【最新版】深刻化する日本の人手不足の現状|その解消方法3つをご紹介

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

日本では、人手不足が深刻な社会問題になっています。人手不足になると、企業は業務を円滑に進められなくなったり、新しい事業に挑戦できなくなったりするでしょう。また社会全体では、経済成長が鈍化したり、サービスの質が低下したりする恐れも否定できません。

この記事では、日本の人手不足の現状と背景を解説し、人手不足の解消方法や成功事例外国人材の採用という新たな取り組みについても触れています。

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目次

1. 日本の人手不足の現状と背景

日本における人手不足の現状を知るには、少子高齢化の観点から探る必要があります。そのため日本人口の推移や、将来像についてグラフにまとめました。また新規人材が確保しにくい点や、雇用形態の多様化といった状況についても確認しましょう。

1-1. 少子高齢化による労働人口の減少

日本人口の推移と将来像

※参考データ:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体番)|高齢化の状況|図1-1-2 高齢化の推移と将来推計
※棒グラフと実線の高齢化率については、2020年までは総務省「国勢調査」(2015年及び2020年は不詳補完値による。)、2021年は総務省「人口推計」(令和3年10月1日現在(令和2年国勢調査を基準とする推計値))、2025年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

日本の人手不足の最大の原因は、少子高齢化による労働人口の減少です。労働人口とは、15歳から64歳までの働くことができる人の数です。日本では出生率が低下し、高齢者の割合が増加しているため、労働人口は年々減っています。

統計によると、2020年時点で労働人口は7,600万人でしたが、2030年には6,800万人まで減ると予測されました。これは、約10年で800万人もの労働力が失われることを意味します

1-2. 新規人材の確保が困難

日本の企業は、新規人材の確保も困難になっています。新規人材とは、新卒者や中途採用者など、企業に初めて入社する人のことです。
日本で新規人材を確保するのが難しくなった理由として、以下の2つが考えられます。

若者の数が減っている
少子化により労働力人口が減少し、若者の採用が厳しくなっています。また学生の数も少っているため、高等学校や大学を卒業した新卒の割合も減少傾向にあります。

外国人労働者の受け入れが制限されている
国内では、外国人労働者の受け入れが制限されています。外国人労働者を受け入れるためには、特定技能ビザや技能実習制度などの制度を利用しなければなりません。しかし制度を利用するには、受け入れる外国人の数や期間、職種などに制限があります。そのため外国人労働者を雇うのは、簡単ではありません。

2. 2人手不足が深刻な業界・職種 

【ランキング】産業別正社員等労働者過不足状況
1位医療・福祉不足66、過剰3    
2位建設業不足58、過剰2
3位運輸業・郵便業不足57、過剰1
4位学術研究・専門・技術サービス業不足51、過剰1 
5位情報通信業不足52、過剰3
6位製造業不足50、過剰4
7位サービス業(他に分類されないもの)不足48、過剰3
8位生活関連サービス業・娯楽業不足45、過剰1
9位不動産業・物品賃貸業不足42、過剰1
10位宿泊業・飲食サービス業不足38、過剰3
11位卸売業・小売業不足27、過剰4
12位金融業・保険業不足20、過剰2

※参考:表5 産業別正社員等労働者過不足状況及び労働者過不足判断 D.I. |厚生労働省

厚生労働省のデータによると、産業別正社員等労働者の過不足は上記のとおりです。人手不足は、業務の効率や品質に影響を与えるだけでなく、従業員の負担や離職率の増加にもつながります。人事担当者としては、人手不足に悩む業界や職種を把握し、対策を考える必要があるでしょう。ここでは、人手不足が特に深刻な業界と考えられる原因を紹介します。

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2-1. 医療・福祉

医療・福祉分野は、高齢者の増加やコロナ禍での医療体制の逼迫により、人手不足が深刻化している状況です。厚生労働省の推計によると、医療・福祉の人材は40年に96万人不足すると予測されています。

