【最新版】外国人を単純労働者として受け入れられる?おすすめの就労ビザや注意点など解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

現在少子高齢化による人手不足を日本人労働者ではなく外国人労働者を活用して解決しようという動きが出ています。その際にクローズアップされるのが「単純労働」の働き方です。原則として外国人労働者は単純労働ができませんが、一定の条件を満たせば単純労働ができるため、今後外国人労働者に単純労働をお願いしたいと考える企業は増えるでしょう。

今回ご紹介するのは単純労働についてです。本記事を読むことで、外国人を単純労働者として受け入れるにはどうすればいいか、そのために必要なビザとは何かがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

1.外国人は原則単純労働で雇用することができない

冒頭でもご紹介しましたが、外国人は原則単純労働という形で雇用することができません。なぜ単純労働で雇用できないのか、そもそも単純労働とは何かについて解説します。

1-1.そもそも単純労働とは

そもそも単純労働とは、専門的な学習や特別な訓練などを受けなくても問題なく行える仕事を指します。主な単純労働は以下の通りです。

  • 建設作業員
  • スーパー・コンビニでの接客
  • レストランでの皿洗い
  • 清掃業務など

これらは単純労働として扱われやすく、業種によっては「ブルーカラー」とも呼ばれます。これらの仕事を外国人が行う場合には、特定の在留資格を有することが求められ、基本的には外国人が単純労働者となることは認められていません。

1-2.なぜ原則単純労働で外国人を雇用できないのか

では、なぜ外国人を単純労働者として雇用できないのかですが、過去に厚生労働省の研究会において、以下の点が挙げられました。

  • 高齢者などの就業機会が減る可能性がある
  • 景気によって失業問題が生じやすい
  • 新たな社会的費用の負担があるなど

単純労働者として外国人を受け入れることは国民生活に大きな影響を及ぼしやすく慎重な対応をしなければならないと厚生労働省の研究会で示されています。※

※:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会報告書(案)」

上記の報告書案は2000年代前半に出されたもので、その後日本を取り巻く労働に関する環境は変わり、人手不足が深刻化してきました。一方、「単純労働」というネーミングこそ使わないまでも、様々な在留資格を新設することで対応する動きも出ています。

2.在留資格によっては単純労働で一部外国人雇用が可能

原則として外国人労働者は単純労働者として従事することはできません。しかし、在留資格によっては「単純労働」が行えます。単純労働が行えるケースは以下の通りです。

  • 在留資格「特定技能」の取得
  • 身分系の在留資格の取得
  • アルバイトとして雇用

ここからは単純労働が可能な在留資格やケースについて解説します。

2-1.人手不足の業界で外国人を正社員雇用できる「特定技能」

慢性的な人手不足の業界に限定する形で導入されている在留資格に「特定技能」があります。

「特定技能」とは?

特定技能は2019年に創設された新しい在留資格で、主に人手不足の業界において事前に特定分野のスキルや日本語能力を身につけた外国人が従事できる在留資格です。2024年3月時点で特定技能の在留資格が取得できる分野は以下の12分野となります。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

これら12分野において在留資格「特定技能」を取得できます。取得してしまえば、そのジャンルにおける労働が行えるため、慢性的な人手不足の解消につなげることが可能です。

特定技能について詳しく知りたい方
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【最新情報】運送業や鉄道、林業などの4分野も追加を検討している

2024年3月時点では12分野で特定技能の在留資格を得られますが、慢性的な人手不足に悩まされている業界は12分野以外にも存在します。そこで政府はこれまでの12分野に追加する形で特定技能の対象分野を増やすことを検討しています。追加が検討されている4分野は以下の通りです。

  1. 自動車運送業
  2. 鉄道
  3. 林業
  4. 木材産業

特定技能の対象分野は2019年に新設されてから拡大していませんでした。しかし、労働力が不足し産業の発展の妨げになっているケースが散見されてきたため、特に問題視されている4分野の追加が検討されています。※

※:時事通信「特定技能に4分野追加 自動車運送、24年問題対応―政府検討」

4分野の追加に関して詳しく知りたい方はぜひこちらの記事をご覧ください。

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2-2.「永住者」「定住者」など身分系の在留資格

在留資格「特定技能」が新設される前から存在し、単純労働ができる在留資格として注目されてきたのが身分系の在留資格です。身分系の在留資格は以下の通りです。

身分系の在留資格

  • 永住者
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等

上記の在留資格であれば、就労制限が一切ないため、日本人と同等の仕事が行えます。就労系の在留資格はあくまでも「専門的な知識を活用した労働」がメインであり、特定技能に関しても「専門的な知識」などがなければ認められません。

