飲食業界でインドネシア人を採用するメリットとは?採用方法と必要なビザ、注意点まで解説!
日本の飲食業界では、労働力不足が深刻な課題です。人材確保の取り組みとして、インドネシア人労働者の採用が注目されています。日本で働くインドネシア人は年々増加しており、飲食業界でもその存在感が高まっている状況です。
この記事では、インドネシア人を採用するメリット、具体的な採用方法、必要なビザ、そして注意点について詳しく解説しました。外国人労働者の採用を検討している企業や飲食店経営者には、ぜひ参考にしてみてください。
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1.日本で働くインドネシア人
日本で働くインドネシア人は、増加傾向にあります。ここでは、具体的な数値と取得率の高い在留資格、また増加している理由についてまとめました。
1-1.日本で働くインドネシア人数の推移
※数値の単位:人
※技人国:技術・人文知識・国際業務の略
令和5年6月末の調査によると、インドネシア人の日本在留数は「122,028人」で前年に比べて23,163人増加していました。就労目的に該当するビザの割合は、技能実習58,478人、特定技能25,337人、技人国5,984人、特定活動(ワーキングホリデーや家事使用人、看護師・介護福祉士候補者等)4,669人です。データを読み取ると、就労目的で在留しているインドネシア人の割合が多いとわかります。
厚生労働省が発表している届出状況では、「国籍別にみた外国人労働者数の推移」において、インドネシアの前年比が47.5%と高い伸び率でした。今後も、日本で就労するインドネシア人が増加する見込みです。
※出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省
※参考:令和5年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁
1-2.日本で働くインドネシア人が多い理由
インドネシア人が日本で働く主な理由は、2つあります。
親日国であるから
インドネシアは親日国として知られており、日本に対する好感度が高い国です。歴史的な背景や文化交流が深く、インドネシア人は日本の文化や習慣に対して理解と興味を持っています。
例えば第二次世界大戦後、日本はインドネシアを経済的に援助してインフラ整備や技術支援をつうじて発展をサポートしました。また文化交流の面では、日本のアニメや漫画、音楽などがインドネシアで人気を博しており、両国の若者の間で相互理解が深まっています。
そのため日本で働くことに対して前向きな姿勢を持つインドネシア人が多いのです。
「風雲!たけし城」や「ドラえもん」などの日本の番組が放送されていたり、自動車のうち約70%が日本からの輸入であったりするため、日本のイメージを持ちやすく、インドネシア人にとって日本は人気の国の一つです。また、インドネシアは現在人口が増加しており、求人も限られいます。一方で日本は多くの求人があるものの、人手不足に悩む現状からこれは一石二鳥だと思います。
インドネシア政府が積極的に送り出しをしている
インドネシア政府は、労働力の海外派遣を積極的に推進しています。特に日本への労働者派遣に力を入れており、専門的な訓練や日本語教育を提供しています。そのため日本で働くためのスキルや知識を持ったインドネシア人が増えています。
さらに、日本とインドネシアの間では、労働力の移動を促進するための二国間協定が結ばれています。この協定により、インドネシア人労働者が日本で働く際の手続きが簡略化され、労働条件の改善が図られています。
2.日本の飲食業界の現状
日本の飲食業界は、多様な食文化と高品質なサービスで世界的に評価されています。しかし、近年は少子高齢化や労働力不足が深刻な課題となっています。特に中小規模の飲食店では、人手不足が顕著であり、従業員の確保が難しくなっています。
このような状況下で、外国人労働者の採用が注目されています。外国人労働者は、労働力不足を補うだけでなく、多様な文化背景を持つことで、飲食店のサービス向上や新しいメニューの開発にも貢献しています。特にインドネシア人労働者は、親日的な背景や高い適応力を持ち、飲食業界での活躍が期待されています。
3.飲食店でインドネシア人を採用するメリット
インドネシア人を飲食業で採用することには多くのメリットがあります。特に中小規模の飲食店経営者や人事担当者にとって、インドネシア人の採用はコスト削減や若手人材の確保につながります。
3-1.採用コストを抑えやすい
一般的に、インドネシア人は地元の日本人労働者に比べて低い賃金を期待することが多く、雇用主にとってコスト効率が良くなり、採用後のコスト削減につながります。
その理由としては、平均給与の差が挙げられます。インドネシアでは、高校卒業後の賃金が平均月給約4万円であるため、日本人の平均月給と比べると低いものの、彼らにとっては依然として大きな額だと見なされます。
3-2.若手人材の獲得が期待できる
インドネシアは人口が多く、若い労働力が豊富です。そのため、求人に対する応募者も多く、採用活動が効率的に進められます。若手人材は柔軟性があり、新しい環境にも適応しやすいのが特徴的です。結果的に、店舗の活気が増し、サービスの質も向上も期待できます。
