就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い!雇用ポイントと移行方法、必要な手続きとは


執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)
監修者:河野尋志(行政書士)

外国人を雇用するとき、就労ビザの種類が多く、どれが自社に適しているか迷うでしょう。特に技人国と特定技能は、名称だけでは就労可能な範囲を予想しにくく、その違いがわかりにくいかもしれません。しかしどちらも、外国人労働者の受け入れに役立つビザです。

本記事では、技人国と特定技能の違いについてわかりやすく解説しました。また特定技能から技人国に移行するときのために、移行方法をまとめています。適切に外国人雇用を進めて、人手不足解消や優秀な人材確保に取り組みましょう。

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目次

1.【就労ビザ】技人国と特定技能とは

就労ビザには技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)と特定技能の在留資格(いわゆる「ビザ」)があります。他にも就労ビザはありますが、これらの2つはよく比較されます。ここでは、それぞれどのようなビザなのか概要をまとめました。

1-1.技人国(技術・人文知識・国際業務)とは

「技人国」は、外国人労働者の専門的な知識・技術を活かすことが目的の制度です。主に技術、人文知識、国際業務の3つのカテゴリーに分けられます。そのため大学又は日本の専門学校の専攻と一致する業務で受け入れるのが基本です。

↓技人国について、以下でも詳しく解説しました。↓

1-2.特定技能とは

「特定技能」は、国内の人手不足とされる特定の産業分野を対象とした制度です。対象になる特定技能を持つ外国人は、在留資格を取得すれば日本で働けます。
特定技能は、2026年現在は介護、建設、農業など16の産業分野での就労が可能です。さらに2027年4月からはリネンサプライ、物流倉庫、資源循環を加えた19分野になることが政府内で調整されています。
ただし、このビザを取得するためには、技能実習2号良好修了等または評価試験+日本語能力N4等が必要になります。

特定技能の種類

特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。「特定技能1号」は、原則で通算で5年が在留期間です。特定技能として働く外国人は、通常は最初に1号を取得します。

1号から2号に移行する場合、実務経験を積み、特定技能評価試験等に合格し、適正に税金や社会保険料を納付していることが条件です。「特定技能2号」に移行できると、更新すれば在留期間の制限を受けずに就労できます。

特定技能についての詳細は以下の記事をご覧ください!

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2.【就労ビザ】技人国と特定技能の違い

技人国特定技能は、どちらも日本での就労を可能にするビザですが、対象となる業務、取得方法に違いがあります。企業は、どちらのビザで雇用したらいいのか迷うかもしれません。ここでは、それぞれの違いをまとめました。

大まかな違いについては以下の表のとおりです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1. 業務分野における違い

「技人国」は、システムエンジニア、企画、マーケティング、翻訳、通訳などいわゆる「ホワイトカラー領域」で、外国人の受け入れができます。また宿泊業でのフロント業務、自動車整備業務での整備主任、建築業での設計などでも就労可能です。
なお、サービス業における清掃や品出しといった「単純作業」をメインとする業務では、雇用できません。

一方「特定技能」は、介護、建設、農業など16分野(2027年4月以降は19分野予定)のブルーカラー領域が対象です。特定技能の場合、技人国ほど専門性の高さは求められません。それぞれの制度を理解し、企業のニーズに適した人材を採用することが重要です。

※参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」
※参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)

2-2. 在留期間における違い

「技人国」と「特定技能」の在留期間は異なります。

技人国」の在留期限は、最長5年間ですが、更新すれば働き続けられる仕組みです

一方「特定技能」は、1号と2号で在留期間が異なります。特定技能1号の場合、通算で上限は原則5年間です。特定技能2号は、3年・2年・1年・または6か月ごとに在留期間が設定されますが、原則、更新すれば働き続けられます。

永住権の取得条件

技人国のビザを持つ外国人は、原則として10年以上継続して日本に在留し、そのうち就労資格等で5年以上在留している場合、永住権の申請が可能です。

特定技能は、1号だと永住権が得られませんが、特定技能2号の場合は10年以上継続在留・2号で5年以上在留という要件満たせば申請可能です。生計を立てられる資産または技能が必要です。ただし、2027年4月から永住権申請ガイドラインの大幅な変更が予定されていますので注意が必要です。

2-3. 取得方法・学歴要件

技人国の在留資格は、原則的には大学や日本の専門学校で学んだ知識、または実務経験が必要です。具体的には、以下のどちらかの条件を満たさなければなりません。

・関連する科目を専攻して大学または日本の専門学校を卒業するか、これと同等以上の教育を受けたこと
・10年以上の実務経験があること(国際業務の場合は3年以上)

