育成就労と特定技能の7つの違いをわかりやすく解説

「育成就労と特定技能は何が違うの?」
「外国人材を採用するなら、どちらを選べばいい?」
このようにお悩みの人事担当者も多いのではないでしょうか。
育成就労と特定技能は、目的や対象人材、在留期間、転籍ルールなどに違いがあります。また、育成就労は特定技能1号への移行を見据えた制度であるため、両制度の関係性を理解したうえで採用計画を立てることが重要です。
本記事では、特定技能と育成就労の制度の違い、それぞれのメリット・デメリット、企業様のご状況に合わせたおすすめの採用方法をご紹介いたします。

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1.特定技能と育成就労の7つの違い
特定技能と育成就労の違いは7つあります。
まずはそれぞれを一覧にまとめましたので、以下の図をご確認ください。
| 制度名 | 特定技能 | 育成就労 |
| 制度の目的 | 人手不足を目的に外国人”労働者”を受け入れる | 特定技能1号程度の人材を育成し、各産業分野を長期的に支える人材を確保する |
| 対象業種と職種 | 16分野 ※2027年4月1日以降19分野へ | 17分野 |
| 在留期間 | 1号:通算5年 2号:上限なし(家族呼び寄せ可) | 原則3年以内 3年経過後、特定技能へ移行(試験に合格した場合) |
| 人材レベル | 即戦力となりうる 技能水準:相当程度の知識又は経験が必要 日本語水準:N4以上(日常会話が可能なレベル)の日本語能力要件あり | 未経験 技能水準:試験等はなし 日本語水準:A1レベル (介護分野・鉄道分野の運輸係員のみ入国時A2レベルの日本語能力要件あり) |
| 採用方法 | 受け入れ企業が直接海外で採用活動を行うことも出来る | 通常管理団体と送出機関を通して行われる |
| 受け入れ人数制限 | なし(介護・建設分野を除く) | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり |
| 転職の可否 | 可能 | 要件を満たせば可能 |
違い①|制度の目的
育成就労は、外国人材を特定技能1号の水準まで育成し、各産業分野を長期的に支える人材を確保することを目的とした制度です。一方、特定技能は、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れ、人手不足が深刻な産業分野の人材確保につなげることを目的としています。
つまり、「人材を育成しながら確保する」のが育成就労、「一定の技能を持つ人材を即戦力として受け入れる」のが特定技能という点が大きな違いです。

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違い②|対象業種と職種
特定技能と技能実習では、対象となる職種は似ていますが、一部分野では対象となる業種や職種が異なります。
特定技能と育成就労の業種・職種
特定技能と育成就労の対象職種は以下の通りです。
育成就労の対象職種
介護 / ビルクリーニング / 工業製品製造業 / 建設 / 造船・舶用工業 / 自動車整備 / 航空 / 宿泊 / 農業 / 漁業 / 自動車運送業 / 鉄道 / 飲食料品製造業 / 外食業 / 林業 / 木材産業
特定技能の対象職種
介護 / ビルクリーニング / 工業製品製造業 / 建設 / 造船・舶用工業 / 自動車整備 /宿泊 / 農業 / 漁業 / 鉄道 / 飲食料品製造業 / 外食業 / 林業 / 木材産業
ご覧のように、特定技能と育成就労では対象分野が概ね共通していますが、一部の分野では受入れ可否が異なります。
育成就労は、将来的に特定技能1号へ移行することを想定した制度であるため、対象となる「育成就労産業分野」は、原則として特定技能の「特定産業分野」と対応する形で整理されています。
一方で、自動車運送業や航空など、業務の特性上、3年間の育成になじみにくいと判断される分野については、育成就労の対象外となります。そのため、これらの分野で外国人材を受け入れる場合は、特定技能での採用を検討する必要があります。
参考:出入国管理庁|別紙6 育成就労産業分野・業務区分の一覧
違い③|在留期間
特定技能と育成就労では、在留できる期間に違いがあります。
育成就労は、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成する制度です。育成就労を修了し、一定の要件を満たせば特定技能1号へ移行できるため、育成就労3年+特定技能1号5年で、通算8年間の継続就労が可能です。さらに、対象分野で特定技能2号へ移行すれば、在留期間の上限なく日本で働くことができます。
一方、特定技能は、一定の技能を持つ外国人材を受け入れる制度です。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限ですが、特定技能2号へ移行すれば在留期間の上限がなくなり、配偶者や子どもの家族帯同も可能になります。
| 特定技能 | 育成就労 |
|---|---|
| 1号:通算5年 2号:在留期間に上限なし | 原則3年以内 3年経過後、特定技能へ移行(試験に合格した場合) |
参考:出入国管理庁・厚生労働省|育成就労制度の関係省令等について