採用方法として、現地からの呼び寄せとオンライン面接の活用が挙げられます。現地採用では、インドネシアの大学や職業訓練校と連携し、優秀な人材を直接採用することが可能です。またオンライン面接を活用することで、渡航費や宿泊費の経費が削減できます。
3-3.米食文化があり日本の食文化に馴染みやすい
インドネシアは米食文化が根付いており、日本の食文化にも馴染みやすいです。食文化の類似性が高いことで、調理において業務を覚えやすいのがメリットだといえます。
例えば、インドネシアの代表的な料理である「ナシゴレン(炒飯)」や「サテ(串焼き)」は、日本のチャーハンや焼き鳥と非常に似ている料理です。そのため日本の料理に対しても抵抗感が少なく、調理技術を迅速に習得できます。
3-4.陽気な性格を接客業で活かせる
インドネシア人は、基本的に陽気でフレンドリーな性格です。接客業においてその特性を活かしてもらえば、お客様とのコミュニケーションが円滑になります。明るい雰囲気を持つスタッフは、店舗全体の雰囲気を良くし、リピーターの増加にもつながるでしょう。
インドネシアには、たくさんの日本食レストランがあり、日本の料理や日本のレストランの雰囲気に慣れやすいと思います。
また、インドネシア人はフレンドリーなだけでなく、ほとんどの人が基本的に英語を話せるため、観光客の対応ができます。
4.飲食店でインドネシア人を採用する流れ
飲食店でインドネシア人を採用する場合、全体の流れを確認しておきましょう。適切な採用方法がわかれば、人材の定着とトラブル防止につながります。
以下の記事では採用の流れを詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
5.飲食店でインドネシア人を採用できるビザ
飲食店でインドネシア人を採用する場合、アルバイトとして外国人社員を雇用するか、正社員として雇用するかで、必要な在留資格保持者が異なります。ここでは雇用形態別に、採用できるビザを確認しましょう。
飲食店で外国人を採用する方法は、以下の記事も参考になります。
5-1.正社員雇用の場合
特定技能1号
特定技能は、日本の人手不足を解消するために設けられた在留資格です。外食店で特定技能の外国人を採用する場合には調理、ホールでの接客、店舗管理業務など、さまざまな業務に従事してもらうことができます。
特定技能には1号と2号があり、1号は最長5年間の在留が認められますが、2号は在留期間の上限がありません。
特定技能については、以下でも詳しく触れています。
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技術・人文知識・国際業務
「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」は、技術者や専門家向けの在留資格です。キッチンやホール業務は、単純作業とみなされるため、技人国による採用はできません。
外国人を技人国で採用する場合、以下の要件を満たす必要があります。
- 経営管理やマーケティングなどの業務に従事させる
- 店舗の規模が大きいまたは複数の店舗がある
- 管理業務を任せる場合には個人のデスクがある
※入国管理局から単純作業をさせるのではと疑われない職場環境にしましょう
特定活動46号
特定活動46号は、日本の大学を卒業し、日本語能力試験N1以上の日本語力を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。留学生の就職支援を目的に設けられたもので、実務経験は問われません。ただし取得ハードルが高く、対象者は少ないビザです。
特定活動46号については、以下の記事が役立ちます。
定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等
「定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等(以下、身分系のビザ)」などの在留資格者は、就労に制限がなく、どのような業務に従事しても問題ありません。身分系のビザで外国人を雇用する場合には、在留カードの有無と在留期間を確認しましょう。
【身分系ビザの在留期限】
定住者 | 在留期限があり、更新が必要 |
永住者 | 在留期限なし ※在留カードの切り替えは必要 |
日本人の配偶者/ 永住者の配偶者等 | 在留期限は5年、3年、1年、6か月のいずれか |
在留カードの確認方法に関しては、以下でも詳しく解説しました。
技能
「技能」とは、専門的・技術的分野の在留資格のひとつで、産業上特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事するために必要です。
従事できる業務は調理のみで、ホールスタッフの業務にはできません。また、日本食の調理師としての雇用も不可で、高度な技能を要する外国料理の調理が対象です。
在留資格取得時には、調理師としての実務経験が10年以上必要です。(教育機関での履修期間も含めて10年以上でも可)取得ハードルや業務内容の制限があるため、多くの飲食店にとってはメインターゲットにはなりづらいでしょう。
アルバイト雇用の場合
留学
留学生の場合、1週間に28時間以内でアルバイトとして働けます。もしくは夏休みや春休みなどの長期休暇期間中に限り、週40時間の範囲で就労可能です。
