「EPA介護福祉士」とは?国別の取得方法や受け入れ要件、試験の合格率など詳しく解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

「EPA介護福祉士」という言葉を知っている方は介護職の方も含め少ないのではないでしょうか。

高齢者人口は今後も増加し続け、令和47年には38.4%に達すると推計されています。高齢者人口の増加は、介護サービスの需要を高めます。しかし介護サービスを提供する人材は、十分に確保されていません。人手不足の解消に向けた取り組みとして外国人の介護職は、日本の介護現場で欠かせない存在となっています。

今後、期待が高まる「EPA介護福祉士」について国別にまとめた取得方法や試験の合格率など詳しく解説していきます。

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目次

1.「EPA介護福祉士」とは?

EPA介護福祉士とは、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムとの間で結ばれている経済連携協定(EPA)に基づき、この3カ国から外国人介護福祉士候補者を受け入れる制度です。

なお、厳密には、ベトナムの場合は、EPAに基づく交換公文(条約に準じる政府間の合意)によって実施されています。

1-1. 厚労省「労働力不足ではなく、経済連携強化が目的」

インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国からは、EPA介護福祉士候補者と同じ枠組みで、看護師候補者の受け入れも行われています。

看護や介護の分野については、人手不足、労働力不足の課題があると指摘されています。しかし、厚生労働省などはEPA看護師・介護福祉士の候補者の受け入れの目的について、「労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化」だと強調しています。

これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施するものです。
出典:厚生労働省 | インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて
候補者の受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、経済連携協定(EPA)に基づき、公的な枠組で特例的に行うものである。
出典:厚生労働省 経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要

1-2.EPA介護福祉士候補者とは

EPA介護福祉士候補者は、受け入れ施設で就労しながら介護福祉士の国家試験の合格を目指した研修に従事します。

候補者と受け入れ機関(施設)は雇用契約を結び、日本人が従事する場合と同等またはそれ以上の報酬を受けます。また、日本の労働に関係する法令や社会・労働保険が適用されます。

経済連携協定に基づき国家資格を取得することを目的とした就労を行う外国人候補者は、受入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事します。外国人候補者と受入れ機関との契約は雇用契約であり、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を支払う必要があるほか、日本の労働関係法令や社会・労働保険が適用されます。
出典:厚生労働省 インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて

介護福祉士の資格の取得後は、介護福祉士として滞在・就労が可能となります。在留期間の更新回数に制限はなくなり、家族の帯同も可能になります。資格取得後のことについては、別の章で詳しく説明します。

1-3.EPA(経済連携協定)とは

EPAは、「ヒト」「モノ」「カネ」の移動の自由化や円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定(国と国との約束)のことです。

EPAと似た協定に、自由貿易協定(FTA)があります。

FTAは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減したり、撤廃したりする協定です。

EPAは、FTAをベースにして、「各分野の協力」や「人的交流の拡大」などを加えてものです。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ) 経済連携協定(EPA)とは ?

1-4.在留資格・在留期間

EPA介護福祉士候補者は、介護福祉士の国家資格を取得することを目的として、在留資格「特定活動(EPA介護福祉士候補者)」として、4年間、在留し、研修・就労することができます。

出典:厚生労働省 経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要

EPA介護福祉士候補者(国家資格取得前)の在留期間は1年間で、3回を限度に更新ができます。入国後は、在留期限までに住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、本人が在留期間の更新許可申請を行うことが必要です。

4年目に国家試験を受けて合格できなかった場合、1年間の滞在延長が可能です。この条件の一つが、「国家試験の得点が一定の水準以上の者であること」で、合格基準点の5割以上の得点とされています

なお、2020年度に入国したインドネシア人介護福祉士候補者については、新型コロナウイルス感染染症の影響で入国が遅れたために通常の受験機会を確保できないことから、滞在期間の6カ月間の延長も認められています。

出典:厚生労働省 令和2年度入国者の滞在期間延長に係る留意点

1-5.申請の流れ

EPA介護福祉士候補者の査証申請は、送り出し調整機関が一括して、それぞれ送り出し国の日本大使館へ申請します。

EPA介護福祉士候補者が、日本への査証を得て入国・滞在するためには、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS:ジクウェルズ)のあっせんにより、受け入れ機関(施設)と雇用契約を結んでいることが条件になります。JICWELSは、EPA 介護福祉士候補者の受け入れ・あっせんを行う日本側の唯一の受け入れ調整機関です。

1-6.必要書類

日本入国前と入国後で、申請の手続きや必要な書類は異なります。入国後は更新、または変更の申請となります。

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入国前

来日前、送り出し機関から査証の申請が行われると、日本政府は以下の①から③の要件を満たしているかなどを確認の上、候補者に対して査証を発給します。

査証発給の要件

  • 候補者と受入れ機関がそれぞれの要件を満たしていること。
  • 要件を満たした受入れ機関と候補者との間で、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とする雇用契約を締結していること。
  • 受入れ機関と候補者との雇用契約の締結はJICWELSのあっせんによって行われたものであること。

