特定技能外国人のJITCO保険についてまるわかり|加入から解約までの手続きと注意点
皆さんはJITCO保険をご存じですか?JITCO保険は特定技能外国人を対象とした保険であり、万が一のケガや病気の場合にもサポートしてくれるのが特徴です。
JITCO保険はどのような形で補償を行うのか、どこまで守られるのか、いくらかかるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、特定技能外国人が対象となるJITCO保険についてです。
本記事を読むことで、JITCO保険とはどんなものかがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
特定技能を知ることでJITCO保険の理解が深まります。
⇒「特定技能まるわかり資料」をご参照ください。
1.JITCO保険は特定技能外国人が対象
JITCO保険は特定技能外国人を対象にした保険です。ここからはJITCO保険の特徴などを解説していきます。
1-1.JITCO保険の特徴
JITCO保険の特徴には以下のことが挙げられます。
- JITCO保険に加入できるのは特定技能外国人の受入企業など
- 実質的に自己負担なしで治療を受けられるようにする
- 日常生活で生じたケガや病気に活用できる
- 事故による賠償金も補償する
- 病気やケガで特定技能外国人が死亡するなどした場合に、親族などの渡航費用が出る
- 他の特定技能外国人総合保険よりも保険料が安め
特定技能外国人は企業に雇用される形となるため、健康保険や労災保険などの公的保険に入れます。本来、特定技能外国人は医療費の3割を負担しますが、この3割の負担分を補償してくれるのがJITCO保険です。JITCO保険により、特定技能外国人は自己負担なしで治療が受けられます。
JITCO保険は特定技能外国人など本人が加入するものではなく、特定技能外国人を受け入れる企業が加入するものです。主にWebを通じて加入できる仕組みになっています。
異国の地に訪れ、予期せぬアクシデントに巻き込まれることもあり、その際に保険に加入していると安心感があります。特定技能外国人のセーフティネットとして機能するのがJITCO保険です。
保険金は書類送付後2週間以内に振り込まれやすくなっており、特定技能外国人に負担をできる限り与えない形で対処できます。
1-2.補償期間
JITCO保険は、在留資格「特定技能」を取得して日本に入国してから活動期間を終えて帰国するまでが補償期間となります。特定技能1号の場合、在留期間は通算で上限5年となるため、最長でも5年が補償期間です。
入国後、JITCO保険に加入していなかった場合には、加入した後に保険料の入金が確認された段階で始まります。
1-3.補償範囲
JITCO保険の補償範囲には以下のものが挙げられます。
- 死亡時・後遺障害時の補償
- 傷害・疾病の治療費
- 第三者への損害賠償
- 特定技能外国人の死亡時・危篤時での救援者費用
日本に入国してから一定期間は監理団体で講習などを受けるため、公的保険に加入していない状態となります。加入するまでの間は治療費用の100%が補償され、加入後は治療費用の30%が補償される形です。
100%の補償期間に関しては加入時に選べます。パターンは以下の通りです。
- なし
- 15日
- 1か月
- 2か月
この場合の「なし」は入国した時点で公的保険に加入している状態を示しています。公的保険への加入が終わっていれば「なし」、そうでない場合は加入までの期間を選ぶ形です。
1-4.支払われる保険金の種類
JITCO保険で支払われる保険の種類は以下の通りです。
- 傷害治療費用保険金、傷害死亡・後遺障害保険金
- 疾病治療費用保険金、疾病死亡保険金
- 日常生活賠償保険金
- 救援者費用等保険金
治療費用保険金などは、事故日から180日以内が目安となっており、その間に生じた費用が対象となり、保険金が支払われます。
救援者費用等保険金は、被保険者が死亡もしくは危篤に陥った際、母国の家族を日本に呼び寄せる、もしくは遺体を母国に搬送するなどの状態で生じた費用などが対象となります。
傷害や疾病での治療費用を請求する際には保険金請求書や被保険者証明書の写し、医療機関で発行された領収書の原本などが必要です。これらをホチキスでとめて郵送し、不備がないかを審査してから振り込まれます。
1-5.保険金額・保険料
JITCO保険は傷害・疾病保険・賠償責任の額に応じて、保険金額・保険料が変化する形式となっています。基本的に保険金額と保険料は比例の関係にあり、保険金額の上限が高ければ保険料もその分高くなります。
賠償責任に重きを置いたタイプもあれば、治療費を重視したタイプもあるなど、何に加入するかは企業次第です。保険料は加入期間が長いと1か月あたりの費用が安くなるので、企業にとっては長期的な加入が負担の軽減につながります。
例えば、最もオーソドックスな「1タイプ」の場合は、加入1か月の保険料は1,800円ですが、2か月では2,460円、3か月で3,450円と1か月あたりの保険料は安くなります。7か月以降は月額1,000円を割り込む計算です。