一方で、特定技能の在留資格を取得するためには、以下の2つのどちらかを満たすことが条件です。

・技能実習2号良好修了等
・特定技能1号評価試験+日本語能力N4合格等

「技人国」は、通常、専門的なスキルや知識を持つ人々を対象としており、一定の学歴が取得要件になっています。(10年以上または3年以上の実務経験がある場合は不要)「特定技能」は、特定の産業分野で必要とされる技能を持つ人々を対象としており、必ずしも高度な学歴を必要とはしません。ただし、一定の日本語能力は求められます。

2-4.家族帯同

「技人国」では、配偶者や子どもの帯同が可能です。

一方、「特定技能」ビザでは、特定技能1号の場合、原則として家族の帯同は認められていません。しかし、特定技能2号の場合、配偶者や子どもの帯同が許可されています。また外国人が家族を呼び寄せる場合、「家族滞在ビザ」が必要です。

ここまで、「技人国」と「特定技能」における業務分野から家族帯同の違いを見てきましたが、これらの違いを理解した上で、企業は外国人労働者の生活環境を考慮した採用計画を立てると良いでしょう。

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3.【就労ビザ】技人国や特定技能で雇用するポイント

技人国や特定技能で外国人を雇用する際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。これらのポイントを理解することで、企業は適切な人材を採用し、最大限に活躍してもらえます。

3-1.技人国で雇用する場合

技人国を持つ外国人を雇用する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

①専攻した学問と職業の一致

技人国ビザを持つ外国人は、専門的な知識や技術を持っています。そのため専攻した学問と職業が一致していることが、人材を最大限に活用するための重要なポイントです。

企業は外国人労働者から、卒業証明書や成績証明書を取得し、確認してみましょう。また一定の実務経験がある場合、在職証明書も提出してもらいます。

特に日本の専門学校卒の場合は、専攻と異なる職種については、就労許可の範囲外になるため雇用できない可能性があります。

一方、大学卒業の場合は、学問と職業が完全に一致していない場合であっても、比較的「柔軟に判断」される、という違いもあります。

②単純労働は禁止

技人国は、専門的な知識や技術を活用するためのビザです。そのため、単純労働は原則として禁止されています。企業は、この点を理解し、適切な職務を提供することが求められます。

例えば飲食店のお皿洗いや清掃、スーパーの品出しなどは単純作業です。同じようなサービス業でも専門的な知識を必要とする業務であれば許可される可能性は十分あります。

③高度専門職にも移行できる

技人国を持つ外国人は、一定の条件を満たすことで「高度専門職」への移行も可能です。高度専門職は、優秀な人材として認められた場合に取得できます。

この在留資格を取得すると、就労の幅が広がり、永住許可の要件も緩和されます。そのため企業は、長期的な人材開発の戦略を立てられるでしょう。

高度専門職については、以下でも詳しく解説しました。是非ご覧ください!↓

3-2.特定技能で雇用する場合

特定技能を持つ外国人を雇用する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

①残りの滞在年数を確認する

特定技能1号の場合、在留期間は全分野で原則5年となっておりますそのため、自社で雇用する際にその方がこれまで何年間日本で就労していたのかということは、確実に確認する必要があります。確認せずに雇用してしまい、残りの期間が少ししかなかったなんていう事態も起こりうるため、企業側は十分に注意しましょう。

②日本語のサポートが必要

特定技能を持つ外国人は、日本語能力試験に合格している場合も多いですが、それでも日本語のサポートが必要です。職場でのコミュニケーションや生活上の問題など、さまざまな場面でサポートが求められます。企業は、これらのニーズに対応するためのサポート体制を整えましょう。また、次で解説する「支援計画」にも日本語のサポートが義務付けられています。

③支援計画を立てる

特定技能を持つ外国人を雇用する企業、もしくは登録支援機関は、日本語のサポート、事前ガイダンスの提供、母国語での雇用条件の説明、空港からの送迎、住居の確保など、一定の支援が義務付けられています。そのため企業は、ビザの申請前に「支援計画」を作成しなければなりません。

これらの支援は、外国人労働者が安心して働き、生活するために必要なものです。

支援業務に関しては、以下の記事「5.特定技能で必要な支援業務」で詳しく解説しています。↓

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4.【就労ビザ】特定技能から技人国に移行できる

特定技能から技人国への移行は、制度的に認められています。

外国人労働者がより高度なスキルを活用し、長期的に日本で働きやすくなるため、移行を希望する企業も少なくありません。しかし、この移行には一定の条件があり、適切な手続きが必要です。

4-1.移行できるケース

外国人労働者のキャリアアップや転職により、特定技能から技人国への移行を検討することがあるかもしれません。

特定技能から技人国への移行は、一定の条件を満たす必要があります。技人国を取得するための基本要件にあるのは「学歴(大卒または日本の専門学校卒)」もしくは「実務経験10年以上(または3年以上)」です。この学歴・職歴は、従事する分野に関連している必要があります。なお、この実務経験の期間に特定技能での就労期間は含まれません。

