【図説】飲食店で外国人雇用をするには?初めてでもわかるビザや採用の流れを解説

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

人手不足から飲食店で外国人を雇用する企業が増えています。

飲食店で雇用できる在留資格は「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「特定活動46号」など様々なものがあります。また、雇用するときは外国人の身分証である「在留カード」を注意深く確認する必要があります。

今回はそんな内容を、初めて外国人を雇用する方でもわかりやすいよう図を加えながら解説していきます。

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目次

1.外国人を雇用するときに抑えておくべきこと

初めに外国人雇用に当たる基本情報を解説します。

基本情報①|在留資格

在留資格とは、文字どおり、「日本に在留しても良い」という許可のことです。

この在留資格は主に就労系(就労する範囲が決まっている在留資格)身分系(就労範囲に制限なし)原則就労が認められていないものの3つに分けられています。

就労系

就労系の在留資格はそれぞれの資格によって就労できる範囲が決まっています

教育や介護、外交などはわかりやすいですが、例えば「特定技能」において雇用できるのは特に人手不足に悩む12分野(14業種)に限られますし、「技術・人文知識・国際業務」では専門学校や大学で学んだことを活かす業務に限られます。

身分系

身分系の在留資格を持っている外国人は就労範囲に制限がないため、日本人と同様にどの仕事でもすることができます。

またほかの在留資格に比べて手続きも難しくなく、シンプルです。

原則就労が認められていない

就労が認められていない在留資格は、正社員としての雇用はできません

しかし留学」や「家族滞在」「特定活動の一部」では資格外活動許可を取れば週28時間以内のアルバイトが可能な在留資格もあります。

在留資格に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

基本情報②|在留カード

在留カードは日本に90日以上滞在する外国人に交付される、在日外国人の身分証です。

外国人を雇用する際は必ずこの在留カードの確認をしてください。

引用:法務省|在留カード及び特別永住者証明書の見方

先ほど解説した「原則就労が認められていない在留資格」で資格外活動許可を得た場合、カード裏面にそれが記載されていますので見逃さないようにしてください。

雇用する時はカードの有効期限・偽造に要注意

近年在留カードの偽造が増えており、偽造の在留カードを作る工場が摘発されるなど、組織ぐるみで偽造が行われています。

もし偽造された在留カードに気づかず、外国人を雇用した場合、「不法就労助長罪」という罪に問われ、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科になります。

ですので在留カードが偽造されていないか確認するのは企業、事業所にとってとても重要です。

在留カードが偽造されているかどうかの見極め方法はこちらの記事で解説しています。

在留カードの更新も必要

在留カードの一番下には在留カードの有効期限、つまりその在留カードを持つ外国人の在留期限が書かれています。

外国人が在留期限を超えて日本に滞在することはもちろん、在留期限を超えて日本に滞在する外国人を雇用する企業も不法就労助長罪で罰せられる可能性があります

在留カードの更新方法はこちらの記事で解説してるのでぜひご覧ください。

2.飲食店で外国人を雇用できる在留資格

飲食店で雇用をする際に外国人側に必要な在留資格(ビザ)は主に以下のとおりです。

2-1.正社員で雇用する場合

正社員で雇用する場合の在留資格

在留資格「特定技能」

こちらが正社員で雇用する場合の最もポピュラーな在留資格(ビザ)、特定技能です。

2019年4月に施行された比較的新しい在留資格で、主に人手不足の業界に外国人を正社員雇用できる在留資格です。特定技能には1号と2号があり、1号で通算5年修了すると2号に移行でき、永続的に雇用できるようになります

今まで飲食店のホールやキッチンでの現場で従事する正社員での雇用はハードルが高かった外食業ですが、特定技能ができたため、雇用がしやすくなりました。

特定技能について詳しく知りたい方へ
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在留資格「技術・人文知識・国際業務」

「技術・人文知識・国際業務」は、大学などで習得した知識を活かして、一般的な企業で働く外国人のための就労ビザです。

このビザでできる仕事は、大卒等の学歴のある者や一定の実務経験を有する者が、その学修した内容や実務経験に関連した一定以上の水準の文化系の業務を行う活動と定義されていますから、接客や調理の盛り付け補助などの単純業務は任せることができません。

ですので人手不足を補う目的で外国人を雇用するなら特定技能をおすすめします。

「技術・人文知識・国際業務」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

在留資格「特定活動46号」

こちらは、日本の大卒以上で、日本語検定試験N1以上を取得している外国人のみ取得ができる在留資格です。取得ハードルがかなり高いため、人数は非常に少ないですが、現場での従事も可能な在留資格となります。

定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等

こちらも在留資格「特定活動46号」同様、人数は少ないですが、現場での従事が可能となります。基本的には在留期間の制限等もないため、日本人同様に雇用をすることができます。

