外国人労働者とコミュニケーション問題を起こさないポイントをわかりやすく解説!
外国人は仕事に対する考え方から、挨拶・会話の仕方に至るまで日本とは異なる文化にいるため、すれ違いが生じる可能性は非常に高いです。そして、外国人とのトラブルは会社の雰囲気の悪化や、外国人労働者の早期離職にも繋がってしまいます。
この記事では、外国人労働者とのトラブルを防ぐためのポイントを紹介します。
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1. 外国人労働者とのコミュニケーション問題が起こる理由
外国人労働者とのコミュニケーション問題は、離職に繋がりやすいです。ヒューマングローバルタレント株式会社の合同調査によると、1年以内に離職を経験した外国人労働者は全体の28%で、上司や同僚の日本人とのコミュニケーションの問題が主な理由です。
では、なぜ職場で日本人と外国人のコミュニケーション問題が起きてしまうのでしょうか。
1-1.外国人労働者が日本の「暗黙のルール」を知らない
日本の会社では暗黙のルールが多いです。そして、それらのルールは丁寧に先輩社員から教えてもらうものではなく、新入社員が雰囲気を感じ取って学ぶべきという認識が広まっています。日本人であれば、そのような暗黙のルールを先輩社員の行動から読み取ることができますが、言語も習慣も違う外国人がそれらを察することは不可能に近いです。
会社に多い暗黙のルールは以下の通りです。
- 電話は新入社員が取る
- 上司が帰るまで帰れない
- 雑談をすることはあっても、プライベートなことには口をはさみすぎない
外国人労働者に、これらのルールを“察して”もらおうとすると、トラブルの原因になってしまいます。外国人に守ってほしいルールは、なるべく明文化することをおすすめします。
1-2.日本人と外国人がお互いの文化圏のタブーを知らない
どの文化圏でも、「やってはいけないこと=タブー」は存在します。
そして、日本人と外国人がお互いの文化でのタブーを知らないせいで、タブーにうかつに触れてしまいトラブルに発展してしまうことがよくあります。
〈日本でのタブー〉※一例
- 待ち合わせに遅刻すること
- 電車などの公共の場所で騒ぐこと
- プライベートな質問をすること
同様に、どの外国にもタブーとなる行為はあります。
外国人労働者を採用する場合は、その外国人の出身国のタブーを調べて、社内で共有することが必要です。
〈外国でのタブー〉※一例
- 豚肉を食べる、お酒を飲む(イスラム教)
- 他人に頭を触られる(タイ)
- 音を立てて食べる
- 相手に手の甲を向けてピースをする
ミャンマー人と働く際のマナー・タブーについて知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
外国人のタブーについてより詳しく知りたい方へ
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1-3.日本人の使う日本語が難しい
在留資格「特定技能」で働く外国人の日本語の最低レベルは、日本語能力試験(JLPT)のN4レベルです。これは基本的な日本語を理解することができるレベルです。日常会話は理解できますが、会社の業務の手順を説明する日本語を理解することは難しいです。
さらに、日本人が普通に話すスピードの日本語を聞けるほどのリスニング力が身についているとも限りません。外国人労働者と話すときは、なるべくシンプルかつ無駄を省いた文構造で、1文1文短く区切って言うと、外国人にとって理解しやすい日本語になります。
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出典:【共同調査】日本で働く外国籍人材の超早期離職率28%、モチベーションダウン率53%の実態とは? ~日本国内の就労者受入れで工夫すべきポイントを調査~
2. 外国人とコミュニケーションを取る時のポイント
ここからは以上のようなコミュニケーション問題を避けるためのポイントを3つ解説します。
2-1. 伝えたいことをはっきり伝える
日本人のコミュニケーションの特徴に「遠まわしに伝える」「察しの文化」があります。これらは直接的に伝えて相手を傷つけてしまうのを避けるための配慮ですが、共有している前提が少ない外国人には通用しません。
外国人には直接的な言葉で、分かりやすく伝えるようにしましょう。
特にはっきりと伝えなければならない項目は以下の通りです。
- 雇用契約の内容(給与規定、業務内容など)
- 解雇規定の内容
- 日本の法律の知識(著作権・肖像権など)
- 地域社会のルール(ごみ捨てのルール、夜遅くは騒がないなど)
雇用契約など、破ってしまうと会社や日本にいられなくなる可能性がある事項は特に明確に伝えましょう。外国人労働者がちゃんと理解しているのか、ミニテストで確認することもおすすめします。
2-2. 文化・価値観を理解する
「日本人と外国人がお互いの文化圏のタブーを知らない」で解説した通り、日本と外国では仕事に対する価値観や、人と人との距離感など、色々な面で違いがあります。在留資格「特定技能」で採用された外国人は、入国後講習で日本の生活文化の講習を受けます。しかし、その会社独自の風土まで理解してもらうには、別で会社理念や働き方を理解してもらうための講習が必要です。
また、外国人が日本文化を理解するだけではなく、採用する日本人も外国人労働者の文化や習慣を理解しなければなりません。外国人労働者が日本人の文化であまりよくない行動を取った時は、頭ごなしに否定するのではなく、なぜその行動をとったのか理由まで尋ねることをおすすめします。その行動を取った理由が分かれば、日本人と外国人のすれ違いが減っていくでしょう。