入国後(更新)

在留資格「特定活動(EPA介護福祉士候補者)」で滞在している方が、この在留資格の活動を継続して行う場合の申請に必要な書類は、次の通りです。

  • 在留期間更新許可申請書 1通
  • 写真 1葉(申請書に添付)
  • パスポート及び在留カード 提示
  • 次のいずれかで、活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書
    (1)本邦の機関からの在職証明書 1通
    (2)本邦の機関からの雇用契約書の写し 1通
  • 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
  • 研修・就労の内容、場所、期間、進捗状況を証する文書 1通 JICWELSへの定期報告に使用した厚生労働省通知様式各号の写しでも可

出典:出入国在留管理庁 外国人の方が、引き続き、「EPA看護師候補者」又は「EPA介護福祉士候補者(就労コース)」としての活動を希望する場合

2.EPA介護福祉士候補者の資格を取得する方法

EPA介護福祉士候補者の資格を取得するための要件や入国までの流れは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの国ごとに少しずつ異なります。

2-1.国別で異なる取得方法

出典:厚生労働省 経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要

介護福祉士候補者として日本での滞在・就労が許可される要件

出典:国際厚生事業団(JICWELS) 2025年度版 EPAに基づく介護福祉士候補者受入れの手引(P13)

インドネシア

「高等教育機関(3年以上)卒業+インドネシア政府による介護士認定」または「インドネシアの看護学校(3年以上)卒業」で、訪日前の日本語研修(6カ月)受講後に、日本語能力試験N4(基本的な日本語を理解することができる)程度に達していることなどが要件となります。

日本語能力試験N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)以上を取得していることが確認された人は、訪日前後の日本語研修を受講しなくても要件を満たしているものとされます。

また、一定期間内に日本語能力試験N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)もしくはN4を取得した候補者は、訪日後の日本語研修が免除されます。

フィリピン

「4年制大学卒業+フィリピン政府による介護士認定」または「フィリピンの看護学校(学士)(4年)卒業」で、訪日前の日本語研修(6カ月)受講後に、日本語能力試験N5(基本的な日本語をある程度理解することができる)程度に達していることなどが要件となります。

日本語能力試験N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)以上を取得していることが確認された人は、訪日前後の日本語研修を受講しなくても要件を満たしているものとされます。

また、一定期間内に日本語能力試験N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)もしくはN4(基本的な日本語を理解することができる)を取得した候補者は、訪日後の日本語研修が免除されます。

ベトナム

3年制または4年制の看護課程を修了し、訪日前の日本語研修(12カ月)受講後に、日本語能力試験N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)程度に達していることなどが要件となります。

日本語能力試験N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)以上を取得していることが確認された人は、訪日前後の日本語研修を受講しなくても要件を満たしているものとされます。

3.EPA介護福祉士候補者の受け入れ

EPA介護福祉士候補者の受け入れでは、日本側の受け入れ調整機関と、送り出し国の送り出し調整機関との間で、受け入れ機関(施設)の募集や就労のあっせん、雇用契約の締結などの手続きが進められます。

2025年度の介護福祉士候補者の就労あっせんの流れ(イメージ)

(注)

国際厚生事業団(JICWELS):EPA・交換公文に基づく日本唯一の受け入れ調整機関。
BP2MI:インドネシア在外労働者保護庁。EPAに規定されているインドネシア唯一の送り出し調整機関。
DMW:フィリピン移住労働者省。EPAに基づくフィリピン唯一の送り出し調整機関。
DOLAB:ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働局。交換公文に規定されているベトナム唯一の送り出し調整機関。
出典:国際厚生事業団(JICWELS) 2025年度版 EPAに基づく介護福祉士候補者受入れの手引(P4)

3-1.受け入れの要件

EPA介護福祉士候補者を受け入れられる機関(施設)の要件は、細かく決められています。

出典:国際厚生事業団(JICWELS) 2025年度来日 経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者受け入れについて (P7)

受け入れ機関(施設)の要件には、次のようなことも決められています。

①受入れ施設において介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されていること。
②受入れ施設において介護職員の員数が、法令に基づく職員等の配置の基準を満たすこと。
③受入れ施設において常勤介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を有する職員であること。

