ネパール人を飲食業で採用する方法|採用するメリット・注意点などを詳しく解説!

執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)

昨今、飲食店で食事をしていると外国籍のスタッフを見かけることが増えたと感じませんか?日本の飲食店では年々人手不足が加速しており、外国籍の方の力を借りることが必要不可欠になってきております。

様々な国籍の方が働いている中で、今回は「ネパール」国籍の方にスポットを当ててみたいと思います。私個人的にはネパールの方は飲食業との親和性が高いと感じております。彼らはどういった在留資格で働いているのか?どのように採用をしているのか?こちらの記事で徹底解説していきます。

ネパール人を飲食業で採用したい方はお気軽にご相談ください

目次

1. 日本で働くネパール人

外国人労働者の数は年々増えており、令和4年10月には182万人を超え、過去最高を更新しました。

その中でネパールは5番目に多い国籍となります。

国籍別・在留資格別外国人労働者数
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)

ネパール国籍の労働者の特徴として、技能実習や身分に基づく在留資格で働いている方はかなり少なく、大半が「資格外活動」となっています。この「資格外活動」で働いているというのは、ほとんどが留学生として日本に来ている人たちがアルバイトをしている、というケースがほとんどです。

1-1. 日本で働いているネパール人の推移

こちらが平成30年から令和4年までの外国人労働者数の推移の表です。

国籍別外国人労働者数
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)

令和2年から3年はコロナ過で前年より減ってしまいましたが、それ以外の年は一定の増加率で増えており、令和4年の対前年増加率もインドネシア、ミャンマーについで第3位の20.3%となっております。

1-2. ネパール人が日本で働く理由

ネパール人が日本で働く理由は大きく2つあると考えます。

  1. 母国で働くより給与水準が高い。
  2. 留学生としてビザの許可が出やすい。

日本は30年間給料があがっていない、など最近の国会等でよく耳にしますが、それでもまだネパールとの給与の差というのはかなりあります。

こちらの表をご覧ください。

留学生の出身国
参考:一般財団法人 日本語教育振興協会「日本語教育機関の概況」

コロナウイルスの影響や中国や韓国とは給与の差がなくなり、留学後日本で働きたいという方が少なくなってしまいました。平成23年度の日本語教育機関の留学生の構成比は67.4%もありましたが、令和4年度には36.0%まで下がっています。最近はベトナムも経済成長が著しく、留学先として日本を選ぶ人が減少傾向にあります。

一方で、ネパールは人数が約5倍に増えており、平成23年度には留学生全体の3.7%しかありませんでしたが、令和4年度には全体の中でも中国に次いで2番目に多い国籍になっており構成比も21.7%まで上がっています。日本語教育機関としては、減ってしまった中国・韓国・ベトナム等の国籍の代わりにネパール国籍の生徒数を増やして生徒数を維持している、という状況です。ですので、日本としてはぜひ留学生として来日してほしい、という状況になっているため、他の国にくらべると留学のビザが取りやすい、ということが考えられます。

給与水準

ネパールの平均月収は17,809ルピー(約18,000円)となっており、日本人の平均月収311,800円と比較するとおよそ17倍の差があります。

参考: 公益財団法人 国際労働財団「2019年ネパールの労働事情」_
参考: 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

親日国

日本とネパールは60年以上の外交関係にあり、皇室・旧王室関係や登山等の各種交流等を通じ、伝統的な友好関係を築いてきました。日本は様々な支援を行い、例えば2015年の4月にネパール中西部で発生した大地震の際には、緊急援助物資の供与および約16.8億円の緊急無償資金協力を実施しました。こういったことから、ネパールでは親日の方が多いです。

また、ネパールの文化は礼節を重んじる、年長者を敬う、勤勉、など日本人と類似していると言われています。

宗教について

国民の8割以上がヒンドゥー教徒、約1割が仏教徒です。仏教の開祖ブッダがネパールのタライ平原にあるルンビニで出生したこともあり、ネパールの社会の中ではヒンドゥー教と仏教は融合しています。ヒンドゥー教の教えでは牛は神様の使いと考えられており、牛肉を食べません。

