【完全版】外国人材の採用マニュアル!知っておくべき費用や手続きまでわかりやすく解説

執筆者:早野達樹 (株式会社JJS 外国人採用コンサルタント)

外国人材を採用することは、現代のグローバル化するビジネス環境において、企業が成長し続けるための重要な戦略の一つです。現在多くの企業が外国人雇用を進めていますが、その過程は簡単ではなく、多くの利点と課題が存在します。

この記事では、外国人材の採用において、よく理解しておいたほうが良いことについて詳しく掘り下げ、採用の過程において企業が考慮すべき費用や手続きについても解説します。

初めて外国人を採用する時は何から始めたらいいかわからない方が多いです
▶「3分でわかる初めての外国人採用マニュアル」をぜひご活用ください

目次

1.日本の外国人採用の現状

引用:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

現在、在留外国人労働者数は急激に伸びており、特に新型コロナウイルスの規制が緩和された2023年には昨年から22万6000人増加し、200万人を突破しました。

ここまで外国人労働者数が伸びている最も大きな理由は、多くの業界での人手不足にあります。株式会社帝国データバンクの人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)によると、51.4%もの企業が正社員の不足を感じているという結果がでています。

出典:人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)|帝国データバンク

業界別で見てみると、一番深刻なのは旅行・ホテル業界で、75.5%の企業が人手不足を感じています。ほかにも、情報サービス業界、メンテナンス・警備・検査業界、建設業界などの企業が、高い割合で人手不足を感じています。

このことから現在、人手不足を補おうと外国人の雇用が進んでいますが、企業だけでなく、政府も外国人の雇用を積極的に進めるような政策をとっています。2019年に新しく創設された「特定技能」という在留資格では、主に人手不足とされる12分野(14業種)で外国人を正社員雇用できるもので、2024年度から5年間で最大82万人の受け入れ見込み人数を試算しています。

このことから、これからは外国人の雇用がさらに一般化することが見込まれますので、いち早く外国人の採用を進め、遅れをとらないことが重要です。

特定技能に関してさらに詳しく知りたい方は「特定技能まるわかり資料」をご覧ください

1.外国人採用の利点

まず外国人を雇用するとどんなメリット、利点があるのか解説します。

利点①|人手不足が解消できる

多くの国では、特に技術職や介護職などの特定の分野で人手不足が深刻な問題となっています。外国人材を採用することで、このような人手不足を解消し、人員の安定供給を見込むことができます。

特に人手不足の解消を目的に外国人を雇用したい方は、人手不足が深刻化している業界で外国人を正社員雇用するために設けられた「特定技能」がおすすめです

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

利点②|若くて優秀な人材が確保できる

世界中には才能と能力を持った若い人材が豊富にいます。国際的な採用活動を通じて、これらの優秀な人材を獲得することで、企業は新鮮なアイデアや技術を取り入れ、競争力を高めることが可能です。

利点③|海外進出の即戦力になる

外国人材は、その言語能力や文化的背景を生かして、企業の海外進出を支援することができます。現地の市場理解やビジネス慣習を把握しているため、海外でのビジネス展開をスムーズに行うことが可能です。

利点④|インバウンドに対応できる

観光や消費市場のグローバル化に伴い、多様な言語や文化を理解する外国人材は、インバウンド需要に対応する上で大きな強みとなります。多言語でのコミュニケーション能力は、顧客満足度の向上に直結します。

2.外国人採用の課題

次に外国人採用の課題について解説します。

課題①|コミュニケーションの問題

言語の違いはもちろんのこと、非言語的コミュニケーションの違いも大きな課題となりえます。誤解を避け、円滑なコミュニケーションを実現するためには、相互の文化を理解し尊重することが不可欠です。支援機関に通訳として入ってもらうなど円滑な問題解決を図ると良いでしょう。

外国人とよりよいコミュニケーションをとることは定着にもつながります
▶「外国人労働者とのコミュニケーションマニュアル」をぜひご活用ください

課題②|文化・風習の違い

職場におけるルールや慣習の違いは、外国人材にとって大きなストレスとなり、離職の原因となることもあります。これらの違いを受け入れ、快適な職場環境を提供するためには、企業側の配慮と次の時代に向かう覚悟が必要です。

課題③|雇用までに時間がかかる

ビザ取得や居住許可の手続きなど、外国人材を雇用するまでには多くの時間と労力がかかります。例えば特定技能ビザの場合、採用を決めてから就業までに4~6カ月かかることを考慮して採用活動を行うとよいでしょう。

