【マレーシア出身スタッフ監修】マレーシアのタブーに注意!|服・仕草・宗教に関するNG徹底解説
執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門
監修者:山田(JapanJobSchool支援担当)
多民族国家のマレーシアで暮らしているのは、マレー系、中華系、インド系の民族です。宗教的または文化的な背景により、マレーシアではタブーとされる習慣やマナーが存在します。
日本企業でマレーシア人を雇用する場合、異文化理解を深めておくことが重要です。特にマレーシアでのタブーを知っていれば、トラブルになるのを防げます。失礼になる言動や態度をとらないためにも、文化・習慣、宗教、仕草、食事に関するタブーを学びましょう。
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1.マレーシアの宗教事情と割合
マレーシアは多宗教国家であり、国教はイスラム教です。人口の64%がイスラム教徒で、仏教19%、キリスト教9%、ヒンドゥー教6%、その他2%が占めています。
街中では、イスラム教徒の女性がヒジャブ(頭部を覆うスカーフ)を着用している姿をよく見かけます。またスーパーやレストランでは、イスラム教の教えに従ったハラル(ハラール)認証を受けた食品や製品が販売されています。
各宗教の人口構成は、マレー系の人々は主にイスラム教徒、中国系の人々は主に仏教徒、インド系の人々は主にヒンドゥー教徒です。首都クアラルンプールでは、イスラム教のモスク、ヒンドゥー教の寺院、仏教寺院、キリスト教の教会が共存し、多様な宗教文化が見られます。各宗教の開祖の生誕日もすべて休日であることも、マレーシアの特徴です。
※参考:マレーシア基礎データ|外務省
マレーシアのイスラム教と他の国のイスラム教は、信じている信念は同じであっても、戒律の緩さの面では宗教の文化には少し違いがあります。
2.マレーシアの文化・風習に関するタブー
マレーシア人を雇用する際には、彼らの文化や風習のタブーを理解することが重要です。例えば子どもの頭を撫でる、仕事において時間厳守を求めることは好まれません。円滑にコミュニケーションを取るために、把握しておきましょう。 ▶外国人に長く働いてもらうための「コミュニケーションマニュアル」はこちら
2-1. 子どもの頭を撫でてはいけない
マレーシアでは、子どもの頭を撫でることは避けるべき行為です。頭は身体のなかでも神聖な部位とされており、撫でることで成長を妨げると信じられています。日本とは異なる価値観を持っているため、注意が必要です。
特に「不浄」とされる左手で子どもの頭を撫でてしまうと、そばで見ている両親・親族とトラブルに発展するかもしれません。マレーシア人の子どもに対して「いい子ですね~」と、頭を撫でないようにしましょう。
2-2. 遅刻文化に寛容でいなければいけない
マレーシアでは、時間に対する感覚が日本人と違うため、遅刻や急なスケジュール変更も少なくありません。おおらかで大ざっぱな性格の人が多く、遅刻に対して「失礼」という認識が薄いといえます。
企業や人事担当者がマレーシア人を雇用する際には、柔軟なスケジュール管理をして、コミュニケーションの取り方にも工夫が必要です。例えば時間を守ることがプレッシャーになる場合もあるため、多少の遅刻に対して寛容な姿勢で接します。また日本のビジネスシーンにおける「時間の考え方」を事前に伝えておくことも重要です。
更に、外国人に長く働いてもらうためには、面接時にミスマッチを確認する必要があります。
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3.宗教に関するタブー
マレーシアは多宗教国家であり、イスラム教、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などが共存しています。宗教に関するタブーを理解し、尊重することは、マレーシア人社員との良好な関係を築くために欠かせません。ここでは宗教別にタブーを説明します。
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3-1. イスラム教のタブー
お酒と豚肉は禁忌
お酒と豚肉はイスラム教徒にとって禁忌であり、食事の際にはハラル食品を選択します。マレーシアのような多文化の国では、イスラム圏に行くと、スーパーやレストランでハラル食品を目にする機会があるでしょう。ハラル食品とは、イスラム教の教えにしたがって許可された食品のことです。
日本企業でも社員食堂で、ハラル食品を提供しているケースがあります。ハラル食品の導入を検討すると、宗教的配慮がされた「働きやすい環境」になり人員確保につながります。
犬を触ってはいけない
犬は不浄な存在とされており、基本的に触ってはいけません。犬の唾液が不浄とされ、触れた場合には特別な洗浄が必要です。洗浄方法は「犬が触れた部分を7回洗う」「1回は土や砂を使って洗う」が推奨されています。
ただし、マレーシア全体がこのような文化を持っているわけではなく、地域や個人の考え方によって異なります。