特定技能外国人総合保険はJITCO保険以外にもいくつかあり、保険料は比較的安く設定されています。そのため、企業にとっては負担の少ない形でJITCO保険を利用できます。
ちなみに、保険期間中において契約タイプを別のものに変更したい場合、変更そのものができません。そのため、一旦現在の契約を解約し、その後新しい契約タイプに加入し直すことが求められます。できれば、保険期間中に変更しなくても済む形で契約を済ませておくことが確実であり、煩わしい手続きをせずに済むでしょう。
歯医者を嫌がる外国人が多く、後になって医療費が高くなるケースもあるため、企業側は事前に入っておくと安心です。
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2.加入手続きについて
ここからはJITCO保険に加入する際に行う手続きの方法や必要な書類について解説します。
2-1.手続きの方法
JITCO保険に入るには、JITCO保険の取扱保険代理店である「株式会社国際研修サービス」のホームページから申し込みが可能です。
申し込みの際に在留資格の中から「特定技能1号」を選ぶほか、加入の際には「加入者情報」の登録を行います。加入者情報では、住所氏名などの個人情報やパスワードが必要です。
情報の登録を終えたら、加入依頼画面において加入者番号などを入力して加入依頼を完了させます。その後保険料の振込や、出国日確定通知および入国資格欠格者通知書の提出を済ませると手続きは完了し、被保険者証の発行が可能です。
2-2.必要書類
保険の加入の際に必要となるのが、「出国日確定通知および入国資格欠格者通知書」です。特定技能外国人が母国を出発する日を通知するための書類であり、この書類を出すことで母国を出発した段階からJITCO保険の効力が生じることになります。
3.外国人の任意保険に関する3つの注意点
ここからは外国人の任意保険に関する注意点についてご紹介します。取り上げる注意点は以下の通りです。
- 自転車保険の加入について
- 給料から天引きする場合
- 外国人に入らなかった時のリスクを伝える
上記の注意点について詳しく解説します。
3-1.自転車保険の加入について
基本的に特定技能外国人は自転車で移動する機会が多い一方、日本における交通ルールを完璧に把握しているとは言えないケースがほとんどです。
自転車での事故も多発しており、自転車と歩行者が衝突して歩行者を死なせてしまうケースも出てきています。この場合、賠償額は高額になりやすく、死なせたり後遺障害を生じさせたりして1億円に迫る賠償事例も報告されている状況です。※
このため、令和4年からは各都道府県で自転車保険への加入が義務化されています。自転車利用者はもちろん、企業が特定技能外国人に対して事業用の自転車を貸し出す場合などで自転車保険の加入が義務化される形です。
特定技能外国人が通勤する際に自転車で事故を起こしてしまうと、特定技能外国人自身に賠償金を支払う資金がない場合、会社側に使用者責任が生じ、代わりに支払うことも考えられます。万が一1億円近い賠償責任が生じたとしても、保険を活用できれば金銭的なダメージを少なくできます。
特定技能外国人の立場からすれば、異国の地で多額の賠償金を背負わされることになりかねないのは不安でしかありません。自転車が交通の足にならざるを得ない状況を考えると、早急に自転車保険への加入が必要と言えます。
3-2.給料から天引きする場合
特定技能外国人に安心して過ごしてもらうために加入するのがJITCO保険などの任意保険ですが、加入する際に特定技能外国人の給料から天引きすることを想定する方もいるはずです。健康保険などは企業側が保険料を天引きすることが可能ですが、任意保険に関しては勝手な天引きはできません。
もし、給料から任意保険の保険料を天引きするには事前に労使協定を結ぶことが求められます。企業内に労働組合が結成されていれば企業と労働組合の間、労働組合がない場合には労働者の過半数を代表した人物を選んだ上でその人物と企業が労使協定を結ぶことで初めて天引きが行えます。
この時に締結した労使協定の内容に関しては書面の交付などの形で周知徹底が求められるため、天引きをする場合には気を付けるべき点です。
外国人の立場としては、なぜ給料から天引きされるのかがわからないと不安に感じることも考えられます。保険加入はもちろん、補償期間やその範囲、天引きの額などをしっかりと説明しなければなりません。
一方で、特定技能外国人からすると保険料の支払いが負担になる可能性があるでしょう。そこで企業側が任意保険の保険料を負担することがあります。特定技能外国人が支払うよりも企業側が支払うことで保険料の支払い忘れなども防げるメリットがあるのも特徴的です。
任意保険の保険料そのものはそこまで負担になるものではありませんが、福利厚生の一環として企業側が支払うのが良心的と言えます。
事前に伝えるためにも特定技能外国人と円滑なコミュニケーションが重要です。