しかし、私の経験上、ネパールの方達は飲食店でしかも牛丼屋やステーキハウスでもアルバイトしているケースも多く、あくまで食べないというだけであって、提供することができない、調理できない、ということでは無いようです。

参考: 外務省「ネパールという国:日・ネパール外交関係樹立60周年」

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2. ネパール人を採用するメリット

こちらではネパール国籍の方を採用するメリットを3点ご紹介させていただきます。

2-1. 英語が話せる

ネパール国籍の方は英語が話せる人が多いです。その理由は、隣国インドの影響をとても強く受けており、インドは元々イギリスの植民地だったので英語が準公用語になっています。ネパールの人は英語はよい仕事に就くために必要なものだと考え、高額の授業料を払ってでも質の高い授業を英語で行う都市部の私立学校に入学させる親も多いと言われています。私立であれば小学校から、公立でも高校からすべての授業を英語で行う学校が多いようです。

最近は円安の影響もあってか、海外からの観光客もコロナ前の水準に近付いており、英語圏のお客様も増えてきていますので、語学が堪能なスタッフは重宝されると思います。

参考: 多言語状況データベース ネパール

2-2. 日本人と性格・価値観が似ている

前項でも軽く触れましたが、年長者を敬い、挨拶を大切にするなど、日本人に近い感覚を持っていると、実際に触れあっても感じます。弊社スタッフのネパール人も、誰よりも丁寧に「おはようございます」、「ご馳走様」などきちんと挨拶ができるため、日本人外国人問わず周りから人気があります。

2-3. 若者が多く仕事への意欲がある

ネパール、日本の人口ピラミッド
参考: PopulationPyramid.net(世界の人口ピラミッド)

左がネパール、右が日本の人口ピラミッドです。

日本は言わずもがな超高齢化社会ですが、ネパールは高齢者の人口比率が5.8%と国連が定める高齢化社会(高齢者の比率が7%以上)にもあたりません。働き盛りの人口が多いだけでなく、ネパールは海外に出稼ぎに行く人も多く、彼らが海外で稼いで母国に送金する額は2020年には9,610億ルピー(約1兆円)に達し、これはネパールの国民総生産(GDP)の22.5%にあたります。

参考: NNA ASIA 「出稼ぎ国家ネパール ヒマラヤ最貧国の今」

ネパール人を採用するその他メリット・デメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

3. 飲食店でネパール人を採用する方法

前項でお伝えしたように、ネパール国籍の方は高い就労意欲と語学力を持ち、挨拶ができて、日本人と同じ感覚を持っていることから、飲食店で働くのにとても向いているとお分かりになっていただけたらと思います。

では、実際に採用するにはどのような方法があるのか、「正社員雇用」「アルバイト雇用」に分けてご説明いたします。

3-1. 正社員雇用の場合

正社員として働くための主な5つの方法を在留資格ごとに解説していきます。

特定技能1号

こちらの「特定技能」という在留資格は日本の人手不足を解消することが目的の在留資格です。人手不足が顕著な12業種に限り認められている在留資格で、外食業もその中に入っています。

こちらの働く外国人側のデメリットして、家族を呼ぶことができない(家族滞在ビザの申請ができない。)、最長5年しか働けない、等がありますが、今後は特定技能2号を認め、この2つのデメリットを撤廃しようとする動きがあります。2019年に始まった制度で、コロナウィルスの影響などでまだ人数は5,159人(2022年12月末)と多くはないですが、こちらの在留資格取得にあたって、働く外国人は「日本語能力N4相当の資格」と「業種別の特定技能試験」の2つに合格している必要があります。