2.外国人を採用する前にすべきこと

外国人を紹介するエージェントは弊社を含め多数ありますが、働き始めてからはその外国人の方と日常的にかかわりあうのはみなさまです。ここでは外国人採用を考える際に最初に理解しておくべき項目について解説します。

在留資格の理解

外国人労働者を採用する前に、日本における在留資格を十分に理解しておくことが不可欠です。在留資格は、外国人が日本で働くための法的な資格であり、様々な種類が存在します。例えば、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など、職種や活動内容に応じて適切な在留資格が定められています。

企業は、採用予定の外国人材の現在の在留資格を確認し、その資格が希望する職種に適合しているか、また必要な場合は資格変更や更新の手続きをサポートする準備を整える必要があります。これには、入管への申請プロセスや必要書類の準備など、具体的な手続きの理解が必要です。

在留資格に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

異文化の理解

外国人材をスムーズに職場に統合し、彼らが最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするためには、異文化理解が不可欠です。企業は、異なる文化背景を持つ人々が協力して働けるような環境を整えることで、異文化間の誤解やコンフリクトを最小限に抑えることができます。とはいえ、「外国人を受け入れて、一緒に働くんだ」と簡単に理解しておくだけでも、ハードルはとても下がります。

早野(外国人採用コンサルタント)

異文化コミュニケーションのトレーニングやワークショップを定期的に開催することで、従業員同士の相互理解を深めることができます。また、外国人材が自国の文化や祝日を紹介する機会を設けることも、チーム内の結束を強化する良い方法です。

主に東南アジアの方々の雇用をお考えの方
▶国籍別にまとめた「外国人理解ブック」をご活用ください

社内環境の整備

外国人材の採用を成功させるためには、社内環境の整備も重要な要素です。これには、外国人材が安心して働けるような職場のルールや慣習の明確化、必要なサポート体制の構築が含まれます。

例えば、日本語が母国語でない従業員のために、社内文書や研修資料を複数言語で提供すること、また日本語学習の支援を行うことで、言語の壁を低減し、より円滑なコミュニケーションを実現できます。さらに、適切なメンターシップやキャリアサポートプログラムを用意することで、外国人材が長期的に企業で成長し続けられるよう支援することが重要です。簡潔に言えば外国人材に優しくあれることが、今後の日本社会で生き残るための重要な戦略と言えるでしょう。

外国人材の採用前にこれらの準備や意識改革を行うことで、企業はグローバルな人材を迎え入れる際の障壁を低減し、多様性と包括性のある職場環境を実現することができます。このような環境は、企業の革新性を高め、さまざまな文化的背景を持つ従業員が共に成長し、成功、長続きするための土台となります。

早野(外国人採用コンサルタント)

外国人の方のモチベーションを高めるためにも特に昇給制度の明確化は重要です。弊社が支援している企業様はより高い日本語試験に合格したら給料アップという制度を設けているところもあります。

3.外国人を採用する手順

日本人を採用するときと比べると、外国人を採用するにあたってはいくつかの追加のプロセスが発生します。基本的には支援機関が代行してくれるケースが多いかと思いますが、その具体的な内容を見ていきましょう。

STEP
募集をかける

まずは外国人の募集をかけるところから始めます。

求人で募集をかける

採用プロセスの最初のステップは、求人を出して応募者を募ることです。

オンライン求人サイト、SNS、企業のウェブサイトなど、様々なメディアを利用して広く情報を発信します。求人広告では、募集職種の具体的な条件や、外国人材にとって魅力的な福利厚生などを明記することが重要です。

早野(外国人採用コンサルタント)

母国の家族を経済的に支えたいという外国人の方が多いため、日本人と同等以上にシビアに求人条件を見ています。

人材紹介会社から紹介してもらう

専門の人材紹介会社を利用することで、条件に合った候補者を効率的に見つけることができます。特に、特定の技術を持った人材を探している場合や、採用プロセスを迅速に進めたい場合に有効です。

弊社は主に特定技能外国人の紹介から入社後の支援まで一括で支援、サポートしています
▶「3分でわかるJapanJobSchool」「JapanJobSchoolの価格表」のダウンロードはこちら

日本語学校に問い合わせる

日本語学校には、日本で働きたいと考えている外国人が多くいます。学校側と連携し、新卒採用やインターンシップの機会を提供することも一つの方法です。

STEP
在留資格を確認する

在留資格は、ある国に法的に滞在するための資格や許可を指します。この資格は、個人がその国で働いたり、学んだり、または長期間滞在することが許可されているかどうかを示しているためどのような資格で日本に来ているのかを必ず確認する必要があります。