イスラム教では犬を触るのはタブーですが、猫であれば問題ありません。猫を飼っている人は、何度か見かけました。
3-2. 中華系のタブー
喪服でピンクや坂を着用しない
中国系の葬儀の場合、お葬式でピンクや赤い服装は避けるべきとされています。赤は血を連想する色だからです。またピンクも赤に似ているため、避けられています。一般的には、黒や白、グレーなどの落ち着いた色の服装が適しています。
中華系の中でも民族によっては、親族がなくなった場合、1年間は、誕生日を祝うことも不適切だとされています。
贈り物に靴を選んではいけない
マレーシアでは、贈り物に靴が禁止されています。弊社のマレーシア出身スタッフによると、「靴をあげた相手がいつか離れていってしまう」という迷信があるからです。
3-3. ヒンドゥー教のタブー
牛肉を食べてはいけない
西マレーシアに住むインド系の人々の多くは、ヒンドゥー教を信仰しています。ヒンドゥー教では、牛は神聖な動物として崇拝されており、牛肉を食べることは固く禁じられてきました。
基本的には、牛肉関連の食品だけでなく牛革製品も避けます。さらに、厳格なヒンドゥー教徒は肉食全般を控え、牛、豚、鶏、魚介類、卵を食べません。
4.寺院でのタブー
マレーシア人社員が寺院を訪れる際には、特定のマナーを守ります。異文化理解を深めるためにも、チェックしてみましょう。
4-1. 露出の多い服装は控えなければいけない
マレーシアの寺院は、礼拝するための厳粛な場所です。特にイスラム寺院(モスク)では、ミニスカートやタンクトップなどの肌の露出が多い服装を禁じています。
女性は入場前に、寺院で貸し出ししているスカーフを羽織るケースも。これにより、神聖な場所に対する敬意を示すことができます。
4-2. 帽子・サングラスは良くない
寺院でサングラスや帽子を着用するのは、好ましくありません。頭や目を覆うファッションアイテムは、外してから入場するのがマナーです。
5.仕草に関するタブー
マレーシアでは、日常の仕草にも文化的な意味が込められています。例えば「人差し指で示す」ことは不適切とされます。意図せず失礼を働かないために、タブーな仕草をまとめました。
5-1. 人差し指で示すのはNG
マレーシアでは、人や物を指さす際に人差し指を使うことは無礼とされています。代わりに、右手を軽く握り、親指を伸ばして指し示す方法が一般的です。マレーシア労働者に指示を出す際には、人差し指は控えましょう。
5-2. 強い握手・女性に対する握手はNG(イスラム教)
欧米では、強く握手をすることが信頼感を示す手段です。しかしマレーシアでは、強い握手は避けます。指先で軽く握手をしたあとに、その手で自分の左胸に軽く触れるのがマナーです。
マレーシアの場合、初対面の女性に対して男性から握手を求めることは避けるのが礼儀です。もし日本人女性が現地の男性に握手を求めると「気があるのだろうか」と、誤解を招くかもしれません。日本とは握手の文化が異なるため、注意しましょう。
5-3. 両手に腰を当てる・足を組むはNG
両手を腰に当てるのは、怒りを表すジェスチャーです。また足を組む動作は(片方の足を膝上に乗せる)、「尊敬の念がない」と受け取られてしまいます。足の裏は不浄とされているため、足を組むことで人目にさらさないように注意が必要です。マレーシア人と接する際には、手や足の動作で誤解を招かないようにしましょう。
6.マレーシアの食事に関するタブー
マレーシアの食文化は多様ですが、食事の際には守るべきマナー・タブーも存在します。例えばイスラム教徒は、左手で食事をしません。ここでは、マレーシア人社員との食事の場で避けるべきタブーについて解説します。
6-1. 左手で食事をしてはいけない(イスラム教)
イスラム教の場合「左手は不浄なもの」とされています。そのためトイレの後始末は「左手」、食べ物を触るのは「右手」です。
マレーシア人労働者と食事をするとき、左手を使いたがらないかもしれません。マレーシア流の手の使い方を覚えておくと、社員同士で食事をする際にも配慮できます。加えて、物を渡すときにも左手を使わないように注意しましょう。
6-2. 箸渡しはしてはいけない(中華系)
マレーシアの中華系の人たちの間では、日本と同様、箸渡しがマナー違反とされています。
余談ですがインドネシアの中華系の人の文化には、出された料理はあえて残す文化があるそうですが、マレーシアの場合そんなことはないです。
インドネシアのタブーに関してはこちらの記事で詳しくまとめています。
7.まとめ
マレーシアは、国民の半分以上がイスラム教を信仰しています。宗教的な背景により、左手で食べ物をつかむ、強い握手はしないといったマナーが特徴的です。また日本人と比べて時間感覚に違いがあり、オンタイムで行動するのは苦手という側面もあります。
マレーシア人を日本企業で雇用するとき、文化や宗教の違いに配慮しなければなりません。もしコミュニケーションの取り方に不安がある場合、是非我々JJSにご相談ください。
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