2-3. 翻訳機・母国語のサポート体制を用意する
コミュニケーションでのすれ違いや、契約書類の内容の誤解を防ぐために、翻訳機や母国語のサポート体制を整えることは重要です。比較的簡単に導入できるのは翻訳機です。ポケトークのような翻訳機や、スマートフォンのGoogle翻訳のようなアプリで簡単に翻訳ができます。
外国人労働者も、日本語が分からないときは翻訳機に頼っていいと実感するほうが、日本語を使うプレッシャーが低くなり、日本人と外国人のコミュニケーションが活発になります。注意点として、ポケトークやGoogle翻訳のような機械の翻訳は100%正確であるというわけではありません。翻訳の間違いが原因で、認識のすれ違いが起きてしまうこともありますので、頼り切らないようにするのも大切です。
機械による翻訳に限界を感じる場面があるときは、外国人の母国語でのサポート体制を取り入れることもできます。特に雇用契約を結ぶときや、日本でのルールを説明するときは日本語と母国語が流暢に話せるスタッフに翻訳してもらうと安心です。さらに、母国語が話せるスタッフがいることで、外国人労働者は日本人とのコミュニケーションで何か問題が起きた時に母国語で相談できるというメリットもあります。
3. 日本語の基準・効果的な教育方法
日本で働く多くの外国人が日本語能力試験(JLPT)を受けています。在留資格「特定技能」で日本に滞在するにはN4以上の日本語能力が必要です。では、JLPTの各級は、どのくらいの日本語能力を有することになるのでしょうか。
ここではJLPTを例に挙げて外国人の日本語能力を測る基準と、採用した外国人労働者の日本語能力を改善するための方法を紹介します。
3-1. 外国人の日本語レベルの基準
日本語能力検定試験は、年に2回(7月と12月)外国人の日本語能力を測定するための試験です。
試験のレベルはN1~N5まであり、N1が最も難しい試験となっています。 各級の認定レベルは以下の通りです。
在留資格「特定技能」で来日する外国人の日本語最低レベルはN4です。しかし、この級では基本的な文法と単語しか学んでいないため、簡単な日常会話ができるというくらいです。業務の説明で使うような難しい日本語を理解することは難しいと感じる外国人が多いです。
日本人とコミュニケーションの問題なく業務ができるようになるのはN2以上を持った外国人です。外国人を雇用したら、業務を円滑に進めるためにもN3,N2の取得を外国人労働者に勧めてみてください。
さらにJLPTの注意点として、試験が「読む・聞く」しかないことです。つまり「話す」試験はありません。JLPTのN2,N1を持っているからと言って、うまく日本語を発話できない人もいます。接客業など話すことが重要な職種の場合はJLPTの資格以上に、しっかり日本語を話すことができるかを面接で確認する必要があります。このような事例は、読解問題で漢字の意味をくみ取って高得点を取れる漢字圏の学習者に多い傾向があります。
3-2. おすすめの教育方法
外国人を採用してから、彼らの日本語能力を上げるためのおすすめの方法は以下の2つです。
- 日本語授業を受けてもらう
- 頻繁に話しかける
それぞれ詳しく説明します。
日本語授業を受けてもらう
日本語を上達するための一番の近道は、日本語の先生から授業を受けることです。週に1,2回、単語や文法、リスニングのテクニックなどをプロの日本語の先生から教えてもらうことで、外国人労働者が使える日本語の表現の幅がかなり広がります。
当スクールでは、特定技能外国人が企業に採用された後も、オンラインで日本語を学べる機会を設けています。 採用した外国人の日本語能力を上げたいと思っている企業担当者の方は、ぜひご連絡ください。
頻繁に話かける
日本語を使う土台となる文法やテクニックを日本語の先生と学んだ後は、その表現を使う機会が必要です。
毎日顔を合わせる日本人の同僚や上司と、日本語を使って会話することによって、外国人労働者は自分の日本語能力をさらに磨くことができます。
専門性の高い難しい話題は、日本語で表現することは難しいので、これらのようなスモールトークから会話を広げることをお勧めします。
- その日の天気について
- 食事について
- 休日の過ごし方について
- 趣味について
会社に一冊日本語の教科書(『みんなの日本語』など)を置いておくことで、外国人労働者がどの程度の文法や単語を理解しているのか、日本人も把握することができます。お互いを知ることで、コミュニケーション問題の発生率も低くなります。日本人労働者にも積極的に外国人に話しかけ、コミュニケーションを取ってもらうように促しましょう。
外国人の日本語教育について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
4. まとめ
全く異なる文化・習慣から来た外国人とコミュニケーションで問題が起きてしまうのは、仕方がないことです。しかし、お互いの文化を受容し理解したり、お互いの言語レベルに配慮しながらコミュニケーションを取ることで、多くの問題を事前に防ぐことができます。外国人労働者を雇用する際に、このようなコミュニケーション問題に不安がある方は、ぜひ当スクールにご相談ください。
日本語スクールだけでなく、日本人理解研修や7か国語の言語でのサポート体制があるため、外国人労働者も、採用する日本人も安心して、業務に取り組むことができます。外国人労働者を採用することで、職場全体の異文化理解が促進され、仕事にもいい影響があったという事例も多数あります。
ぜひコミュニケーション問題を乗り越え、日本人と外国人が共生した職場づくりを目指してみませんか?