特定技能外国人は一時帰国可能|費用は会社負担?通算期間に含まれる?
執筆者:チター(ミャンマー国籍担当)
慢性的な人手不足に悩まされている産業にとって欠かせないのが特定技能外国人です。その結果、令和5年末において特定技能外国人は20万人を超える状況になっています。そんな特定技能外国人ですが、一時帰国を行っても全く問題はありません。
一方、特定技能外国人を雇用した企業の中には、特定技能外国人の一時帰国においてどのような対応をとればいいかわからない企業もあるはずです。場合によっては再入国ができないケースもあるため、取り返しのつかないことになる前に対処法を知る必要があります。
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一時帰国に関してご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください
1.特定技能外国人は一時帰国できる
特定技能外国人は一時帰国が可能です。本項目でご紹介するのは、一時帰国に関連する情報です。
- 費用について(飛行機代・空港までの送迎代)
- 帰国期間は通算期間に含まれる
- 脱退一時金を受領することは可能
- 有給休暇を許可する
① 費用について(飛行機代・空港までの送迎代)
特定技能外国人が母国に一時帰国をする際には、母国と日本を往復する飛行機代や空港までの送迎代などの費用が発生します。
これらの費用について、基本的に全額特定技能外国人本人が支払います。
しかし、特定の産業によっては、特定技能外国人の一時帰国において費用負担を行い、一部を業界団体が負担するケースが出てきています。その中の1つが一般社団法人建設技能人材機構の一時帰国支援です。
一般社団法人建設技能人材機構では、特定技能外国人が働きやすい環境整備に関する支援を行っており、「一時帰国支援」もその1つです。一時帰国支援では1人1回のみ5万円がもらえて、特定技能外国人本人もしくは企業に振り込まれます。この制度があれば、一時帰国がしやすくなるでしょう。
現状ではこうした支援は一部の産業に限られますが、特定技能外国人を確保するためにさまざまな産業が支援に乗り出す可能性が十分に考えられます。
参照:JAC建設技能人材機構
一方、特定技能外国人を雇用する際には、空港までの送迎代などは受け入れ企業が負担するルールになっているので注意してください。
技能実習の場合は基本的に企業は外国人が一時帰国する際の費用を負担しなければなりませんが、特定技能は負担する必要はありません。もちろん負担してはいけないというルールはありませんが、負担しない企業がほとんどです。
② 帰国期間は通算期間に含まれる
特定技能外国人が一時帰国をした際は、一時帰国中の期間も在留期間の通算期間に含まれます。
特定技能外国人の場合は通算5年が在留期間の上限ですが、仮に1年間で2週間の一時帰国期間があれば、その期間も通算期間にカウントされます。
ちなみに通算期間へのカウントは、育休や産休での休暇や労災の休暇なども対象となっているため、一時帰国などが重なると、特定技能外国人として働ける期間はその分短くなります。そのあたりを踏まえて、一時帰国を認めるかどうかを考える必要があるでしょう。
一方、通算期間に含まれないケースもあります。出国をしたものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を理由とした上陸拒否の措置を受けていたケースです。この場合は通算在留期間にはカウントされません。それ以外に関してはどんなケースでも在留期間にカウントされてしまうため、受入れを行い、一時帰国を許可する際には計画的に対応をしていく必要があります。
基本的に一時帰国は最長10日間としている企業が多いです。しかしベトナム人はベトナムのお正月(2月)に2週間ほど一時帰国をしたい人が多いので、そういった時は毎年順番に一時帰国させるといいでしょう。また、ミャンマー人は現在国内情勢が不安定で帰国をすると日本に戻ってこられない可能性があるので基本的に帰国しない人が多いです。
③ 脱退一時金を受領することは可能
年金制度は基本的に強制加入のため、外国人であっても厚生年金などの支払いが必須です。特定技能外国人も当然年金保険料を支払うことになりますが、母国に帰国する際には「脱退一時金」という支払った年金保険の一部を受け取ることが可能で、一時帰国の際も同様です。
脱退一時金には支給要件が存在し、日本国籍ではないことや厚生年金の加入期間が半年以上であること、年金の受給資格を得ていないことなどがあります。一時帰国の際に転出届まで出しているケースだと脱退一時金は受領できます。
一方で、脱退一時金を受け取るには一旦退職し、再度入社しなくてはなりません。建設業だと再度受入計画の申請をしなくてはいけないケースがあるので注意が必要です。業界によっては面倒な手続きを再度しなくてはならないため、色々とリスクがあります。
参照:日本年金機構
脱退一時金を受け取れる上限額は5年ですので、5年以内に脱退一時金を受け取る外国人がほとんどです。
