グローバル採用とは?外国人雇用のメリット・デメリット、採用の流れ、成功ポイントを解説

執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)

現在、日本以外の国籍を持つ人材を採用するグローバル採用が増えてきました。
国内市場だけでなく、海外市場への事業展開を目指す企業にとって、グローバル採用は大きな足がかりになるでしょう。また、若い人材が多いので社内の活性化にもつながりますし、人手不足の解消にもなります。

この記事では、グローバル採用の概要と、メリット・デメリット、成功するポイントについて解説しました。採用の流れにも触れているので、これから取り組む企業の参考になるでしょう。

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目次

1.グローバル採用とは

グローバル採用とは、日本以外の国籍の人材を採用することを指します。企業が世界中から優秀な人材を集め、多様な視点やスキルを活かすための戦略です。これにより、企業は新たな市場への進出や、グローバルな競争力の強化を図れます。

海外にある子会社(現地法人)で外国人を採用することもグローバル採用の一部です。現地の言語や文化を理解した人材を採用することで、現地市場への適応力を高め、海外進出を支えます。これらの採用戦略は、企業がグローバルに展開する上で欠かせない要素だといえるでしょう。

2.日本で働いている外国人の国際比率

※参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省

日本で働いている外国人の国籍は多様ですが、特に多い国籍は以下のとおりです。

  • ベトナム:462,384人(全体の25.4%)
  • 中国:385,848人(全体の21.2%)
  • フィリピン:206,050人(全体の11.3%)

これらの国籍を持つ外国人労働者は、日本で働く外国人の大部分を占めています。そのため日本企業にとって、グローバル採用における情報収集が容易で、比較的受け入れやすい国籍です。

雇用する際は、これらの国籍を持つ外国人が候補になるかもしれません。事前に母国の文化やビジネスマナーをチェックしておくと、採用のイメージが湧きやすいでしょう。

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3.グローバル採用のメリット

グローバル採用は、企業が新たな視点やスキルを取り入れ、ビジネスをさらに発展させるための重要な戦略です。以下では、その具体的なメリットを紹介します。

3-1.画期的なアイデアが創出される

外国人労働者は、異なる文化や経験を持っています。そのため、新しい視点やアイデアが生まれやすく、企業の革新を促すでしょう。

例えば、ある日本の自動車メーカーが、インド出身のエンジニアを採用した場合、このエンジニアは、インドの道路状況や運転習慣についての深い理解があるでしょう。その知識を活かして、インド市場に最適化した新型車の開発に貢献することができます。

外国人材による画期的なアイデアの創出は、企業が競争力を保つためには欠かせません。

3-2.社内規定見直しのきっかけになる

外国人労働者を雇用することで、企業は自身の社内規定を見直す機会を得ます。なぜなら多様な文化背景を持つ従業員にとっても「働きやすい環境」が必要だからです。

具体的な取り組みとして、フレックスタイム制度の導入や、多言語対応の研修プログラムの整備が挙げられます。また同時に昇進制度や福利厚生を見直せば、外国人だけでなくすべての従業員にとって働きやすい会社になるでしょう。

3-3.海外進出の足がかりができる

外国人労働者は、母国の言語や文化を理解しています。そのため企業が海外市場に進出する際、彼らは大切なサポーターになるかもしれません。  例えば、あるアパレル企業がヨーロッパ市場に進出を考えている場合、同社がフランス人デザイナーを採用したら、フランスのファッショントレンドや消費者の嗜好について共有してもらう機会が得られるでしょう。

その知識と経験は、同社がヨーロッパ市場に適応する大きな力となります。このように、外国人労働者の採用は海外進出の足がかりとなるのです。

4.グローバル採用のデメリット

グローバル採用は多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。以下では、その具体的なデメリットを紹介します。

4-1.日本語が流暢だとは限らない

外国人労働者が日本語を流暢に話すとは限りません。もしある企業が英語を母国語とするエンジニアを採用した場合、日本語を完全に理解できない可能性があります。

これはコミュニケーションの障壁となり、誤解が生まれやすい状況です。日常的な会話や業務上の指示について理解するのが難しくなり、作業の遅延やミスを引き起こすかもしれせん。

また日本語が読めない場合、社内文書や規定、手続きの説明など、日本語で書かれた書類が理解しにくいでしょう。そのため外国人の受け入れでは、必要に応じてサポートが必要です。多言語対応の教育資料、またはやさしい日本語で説明するなどの対応をしましょう。

講師|松本

日本語力を図る「日本語能力試験」は多くの外国人が取得していますが、スピーキングやライティングのスキルは問われません。ですので高い級を持っていたとしても日本語が流暢に話せるとは限らないのです。
そのため、外国人の入社後も日本語の支援を行うことが求められます。

4-2.互いの文化を理解しなければならない

外国人労働者によっては、日本のビジネスマナーや社会規範に慣れるまでには時間がかかるでしょう。しかし日本の価値観を押し付けるのではなく、文化の違いに配慮したサポートが必要です