医療・福祉の人手不足の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 長時間労働・仕事量に見合わない賃金といった厳しい労働環境
  • 医師や看護師などの専門職への就職志向が高く、介護や保育などの職種への興味が低い
  • 医師や看護師などの資格取得にかかる時間や費用が大きい
  • 医療・福祉従事者の地域偏在や性別偏在がある

※参考:第1章 社会保障を支える人材を取り巻く状況|厚生労働省

2-2. 建設業

建設業も、少子高齢化や災害復旧・復興事業などで人手不足が深刻化しています。経済産業省の調査によると、建設業界では55歳以上の就業者の割合が高く、今後も多くの人材を失うことが予想されています。

建設業界の人手不足の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 休日が取得しにくく、残業も多い
  • 低賃金や長時間労働といった厳しい労働環境
  • 建設業界に興味を持つ若者が少なくなっている
  • 建設現場で必要とされる技能や資格が多く、教育・育成に時間と費用がかかる
  • 建設現場で働く女性や外国人労働者の割合が少ない

※参考:建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます|厚生労働省

2-3. 運輸業・郵便業

運輸業・郵便業も、オンライン市場の急拡大やコロナ禍での物流需要の増加により、人手不足が深刻化しています。厚生労働省の労働需要の推計では、現役ドライバーの需要ギャップが2030年に8.6万人になると報告されました。

運輸業・郵便業の人手不足の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 低賃金や長時間労働といった厳しい労働環境
  • 運輸業・郵便業への就労希望者が伸び悩んでいる
  • 若者の人材が減少し、高齢者が増加している
  • 運転免許や危険物取扱者などの資格取得にかかる時間や費用が大きい
  • 運輸業・郵便業で働く女性や外国人労働者の割合が低い

※参考:人手不足の現状把握について|平成30年6月1日厚生労働省職業安定局

3. 人手不足解消の方法3選 

ここからはそんな人材不足を解消する方法3つをご紹介します。

  • 職場環境の見直し
  • 労働条件の改善
  • 外国人材の雇用

3-1. 職場環境の見直し

職場環境の良し悪しによって、仕事の進めやすさが異なります。例えば仕事スペースや休憩室などの物理的な要素、上司や同僚との人間関係やコミュニケーションなどの精神的な要素が職場環境です。快適な職場環境になると、従業員の心身の健康やモチベーションを高め、生産性や定着率にもよい影響を与えます。

職場環境を見直すためには、以下のようなアイデアがあります。

  • 作業台や机、椅子などの作業スペースを見直し、使いやすいサイズ・デザインにする
  • 休憩室やリラックススペースを設けて、疲労回復できる場を設ける
  • 日頃から社員同士が挨拶したり交流できるシーンを用意して、情報共有や相談がしやすい雰囲気をつくる
  • 「職場環境の改善」について従業員に意見を聞いて、改善策を一緒に考える

3-2. 労働条件の改善

労働条件は給与や勤務時間、休日日数など、従業員が働く上で重要な条件です。条件の内容によって、従業員の仕事に対する満足度や離職率に大きく影響します。そのため労働条件を改善すれば、従業員が働きやすくなり離職防止にもなるでしょう。

労働条件を改善するためには、以下のようなアイデアがあります。

  • 従業員の能力や成果に応じた報酬を支払う
  • 勤務時間や勤務形態を柔軟に対応し、個人に合った働き方ができるようにする
  • 有給休暇や育児・介護休暇などの取得を促進し、プライベートと仕事のバランスを保てるようにする
  • 住宅手当や家族手当など福利厚生制度を充実させて生活をサポートする
  • 社内教育制度を充実させ、やキャリアアップを図る

3-3. 外国人材の雇用

人手不足の解消に、外国人材を検討する企業も増えています。外国人材の採用では、日本で働ける在留資格を所持している外国人が対象です。国外から採用することで人材の確保だけでなく、多様な文化・価・値観を共有してもらえるため、企業のイノベーションも期待できます。