その点、身分系の在留資格は身分がメインなので、労働どうこうは全く関係ないのです。ゆえにどんな仕事でも行うことができ、単純労働に従事することが認められています。

永住者と定住者の違いについて知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。

2-3.アルバイトとして外国人を雇用する

基本的には特定技能や身分系の在留資格でないと単純労働に従事できないとされていますが、アルバイトであれば、特定の手続きを経ることで雇用することが可能です。その特定の手続きとは「資格外活動許可」の申請を行って許可される手続きです。

資格外活動許可をとることで、在留資格で認められている就労とは別にアルバイトなどが行えます。例えば在留資格「留学」で来日した外国人留学生は資格外活動許可を利用する形でアルバイトを行っています。

しかし、原則週28時間しか働けないなど、人手不足をすべてカバーするだけの労働力を資格外活動許可を得た外国人のみで工面するのは大変です。また、本来の在留資格の活動が大前提なので、その活動を蔑ろにするような形で就労させると様々な問題に発展することが考えられます。

外国人をアルバイトで雇用する方法はこちらの記事で解説しています。

3.外国人雇用の注意点

ここからは実際に外国人を雇用する際の注意点について解説します。

3-1.給与は日本人と同等かそれ以上

在留資格「特定技能」の外国人労働者を雇用する際には、日本人と同等かそれ以上の報酬であることが欠かせません。この給与の要件が特定技能を認める・認めないにかかわってくるからです。

また最低賃金のルールは外国人労働者にも適用されるため、どのようなケースであっても日本人と同等かそれ以上の給与であることが求められます

外国人の給与に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

3-2.在留資格の範囲外で業務をさせない

外国人労働者を採用する際には、在留資格で認められた範囲で仕事をさせなければなりません。例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で来日した外国人がその在留資格と全く異なる仕事をすれば、在留資格の範囲外となります。あくまでも在留資格に準じた業務しかできません。

在留資格「留学」を取得している留学生が資格外活動許可をもらってアルバイトを行うなどの例外はありますが、就労系の在留資格を得ている場合には原則としてその在留資格の範囲内でしか仕事ができないのです。

在留資格の範囲外で業務をさせると「不法就労助長罪」に問われる場合も

もしも、在留資格の範囲外と分かっていながら、もしくはわかっていなくても、外国人労働者に在留資格の範囲外で仕事をさせた場合には不法就労助長罪に問われる可能性があります。不労就労は、不法滞在の外国人を働かせるほか、在留資格の範囲外の就労をしたケースにおいても該当するのです。

不法就労となれば、該当する外国人は在留資格が取り消され、日本から強制的に追い出されることになります。そして、企業側は不法就労助長罪として3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方をペナルティとして受けることになってしまうのです。

しかも、「在留資格の範囲外で就労させると不法就労になるとは知らなかった」と言い逃れをしても、基本的に不法就労助長罪に該当するため、徹底した注意と確認が求められます。

また、こちら側は就労範囲内で仕事をさせているとしても、そもそも外国人が身分証を偽造している可能性もあります。身分証が偽造されているかどうかの見分け方も知っておく必要があるでしょう。

不法就労助長罪について詳しく知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。

在留カード(身分証)の偽造の見分け方に関してはこちらの記事をご覧ください。

3-3.外国人への日本語支援を欠かさない

外国人を雇用する際には外国人への日本語支援が欠かせません。特定技能の資格を得るにはN4レベルをクリアすることが求められますが、N4レベルは日常会話を行う際、ややゆっくりとした流れで会話を行う状態であれば内容を把握できるというレベルです

多くの外国人はN3、N4の日常会話レベルであるとされ、ビジネスの場面ではN3でもどうかといったところです。ゆえに外国人に対する日本語支援は必要であると言えます。近年は日本語を教える教室に通う外国人が増えていますが、一方で教室の数が不足しており、企業側も日本語支援に力を入れることが必要になってきています。

外国人の日本語支援についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3-4.外国人の文化を理解する

外国人を受け入れる際には、外国人の文化を理解する姿勢を示していくことが求められます。それぞれの国には文化や風習があり、文化の違いなどを理解することは外国人により働きやすい環境を提供していくことにもつながっていきます。

例えば、「郷に入っては郷に従え」などの価値観を押し付けないことや、特定の宗教などを考慮した環境作りを行うことが大切です。その上で会社の企業理念やルールを学んでもらい、日本の風習なども教えていくことで、信頼関係を築き上げながら対応していくことができます。

