【ネパール人監修】働く上で知っておきたいネパール人のマナー・タブーを解説

執筆者:太田彩香(新規開拓担当)
監修者:コイララ(ネパール国籍担当)

近年日本企業における外国人の国別就労状況を見ると、注目すべき国の一つがネパールです。日本に住むネパール人の数は急速に増加しており、その傾向は近年特に顕著です。しかしネパールに関するイメージや採用時の留意点などについて、まだまだ知る人は少ないかもしれません。

そこで今回はネパール人と共に働く際に押さえておきたいタブーについて解説していきます。ぜひ、ネパール人と共に働く際の参考にしてみてください。

目次

1.ネパールの基礎情報

ネパール 地図

ネパールはアジアの一国であり、インドと中国の間に位置しています。カトマンズを首都とするネパールは国土面積が14.7万平方キロメートルに及び、これは北海道の約1.8倍に相当します。人口は約3054万人であり日本の約1/4に達しますが、約125もの民族で構成される多民族国家です。さらに宗教的な観点では、約8割がヒンドゥー教を信仰しています。

2.ネパール人にしてはいけないタブーとは

日本と違い宗教の進行が強いネパールでは、宗教に関するいくつものタブーが存在します。
ここでは、ネパールの様々なタブーをご紹介します。

2-1. 宗教上のタブー

ネパールでは宗教人口は以下のようになっています。
ネパール人の8割が信仰するヒンドゥー教ではどのようなタブーがあるのか、これから解説いたします。

ネパールの宗教人口の割合

ネパール人の8割が信仰するヒンドゥー教ではどのようなタブーがあるのか、これから解説いたします。

牛は神聖な動物

ネパールの牛

ヒンドゥー教の信者たちは牛を神聖な存在として捉え、その生命を尊重しています。牛は神様の乗り物とされ、生命の象徴として大切にされています。この考え方に基づいて、牛肉や牛由来の食品を摂取することは、宗教的に禁じられています。牛を傷つけたり、その命を奪うことは、ヒンドゥー教徒にとって重大な罪と見なされます。さらに、牛肉を食べることは、社会的な信念やカースト制度によっても制約されることがあります。

そのためネパールでは牛肉の消費や販売は法律で禁止されている地域もありますし、多くの人々がそれを避けています。牛肉を食べることは個人的な意思だけでなく、周囲の社会的・宗教的なコンテクストも考慮する必要があります。ヒンドゥー教の信者たちにとって牛は生命の尊厳と神聖さを象徴する存在であり、その信条を尊重することが求められています。そのため、牛肉を食べることは決して軽率に行われるべきではないとされています。

2-2. 食事に関するタブー

ネパールには、食事に関するタブーも多数存在します。

ネパール料理

食事の時には左手は使わない

ネパールでは食事をする際に手を使う習慣がありますが、その際に左手を使用することは避けるべきです。左手は不浄の手とされトイレの際に使用されるため、食事においては右手を使うのが正式なマナーとされています。

またネパールでは亡くなった方への思いを馳せる際にも左手を用いることがありますが、一般的に左手には良いイメージが与えられていません。そのため、ネパールの方との食事の際には特に注意が必要です。

食事をする際には相手の文化や習慣に敬意を払い、正しいマナーを守ることが大切です。

他人が口を付けたものは食べない

ネパールには大皿を取り分けて食べる文化は存在せず、一人一皿が通例です。この習慣は他人が口にしたものを穢れとみなすためです。

他人が口を付けた食事や食器を共有することは避けられます。食べ物を共有したい場合は、直接口を付けるのではなく、各自がお皿に取り分けて食べるよう心がけましょう。このような配慮がネパールの文化に敬意を払う上で重要です。

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2-3. 女性に関するタブー

ネパール人女性

お酒・たばこはよくないとされている

下品なイメージをもたらすことがあるため、女性がお酒やたばこを喫することは原則タブーとされています。
しかし近年は家の中での飲酒や喫煙は黙認されており、以前と比べると女性の飲酒や喫煙も見られるようになりました。
とはいえ親の前ではタブーとされていることから、女性へ飲酒・喫煙を勧めることは控えるべきでしょう。

女性の前で言ってはいけない言葉がある

日本ではあまり厳しく制限されていない言葉でも、ネパールでは女性の前で口にすることが禁忌とされるものがあります。その中でも特に代表的な4つをご紹介します。

  1. 女性や男性の身体に関する性的な言葉

    まず一点目は女性や男性の身体に関する性的な言葉です。これは日本でもセクハラとして捉えられることがあります。そのため、冗談のつもりでも口にすることは避けましょう。特に女性を連れて外出する際には、すれ違いざまに別の女性を見て「デートをしたい」と直接言うことさえもタブーとされています。異性間での会話は極めてデリケートなものですので、不用意な発言は慎むべきです。他者の感情やプライバシーを尊重し、相手が不快に感じないよう配慮することが重要です。
  2. 女性の年齢

    二点目は女性の年齢を質問することです。国によっては性別にかかわらず年齢を把握し、年上を尊重することが重要視されていますが、ネパールでは女性に対して年齢を尋ねることは避けるべきです。
  3. スラング(低俗な言葉)

    下品な言葉を使用することはネパール文化においてタブーとされています。よっぽど親しい関係でない限り、男女を問わずに控えるのが望ましいでしょう。
  4. Randi

    未亡人を指す「Randi」という言葉も、好ましくないとされており、ネパール文化ではタブーとされています。この言葉だけでなく、家族や結婚に関する個人的な質問も女性を不快にさせる可能性があるため、避けるべきでしょう。