出典:国際厚生事業団(JICWELS) 介護福祉士候補者受入要件

詳しい要件については、唯一の受け入れ調整機関である公益財団法人国際厚生事業団(JICWELS)の情報を確認したり、直接、問い合わせたりするとよいでしょう。

3-2.受け入れ施設

EPA介護福祉士候補者を受け入れることができる施設として、次のような施設があげられています。

  • 障害児入所施設
  • 救護施設・更生施設
  • 養護老人ホーム・特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設・介護医療院・指定介護療養型医療施設
  • 障害者支援施設・福祉ホーム
  • サテライト型特定施設・サテライト型居住施設
  • 老人デイサービスセンター・老人短期入所施設
  • 障害者支援施設・地域活動支援センター・福祉ホーム

参考:国際厚生事業団(JICWELS)「介護福祉士候補者受入要件」より作成

詳しい要件については、唯一の受け入れ調整機関である公益財団法人国際厚生事業団(JICWELS)の情報を確認したり、直接、問い合わせたりするとよいでしょう。

4.EPA介護福祉士候補者の受験

介護福祉士国家試験では、EPA介護福祉士候補者に対する学習支援や試験上の配慮も行われています。

出典:厚生労働省 介護福祉士候補者への学習支援及び試験上の配慮

4-1.試験でのEPA介護福祉士候補者へ配慮

EPA介護福祉士候補者として受験すると、特例として、全ての漢字にふりがなを付記した問題用紙と通常の問題用紙が配付され、試験時間が通常の1.5倍となります。従来から行なわれている難解な漢字へのふりがなの付記や疾病名等への英語の併記等の取り扱いについては全ての試験問題に適用されます。

なお、EPA介護福祉士候補者ではなくても、外国の国籍を有する人または日本に帰化された人は、受験申し込み時の申請により、全ての漢字にふりがなを付記した問題用紙と通常の問題用紙を配付し、試験時間が通常の1.5倍となります。

外国人がどのくらいの日本語レベルなのか知りたい方はこちらをぜひご活用ください。

4-2.試験の難易度・合格率

最近の試験結果を見ると、介護福祉士国家試験の合格率は70%前後から80%となっています。国家資格の合格率としては、比較的高く、「しっかり試験対策を行っていれば、それほど難しくない」という声も多いようです。

近年の介護福祉士国家試験の場合、EPA介護福祉士候補者の合格率は、40%台半ば~60%台半ばというときが多くなっています。

出典:厚生労働省 第36回介護福祉士国家試験における経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の試験結果

合格率は、出身国別でも差があり、2022年度の第35回の試験の場合、インドネシアとフィリピンは50~60%で、ベトナムは90%以上です。

出典:厚生労働省 第36回介護福祉士国家試験における経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の試験結果

ベトナムの場合、求められる日本語のレベルが他の2カ国に比べて高く、日本語研修の期間も長いためではないかという声もあります。

4-3.合格後はどうするのか

EPA介護福祉士候補者が受け入れ施設で4年間就労し、介護福祉士国家試験に合格した場合は、在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」または在留資格「介護」として就労・滞在ができるようになります。

資格取得後に可能になること

EPA介護福祉士候補者は、居宅でのサービスを提供する業務(訪問系サービス)に従事できませんが、国家試験合格後は、一定の条件を満たしている事業者の下で就労するEPA介護福祉士は訪問系サービスにも従事できます。在留資格「介護」で就労する場合は、就労可能なサービスに制限はありません。

「特定活動(EPA介護福祉士)」または「介護」で就労・滞在する場合、扶養する家族の帯同が可能になります。

「特定活動(EPA介護福祉士)」または「介護」で就労・滞在する場合、扶養する家族の帯同が可能になります。

「特定活動(EPA介護福祉士)」の家族の場合、在留資格は「特定活動(EPA介護福祉士家族滞在活動)」です。「介護」の家族の在留資格は「家族滞在」となります。これらの在留資格で滞在する家族は、地方出入国在留管理官署で、資格外活動の許可申請を行い、許可が得られれば、一週間に28時間を上限として就労することができます。

参考:国家試験に合格したEPA看護師・介護福祉士候補者が EPA 看護師・介護福祉士として就労する場合の手続きについて(国家試験合格者用)

在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」か、在留資格「介護」か

在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」と、在留資格「介護」では、在留の条件や就労の内容などに、ほとんど差はありません。一番大きな違いは、EPA介護福祉士がインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国のみが対象なのに対し、在留資格「介護」は出身国に制限がないことです。

また、訪問系サービスへの従事については、在留資格「介護」で就労する場合は制限はありませんが、EPA介護福祉士は一定の条件を満たしている事業者の下で就労する場合、訪問系サービスにも従事できることになっています。

一方で、EPA介護福祉士に対しては、受け入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)が、受け入れ機関から納付される滞在管理費も活用し、研修や相談、転職時の対応など各種の支援を行っています。在留資格「介護」の場合は、こうした支援の多くは対象外となります。