外国人は、日本の「空気を読む文化」に慣れていない場合があります。そのため、曖昧な言葉で伝えず、明確な指示がよいでしょう。また日本人に比べて、時間にルーズな外国人がいるかもしれません。相手の文化を尊重しつつ、日本人の時間に対する考え方を伝える必要があります。

講師|松本

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5.グローバル採用を成功させるポイント

グローバル採用を成功させるには、いくつかのポイントがあります。他国から多様な人材を確保するために、3つのポイントを解説しました。

5-1.入社後も日本語教育をする

外国人労働者が日本語を完全に理解していない場合、企業は入社後も日本語教育を提供することが重要です。入社後も日本語教育をすることで、業務上の指示を正確に理解し、効率的に作業が進められるでしょう。これにより、プロジェクトの進行がスムーズになり、生産性の向上が見込めます。

外国人から企業に寄せられる不満の多くは、「業務で使う日本語の難しさ」です※。続いてコミュニケーションの困難さも挙げられています。不満が溜まると、せっかく雇用した外国人が早期に辞めてしまうかもしれません。日本語教育は、企業にとっても外国人にとっても重要だといえます。

※参考:外国人雇用に関する企業の意識・実態調査

外国人の日本語教育についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

5-2.社内のグローバル化を推進する

社内のグローバル化を推進することも重要です。ひとつの例として社内公用語を英語にすると、外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にし、一体感が生まれるでしょう。 また社内で異文化交流会を開催することで、職場の雰囲気が改善し、チームワークを高める可能性もあります。企業全体としてのグローバルな視野が広げて、日本人も外国人も働きやすい環境にしましょう。

5-3.信頼できる人材紹介会社を利用する

グローバル採用にあたり、企業にはいくつかの採用条件があるでしょう。スキルや日本語能力、勤務経験など求める条件が多いほど、人材紹介会社の利用をおすすめします。紹介を受けることで、条件とマッチする人材が見つかりやすいからです。

ただし信頼できる人材紹介会社を利用することが大切です。信頼性を確かめるには、外国人材紹介の実績があるか、公式サイトで紹介事例を公開しているかで判断できます。

また人材紹介会社によっては外国人の受け入れにあたり、日本語教育やビジネスマナーの研修・サポートも実施しているためチェックしてみましょう。

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6.グローバル採用の注意点

グローバル採用において、その過程で注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、それらの注意点と対応についてまとめました。

6-1.在留カード(身分証)を確認する

外国人労働者を雇用する際、日本で働くことが法律的に許可されている在留資格かを確認します。在留カードには、その人が持つ在留資格や在留期間が記載されています。これらの情報を確認し、自社で働くことが適切であるかを判断しましょう。

在留カードは、偽造も増えているといわれています。法的トラブルの対策として、以下の記事で詳しく解説しました。

6-2.給料は日本人と同等かそれ以上

外国人労働者に対する給与は、日本人労働者と同等かそれ以上でなければなりません。これは日本の労働基準法に基づくもので、外国人労働者に対する公平な待遇を保証するための重要な原則です。企業は、原則を遵守し、外国人労働者に対して適切な給与を支払いましょう。

外国人労働者の給与については、以下でも解説しています。

7.グローバル採用の流れ

グローバル採用の流れを確認すると、適切な人材の採用や法的トラブルの回避につながります。そこで必要な手順をステップ1~6で解説しました。

STEP
在留資格を理解する

在留資格とは、外国籍の人に対して「日本に滞在してもよい」という許可のことです。例として「技術」「人文知識・国際業務」「特定技能」などの在留資格があります。

これらの在留資格によって日本での活動範囲が決められているので、詳細を正しく理解し、求める人材がどの在留資格に該当するかを確認しましょう。

在留資格については、以下で詳しく解説しています。

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STEP
採用要件を決定する

求人票に記載する、採用要件を決定しましょう。主に記載すべき事項は、以下のとおりです。

  • 日本語能力
  • 業務経験
  • スキル
  • 人柄・価値観

任せたい業務に必要な日本語能力やスキルに考慮して、具体的に設定しましょう。また配属予定の部署で、外国人のスキルが活かされるかも検討するポイントです。日本語が苦手な外国人を、国内営業部や日本人向けの接客スタッフとして雇用しないように注意しましょう。

STEP
採用手段を選ぶ

グローバル採用の手段として、求人サイトが選択肢に入るでしょう。外国人労働者を対象とした求人サイトは、求人情報を掲載し、外国人労働者が閲覧して応募する仕組みです。求人サイトでは、比較的低コストで外国人労働者が日本で働くための在留資格や、企業が求めるスキルや経験を明示できます。しかし自社に合わない外国人からの応募がたくさん来る場合があります。