在留カードの偽造に注意

在留資格の確認は、外国人を採用する上で非常に重要です。在留カードやビザの偽造に注意し、必要な場合は入管への確認を怠らないようにしましょう。

万が一、在留カードを偽造した外国人を雇用すると、不法就労助長罪に問われ、「最高懲役3年」または「300万円の罰金」が科せられます

在留カードが偽造されてるかどうかの確認方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

STEP
面接を行う

面接は、応募者のスキルや経験、そして仕事に対する意欲を評価するための重要な機会です。文化的背景や言語の違いに配慮しながら、適切な質問を通じて応募者の適性を判断します。その際には特に日本語能力について、仕事に就いてからもっと日本語力が向上する伸びしろがあることを理解するとよいでしょう。

外国人の採用面接は何を聞いたらいいかわからないという方が多いです
▶「現場社員監修!外国人の採用面接質問シート」をぜひご活用ください

STEP
雇用契約を締結する

面接を経て採用が決定したら、雇用契約を締結します。契約内容には、労働条件、給与、勤務時間、休日、福利厚生など、双方の合意に基づく詳細な項目を含めることが重要です。

特定技能の雇用契約書・雇用条件書の作成方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

STEP
在留資格の申請を行う

こちらは国内にいる外国人を呼び寄せる場合と国内にいる外国人を雇用する場合の2つに分けられます。

海外から外国人を呼び寄せる場合

海外にいる人材を採用する場合、在留資格認定証明書交付申請が必要になります。この手続きを通じて、候補者が日本で働くためのビザを取得できるようになります。

特定技能で雇用する場合、登録支援機関に委託するとこのような煩雑な手続きを代行してもらうことができます。

弊社も登録支援機関として多くの企業様を支援しております
▶お気軽にお問い合わせください

国内にいる外国人を雇用する場合

すでに日本にいる外国人を採用する場合でも、在留資格の変更や更新の申請が必要になることがあります。候補者の現在の在留資格が、採用予定の職種に適しているかを確認し、必要に応じて手続きを行います。前段と同様に登録支援機関等に相談するとよいでしょう。

STEP
入社までの準備を行う

採用が決定し、必要な手続きが完了したら、入社までの準備を進めます。これには、住居の手配、社会保険の加入手続き、オリエンテーションの計画などが含まれます。また、職場での円滑なコミュニケーションを促進するために、日本語教育のサポートを提供することも検討すると良いでしょう。

4.外国人採用の費用

外国人採用に関してはどのような費用が発生するでしょうか。ここでは外国人を採用するにあたってどのような費用がかかることがあるか、代表的なものを見ていきます。

リクルーティング費用

外国人材を探す初期段階で発生するのが、リクルーティング費用です。これには、求人広告の掲載料金や人材紹介会社への手数料が含まれます。

また、特定のスキルを持つ人材を対象とした場合、費用はさらに高くなることがあります。日本人を紹介される場合、紹介手数料が年収の3割といった契約が良く見受けられますが、外国人の採用についても同程度か少し安価であるくらいの認識でいる必要があります。

法的手続きの費用

外国人材を正式に採用するためには、ビザや在留資格の申請が必要となり、これに伴う費用も考慮する必要があります。

申請手続きには、政府への申請料の他、必要に応じて弁護士や専門家への相談料が発生します。これらの費用は、国や申請するビザの種類によって大きく異なります。

社内環境整備の費用

外国人材がスムーズに職場に溶け込み、生産的な活動を行えるようにするためには、社内環境の整備が必要です。これには、多言語対応の研修資料の作成、異文化理解のためのトレーニングプログラムの実施、適切なメンタリング体制の構築などが含まれます。また、多くの場合、住居の手配や社会保険の手続きなどのサポートも提供することが望まれます。

外国人材の採用には、これらの費用が不可欠ですが、人手不足の日本で人材の安定供給を得るための重要な投資となります。初の試みに思い切って予算配分をできる企業が外国人材の採用で成功している企業の特徴とも言えるでしょう。

特定技能外国人にかかる費用は「特定技能外国人コスト一覧表」をご覧ください

5.外国人材採用にかかる期間

日本人とは異なり、雇用に様々な手続きが必要な外国人雇用はそれなりに時間がかかります。どのくらいの期間かかるのか把握し、前もって準備しておくことが重要です。

ケース①|国内にいる外国人を雇用する場合

国内にすでに滞在している外国人材を採用する場合、プロセスは比較的迅速に進むことが多いです。しかし、在留資格の変更や更新が必要な場合は、これに追加の時間が必要となります。