在留資格「技能」

こちらも人数は非常に少ないですが、調理の現場での従事が可能な在留資格です。母国で10年以上の実務経験等を有した外国人のみ取得が可能です。

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2-2.アルバイトで雇用する場合

アルバイトで雇用する場合の在留資格

正社員での雇用の場合、在留資格によっては、現場での従事が難しいケースがありますが、下記で紹介するアルバイトの場合は、すべての在留資格で現場での従事が可能です。

在留資格「留学」

外国人留学生に与えられる在留資格で、1週間に28時間以内であれば、アルバイトが可能です。週28時間というのは、月曜日〜日曜日で見ても、火曜日〜月曜日で見ても、28時間に収まっている必要があります。夏休み等の長期休暇期間中であれば週40時間働くことができます。

ただし、留学生の場合は「資格外活動許可」を与えられている必要があります。在留カードの裏面に「資格外活動許可」のスタンプがされている外国人のみ雇用が可能です。このスタンプがない留学生は雇用をしてはいけないので注意してください。

在留資格「家族滞在」

家族滞在とは、日本で働く外国人の配偶者等に与えられる在留資格です。在留資格「留学」同様、「資格外活動許可」を取得している場合のみ雇用が可能となっており、週28時間以内の就労ができます。

在留資格「特定活動(就職活動)」

在学中に就職を決めることができなかった外国人の方が、取得をできる、就職活動を行うための在留資格です。
卒業後、最長1年間、この在留資格で日本に在留することができます。この期間の間、週28時間以内であれば雇用が可能です。

注意したいのは、この在留資格で1年間在留するには、6ヶ月後に一度更新をしなければなりません。近年、この更新は非常に厳しくなっており、不許可となるケースも多々あります。

定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等

この在留資格は、正社員はもちろん、アルバイトでの雇用も可能です。人数は少ないため採用のハードルは高いですが、就労時間の制限等もなく、日本人同様に雇用をすることができます。

3.飲食店で外国人の採用する流れ

では外国人を採用するまでの具体的な流れをお伝えしていきます。

STEP
募集をかける

まずは外国人の募集を行います。外国人を募集するには主に以下のような方法があります。

外国人の募集方法

  • 人材紹介会社を利用する
  • 自社のホームページで募集をかける
  • 大学や専門学校、日本語学校などの教育機関に求人情報掲載を依頼する
  • SNSを活用して求人情報を発信
  • 外国人専門の求人サイトで募集をかける
  • ハローワークなどの公的機関を通じて募集をする

採用ページは採用したい国の言語で作成するとより効果的ですが、外国語への翻訳が難しい場合は漢字にふりがなをつける、英文も併記するといった方法も有効です。

また、特定技能ではビザの申請や外国人に対していくつかの支援をしなければならない場合が多いので、外国人支援やサポートもともに行っている人材紹介会社を利用することをお勧めします。

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STEP
選考・面接を行う

候補者が集まったら、書類選考や面接を行い、採用する人材を決定します。

またその際に、国内にいる外国人を採用する際は在留カードの確認も忘れないようにしてください

松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

書類選考や面接の際に、出身や国籍、宗教など、業務への適性や能力と関係のない事項を応募書類に記載させたり、質問したりすると就職差別となる可能性がありますので注意が必要です。

外国人の採用面接では何を聞いたらいいかわからない方が多いです
外国人採用面接質問シートをぜひご活用ください

STEP
内定・雇用契約の締結

採用したい人材の内定確定後は外国人本人と業務内容や賃金、就業場所といった労働条件について確認し、双方の合意が取れたら雇用契約を締結します。

採用後の労使トラブルを防ぐためにも、雇用契約書は外国人本人が理解できる言語(母国語または英語)で作成することをおすすめします。

厚生労働省が英語や中国語をはじめとする8ヶ国語を併記した外国人労働者向けモデル労働条件通知書を公開していますので、こうした様式を活用してもよいでしょう。

特定技能の雇用契約書、雇用条件書の作成方法はこちらの記事で解説しています。

STEP
出入国在留管理局へ在留資格認定、更新、変更の申請

採用する外国人と雇用契約を締結し、在留資格(ビザ)取得に必要な書類が揃ったら、出入国在留管理局へ申請書類を提出します。

日本にいる外国人を採用する場合(在留資格更新、変更申請)

原則として本人が自身の居住する地域を管轄する出入国在留管理局に出向いて申請を行います。
しかし、本人が出入国在留管理局へ出向くことが難しい場合は、在留申請オンラインシステムを利用して自宅などからオンラインで申請をしたり、申請等取次者の資格を持つ行政書士などに申請取次を依頼したりといったことも可能です。

海外にいる外国人の場合(在留資格認定申請)

原則としてその外国人を受入れ予定の企業の職員が本社住所を管轄する出入国管理局に出向いて申請を行います。海外にいる外国人を雇用する場合も、外国人の受入企業としてオンラインシステム利用の承認を受けるとオンラインで申請ができる他、申請等取次者の資格を持つ行政書士などに申請取次を依頼することも可能です。