2-4. カーストに関するタブー

カースト制度の語源はポルトガル語で、「種族」、「家柄」や「血統」などの意味を持つとされています。
ネパールでは1962年にカースト制度が廃止されましたが、中高年層を中心にその影響がいまだに根強く残っています。

ネパール人

カーストが低い人が触った食べ物は食べられない

ネパールでは自分より低いカーストの人が食べたものに手を触れることはもちろん、その調理を担当したものを口にすることも許されていません。(ただし、調理される前の食材に手が触れただけであれば問題はありません。)ネパールではカーストごとに職業が定められており、カースト制度の上下を把握した上で食事を取ることが一般的です。

現在では、カースト制度を気にしない人々も存在しますが、ほとんどの人々が依然としてカースト制度の上下を意識しています。このような文化的背景から、ネパールでは食事におけるカースト制度への配慮が重要視されています。

異カースト間の結婚は禁止されている

異なるカースト間での結婚が禁止されていることから、ネパールではお見合い結婚が一般的とされています。カースト制度が1962年に廃止されたことや、教育の義務化により異なるカースト同士が同じ教室で学ぶ機会が増えたことから、近年では異なるカースト間での恋愛結婚も増えてきています。しかし、依然として同じカースト間での結婚が一般的な傾向にあります。

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3.ネパール人の性格とは

ネパール人

3-1. 明るい

ネパールでは人々が人懐っこく、好奇心旺盛な性格であると言われています。この特性は子供だけでなく、大人にも当てはまるとされています。ネパールを訪れた多くの方が、「知らない人にも親しみを込めた愛称で呼びかけてくれる」というエピソードを挙げることがあります。

ネパールの人々は異なる文化や背景を理解しようとする姿勢を持ち、明るい笑顔で気持ちの良いコミュニケーションをとる人が多くいます。彼らの親しみやすさと好奇心旺盛な性格は、周囲の雰囲気をも明るくさせるでしょう。

3-2. 貸し借りをよくする

ネパールの人々はよく貸し借りをすると言われています。貸し借りの対象は幅広く、その中には金銭も含まれています。この習慣は困っている人がいれば自分だけで問題を解決せず、周囲と助け合って解決しようとする文化が大きな影響を与えています。

3-3. 時間にルーズ

日本人とは異なり、ネパール人は時間を厳守するという意識があまり高くない傾向があります。仕事の始業時間に遅れても時給が変わらないことや、発展途上国では戦争や政治問題で計画が頓挫することが多かったことがその原因と考えられます。このような状況から、通称「ネパリタイム」という言葉も生まれました。

そのためネパール人を雇用する際には、時間をしっかり守ることの重要性を徹底的に伝える必要があります。時間の遵守はビジネスの効率性や信頼関係の構築にとって不可欠であり、雇用者としての責任を果たす上でも欠かせない要素です。

3-4. ルールや約束をあまり守らない

時間にルーズという点同様、ルールや約束を破ることをあまり気にしない傾向があるため、これらを厳守する人は多くはありません。ネパール人を雇用する際には、ルールや約束を守ることの重要性を十分に伝える必要があります。

4.ネパール人を採用するメリットとは

4-1. 忍耐強く長く働いてもらえる

※アジア諸国の平均賃金

①ネパール 約14,000円
②ミャンマー約21,551円
③インドネシア約26,000円
④フィリピン約35,349円
⑤ベトナム約41,540円
⑥中国約205,000円
⑦韓国約310,000円
※ミャンマーは平均賃金を公表していないため、国際貿易振興機構(ジェトロ)の調査による日系製造業の作業員の平均賃金を掲載しております。

ネパールの平均月収は約1万4000円とされており、他アジア諸国と比較しても特に低い水準であることが明らかです。

これは観光業や農業への依存度が高く、工業化が遅れていることが主な要因だとされています。
そのため、母国よりも給与水準の高い他国へ出稼ぎに行くネパール人が多いというのも頷けます。
このような金銭的な事情だけではなく、ネパール人は家族を大切にする文化があるため、家族のために忍耐強く働き続ける傾向が高いといえます。

4-2. フレンドリーで職場関係が築きやすい

2015年の大地震がネパールを襲った際にも略奪や暴動がほとんど報告されなかったことから、ネパール人の間には分け隔てなく助け合いの精神が根強く存在していると言われています。このような明るく周りを大切にする精神を持つネパール人とは、良好な職場環境を築きやすいでしょう。

5.注目が高まっているネパール人材

対前年増加率が高い主な3か国

※厚生労働省「外国人雇用状況届出状況」を元に作成
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外国人人材の中で、年々増加を続ける国の1つがネパールです。厚生労働省が発表した「外国人雇用状況の届出状況」というデータによれば、平成30年には前年比で18%もネパール人の割合が増加しています。この数字からも、日本で働くネパール人の数が急速に増加していることが伺えます。この傾向から、ネパール人への日本社会の注目度も一段と高まっていると言えるでしょう。

6.まとめ

在日ネパール人の増加に伴い、彼らへの注目度も高まっています。彼らと円滑に働くためには、事前に文化やタブーについての確認が不可欠です。ネパール人との効果的なコミュニケーションや円滑な労働関係を築くために、当スクールでは皆様のお困りごとに対応し、ご相談にもお応えいたします。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社JJSの新規開拓担当。
広島県に在住した経験から国際協力や平和構築に関心を持ち、カンボジアやウズベキスタンでも活動した経験を持つ。
「外国人と日本人が”一緒に働けてよかった”を創る」という当社ミッションの実現を目指し、外国人を採用する企業の新規開拓に取り組む。

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