  • 面接と選考
    応募者のスキルと経験を評価するための面接と選考プロセスには、数日から数週間かかることが一般的です。また複数の企業を同時に受けていることも多いため、内定を出しても求職者が承諾しない場合もあります。
  • 在留資格の確認と変更申請
    在留資格が適切か確認し、必要に応じて資格変更を申請します。この手続きには、申請から承認まで通常2~3ヶ月程度かかります。入管の込み具合によっても変わるため長引くことも考慮しておくとよいでしょう。
  • 雇用契約の締結
    選考後、契約締結に至るまでの期間は比較的短く、数日から数週間程度です。

国内からの採用では、合計で約4ヶ月の期間がかかることが予想されます。ただし、在留資格の手続きがスムーズに進む場合は、この期間が短縮される可能性もあります。

ケース②|海外から呼び寄せる場合

海外に居住している外国人材を採用する場合、プロセスはより複雑で時間がかかります。ビザの申請や、必要な場合は在留資格認定証明書の取得が含まれます。

  • 面接と選考
    国内採用と同様、数日から数週間かかります。
  • 在留資格認定証明書の申請
    海外の候補者を日本に呼び寄せるためには、在留資格認定証明書の申請が必要です。申請から証明書の発行まで約1~3ヶ月程度かかります。
  • ビザの申請
    認定証明書が発行された後、候補者は自国の日本大使館または領事館でビザを申請します。このプロセスには数週間を要することがあります。
  • 入国準備と移動
    ビザ取得後、候補者は入国の準備と移動を行います。この期間は、準備の状況に応じて異なりますが、数週間かかることが一般的です。

海外からの採用では、全プロセスに約6ヶ月の期間がかかることが予想されます。この期間は、手続きの種類や候補者の出身国によって異なります。

6.外国人材採用の注意点

日本人の採用と同様に外国人材を採用できるかというと、そこには少々の相違点があります。ここでは主に求人条件と、具体的にどのような業務を行っていただけるかの観点で解説していきます。

注意点①|給料は日本人と同等かそれ以上

外国人材を採用する際には、給与の設定に特に注意を払う必要があります。

日本の労働法は、国籍にかかわらず、同一労働同一賃金の原則を重んじています。これは、同じ仕事をする外国人材と日本人従業員との間で、給与や待遇に不公平があってはならないからです。実際、外国人材を採用する際には、彼らが持つスキルや経験を考慮して、日本人従業員と同等か、それ以上の給与を設定することが求められる場合もあります。

給与設定の際には、職種、経験、レベル、業界標準を考慮することが重要です。また、国際的な人材を惹きつけ、長期的に雇用するためには、競争力のある給与を提供する必要があります。これには、基本給の他に、住宅手当や移動費補助など、国際的な移動が伴う場合の特別手当も含まれることがあります。

外国人の給料に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

注意点②|在留資格で定められた範囲内で就業させる

外国人従業員を雇用する際には、その在留資格が許可する活動範囲内でのみ就業させることが法律で義務付けられています。日本にはさまざまな在留資格があり、それぞれに就業できる職種や活動範囲が定められています。例えば、「特定技能」の在留資格を持つ外国人は、その資格で規定された分野でのみ働くことができます。

企業は、外国人従業員が適切な在留資格を持っていること、そしてその資格で許可された範囲内でのみ業務に従事させることを確認しなければなりません。在留資格に違反する形で外国人を雇用した場合、企業だけでなく従業員も罰せられる可能性があります。このため、採用プロセスの初期段階で、候補者の在留資格を確認し、必要に応じて資格変更や更新の手続きを支援する体制を整えることが重要です。

まとめ

外国人材を初めて採用するときは、外国人と働くことへの精神的な壁や知識面のハードル、料金の問題などさまざまにあります。それらを克服して安心して外国人材を定期的に採用できるようになることで、人手不足の日本社会を強く生きていける企業となるでしょう。

今回の記事で分からないことがありましたらぜひ弊社までご連絡ください。 

  • URLをコピーしました!
外国人専門
日本語・コミュニケーションスクール
スクールの卒業生を採用できます

日本語だけでなく、日本人と良好な人間関係を築くコミュニケーションを教えるスクールで学んだ生徒を採用できます。定着率の高い人材採用なら、今まで1000名以上の紹介実績のあるJapanJobSchoolにお問合せください!

この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

☆☆☆JapanJobSchool☆☆☆
紹介実績1,500名以上!支援実績250名以上!
主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」外国人の人材紹介と支援を行っています。また、入社してからのスキルアップのために日本語授業も提供しています。

目次