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4.外国人を雇用するメリット

外国人を雇用する際には主に4つのメリットが存在します。

  1. 人手不足の解消につながる
  2. 若くて真面目な人材が集まりやすい
  3. 日本人スタッフのモチベーション向上につながる
  4. 昇給制度や福利厚生の明確化につながる

ここからは外国人を雇用する際のメリットについて解説していきます。

4-1.人手不足の解消につながる

外国人を雇用することで、人手不足の解消につながります。政府は特定技能の受け入れ計画について、2024年度から5年間における上限を80万人超に設定する方針を示し、これまでの2倍以上の外国人を受け入れようとしています。

※:日本経済新聞「特定技能の外国人、5年で80万人超 受け入れ上限2倍以上」

人手不足を解消していくために外国人を積極的に活用しようとする動きは常に出ており、政府も乗り気です。それほど外国人労働者が人手不足の解消につながる可能性が高いと言えます。今後はその人数がより増えていくことが想定され、さらに数年すれば、受け入れ上限はより増えても何ら不思議ではありません。

また、人手不足の深刻化がさらに進めあ、将来的には外国人労働者が単純労働に従事することが普通に認められるような状況になることも想定できます。

4-2.若くて真面目な人材が集まりやすい

東南アジアを中心に、日本に対する憧れを強く持っているケースが多く、日本に対するイメージの中には来日前より来日後の方がよりイメージが良くなっているケースもあります。ゆえに、日本にやってくる外国人の多くは、日本に対するリスペクトを持った人が目立ちます。※

※:首相官邸ホームページ「各国における日本に対するイメージ」

日本に留学生としてやってくる学生も多く、結果として若くて真面目な人材が集まりやすい状況になっています。勤勉な人材が集まりやすい状況なので、受け入れやすく、教育もしやすいメリットもあるでしょう。

また多くの外国人は借金をして来日しており、その返済と母国にいる家族へも仕送りをしているので、結果として真面目に働く人が多いです。

4-3.日本人スタッフのモチベーション向上につながる

外国人労働者を採用することは、日本人スタッフのモチベーション向上にもつながります。外国人労働者を雇用し、日本人と一緒に働くことで、勤勉かつ前向きに働く外国人労働者の姿を見て、日本人スタッフは色々な刺激を受けます

日本人労働者の中には、「このままでは外国人労働者に仕事を奪われる」などと危機感を持ち、外国人労働者に負けてたまるかとばかりに一生懸命仕事に励み、結果として全体的なモチベーションアップにつながるケースも見られます。

なかなか競争が起きず、馴れ合いなムードが蔓延っていると感じた場合には外国人労働者を雇用して、一緒に働かせることで全体的なモチベーションアップと生産性向上につながりやすくなるでしょう。

4-4.昇給制度や福利厚生の明確化につながる

外国人労働者を雇用することで、昇給制度や福利厚生の明確化につながるいい機会となります。元々昇給制度や福利厚生が存在していた場合でも、運用が曖昧になっていたり、あまり活用されていなかったりして、あまり意味をなしていないケースも見られます。

その点、外国人労働者が入ってくることで、今一度昇給制度や福利厚生の在り方を見直す機会になるでしょう。その上で、外国人労働者を定着させていくために昇給制度や福利厚生をいかにブラッシュアップさせていくべきかを考えることになります。その結果、外国人労働者の定着はもちろん、日本人労働者にとってもプラスの効果をもたらすことになるでしょう。

5.まとめ

今回は単純労働に関する話題を中心に、外国人雇用のメリットや注意点なども含めて解説してきました。

原則として外国人の単純労働は認められておらず、いわゆる「移民政策」も行われていません。しかし、人手不足で大変な状況なので、在留資格「特定技能」の新設と拡大によって、人手不足に対峙しようとしています。年々特定技能の資格を得る外国人は増えており、特定技能の資格を足がかりに日本で永住しようとする外国人が増えていくことも考えられます。

特定技能外国人は増え続け、日本政府も今までよりもかなり多く特定技能外国人を受け入れようと検討しています。日本の人口はどんどん減り、今までのシステムを維持するには外国人の受け入れは不可避の中、外国人労働者が単純労働に従事する是非は今後議論されていくことでしょう。

今回ご紹介した内容を踏まえて、外国人労働者を積極的に採用し、人手不足を解消するほか、モチベーションの高い外国人を素早く確保していきましょう。弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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