参考_出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」

特定技能「外食」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

特定技能についてさらに詳しく知りたい方は「特定技能まるわかり資料」をダウンロードください

技術・人文知識・国際業務

こちらの在留資格の目的は、日本人があまり持っていない高度な知識や技術を、外国の方のお力をお借りして、働いてもらおう、というものになります。こちらの在留資格取得にあたって、大学もしくは日本の専門学校を卒業している必要があり、そこで得た専門性の高い知識を活かした業務に従事する必要があります。

例えば、飲食店の仕事で該当するのはマーケティング業務などが該当し、ホールやキッチンのスタッフとして、働くのは基本的には認められていません。理由はそれらの仕事は専門性の高い知識を活かした業務として認められないからです。

参考: 出入国在留管理局 在留資格「技術・人文知識・国際業務」

ものしりシップくん

高度な仕事かどうか、判断するのは出入国在留管理庁になります。

技術・人文知識・国際業務について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

特定活動46号

こちらの在留資格は技術・人文知識・国際業務の業務範囲を少し広くした、というイメージをしてください。

さきほどの技術・人文知識・国際業務の在留資格では、飲食店のホールスタッフとして働くのはできないと申し上げましたが、こちらの特定活動46号になりますと、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うものとして、日本人の接客業務も行うことは認められています。(ずっと皿洗いのような単純作業のみの仕事は特定活動46号でも認められていません。)
こちらの在留資格取得にあたっては、日本の大学を卒業し、かつ、日本語能力試験の1級(はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上でも可)を取得している必要があります。

参考: 出入国在留管理庁 「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン」

定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等

すごく簡単にそれぞれの在留資格のご説明をさせていただきますと、

定住者

法務大臣が特別な理由を考慮したうえで、一定の在留期間を指定して居住を認める者。該当例としては、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等が含まれます。在留期間が5年,3年,1年,6ヶ月となり、長く滞在するためには更新が必要です。

永住者

永住者の在留資格に変更を希望する外国人のうち以下の条件を満たした者が対象となります。

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

在留期間も在留活動も制限されないため、通常の在留資格よりも慎重な審査が行われます。

日本人の配偶者

日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者。該当例としては、日本人の方の夫又は妻、実子、特別養子など。

永住者の配偶者等

永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者。該当例としては、永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子。

参考: 出入国在留管理庁

これらの在留資格は身分・地位に応じた在留資格と呼ばれ、他の資格と違い目的が就労ではありません。長く日本に在留することが想定されており、特に就労制限がなく日本人と同じような働き方が可能です。

技能

こちらの在留資格は「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」を行うことを目的としています。熟練した技能の中には調理も含まれます。ただ、だれでもいいわけではなく母国で調理師として10年間(タイは5年間)経験があることが要件としてあります。

また、「特殊な分野に属する」という点で、基本的には自分の母国の料理の調理師として来日するケースがほとんどです。ネパール料理屋さんで働いているコックさんのイメージです。

参考: 出入国在留管理庁 在留資格「技能」

3-2. アルバイト雇用の場合

日本で働くネパール人、118,000人のうちの約66%の78,000人が資格外活動許可を得て、アルバイトで働いている方たちになります。(こちらの表をご覧ください。)

資格外活動許可とは、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。資格外活動としてアルバイトをする場合、1週間に28時間以内、というルールがあり、こちらを違反してしまうと在留資格が取消になったりすることもあります。

参考: 出入国在留管理庁 資格外活動許可について

留学

みなさんが飲食店で見かける外国人スタッフの多くは、こちらの留学生だと思います。留学の在留資格の目的は留学生として勉強をする、というものですが、日本での生活費や学費を稼ぐために資格外活動の許可をとってアルバイトすることが可能です。夏休みや冬休みなどの長期休暇中は週40時間アルバイトすることが認められています。

