている姿勢がとても嬉しい、温かい職場だと感じるというふうに感じておっしゃる特定技能の方々もいらっしゃいます。
3-3.ビジュアルを使った仕様の作成
企業様の中にある、漢字を多く使った文字のみのルール表などを特定技能の方々が少し見て全てを理解するのは、簡単なことではありません。
そのため、例えば掃除のルールを「お掃除マップ」というビジュアルを使ったものにして、指示と報連相を明確にしている企業様もいらっしゃいます。
4.まとめ
特定技能の定着率アップというところに焦点を当てお話しましたが、いかがだったでしょうか。
互いにどのような部分が引っ掛かっているのかなど、理由は様々あると思いますが、まずはお話合いをお互いにしていただくといったことが大切だと考えております。
特定技能に関してもっと詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが対応させて頂きます。