在留カードの管理方法は?更新方法・必要書類・紛失時の対処などをわかりやすく解説!
在留カードは日本に90日以上滞在する外国人に交付される、在日外国人の身分証です。外国人を雇用するときや、雇用契約を更新するときに在留カードの確認が必要ですが、在留カードの管理に困ったことはありませんか?
「在留カードの適切な管理方法が知りたい」
「在留カード関係のトラブルを避けたい」
と思っている人も多いかと思います。
外国人労働者を採用している、または採用する予定のある企業の方は、今後のトラブルを避けるためにも最後までご覧ください。
1.在留カードとは
まず、在留カードの基本的な事項、対象者や有効期限などについて解説します。
1-1.在留管理制度の対象者
在留カードは日本に在住するすべての外国人に交付されるわけではありません。
在留カードが交付されるのは、日本に3か月以上滞在する外国人で、以下の要件のいずれにも当てはまらない外国人です。
- 「3月」以下の在留期間が決定された人
- 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
- 特別永住者 →特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されます
- 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- 「特定活動」の在留資格が決定された、台湾日本関係協会の本邦の事務所、若しくは駐パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方
- 在留資格を有しない人
在留資格「特定技能」で外国人を採用する場合は、これらに当てはまりませんので、必ず在留カードが交付されます。
1-2.有効期間
在留カードの有効期間は与えられた在留資格によって異なります。
1-2-1.在留期間が定められている在留資格の場合
在留資格「留学」や「技術・人文・国際」のように、在留期間が定められている場合は、その満了日が在留カードの有効期限になります。
対象となる在留資格は以下の通りです。
〈身分または地位に基づく在留資格〉
- 定住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
〈原則として就労できない在留資格〉
- 留学
- 研修
- 家族滞在
- 文化活動
〈就労可能な在留資格〉※就労の範囲が指定される場合もあります
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職1号
- 経営管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転筋
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能(1号・2号)
- 技能実習(1号・2号・3号)
1-2-2.在留期間が定められていない在留資格の場合
在留資格「永住者」と「高度専門職2号」は在留期間が無期限です。在留資格の更新の必要はありませんが、在留カードの更新は必要です。
「永住者」(16歳以上に限る)と「高度専門職2号」の在留資格を持つ外国人は交付日から7年が有効期間です。
16歳未満の「永住者」の方は、16歳の誕生日が在留カードの有効期限となり、その前にカードの更新申請をする必要があります。
在留カードの有効期限は、以下の場所に書いてあります。外国人を採用する場合は、有効期限内か必ず確認する必要があります。
1-3.記載内容
在留カードの記載事項は以下の通りです。
参考:出入国在留管理庁 「在留カード」はどういうカード?
参考:法務省 「在留カード及び特別永住者証明書の見方」
表面だけでなく、裏面にも「資格外活動許可欄」などの重要事項が記載されているので、漏らさず確認しましょう。
2.在留カードの申請・管理方法を紹介!
在留カードについての基本情報が分かったところで、在留資格「特定技能」で外国人を採用するときの在留カードの申請方法、さらに申請後の管理方法について紹介します。
2-1.申請方法
在留カードは「在留資格認定証明書交付申請」が正常に受理され、外国人が現地の日本大使館・領事館でビザを受け取った場合、当人が日本に入国するのと同時に空港で受け取れます。
具体的な流れは以下のようになっています。
外国人を採用する企業が、日本の地方出入国在留管理局で申請します。
在留資格認定証明書交付申請時に必要な書類は後述します。
在留資格認定証明書が無事交付されたら、外国人は速やかに現地の大使館または領事館へ行き、ビザの申請をする必要があります。
ビザを取得できれば、日本に入国することができます。
外国人は基本空路で日本に入国します。以下の空港から入国する場合は空港で在留カードを受け取ることができます。
- 新千歳空港
- 中部空港
- 羽田空港
- 成田空港
- 関西空港
- 広島空港
- 福岡空港
これらの空港からの入国ではない場合は、入国後に市区町村に届け出た住所(居住地)宛てに在留カードは郵送されます。
必要書類
在留資格「特定技能」で外国人を採用する場合、在留カードの申請に必要な書類は、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類と同じで以下の通りです。
- 在留資格認定証明書申請書 1通 在留資格認定証明書(PDF)
- 写真 一葉 指定の規格
- 返信用封筒 1通
※定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付してください - 申請人に関する必要書類 申請人に関する書類(第1表)
- 所属機関に関する必要書類 こちらの表から該当する書類を選んでください
- 分野に関する必要書類 こちらの表から該当する書類を選んでください
在留資格認定証明書交付申請のための必要書類をすべて集めるのには、かなりの時間と労力がかかります。
初めて外国人を採用する企業の方は、ぜひ当スクールにご相談ください。
合わせて外国人の正社員雇用についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
3.在留カードの更新
在留カード「特定技能」の外国人は、少なくとも年に1回在留資格の更新を行う義務があります。在留資格の更新に伴って、在留カードも更新しなければなりません。
在留資格の更新は、期間満了日の3か月前から可能ですので、なるべく早めに更新手続きをしましょう。期間満了日の4か月前から準備を始めることをおすすめします。
在留資格の更新のためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
- 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
→失踪した技能実習生や,除籍・退学後も在留を継続していた留学生については,現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き,消極的な要素として評価されます。 - 素行が不良でないこと
→具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。 - 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
→雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。 - 納税義務を履行していること
→例えば,納税義務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。 - 入管法に定める届出等の義務を履行していること
→在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
外国人を採用する企業は、これらの要件を満たしているか、日々確認することが必要です。
必要書類
在留資格の更新の際には、在留資格に応じた申請書を提出する必要があります。
在留資格「特定技能」の場合は以下の書類が必要です。
- 在留期間更新許可申請書 1通
※申請取次者を介して複数の申請人について同時申請する場合には次の申請人名簿が必要です。
申込人名簿 - 写真 一葉
指定の規格 - 申請人のパスポート及び在留カード 提示
- 申請人に関する必要書類
申請人に関する書類(第1表) - 所属機関に関する必要書類
こちらの表から該当する書類を選んでください - 分野に関する必要書類
こちらの表から該当する書類を選んでください
採用している外国人の支援業務を登録支援機関に委託している場合は、在留資格及び在留カードの更新は、登録支援機関が行います。
参考:出入国在留管理庁 「在留資格の変更、在留期間更新許可のガイドライン」
参考:出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」
4.雇用する時はカードの有効期限・偽造に要注意!