特定技能の申請方法・必要書類はこちらの記事で詳しく解説しています。

STEP
新しい在留資格の取得

出入国在留管理局での審査が終了すると、日本にいる外国人の場合は新しい在留カードが発行されます。

一方、海外にいる外国人の場合は在留資格認定証明書という書類が出入国在留管理局より発行されますこの書類は採用する外国人が本国で査証を発給するのに必要となるため、在留資格認定証明書原本を本人へ郵送する必要があります。

STEP
本国での査証申請(外国人が海外にいる場合のみ)

海外にいる外国人を雇用する場合、本国で査証の発給を受けなければ日本へ入国できません。

そのため、前述の在留資格認定証明書を外国人本人が受け取った後に、大使館や領事館などの在外公館にて査証の発給申請を行う必要があります。査証の発給を受けると日本へ入国できるようになります。

STEP
入国・雇用開始

日本にいる外国人の場合は、新たに取得した在留資格(ビザ)名が記載された在留カードが発行された日から就労を開始できます。

一方、海外にいる外国人の場合は、本国での査証発給後に日本へ入国すると到着した空港で在留カードが発行され、この日から就労できるようになります外国人の雇用後はハローワークへの届出や所属機関等に関する届出、住民登録など、外国人雇用で必要となる手続きを忘れずに行いましょう。
参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

4.飲食店で外国人を雇用する上での注意点

飲食店で外国人を雇用するには、先述でも触れましたが、「不法就労」のリスクには理解をし、気をつけるべきです。知らずに雇用をしてしまった企業も不法就労助長罪に問われてしまう可能性もあります。不法就労とならないために、下記は特に気をつけましょう。

  • 就労できない外国人を雇用してはいけない
  • 就労可能時間以上働かせてはいけない
  • 在留資格以外の業務では働かせてはいけない

在留カードをしっかり確認し、就労時間は可能な範囲に収め、在留資格以外の業務をさせないようにしましょう。

特に、在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、どこまでの業務が可能なのかの見極めが難しいです。転職者になると、申請時の書類等がないため、把握も困難です。その場合、外国人もしくは申請を行なった行政書士等に問い合わせをし、申請書と申請理由書を取り寄せるようにしてください。そこにどのような業務で申請したのかが記載されています。

5.飲食店で外国人を雇用するメリット

前章で、リスクについて説明しましたが、外国人雇用には、もちろんメリットもたくさんあります。これだけ外国人雇用が進んでいるのも、そのメリットを感じている企業が増えてきたからだと思います。


実際に私も業種は違えど、様々な国の外国人と一緒に働いています。そんな私が考えるメリットは以下の通りです。

メリット①|強制的に仕事のマニュアル化を求められるため、運営の仕組み化が進む

外国人の方々は、当然、日本語はネイティブレベルではありません。細かいニュアンスまで伝えることは難しいです。日本人同士であれば、なんとかなっていたことが通用しなくなります。そのため、仕事のマニュアル化を求められます。後回しにな理がちなマニュアル作成ですが、必要性が上がるため、会社運営の仕組み化が進みます。

仕組み化が進むと、業務に対してに必要人数が減り、人件費の削減なども可能になります。

メリット②|1億人の中からではなく、80億人の中から採用が可能になる

将来、日本の労働人口は減っていきます。これは明確な将来の課題です。しかし、世界の人口は増え続けています。1億人の日本人からでなく、全世界の80億人から採用ができるようになれば、これほどの企業としての優位性はないと思います。

メリット③|多様性があることで、新たなビジネスチャンスが生まれる

考え方・宗教・言語など様々な違いがある人同士が、協力し、互いの強みを発揮し、多様性を活かす企業になるには、とても時間がかかります。しかし、多様性が出てくることで、新たなビジネスチャンスも生まれます。

私たちの知る企業様の例を挙げますと、
英語対応ができることで、口コミが広がり、今では、海外からもたくさんのお客様が来ているお鮨屋さんや、ベトナム進出を進めている居酒屋を手がける企業様、外国人採用し労働力確保をできるようになり、新規出店を多数行う企業様などがあります。

6.まとめ

いかがでしたか?
今回は、飲食店の外国人雇用について解説をしました。外国人雇用は注意しておくこともありますが、それ以上にメリットや可能性に溢れています。これを機に外国人採用を進めてみてはいかがでしょうか。

私たちは、年間300名以上の外国人の就職を支援し、飲食店の方々の外国人採用も多数サポートしています。
外国人採用をご検討の方は、どんな小さなことでも構いませんので、ぜひお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

株式会社JJS(JapanJobSchool)の代表

主に「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」を対象とした人材紹介と支援を行っており、年間300名以上の卒業生を輩出しています。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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