ホテル・旅館などの宿泊業で外国人採用!どのビザで雇用できる?手続き方法は?

執筆者:大路(JapanJobSchool CSマネージャー)

新型コロナウイルスが5類へ移行したことで、国内外問わず少しずつ観光客の動きが活発になってきている今、ホテル・旅館などの宿泊業の人手不足が深刻です。

2023年4月に帝国データバンクが行った調査でも、正社員が不足している企業の割合は旅館・ホテルにおいて全体の75.5%もあり、51業種別で最も高い数字でした。また、このトップを6カ月連続で記録しています。

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目次

1.深刻な人手不足!?ホテル業界の現状

1-1.外国人観光客の急増に伴いホテル・旅館の需要も急増

2023年5月から新型コロナウィルスが5類感染症に移行してから、特に海外からの旅行需要は高り、コロナ前ほどではありませんが、2020年7月「3,782人/月」だった訪日外国人数は、2023年7月で「2,320,600人/月」まで回復しています。それに伴い、宿泊業の需要も急速に高まっている状況です。

それに反して、コロナ禍で休業者を多く出したホテル・旅館業では、アフターコロナへ突入しても人手の回復がされず、他の業界よりも深刻さを増しています。

参考:日本政府観光局「訪日外客数(2023年7月推計値)」

1-2.高い離職率

厚生労働省の出す「産業別の入職と離職の状況」においては、 他の業種に比べて最も減少幅が大きい業種が宿泊業で、宿泊業・飲食サービス業まとめての数字にはなりますが令和4年は990.0千人入職したにもかかわらず「728.6万人」が離職している状況です。入職者に対して退職する人数が圧倒的に多いんです。

離職率の高さは、様々な要因が関連していると思いますが、休みの取りにくさ、長時間労働、慢性的な低賃金等があげられると思います。

休みの取りにくさでは、大型連休や年末年始、世間が休みになる時期は繁忙期に当たるため、むしろ積極的に出勤が必要になるということが言えると思います。特に夜勤や中抜けシフト等、ホテルならではの働き方が肉体的・精神的にキツイということから離職するケースも少なくないようです。

また、国税庁の令和3年分調査結果から、民間企業の平均給与443万円なのに対して、はたらいくの調査でホテル・旅館業の平均年収は最新で251万円と、平均に比べてかなり低い水準であることがわかります。

これらの要因から、入職をしても長くは続かない、慢性的な離職率の高さが問題となっているのだと感じます。

参考:厚生労働省「2 産業別の入職と離職の状況 」
   国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
   はたらいく2014~2015 職種別平均 年収・月収100職種徹底調査「ホテル・旅館の年収・月収データ」

2.宿泊業に従事する外国人数は増加している

人手不足の解消に、外国人材を検討する企業も増えています。国外から採用することで人材の確保できる幅を広げているのです。

日本人向けに求人を出しても集まらないのであれば、世界から日本で働きたいと仕事を求めてくる外国人に焦点を当てることも、徐々に主流化してきているのではないでしょうか。

宿泊業での外国人採用は、年々増加しており、日本で働く外国人労働者数は全体でも令和4年10月末では過去最高の約182万人を更新しています。

宿泊業の分野だけでも、平成29年時点では27,779人、令和3年では40,692人と増えていっている状況です。

3.宿泊業で外国人を採用できるビザ

では、実際に宿泊業で外国人を採用したいと思った時、どんなビザを持つ外国人を採用したらよいのか、ポジションごとに採用できるビザの種類が違いますので、それぞれ紹介します!

3-1.ホール・キッチンスタッフ

ホール業務をしている外国人の画像

特定技能「外食」

特定技能は人手不足対策として導入された外国人材受入れ政策の一つです。

この特定技能では、調理、接客、店舗管理など基本的にどんな業務もできます。

特定技能には1号と2号があり、1号で5年間満了したら2号に移行でき、永続的に働いてもらうことが可能です。特定技能外食分野は以前まで特定技能2号の対象分野ではありませんでしたが、2023年6月に入管法が改正され宿泊分野も2号の対象分野になりました。

特定技能に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

3-2.建物清掃・客室清掃

ホテルの清掃をしている外国人の画像

特定技能「ビルクリーニング」

上記の特定技能「外食」と同様で、ビルやホテルなどの床、添乗、内壁、玄関、廊下、階段などの建物内部の清掃、ホテルや旅館のベッドメイク業務を任せることができるビザです。

3-3.サービススタッフ

技術・人文知識・国際業務

この在留資格は大学などで学んだ知識や実務経験が必要だったり、学術的素養を背景とした業務を対象にしたりする在留資格ですので、「特定技能」とは異なります。

単純労働とみなされないような知識、実務技術が必要であると認められる業務内容であれば「技術・人文知識・国際業務」での採用が可能です!