外国人材を雇用するためには、以下のようなアイデアがあります。

  • 外国人材の就労に関する法律や制度を理解し、適切なビザや在留資格を取得する
  • 外国人材の採用に特化したエージェントやコンサルタントに依頼し、人材を紹介してもらう
  • 外国人材の受け入れに備えて、日本語教育や生活支援などのサポート体制を整える
  • 外国人材と日本人のコミュニケーションや協働を促進するために、多文化理解や異文化交流の機会を図る

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4. 外国人材の採用方法とは 

日本では人手不足を解消するために、外国人材の採用が注目されています。外国人材とは、日本で働ける資格を持った外国人のことです。しかし外国人材の採用では、法律や制度、文化の違いなどを理解しなければなりません。ここでは、外国人材の採用方法を紹介します。

4-1. 在留資格を持った外国人材を採用する 

在留資格とは、日本で働けるビザの種類のことです。種類はさまざまで技術・人文知識・国際業務に関するものや、介護や飲食などの特に人手不足で悩んでいる産業分野で雇用できる「特定技能」などがあります。

在留資格を持った外国人材を採用すると、以下のメリットがあります。

・すでに日本で働ける資格を持っているため、ビザの手続きがしやすい
・日本語や日本の文化に慣れている可能性が高い
・コミュニケーションや教育がスムーズになる
・専門的な知識や技能を持っているため、企業のニーズに応えられる

※参考:入管法別表第一の上欄の在留資格(活動資格)|出入国在留管理庁

4-2. 「特定技能」を活用する

「特定技能」とは、2019年4月から始まった新しい在留資格です。主に介護や建設などの人手不足の分野で働くことができます。特定技能は、「特定技能1号」「特定技能2号」に分かれています。

特定技能1号     【12分野】
介護/ビルクリーニング/素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業   【技能水準】 相当程度の知識または経験を必要とする
特定技能2号【11分野】
ビルクリーニング/素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業(※令和5年6月9日、閣議決定により、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(分野別運用方針)の変更が行われました)  
【技能水準】 熟練した技能

特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)|出入国在留管理庁

【人材の基準と在留期間】
「特定技能1号」は、日本語能力試験(N4レベル)と技能試験に合格した人が対象で、最長5年間働けます。「特定技能2号」は、より高度な技能を持つ人が対象です。技能を測る試験については、「令和5年8月31日における法務省令等の施行後、それぞれの分野を所管する省庁において試験実施要領を定め、随時開始する予定です」と出入国在留管理庁のホームページにて記載されていました。特定技能2号の場合、在留期間を更新し続ければ、上限なく在留できます。

【特定技能を活用する方法】
企業様が特定技能を活用して外国人材を採用する方法は、以下のとおりです。

  1. 「特定技能」の受け入れに関する法律や制度を理解し、適切な手続きをする
  2. 「特定技能」の受け入れに関する支援機関や登録支援機関に相談する
  3. 「特定技能」の受け入れに備えて、日本語教育や生活支援などのサポート体制を整える

4-3. 人材紹介会社を利用する

人材紹介会社とは、企業と外国人材との間に立って、採用活動を支援する会社です。すでに外国人材の採用に関するノウハウやネットワークを持っているため、企業にとって心強いパートナーになるでしょう。

人材紹介会社を利用すると、以下のメリットがあります。

  • 外国人材の採用にかかる時間やコストを削減できる
  • 企業のニーズに合った外国人材を紹介してもらえる
  • ビザや在留資格などの手続きをサポート(または代行)してもらえる

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5. 人手不足を解消した企業の事例

ここでは、人手不足の解消に成功した企業の事例を紹介します。そのような取り組み方が成功したのか、確認してみましょう。

5-1. 【介護施設】人手不足の解消のためベトナム人を採用

【企業名】株式会社アイズ
【悩み】人手不足
【取り組み】ベトナム人を2名採用
【成果】即戦力の採用に成功

介護施設であるグループホームを運営している「株式会社アイズ」は、介護現場における人材不足に悩んでいました。インターネットで求人広告を出しても、人が集まらず人材の採用に苦戦していたようです。