参考: 出入国在留管理庁 在留資格「留学」

家族滞在

こちらの在留資格は技術・人文知識・国際業務等で働いている外国人の家族のための在留資格です。働いている外国人の奥さんや旦那さん、子供が対象者です。

また、以前は外食業では特定技能1号しかなく家族滞在が認められていませんでしたが、2023年6月外食業も特定技能2号が認められたので家族を呼ぶことが可能になります。働いている外国人の家族だからといって、すぐに働けるわけではなく、留学生同様、資格外活動の許可を得てからアルバイトが可能になります。

参考: 出入国在留管理庁 在留資格「家族滞在」

特定技能2号の拡大について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

特定活動

特定活動は文字通り特定の活動を行う在留資格で、いろいろな種類があります。例えば、日本の専門学校を卒業した外国人が卒業までに就職が決まらなかったとき、就職活動をするための6ヶ月の在留資格が認められています。こちらも留学生や家族滞在同様、資格外活動の許可が認められています。

定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等

こちらは正社員採用の項目でも申し上げましたように、就労制限が特になく、日本人同様に就労をすることができます。ですので、資格外活動の許可も必要なく、週28時間以内などのルールもありません。

参考: 出入国在留管理庁 在留資格一覧表

4. 採用する時の注意点

外国人採用で一番気を付けないといけないことは「不法就労をしない・させない」ことです。

もし適切な在留資格を持っていないのに採用し、就労をさせてしまった場合、外国人本人だけでなく、雇用主側も「不法就労助長罪(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金)」に問われる可能性があります。

4-1. 在留カードの確認

在留カードというのは、日本に在留ができることの「証明書」にあたり、中長期間在留する外国人に交付されます。

在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否など、出入国在留管理庁長官が把握する情報の重要部分が記載されていますので、記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており、常に最新の情報が反映されることになります。また、16歳以上の方には顔写真が表示されます。

在留カードの見本(表面)
在留カードの見本(裏面)

参考: 出入国在留管理庁 在留カードとは?

そして、最近問題になっているのが、この在留カードの「偽造」です。組織的にパソコンやプリンターを使って、かなり精巧にできているものも多いようです。なので、あまり見たことがない方は手に取ってみても本物か偽造か判断するのはむずかしいと思います。

確認方法

では、どうやれば本物か見分けられるか?こちらのアプリを使うのがおすすめです。

在留カード等読取アプリケーション
参考: 出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション サポートページ

こちらのアプリに在留カード表面の右上にあるカード番号を入力し、チップの部分をスマートフォンで読み取ると真正なものであるかの確認と、登録されている在留カード(写真つき)の画像が出てくるので、それが本人のものかも確認できます。

在留カードの管理方法などについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

4-2. 就労可能期間の確認

在留カードには必ず在留期間が記載されています。

入社したときに問題がなくても、この在留期間までに更新手続きを行わないと、不法滞在という扱いになってしまい、外国人と企業、ともに重い罰則がありますので、注意しましょう。

4-3. 海外労働保険への加入・海外労働許可証の取得(現地ネパールからの採用の場合)

ネパール国内にいるネパール人を特定技能で採用する場合、海外労働保険の加入や海外労働者社会福祉基金への一定額の支払いを求められるとのことです。

また、ネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に対し、オンラインで海外労働許可証の発行を申請する必要があり、同部門において、海外労働許可証を取得することになっているとのことです(ネパールを出国する際、出国審査において海外労働許可証を確認)。

参考: 法務省 ネパール国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの流れ

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?

いま大手チェーン店の飲食店でも人手が足りなくて店を閉めていたり、席を制限して営業をしていたりするところが、数多く見受けられます。飲食店ではこれからもっと外国人のアルバイト・正社員が増えていくことは確実です。そのために少しでも早めに外国人採用を始めてみませんか?

弊社では200人超の特定技能外国人を飲食店様にご紹介した実績がございますのでお気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)の講師兼就職支援室長。
所有資格:行政書士・外国人実習雇用士

今まで500名以上の「技術・人文知識・国際業務」外国人を就職に導く。外国人との対話は笑顔とフランクさを信条に、外国人生徒からの人気No1の先生。

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