違い④|人材レベル
特定技能の場合は即戦力となりうる人材を採用できる可能性があります。なぜなら、外国人は業務上必要な一定の日本語能力や知識について試験に合格をしなければ特定技能で働くことができないというルールになっているためです。一方、育成就労の場合は来日にあたって、技能水準を測る試験等はありません。
また、特定技能では日本在住者や来日経験者を採用できる可能性があります。このような人材は日本語能力も高く、日本の文化や風習への理解も深い傾向があるので、日本人採用と近い感覚で受け入れをしやすいでしょう。中には技能実習等の際に特定技能で従事する業務と同様の業務を経験している人材もいるため、即戦力として十分な能力を有している可能性があります。
一方、育成就労は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準まで人材を育成する制度です。そのため、受入れ時点では特定技能1号と同程度の技能は求められず、働きながら段階的に技能を身につけていくことが前提となっています。育成就労修了時には、特定技能1号に求められる技能水準と同等のレベルに到達することが想定されています。
違い⑤|採用方法
特定技能は、国内外問わず企業が直接採用活動をすることが可能です。
一方、育成就労の場合は通常監理団体と送出機関を通して行われます。
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違い⑥|受け入れ人数制限
特定技能では、事業所ごとの受け入れ可能人数に特段制限はありません。(※介護業と建設業を除く)
一方、育成就労では適切な指導が実施できるよう、受け入れ可能人数に制限があります。この受け入れ人数の制限は常勤職員の総数に応じて決定されます。
詳しくは以下をご参照ください。
<育成就労の受け入れ人数制限>
| 実習実施者の常勤の職員の総数 | 育成就労の人数 |
| 301人以上 | 常勤職員数の15% |
| 201人~300人 | 45人 |
| 101人~200人 | 30人 |
| 51人~100人 | 18人 |
| 41人~50人 | 15人 |
| 31人~40人 | 12人 |
| 3人~30人 | 9人 |
| 2人 | 6人 |
| 1人 | 3人 |
参考:出入国管理庁・厚生労働省|育成就労制度の関係省令等について
違い⑦|転職のしやすさ
特定技能は比較的柔軟に転職できる一方、育成就労では一定の要件を満たした場合に転籍が認められます。
特定技能は外国人を労働者として受け入れる制度であるため、同一分野内であれば転職が可能です。
一方、育成就労は人材育成を目的とする制度であるため、自由に転籍できるわけではありません。本人の希望で転籍する場合は、同一企業で一定期間就労していることに加え、所定の技能水準や日本語能力などの要件を満たす必要があります。
なお、ハラスメントや賃金未払い、受入れ企業の倒産など、やむを得ない事情がある場合には、これらとは別に転籍が認められる仕組みが設けられています。
以上が、特定技能と育成就労の7つの違いとなります。
次の章では7つの違いを踏まえたそれぞれのメリット・デメリットを見ていきますので、導入にあたってのご参考にしていただければと思います。
2. 特定技能と育成就労どちらを選べばいいのか?
「結局、特定技能と育成就労どちらを選べばいいのか?」とお悩みの方も多いと思いますので、以下にて特定技能がおすすめの企業と育成就労がおすすめの企業をご紹介いたします。
2-1. 特定技能がおすすめの企業
特定技能では、一定の技能や日本語能力を持つ外国人材を採用できるため、できるだけ早く人手不足を解消したい企業や、即戦力に近い人材を採用したい企業に向いています。
そのため、以下に該当する企業様は特定技能がおすすめです。
- できるだけ早く人手不足を解消したい
- 初めて外国人を受け入れするので少しでも言語や文化の壁が少ない外国人を採用したい
- 日本語能力が必要な業務が多いので、日本に滞在している外国人や来日経験のある外国人を採用したい
- 大人数の外国人を採用したいので人数制限のある育成就労ではなく、人数制限のあまりない特定技能で人財を採用したい
- 外国人が働きやすい職場環境づくりに取り組める