ただしすべてのアルバイト先の合計労働時間に適用されるため、かけ持ちのアルバイト生には注意が必要です。従事できる業務に特に制限はなく、報酬も日本人のアルバイトと同様に時給で問題ありません。
在留期限は学校を卒業するまでの期間が付与され、専門学校・短期大学であれば2年、4年制大学であれば4年間が上限です。留学ビザでアルバイトをするには、入国管理局から「資格外活動の許可」を得る必要があります。
家族滞在
家族滞在は、日本で働く外国人の配偶者等に与えられる在留資格です。資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内の範囲で飲食店アルバイトとして働けます。
家族滞在については、以下でも詳しく解説しました。
特定活動
特定活動は、専門学校・大学を卒業した外国人が就職活動中に取得するビザです。ビザ取得後は、6か月後に1度更新すれば最長1年間在留できます。週28時間以内の範囲で働けるビザなので、短期アルバイトとして採用しやすいでしょう。
定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者等
身分系の在留資格を持つ外国人は、アルバイトとしても飲食店で働けます。在留期間や就労制限については、正社員の項目で解説した内容と同様です。
6.インドネシア人を採用する上での注意点
インドネシア人を採用する際には、文化や習慣の違いを理解し、適切な対応をすることが重要です。ここでは、インドネシア人を採用によるトラブル防止のために、注意点をまとめました。
6-1.イスラム教の食文化を理解する
インドネシアはイスラム教徒が多く、食文化にも影響を与えています。ハラル食品を提供することや、豚肉やアルコールを避けることが求められます。従業員が安心して働けるように、イスラム教の食文化を理解し、配慮することが大切です。
イスラム教への配慮に関しては、以下で詳しく解説しました。
6-2.時間の重要性を伝える
インドネシアでは時間に対する感覚が日本と異なることがあります。日本のビジネスシーンにおける、時間厳守の重要性を事前にしっかりと伝えることで、トラブルを防止します。具体的なルールや期待を明確に伝えることがポイントです。
6-3.怒鳴る・叱るのは控える
インドネシア人は穏やかな性格の人が多く、怒鳴られることに対して強いストレスを感じることがあります。指導や注意をする際には、怒鳴るのではなく、言葉で丁寧に伝えるように心がけましょう。これにより、信頼関係を築きやすくなります。
インドネシアの女性は常にヒジャブを被る必要があり、外すことは不可能ですので、その点を理解して受け入れてあげてください。
インドネシア人は比較的ジョブホッパー(短期間で転職する人)が多い傾向にあります。長く働いてもらうためにも、日頃から丁寧に関わるように心がけることが大切です。
6-4.宗教祭日手当(THR)を支給する
勤続期間が1か月以上の従業員には、宗教祭日手当(THR)が支給されます。インドネシアはイスラム教徒が多い国であり、毎年ラマダン(断食月)という重要な宗教行事が行われます。ラマダン終了後の祭日、レバラン休暇(ラマダンの終わりを祝う日)に合わせて、企業は宗教祭日手当(THR)を支給する義務があります。
補足として、イスラム教徒は通常1日に5回祈る必要があります(勤務時間中もあります)。しかし私の経験では、日本で働くインドネシア人の多くは昼休みに1回だけまとめてお祈りをしています。そのため、祈りを行うためのプライベートな部屋、例えば休憩室を用意してあげてください。(通常は10~15分です)。
6-5.残業代・各種手当に配慮する
インドネシアの労働法は、「労働者保護」を重視しています。残業代は基本給の2倍(最大4倍)、かつ各種手当(例:食事手当、通勤手当、役職手当)も手厚いのが一般的です。インドネシアの基準に合わせることが難しい場合には、事前にしっかり説明して、お互いに納得したうえで採用しましょう。
6-6.実習生が失踪しない職場環境にする
※出典:技能実習生の失踪者数の推移 (令和元年)|法務省
近年、日本では外国人の「失踪」が問題視されています。失踪の主な理由は、低賃金や過酷な勤務態勢、パワハラなどです。
失踪が起こった会社では、外国人労働者に対する配慮が欠けていたと考えられます。不当な労働環境にしないのはもちろん、日本という不慣れな異国でも安心してもらえるように特別な働きかけが必要です。
例えばコミュニケーションルートの確保も重要です。同僚や上司、外国人労働者同士のコミュニティ、登録支援機関とのつながり、出身国機関との連携など複数あるのが望ましいといえます。
採用前だけでなく採用後も、情報提供や定期的なフォローを心がけましょう。困り事がないか気を配り、仕事内容や職場環境に不満・不安がある場合には早めに対応することが大切です。
長く働いてもらうためにも円滑なコミュニケーションを図ることが重要です
外国人労働者とのコミュニケーションに不安な方はこちらをダウンロードください。
まとめ
インドネシア人を飲食業界で採用することは、労働力不足の解消に有効な手段です。親日国のインドネシア人は、日本で働く意欲を持つ人も増加傾向にあります。採用すれば、飲食店にとって貴重な戦力となります。
しかし採用にあたって適切なビザの取得や文化理解をつうじた配慮が必要です。
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