↓脱退一時金についてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
④ 有給休暇を許可する
特定技能外国人が一時帰国を願い出る際、有給休暇を取得するのが一般的です。日本で働き始めてから半年も経てば10日間の有給休暇がもらえるので、10日間の有給休暇を活用して一時帰国をすることになるでしょう。
一方で、そもそも特定技能外国人を雇うことにしたのは慢性的な人手不足を解消するためであり、現状ではその解消が難しい、もしくは繁忙期で特定技能外国人に抜けられると困る場合には、特定技能外国人からの有給休暇の申請を拒むことができます。これは時季変更権と呼ばれる会社側に与えられた正当な権利です。
時季変更権は繁忙期などに有給休暇を使うケースを避けるのに用いられ、別の時期に有給休暇を取得してもらうような形になります。
万が一、有給休暇を使い切った上で一時帰国をする場合は、無給の休暇を認めることになります。
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2.みなし再入国許可の手続きを忘れずに
特定技能外国人の一時帰国を認める際には、みなし再入国許可の手続きが必須です。本項目では、みなし再入国許可の手続きについて解説します。
2-1.みなし再入国許可を得るには
みなし再入国許可は、再入国で行う手続きを簡単にするためのもので、手続きをしておけば、一時帰国前と同じ在留資格で入国できます。
手続き方法はいたってシンプルです。特定技能外国人が日本を旅立つ際、入国審査官に対して外国人入国記録・再入国出入国記録、通称EDカードの提出が求められます。このEDカードには、「一時的な出国であり、再入国する予定です」という項目があり、この項目にチェックを入れるだけです。
日本に入国する際も入国審査の用紙に正しく記入する必要があります。
2-2.みなし再入国許可を受けなかった場合
万が一、特定技能外国人がみなし再入国許可を忘れてしまった場合、再度一から在留許可申請を行わなければなりません。
企業の負担もかなり大きくなるので、EDカードを提出する際に絶対にチェックを入れるべきところを指示していくことも必要でしょう。
3.再入国できない場合もある?
正しい手続きをしながらも、場合によっては再入国ができない場合があります。本項目では、再入国ができない2つのケースをまとめました。
3-1.初めて来日した際に正当な手続きをしていなかった場合
日本側が特定技能外国人を受け入れる際、二国間協定で定めた手続きを踏んでいくことになります。しかし、その手続きに不備があったことが再入国の際に発覚し、入国が難しくなるケースがあります。
二国間協定は、スムーズに特定技能外国人を確保することなどが目的であり、特定技能外国人を守るために存在します。日本では主にアジアを中心に、特定技能の二国間協定を結んでおり、それぞれの二国間協定で示された内容を踏まえて手続きを行う必要があります。
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↓二国間協定についてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
3-2.フィリピンは入国許可証を取得しなければならない
フィリピンの場合も二国間協定がしっかりとあるため、手続きを踏んでいく必要があります。
特にフィリピンはやや特殊で、POLO手続きにおいて厳格なまでに指導を行っています。特定技能外国人を受け入れる企業が、必要な書類を駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)に提出していくことになるでしょう。
何らかの理由で強制退去の経験がある場合は、基本的に特定技能外国人としての活動はできなくなります。そのため、フィリピンが特定技能外国人として来日する際には、入国許可を取得するなどの対策が欠かせません。
↓POLOについてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
4.技能実習(育成就労)から特定技能の移行の際は一時帰国の必要がない
技能実習(育成就労)から特定技能へ移行する際は一時帰国の必要はありません。帰国するかしないかは当人の自由です。
ただし、技能実習ビザの在留期限内に、新たに特定技能ビザの申請ができなかった場合は一時帰国する必要があります。
外国人が一時帰国を希望しない場合は、在留資格変更許可申請を、余裕をもって行うようにしましょう。
↓技能実習から特定技能の移行方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
5.まとめ
特定技能外国人に対する需要は広がりを見せており、慢性的な人手不足に悩まされている産業では重宝される存在であることは言うまでもありません。
今回ご紹介した内容を踏まえて、特定技能外国人を積極的に採用し、慢性的な人手不足に悩まされている産業において、特定技能外国人を素早く確保していきましょう。
弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。