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2-2. 育成就労がおすすめの企業
育成就労は、3年間の就労を通じて外国人材を特定技能1号水準まで育成する制度です。
そのため、採用時点で高い技能を求めるのではなく、入社後に現場で教育しながら、将来的に戦力となる人材を育てたい企業に向いています。
また、育成就労修了後は、一定の要件を満たすことで特定技能1号へ移行できるため、育成就労から特定技能までを見据えた中長期的な人材確保が可能です。
以下に該当する企業様は育成就労がおすすめです。
- 採用後に時間をかけて外国人材を育成したい
- 人材の採用に急いでいない
- 日本語能力が必要な業務が少ない
- 採用時点の技能よりも将来性や成長を重視したい
- 特定技能1号への移行を見据えて長期的に雇用したい
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3.技能実習から育成就労への今後の移行スケジュール
育成就労制度は、2027年4月1日に施行されます。これに伴い、技能実習制度から育成就労制度へ段階的に移行していきます。
ただし、2027年4月1日になった時点ですべての技能実習が一斉に終了するわけではありません。すでに技能実習を行っている外国人や、施行日前から受入れ準備を進めている企業については、一定の経過措置が設けられています。
3-1.育成就労制度への移行スケジュール
育成就労制度の施行に先立ち、2026年9月1日から、受入れ企業は外国人ごとに作成する「育成就労計画」の認定申請を行うことができます。その後、2027年4月1日から育成就労制度が施行され、新制度による受入れが開始されます。
なお、制度施行後も、施行日前から技能実習を行っている外国人などについては、一定の条件を満たす場合、経過措置により技能実習を継続できるケースがあります。
| 時期 | 主な動き |
| 2026年9月1日~ | 育成就労計画の認定に関する施行日前申請の受付開始 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度が施行 |
| 2027年4月以降 | 新規受入れは原則として育成就労制度へ移行。一方、一定の条件を満たす技能実習生は経過措置により技能実習を継続可能。 |
2027年4月1日時点で技能実習生の外国人はどうなる?
育成就労制度が始まっても、現在技能実習を行っている外国人が、施行日に一斉に育成就労へ変更されるわけではありません。2027年4月1日時点で技能実習を行っている外国人については、経過措置によって一定の範囲で技能実習を継続できます。
具体的には、施行日時点で技能実習1号を行っている場合は、施行後も技能実習2号へ移行することが可能です。
また、技能実習3号への移行については条件があります。2027年4月1日時点で技能実習2号を行っており、かつ技能実習2号を1年以上行っている場合には、施行後も技能実習3号へ移行できます。
さらに、技能実習を継続したうえで、技能実習2号を良好に修了し、特定技能1号へ移行するルートも引き続き利用できます。技能実習2号を良好に修了した外国人は、一定の場合、特定技能1号への移行に必要な技能試験・日本語試験が免除されます。
参考:出入国管理庁・厚生労働省|育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について
4.登録支援機関と管理支援機関の違い
最後に育成就労、特定技能外国人を雇用する際の支援機関の違いを解説します。
4-1.登録支援機関
登録支援機関は主に特定技能外国人を雇用する場合、または雇用後の支援業務を代行できる機関です。
特定技能外国人への支援は書類作成などの専門的な知識も必要になる場合もありすべて受入れ機関で行うことは困難です。そこで登録支援機関が受入れ機関に委託され、外国人の支援を代わりに行います。
受け入れ機関は、登録支援機関にすべての業務を委託することはもちろん、一部の業務のみを委託することも可能です。
この登録支援機関は条件さえ満たせば民間団体や個人事業主でもなれます。ただ、そうなると各登録支援機関によってよし悪しが出てきてしまうので、委託する際は慎重に選ぶ必要があるでしょう。

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4-2.管理支援機関
育成就労制度では、従来の技能実習制度における「監理団体」に代わり、「監理支援機関」が受入れ企業の監理や外国人への支援を担います。
監理支援機関は、受入れ企業が適切な育成就労計画を作成・実施できるよう支援するとともに、定期的な監査や外国人からの相談対応、必要に応じた転籍支援などを行います。
また、新制度では監理支援機関の中立性や透明性を高めるため、外部監査人の設置や、受入れ企業との密接な関係を制限するルールなど、許可要件が厳格化されています。
なお、現在技能実習制度で監理団体として活動している団体であっても、育成就労制度で監理支援を行うためには、新たに監理支援機関として許可を受ける必要があります。
5. よくある質問
- 育成就労生はどの程度日本語が話せますか?
-
就労開始時点では、非常に簡単な日本語を理解し、基本的なやり取りができる程度です。
育成就労生には、就労開始前までに原則としてA1相当(JLPT N5程度)の日本語能力が求められます。ゆっくり簡単に話せば、あいさつや簡単な作業指示を理解し、自己紹介などの基本的な受け答えができるレベルが目安です。 - 育成就労から特定技能へ移行できますか?
-
はい、要件を満たせば可能です。
育成就労は、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号に必要な技能や日本語能力を身につけることを目的とした制度です。原則として、A2相当の日本語試験と分野ごとの技能試験に合格することで、特定技能1号への移行が可能です。なお、分野によっては追加の要件が設けられています。
- 現在雇用している技能実習生は、2027年4月以降どうなりますか?
-
2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている場合は、施行後も技能実習を継続できます。
技能実習1号から2号への移行も可能ですが、技能実習2号から3号への移行には、施行日時点で技能実習2号を1年以上行っているなどの条件があります。育成就労制度の開始と同時に、自動的に育成就労へ切り替わるわけではありません。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では特定技能と育成就労の7つの違いとそれぞれのメリット・デメリット、企業様の状況に応じたおすすめの採用方法をお伝えさせていただきました。
まとめると、一定の技能や日本語能力を持つ人材を早期に採用したい場合は特定技能、採用後に時間をかけて人材を育成し、特定技能への移行も見据えて長期的に雇用したい場合は育成就労が適しています。
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