在留資格「特定技能」で外国人を採用する場合にも、外国人から提出された在留カードが偽造されていないか、入念な確認が必要です。在留資格の有効期限が切れている外国人を採用してしまうと、不法就労となり処罰の対象になってしまいます。
ここでは、偽造された在留カードの確認方法や、在留カードの有効期限が切れてしまった場合、在留カードを失くしてしまった場合の対処法を解説します。
4-1.偽造の確認方法
在留資格「特定技能」で、他の企業から転職してくる外国人を採用する場合は特に、カードの偽造に気を付けましょう。
カードが偽造されていないか確認する方法は3つあります。
4-1-1.目視で確認
在留カードには、目視で本物かどうか確認できる仕組みがあります。
- カードを傾けると「MOJ」の文字がピンクからグリーンに変化する
- カードを上下方向に傾けると、左端がピンク色に変化する
- カードを左右に傾けると「MOJ」のホログラムが3D的な動きをする
- 銀色のホログラムは、見る角度を90°変えると、文字の白黒が反転する
- 暗い場所でカードの表面から強い光を当てると「MOJMOJ…」の透かし文字が現れる
参考:法務省 「在留カード」及び「特別永住者証明書」の偽変造防止対策
4-1-2.アプリで確認
出入国管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」を使えば、在留カードのICチップ内に記載された情報を確認することができます。このICチップの情報を基に、在留カードの券面にある情報の真偽を判断することができます。
参考:出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション サポートページ
4-1-3.WEBサイトでカード番号が失効していないか確認
出入国在留管理庁のWEBサイト「在留カード等番号失効情報照会」では,在留カード等の番号などの必要事項を入力すると,入力されたカード番号が失効していないかを確認することができます。
参考:出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報紹介
4-2.在留カードの有効期限切れ
在留資格「特定技能」は、在留期間が定められている在留資格ですから、在留カードの有効期限切れはすなわち、在留期限を過ぎている(オーバーステイ)ということになります。オーバーステイの外国人を雇用している会社も、本人同様に入管法に規定されている不法就労助長罪で罰せられる場合があります。
【外国人への罰則】
- 不法入国の罪:3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金
- 無許可資格外活動の罪:1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金
【外国人を採用している企業への罰則】
- 不法就労助長罪:3年以下の懲役 もしくは 300万円以下の罰金。場合によってはその両方が科される
以上のように、企業側に課される罰則も非常に重いです。
「知らなかった・更新を忘れていた」では済まされませんので、不法就労助長罪に問われないためにも、以下のポイントをしっかりと確認してください。
- 在留カードそのものの確認を行う
「3-1.偽造の確認方法」でも解説した通り、在留カードは偽造されている場合があります。外国人の身分を確認する場合は、在留カードの写真などではなく、必ずカードそのもので確認するようにしましょう。
- 登録支援機関に在留資格更新の業務を委託する
「通常業務に追われていて、外国人労働者の在留資格更新を忘れていた」という場合が一番怖いです。在留資格更新の業務量は膨大で、人手を割く余裕がない場合は、在留資格更新許可手続きのプロでもある登録支援機関に業務を委託すると安心です。
登録支援機関についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
5.在留カードの紛失
在留カードを紛失してしまった場合、速やかに「紛失等による在留カードの再交付申請」をしましょう。
在留カードの紛失自体に対する罰則等の規定はありませんが,在留カードの再交付申請を、紛失を知った日から14日以内に行わなかったときは、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処される場合があります。
【紛失等による在留カードの再交付申請の手続き】
参考:出入国在留管理庁 紛失等による在留カードの再交付申請
参考:出入国在留管理庁 在留カードの有効期間の更新申請
参考:法務省 在留カード及び特別永住者証明書の見方
企業は採用している外国人に、在留カードを紛失したまま放置すると罰則があることを、事前にちゃんと伝えるようにしましょう。
6.まとめ
外国人を採用するときに、必ず確認しなければいけないのが在留カードです。新たに外国人を採用するときは、カードの偽造がないかちゃんとチェックし、採用した外国人の在留資格更新手続きを忘れずに行うようにしましょう。
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