そこで「外国人雇用」に興味を持ち、外国人材紹介をしている外国人教育スクール「Japan Job School(ジャパンジョブスクール)」に相談したと話します。採用したベトナム人2名は、介護施設での就業経験があり、仕事を覚えるスピードや介助の技術に不安はなかったようです。また採用してみると、意外にも上下関係を重んじており、きちんとその場に応じた対応ができる人材でした。

ただしコミュニケーションを取るうえで、認識のズレがあったようです。例えば日本で細かく説明するとき、どれくらい把握できているのか分かりにくい面も。そのため今後の課題として、コミュニケーションの取り方を挙げています。

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5-2. 【宿泊施設】外国人材をインターンシップから従業員の受け入れに挑戦

【企業名】株式会社ニュー熱川プリンスホテル様
【悩み】人手不足、若手不足
【取り組み】ベトナム人を2名採用
【成果】向上心の高い人材の採用に成功

若い人の集まりにくい伊豆半島で、人手不足の解消に「外国人の雇用」を考えた宿泊施設です。始めは「インターンシップ」として外国人を受け入れていましたが、好奇心旺盛かつ向上心の高さに感心して、次に従業員として採用することにしたそうです。

「特定技能」のビザを持つ外国人採用を決意した同社は、手厚いサポートを希望して外国人教育スクール「Japan Job School(ジャパンジョブスクール)」に人材紹介を依頼しました。実際にビザ申請・書類提出・定期面談などのサポート体制において、高評価をしています。

採用した人材は、効率的な方法や改善点を考えて動いてくれるので「旅館に必要な人」だと感じていらっしゃるようです。ただし厳しくしすぎるとモチベーションが下がる、互いの役割を確認する必要がある、といった課題もありました。そのため定期面談により、認識のズレを修正したり、信頼関係を築けるようにしたり働きかけているようです。

6. よくある質問

ここでは、人手不足解消のために外国人材を雇用することに関する、よくある質問に答えます。外国人材の採用に興味がある方や、すでに採用している方も、ぜひ参考にしてみてください。

人手不足解消のために外国人材を雇用するメリットは何ですか?

外国人材を雇用するメリットは、人手不足を解消できる点です。特に介護や建設などの人手不足に悩む業界では、外国人材の採用を進める企業が増えています。

また外国人材は、日本人とは異なる文化や価値観を持っています。そのため新しいアイデアや解決策が生まれやすく、企業の課題解決に役立つでしょう。

外国人を雇用する上での注意点はありますか?

外国人を雇用する上で主に法律や制度、文化の違いに注意しましょう。外国人を雇用するためには、適切な在留資格やビザを取得する必要があります。在留資格やビザには、種類や期間、職種などの制限があるため要チェックです。

文化の面では、外国人と日本人とのコミュニケーションの違いに配慮する必要があります。雇用する外国人によっては、日本語や日本の文化に慣れていないケースもあるでしょう。その場合は言葉や習慣の違いによる、誤解や摩擦が起きやすくなります。企業側は外国人に対して、日本語教育や生活支援などのサポートを提供したり、多文化理解や異文化交流の機会を作ったりする必要があります。

外国人とよりよいコミュニケーションをとる方法は「外国人労働者とのコミュニケーションマニュアル」で詳しく解説しています

7. まとめ

少子高齢化の進む日本では、人材不足に悩む企業が少なくありません。採用に成功しても、転職市場が活発なため、人材を定着させるのが難しい状況です。

「自社の人手不足を解消したい」「採用者には長期的に働いてほしい」という企業様は、外国人材の採用を検討してみませんか。在留資格を所持している外国人材なら、一定の技能や日本語能力を有している可能性があります。

しかし初めて外国人材を採用する場合、ビザの手続きや教育方法、コミュニケーション手段に不安を覚えるかもしれません。外国人材に関するお悩みは、当校、Japan Job Schoolにご相談ください。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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