例えば現場スタッフから本部のマーケティング部職員として、キャリアアップするケースを考えてみましょう。マーケティング関連の学位を証明できれば、技人国への移行が容易になります。

4-2.移行できないケース

特定技能から技人国への移行を申請しても、認められないケースがあります。それは、技人国のビザ取得要件を満たしていないときです。例えば希望する職種と学歴・職歴が異なっていると、外国人労働者の専門的な知識・技術を活かすことができず不許可になるでしょう。

また仮に学歴や実務経験があっても、業務に必要な日本語能力がなければ技人国で働けません。例えばエンジニアやプログラマーの場合、上司や同僚と業務でやり取りをするうえでの日本語能力が求められます。ある程度の日本語能力がなければ、許可を得たとしても、企業の戦力となるのは難しいでしょう。

ただし変更申請で許可が下りない場合でも、すぐに帰国を命じられるわけではありません。特定技能を更新することで在留期間を延長できるケースもあるため、一度「不許可」になっても慌てる必要はないでしょう。

4-3.ビザの移行方法

特定技能から技人国に移行するには、「在留資格変更許可申請」が必要です。そのため申請内容に基づき、必要な書類を揃えます。これには、卒業証明書・成績証明書・雇用契約書などが含まれます。

必要書類を「地方出入国在留管理官署」に提出し、審査の結果、技人国が許可されれば、移行の手続きは完了です。

詳しい手続きは、以下で詳しく解説しました。是非ご覧ください!↓

上記の記事にて「必要な書類」「手続きの流れ」の項目を閲覧すれば、移行方法が理解しやすくなります。

ただし、ビザの移行には理解が難しく、必要書類をそろえるのに時間を要します。
お困りの方はJapan Job Schoolにお気軽にご相談ください。

4-4.ビザ移行手続きの注意点

特定技能から技人国への移行手続きには、いくつかの注意点があります。ビザの移行は期間に余裕を持って申請しなければ、在留期限が切れるかもしれません。早めに申請しても記入ミスや書類に不備があると、スムーズに許可されない可能性もあります。期限切れによる不法滞在(オーバーステイ)のリスクを防ぐために、早めに準備しましょう。

ビザの申請や更新には手数料もかかります。「在留資格変更許可申請」においては、許可されるときにオンラインの場合5,500円、窓口の場合6,000円の手数料が必要です。その準備も忘れないようにしましょう。
また、2026年10月から手数料の大幅な値上げが予定されているため注意が必要です。

参考:在留手続等に関する手数料の改定|法務省

5.技人国・特定技能で転職してきた外国人の手続き

技人国や特定技能で転職してきた外国人を受け入れる場合、適切な手続きが必要です。外国人労働者の業務内容が前職と一致しない場合等は、入社前に「在留資格変更許可申請」が必要になる可能性があります。

例えば、現在「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で「マーケティング」の仕事をしている外国人が、別の会社に「代表取締役」として転職するとどうなるでしょう。「経営・管理」に該当する仕事に変わる場合、該当するビザへの変更申請が必要です。

新しい業務を開始する前に在留資格変更許可を取得しないと、不法就労とみなされるため気を付けましょう。
場合によっては、在留資格の取り消しや在留資格の更新が認められない可能性があります。

すでに技人国を持っていて、同じ技人国で働ける会社に転職する場合には、ビザの変更は必要なく、転職した旨の「届出(所属機関変更の届出)」を転職してから2週間以内に提出するだけで手続きが完了します。

特定技能の転職については、以下の記事でも詳しく解説しました。↓

※参考:所属機関等に関する届出手続|出入国在留管理庁

6.外国人の就労ビザは求める人材に応じて選択を!

「技人国」と「特定技能」どちらの就労ビザが適しているかは、企業様の求めるスキルセットと業務内容によるでしょう。

技人国は、専門的な知識や技術を持つ人々を対象としています。そのため企業は、自社では賄えなかった人材を雇用できるのが魅力です。例えばIT技術者の多い国から雇用すると、先端技術が取り込めるかもしれません。

また特定技能は、特定の産業分野で必要とされる技能を持つ外国人を対象としています。学歴を問わないため、応募者が集まりやすいでしょう。人手不足に悩む企業にとって、スタッフの充足率を上げるのに有効です。

企業は、自社ニーズとこれらのビザの特性を比較し、適したビザを持つ外国人を採用しましょう。

株式会社JJSでは、「技人国」「特定技能」どちらのビザも扱っております。
ご不明な点や、ご要望等ございましたら、まずはお気軽にこちらにお問い合わせください。

監修日:2026年7月30日

河野尋志
この記事の監修者

国際行政書士。様々な在留資格(ビザ)の申請経験に精通。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)の講師兼就職支援室長。
所有資格:行政書士・外国人実習雇用士

今まで500名以上の「技術・人文知識・国際業務」外国人を就職に導く。外国人との対話は笑顔とフランクさを信条に、外国人生徒からの人気No1の先生。

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