人材紹介会社を利用する場合、企業が求めるスキルや経験を持つ外国人労働者を紹介してもらえます。そのため企業は、自ら求める人材を探す手間がかかりません。しかし紹介料は多少高くなってしまう可能性があります。

STEP
選考・採用

適切な人材を見つけたら、選考プロセスに入ります。書類審査や面接でスキルや人柄をチェックして、企業のニーズに合った人材を採用します。 グローバル採用における選考・採用の段階では、以下の点が特に重要です。

1. カルチャーマッチ企業の社風や価値観に適合するかを評価する
2. 採用プロセスの提示選考の進行状況や結果をタイムリーに明確に伝える
3. 公平な選考すべての応募者に公平にチャンスを与えて、多様な人材を獲得する
4. 法的な要件の遵守在留資格や労働許可など、法的な要件を満たしているかチェックする

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STEP
在留資格の確認・変更申請

採用が決まったら、在留資格の確認や必要に応じて変更申請を行います。 在留資格は、在留カードにて確認するのが基本です。なかには偽造カードもあるため、以下の記事を参考に記載内容をチェックしましょう。

外国人が現在保持している在留資格では自社で働けない場合、在留資格を変更する必要があります。
変更の手順は下記の通りです。

  1. 採用予定の外国人が、就労ビザの取得の条件を満たしているかを確認・調査する。
  2. 企業と外国人の間で、雇用契約を結ぶ。
  3. 在留資格変更許可申請書、添付書類を準備し、出入国在留管理局へ申請する。
  4. 変更許可が下りたら、出入国在留管理局で新たな在留カードを受け取る。
  5. 採用された企業に勤務する。

詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。

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STEP
社内環境を整える

外国人労働者が働きやすい環境を整えます。例えば、日本語の教育や、異文化理解のための研修などを提供しましょう。

外国人労働者が働きやすい環境を作るためには、言語面でのサポートが必要です。日本語の聞き取りや読み書きが苦手な外国人に対しては、やさしい日本語での対応や多言語マニュアルの整備に取り組みましょう。

また異なる文化背景を持つ人々がともに働くためには、相互理解と尊重がなければ成り立ちません。外国の文化を体験する食事会・イベントを社内で開催するのもおすすめです。外国人労働者も日本人スタッフも、互いの文化を受け入れるための工夫をしましょう。

STEP
受け入れ開始

外国人労働者の受け入れを開始します。新たなメンバーがスムーズに職場に馴染むよう、オリエンテーションやメンター制度などを設けることが考えられます。 外国人採用に関して、以下でも詳しく解説しています。

8.グローバル採用の成功事例

グローバル採用のイメージが湧かないと、本腰を入れて取り組めないでしょう。そこで実際に外国人を採用して成功した事例を紹介します。

8-1.特定技能「宿泊」で外国人を採用

旅館におけるグローバル採用の成功事例を紹介します。

採用のきっかけ       外国人観光客の増加による多言語対応調理場や料理提供のスタッフの人手不足
受け入れた人材の国籍ベトナム国籍、ネパール国籍
外国人のビザ特定技能
情報収集の方法国民性や文化についてリサーチしていた
採用に対する不安点外国人労働者が日本の文化に馴染めるか
採用後の感想お客様から「笑顔が素敵で家族のように親切に接してくれた」と採用したネパール人に高評価の口コミがあったベトナム人は真面目で丁寧に仕事をしてくれて、日本人のお客様に威圧感を与えることなく
  

こちらの成功事例は、企業様にインタービューした記事を公開しています。

8-2.特定技能「介護」で外国人を採用

介護施設(グループホーム)におけるグローバル採用の成功事例を紹介します。

採用のきっかけ       介護スタッフの人手不足求人を出しても応募がない
受け入れた人材の国籍ベトナム国籍
外国人のビザ特定技能
情報収集の方法自ら調べたり知人の施設に聞いたりした
採用に対する不安点外国人雇用の知識がなく不安だった職員同士のミスコミュニケーションはあるだろうと思っていた
採用後の感想日本で介護スタッフの経験がある人材を採用したため、仕事面での不安はあまりなかった目上の人に対しての礼儀がきちんとしていたコミュニケーションでの認識のズレがあり、日本語の上達に期待している

こちらの成功事例は、企業様にインタービューした記事を公開しています。

9.まとめ

グローバル採用は、求めるスキルや社風にマッチした外国人を雇用しましょう。受け入れる際には、社内のグローバル化や日本語教育の実施により、外国人にとって働きやすい環境を整えることが重要です。

ただしグローバル採用に不慣れな場合、採用活動の進め方に戸惑うかもしれません。またどのような外国人が自社に適しているのか、定義するのも簡単ではなりでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)の講師兼就職支援室長。
所有資格:行政書士・外国人実習雇用士

今まで500名以上の「技術・人文知識・国際業務」外国人を就職に導く。外国人との対話は笑顔とフランクさを信条に、外国人生徒からの人気No1の先生。

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