⇒「外国人労働者コミュニケーションマニュアル」をご参照ください。
3-3.外国人に入らなかった時のリスクを伝える
JITCO保険などの任意保険はあくまでも任意であるため、入らなかったとしても全く問題はありません。しかし、任意保険に入らないことで何かしらのリスクが生じることは十分に考えられます。
例えば、日本にやってきて間もない講習期間であれば、まだ雇用関係にないため、公的保険が使えません。万が一にケガや病気になった場合、治療費の全額自己負担となり、経済的な悪影響が考えられます。異国の地で病気になった際、任意保険に入っているか入っていないかで安心感にも大きな違いがあるでしょう。
公的保険に入っているので自己負担が3割になれば十分と考える人がいるかもしれません。しかし、長期に及ぶ治療・通院になる恐れも考えられます。その場合、長期間の治療・通院にかかる費用は相当なものになります。公的保険に加入していながらも、まだ治療・通院が必要となった場合、通院をやめてしまう可能性もあるでしょう。
もしも任意保険に入っていれば、本来の自己負担分までカバーできます。経済的にかなり安心できる要素であり、突発的な出費を防ぐことが可能です。経済的なことを気にせずに安心して治療に専念できるので、健康体で働きやすくなるのも任意保険に加入して得られるメリットの1つと言えます。
また特定技能外国人が任意保険に加入しないことで、特定技能外国人が生じさせた賠償金を任意保険によって賄えることも伝えられます。もちろん、賠償責任が生じる事故は避けなければなりませんが、備えがあるかないかの違いはあまりにも大きいものです。
任意保険に入ることのメリットを伝えることも大事ですが、入らないことで想定されるデメリットを伝えると、真剣に任意保険の加入の有無を考えてくれるようになるでしょう。近年は特定技能外国人などが多く来日し、全国で様々な事案が起きています。実例が多い分、より現実的な形で説得することも可能です。
外国人の第三者へのトラブル(自動車事故や傷害事件など)で外国人が加害者になってしまった場合にも適用されるため、万が一の場合に備えて入っておくといいと思います。
4.JITCO保険の解約
ここからはJITCO保険に関する解約手続きや解約にかかる必要について解説します。
4-1.解約の手続き
特定技能外国人が何らかの形で帰国をすることになった場合、加入していたJITCO保険は解約となります。解約の際には「解約届出書」の提出が必要です。解約届出書は加入者や被保険者に関する情報などを記載して所定の場所に郵送します。
主な手続きの流れは以下の通りです。
- 変更事由発生日から2か月以内に書類が送付先に届くように送る
- 返戻保険料の計算が行われて、返戻保険料が記載された解約届出書の写しが返送される
- 解約後、返戻保険料が入金される
ここでポイントになるのが返戻保険料です。変更事由発生日から2か月以内に書類を送付した場合、返戻保険料は帰国などの事由が発生した日からの計算となります。その分、返戻保険料は多くなりやすいです。
一方で、発生日から2か月以降になると、書類が到着した日からの計算となります。発生日と到着日にタイムラグがあればあるほど、受け取れるはずの返戻保険料が目減りしてしまうため、注意が必要です。
また、保険の満期が残り31日に満たない場合に関しては、元々、解約返戻金は発生しません。したがって、満期日まで31日未満しかない場合には、解約変更届の提出は必要ないのです。
もう1つ、入金のタイミングにも特徴があります。解約変更届には毎月「締切日」が設定されており、25日が設定されています。25日までに解約変更届が到着した場合には翌月末には返戻保険料の振込が行われる形です。
26日以降の場合には返戻保険料の振込が翌々月となります。ただし、25日が土日祝日もしくは休日の場合は翌営業日まで延長されます。
4-2.解約にかかる費用
JITCO保険を解約する際にかかる費用に関しては、基本的にありません。解約によって生じるのが先ほどもご紹介している返戻保険料です。特定技能外国人が自己負担をする形で加入し、のちに解約をする場合には速やかに解約変更届を提出する必要があります。
その上で、返戻保険料が振り込まれたら特定技能外国人の口座への送金が必要です。少なくともJITCO保険に関しては解約にかかるお金はこれぐらいで、解約するのにお金がかかったり、別途違約金が必要になったりすることはありません。
5.まとめ
JITCO保険は特定技能外国人が日本で安心して働けるように作られた任意保険であり、「治療したいけど、治療費がかかるから病院に行くのはやめよう…」と考える外国人労働者を避けられます。
今回ご紹介した内容を踏まえて、外国人労働者を積極的に採用し、人手不足を解消するほか、企業側が保険料を負担する形でJITCO保険に加入していることをアピールし、特定技能外国人を素早く確保していきましょう。
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