もう少し具体的にお伝えすると、「技術・人文知識」にあたる業務は、「日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」と定義があります。ホテルの場合で考えると、インバウンドにおけるマーケティングや外国人スタッフの人事労務管理などが該当すると言えます。

「国際業務」の部分は、「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」という定義です。例えば、通訳や翻訳の業務がこちらに該当します。

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3-4.狭い分野で集中的に従事させる

技能実習

技能実習制度は発展途上国などから外国人を受け入れ、日本の技能を習得してもらうための制度で、「国際貢献」を目的としています。

フロントや接客、料理等の提供のような必須業務は技能実習期間全体の1/2以上、客室清掃や整備等の関連業務と呼ばれる業務は全体の1/2以下、そして食器洗いなどの周辺業務における業務は全体の1/3以下の範囲内での業務とする必要があるルールがあります。

そのため、必須業務せずに関連業務もしくは周辺業務だけをやらせることはできません。

ただ、2023年9月、技能実習の人権上の問題が指摘され続けた結果、ついに政府は技能実習制度の解消を表明しました。今後これに代わる新しい在留資格ができるかまだ不明ですが、最新情報は要確認しておきましょう。

参考:国土交通省の宿泊業における技能実習の実施について

3-5.幅広い業務に従事させる

ホテルのフロント業務をしている外国人の画像

特定技能「宿泊」

特定技能で従事できる業務区分は、以下の表の通りです。

フロント受付であったり、食事の配膳や片付けなど、幅広く業務を任せることができます。

また、付随的な業務は「関連業務」として従事させることができますが、関連業務のみに従事させるということは認められていません。主な業務を中心に従事し、それ以外の時間で付随的か業務に従事する、バランスが求められます。

参考:法務省の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -宿泊分野の基準について

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留学・家族滞在

留学ビザ、日本語学校、専門学校、大学などに留学をしていて、教育を受けている方が該当し、家族滞在ビザは、上記で少し説明した技術・人文知識・国際業務等のビザ、家族の滞在が可能な在留資格を取得している配偶者や子供として取得できるビザです。

留学ビザでは、基本的に資格外活動許可を得ていれば学校の在学期間内ではアルバイトが可能です!ただし、在留期間が残っていても学校に在籍していない(退学・卒業している)場合はアルバイトが認められていませんので、ご注意ください!

なお、留学ビザも家族滞在ビザもいずれも「28時間/週」以内での就労が可能なビザです!

また、上記の「28時間/週」以内での就労をするのであれば、入管へ「資格外活動」の申請が必要になりますので、ご注意ください。

参考:法務省の在留資格「留学」 | 出入国在留管理庁
   法務省の在留資格「家族滞在」 | 出入国在留管理庁
   法務省の「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について
   法務省の「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について

特定活動(日本の大学卒業生、インターンシップ、ワーキングホリデー)

在留資格「特定活動」は、種類が複雑に分かれた在留資格です。

日本の大学卒業生においては、日本の大学や専門学校への留学生が、就職活動をしていたものの卒業までに就職先が決まらなかった場合に、卒業後も就職活動を継続するための在留資格です。

インターンシップは、学業等の一環として、日本の企業等において実習を行う活動であって、「専攻内容とインターンの内容に関連があること」「インターンの内容が大学側に学業の一環として評価されること」が条件となります。

ワーキングホリデーでは、日本と協定を結んだ国の外国人を対象とし、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補う範囲での就労を認める制度です。ただし、基本的にワーキングホリデーで外国人が滞在できるのは、入国から1年です。

それぞれ条件は少し異なりますが、どれも業務範囲は広く縛りが少ないですが、短期的での勤務にはなります。

参考:法務省の在留資格「特定活動」

身分系の在留資格

こちらは「永住者」や「定住者」が該当しますが、日本人と同様に従事できる業務内容に制限はありませんし、就労できる期間の縛りなどもありません。

また、定住者は、在留資格の更新が必要ですが、永住者は在留資格の更新も不要です。

参考:法務省の永住許可(入管法第22条) | 出入国在留管理庁
   法務省の在留資格「定住者」 | 出入国在留管理庁

4.ホテルや旅館で外国人を採用する方法

STEP
求職者を見つける

最初はもちろん、日本人の求人と同様に「働きたい」という人を探すところからです。

様々な募集方法があるかと思います!

求人サイト・自社サイトで応募をかける

求人サイトへの求人情報の掲載をしたり、自社のホームページ等で採用情報を掲載することは一般的でしょう。外国人も日本人と同様入り口はインターネットを通じての応募になるので、効果的です。ただし、日本人向けの求人サイトで、日本語の求人情報を掲載していても、外国人の方からするとなかなか目に留まりづらいという点はあるかと思います。またほしい人材がなかなか見つからない場合もあります。

外国人の募集に注力するのであれば、外国人求職者向けのサイトでの募集がおすすめです!