在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」のみが対象の支援など

国際厚生事業団(JICWELS)による支援等

  • スキルアップ研修やキャリアアップ研修を受講可能(無料)
    ※過去の開催例:
     ✓介護現場で必要な日本語能力の現状把握と向上
     ✓メンタルヘルスケア
     ✓在留資格や社会保障に関する学習等
  • 相談窓口(無料)
     ✓専属相談員による受け入れ施設と本人双方の相談対応
     ✓顧問社会保険労務士による労務相談対応
     ✓顧問精神科医によるメンタルヘルス相談対応
  • 巡回訪問(無料)
    当事業団が就労・生活等に関する相談・助言対応
  • EPA介護福祉士の適正な労務・在留管理の支援(無料)
    受け入れ機関からの定期報告、雇用契約終了報告等、各種報告により当事業団が管理、相談・助言対応
  • EPA受け入れに係るインドネシア・フィリピン・ベトナム送り出し調整機関との手続き支援

転職時対応
当事業団が転職先の就労状況及び賃金の同等報酬確認(要件確認*)を実施
手数料あり(求人者負担):25,000円または30,000/1施設あたり

滞在管理費
滞在管理費*を当事業団へ納付
 滞在管理費(受け入れ施設負担):一人当たり年度10,000円
費用内容:
入館への所定報告取次、情報の取りまとめと国への報告、在留管理にかかる相談対応、手続き案内、メールマガジン配信、資格取得者研修、データ管理等

出典:国際厚生事業団(JICWELS)ウェブサイト 在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」から 在留資格「介護」への変更について
「在留資格『特定活動(EPA介護福祉士)』および『介護』の比較表」より作成

4-4.合格後に必要な手続き

次の手続きが必要になります。

介護福祉士としての登録
新たな雇用契約書
在留資格許可申請
雇用契約終了報告(帰国・転職・在留資格変更の場合)

以下、順に説明します。

介護福祉士としての登録

介護福祉士の登録申請手続きが必要です。この手続きは、公益財団法人社会福祉振興・試験センターに、必要書類を簡易書留で提出して介護福祉士として登録します。

新たな雇用契約書

国家資格取得後は、EPA介護福祉士候補者ではなく、EPA介護福祉士または介護福祉士として就労を始めることとなるため、現在の雇用契約の内容を変更するか、新たな雇用契約を締結します。

在留資格許可申請

在留資格を「介護」に変更する場合も、EPA介護福祉士として就労・滞在を続ける場合も、地方出入国在留管理官署で、在留資格の変更許可申請が必要です。

EPA介護福祉士として就労・滞在を続ける場合も、在留資格は「特定活動」(EPA介護福祉士候補者)から、「特定活動」(EPA介護福祉士)に変わります。厳密にいうと、在留資格そのものは「特定活動」のままですが、指定書で指定される内容が変更となります。

同じ法人の他施設で就労することになる場合や、他の法人に転職する場合は、入管への手続きの前に、受け入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)への連絡が必要です。

参考:国際厚生事業団(JICWELS) 国家試験に合格したEPA看護師・EPA介護福祉士候補者が EPA看護師・EPA介護福祉士として就労する場合の手続きについて(受け入れ施設用)

雇用契約終了報告

国家試験に合格後、就労を継続せず帰国または転職等により雇用契約を終了する場合は、元の就労施設(受入れ機関・施設)から、国際厚生事業団(JICWELS)への雇用契約終了報告の提出が必要です。

EPA介護福祉士候補者が、国家資格取得後に在留資格を「介護」に変更した場合は、JICWELSへの雇用契約終了報告の提出が必要です。元の就労施設(受け入れ機関・施設)で就労を継続する場合でも、「特定活動」としての雇用契約は終了となるため、JICWELSへの雇用契約終了報告の提出は必要です。

出典:国際厚生事業団(JICWELS) 国家試験に合格したEPA看護師・EPA介護福祉士候補者が EPA看護師・EPA介護福祉士として就労する場合の手続きについて(受け入れ施設用)

4-5.合格できなかった場合はどうなるのか

4年目に国家試験を受けて合格できなかった場合、一定の条件を満たす者は1年間の滞在延長が可能とされています。この条件の一つが、「国家試験の得点が一定の水準以上の者であること」で、合格基準点の5割以上の得点とされています。

2022年度に実施された第35回介護福祉士国家試験の場合、滞在期間延長の条件となる得点基準は、合格基準点(75点)の5割以上となる38点とされました。

翌年の国家試験で不合格だった場合、滞在期間の延長はできませんが、帰国した後、短期滞在ビザで来日し、国家試験を受験することが可能です。

6.まとめ

外国人の介護職は、今や日本の介護現場で欠かせない存在となっています。在留資格「介護」を取得するルートが拡大されたほか、特定技能「介護」の人にも訪問系サービスに従事することを認めるべきという議論も進んでいます。

現在の制度を理解するとともに、制度変更の動きもぜひ注目してください。

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