日本語学校に問い合わせる

日本語学校で学ぶ留学生は、学校卒業後にそのまま日本での就職を考えています。そういった就職先を探している学生が多い日本語学校へ直接の問い合わせは効果的かと思います。

日本語教育を受けていて、コミュニケーションがある程度とれるメリットもあります!

ただし、学校を卒業してすぐに入社する新卒のような採用ですので、アルバイト経験はあっても、日本で常勤として働いた経験はない方である可能性が高いのが、少し懸念点かもしれません。

人材紹介会社に紹介してもらう

最後は人材紹介会社に頼ることです。母国語で求人情報を説明して募集してくれたり、フィルタリングをしてくれたうえで、面接に臨めることはメリットだと思います。今ではたくさんの人材紹介会社が溢れています!

○○国籍が強い、宿泊業に強い、会社によって強みもそれぞれですので、様々な観点から紹介会社を選ぶべきだと感じます!

ただし、エージェントを挟むことにより、それなりに紹介料が発生します。コストかけて採用するということになりますが、欲しい人材が見つかる可能性は高いでしょう。

STEP
在留資格を確認し、必要なら在留資格を変更・更新する

次に募集した外国人の在留資格を確認しましょう。勤務させられない在留資格の外国人が働くとなると、外国人も不法就労ですが、雇用していた企業側の責任ももちろん問われます。

しっかりと契約締結の前に、在留状況の確認は入念に行いましょう!

もし不安であれば、入管や行政書士への質問も可能です。確証を持って雇用できるところまで、確認することをおススメします!

在留資格の確認方法はこちらの記事で解説しています。

ビザの更新・変更方法はこちらの記事で解説しています。

STEP
内定・雇用の締結

問題なく雇用ができる在留資格であることを確認できたら、内定通知を出し、雇用契約の締結に踏み出しましょう。書類は日本人と同様の者でも問題はありませんが、後々理解していなかった等の理由で約束が守られないことがないように、母国語での翻訳がついているもので締結できたら安心出来ると思います。

5.外国人を採用する際の注意点

5-1.外国人の支援体制を整える

まずは、受け入れた外国人をしっかりとサポートできる体制を整えることが必要です。

育った環境や文化、言語も違う中で働く大変さに寄り添い、受け入れる側がどれだけ働きやすい環境を整えるかが、雇用成功の秘訣だと感じます。

社内にある漢字表記のものにふりがなを振ったり、手書きの文字が読みづらいだろうから手書き書類をできるだけ電子化したり、母国に残してきた家族に会う一時帰国がしやすいような休暇体制や、文字でいっぱいなマニュアルにイラストを付けたり、考えたら出来ることはたくさんあると思います。

もちろん全てを網羅して体制を整えなければいけないわけではないですが、少しでも働きやすい職場ってどんな職場だろうと考えて体制を整える必要があります。

また、特定技能と技能実習の外国人の受入れにおいては、入管より「支援」が義務付けられています。支援業務を代行している機関も存在していますので、自社で十分な支援ができないと不安に思われるのであれば、支援を専門にしている企業への委託も効果的です。

外国人を採用した後にコミュニケーション問題を避けるための方法を解説した「外国人労働者とのコミュニケーションマニュアル」のダウンロードはこちら

5-2.給与は日本人と同等かそれ以上

日本人と同様の労働条件、給料水準で雇用する必要があると法律では定められているにもかかわらず、「日本人より安く雇える外国人」というステレオタイプな考えがまだまだ日本にはあります。

法律に則り、正しく日本人と同等かそれ以上の給与水準で雇用する必要があります。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?

冒頭でも申し上げた通り、日本の人手不足は大変な問題となっており、特に宿泊業における人手不足は深刻です。今後ますます少子高齢化が進む事が予想される日本、若くて優秀な人材を確保するには外国人採用を検討していく必要があると思います。

ぜひあなたの会社の未来のために外国人雇用を検討してみてはいかがでしょうか?

どんなポジションで、どんな在留資格の外国人の力を借りたらいいのか、悩むのであれば、外国人雇用において不安な時は、弊社のオンライン無料相談をぜひご活用ください。

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この記事を書いた人

外国人200名と企業80社の支援を行うカスタマーサクセスのマネージャー。
大学時代一年間休学しワーキングホリデービザでカナダのイエローナイフへ。オーロラのツアーガイドを経験し、異国の地で働く大変さ・差別を経験。
「国籍関係なく、自分がかかわる人を幸せにしたい」そんな気持ちを持って、このサイトで日本社会へDiversityを発信していく。

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