特定技能「介護」の外国人は夜勤ができる!従事できる業務や採用するメリットも解説!
執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門
監修者:麥生田 勇(行政書士)
人手不足が深刻な介護業界で、特定技能「介護」で外国人介護士を雇用しようと考えている経営者・採用担当者の方は多いかと思います。
特定技能「介護」では日本人スタッフ同様に夜勤が可能です。この記事で詳しく解説します。
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1. 特定技能「介護」では一人で夜勤可能
特定技能「介護」で雇用された外国人は、一人での夜勤が可能です。夜勤以外の交代制の勤務もすることができます。
在留資格「特定技能」は人手不足が深刻な業界の、人手不足の解消を目的に新設された在留資格なので、基本的にこの資格を持つ外国人は同じ施設で働いている日本人と同じ勤務形態・業務が可能です。
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技能実習では2年目以降で技能実習生以外の介護職員と複数体制なら可能
同じく介護施設で外国人を雇用する在留資格として「技能実習」があります。
技能実習の場合は、実習が2年目以降で、技能実習生以外の介護職員(主として技能実習指導員)を含む複数体制であれば夜勤勤務が可能です。つまり、技能実習生単独で夜勤をすることはできません。
在留資格「技能実習」は、日本の人手不足の解消のためではなく、国際貢献の一環として日本の先進技術を発展途上国に移転するための在留資格だからです。
在留資格「特定技能」と「技能実習」の違いについては、こちらの記事も参考にしてください。
【最新情報】訪問介護を特定技能外国人も従事可能に
外国人人材の介護訪問サービスについて、今は認められていない在留資格「特定技能」の人も従事できるようになります。2024年3月22日、厚生労働省の有識者検討会で大筋了承され、2025年度の実施を見込んでいます。
訪問介護サービスでは、介護を必要とする個人宅を訪れ、直接サービスを提供する形態が基本です。これまでは、在留資格「介護」の保持者、または介護福祉士の資格をもつ経済連携協定(EPA)の出身者に限られていましたが、今回の検討で特定技能に加え、技能実習とEPAに基づく介護福祉士の候補者が解禁されます。この3資格で介護現場で働いているのはおよそ4万6000人に上ります。
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2. 特定技能「介護」で外国人が従事できる業務
特定技能「介護」で雇用された外国人が従事できる仕事は、身体介護と支援業務のみです。訪問系サービスは不可となっています。
業務内容 | ・支援業務 (レクリエーションの実施、機能訓練の補助など) ※訪問系サービスは今後追加予定 | ・身体介護 (利用者の心身の状態に応じた入浴・食事・排せつの介助など)
施設形態 | 介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められている施設 |
他に介護施設で外国人を雇用できる在留資格は4つ(特定技能、技能実習、介護、特定活動(EPA))あります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
[出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運行要領」]
3. 特定技能「介護」で外国人が就業可能な対象施設
出典:法務省「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書」
特定技能外国人を受け入れ可能な介護施設は、「介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認める施設」に限定されています。
4. 特定技能「介護」で外国人を採用するメリット
介護施設で、「技能実習」や「介護」などの他の在留資格ではなく在留資格「特定技能」で、さらに日本人ではなく外国人を採用するメリットは以下の通りです。
- 採用できる人数が多い
- 一つの事業所における外国人の受け入れ人数が多い
- ある程度の日本語力、介護の知識を持った外国人を採用できる
- 長く働いてもらえる
それぞれ詳しく解説します。
4-1. 特定技能「介護」の外国人の母数が多い
「2. 特定技能「介護」で外国人が従事できる業務」で触れた通り、特定技能「介護」以外にも在留資格「介護」や、EPA介護福祉候補者などのビザで日本に滞在している外国人を採用することができます。
これらのビザに比べて、特定技能「介護」で外国人を雇用するメリットは、採用できる外国人の母数が多いことです。
また政府は令和6年度から10年度末の5年間の特定技能介護外国人の受け入れ見込みを135,000人としています。今後は一気に特定技能外国人が増える見込みですので、今のうちに採用してノウハウを付けておくことをお勧めします。
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4-2.一つの事業所における外国人の受け入れ人数が多い
特定技能「介護」の外国人の受け入れ人数は、各事業所の日本人等の常勤介護福祉士の数が上限となっています。
日本人等に含まれる人材は以下の通りです。
- 身分系在留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等)を持つ外国人常勤介護福祉士
- 在留資格「介護」を持つ外国人常勤介護福祉士
- EPA介護福祉士
特定技能「介護」では1つの事業所で即戦力となる外国人労働者を事業所にいる常勤介護福祉士の数だけ採用できるため、人手不足の解消に大きく貢献するでしょう。
4-3.ある程度の日本語力、介護の知識を持った外国人を採用できる
特定技能「介護」を取得するためには以下3つの試験に合格しなければなりません
- 日本語能力試験N4レベル以上または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上
- 介護日本語評価試験
- 介護技能評価試験
日本語能力試験N4レベルは「日常的な事柄について、ゆっくりと話せばコミュニケーションが取れる」程度の能力です。
しかし、特定技能「介護」を持つ外国人は、これに加えて介護日本語評価試験も合格しています。この試験では介護についての知識を日本語で問うため、介護福祉士が日常的に使う専門用語を理解しなければなりません。
介護の専門用語・知識を備えている外国人を数多く採用できるのが、特定技能「介護」のメリットの1つです。
実際に外国人はどのくらい日本語力があるのかこちらの資料で解説しています
4-4.長く働いてもらえる
日本人の介護職員の離職率は非常に高く、採用した約40%の人が1年未満で離職してしまいます。
特定技能「介護」で採用した外国人介護職員は、4か月・6カ月・1年ごとのいずれかの期間で更新を行いながら、通算5年まで日本で働くことができます。
特定技能「介護」職の外国人介護職員は、日本人職員より定着が良く、離職率は制度開始からの5年間で約10.6%と、特定技能職種の平均離職率(16%)より低くなっています。
※出入国在留管理庁HPより引用
離職率が高い日本人よりも、長期で働く人材を確保できるので、介護施設の安定した運営にも繋がります。
実際に特定技能介護で働くベトナム人がどんな思いをもって日本に来て働いているのかインタビューをしてみました
5. 特定技能「介護」で外国人を採用する方法
特定技能「介護」で外国人を採用するには、大まかに6ステップあります。
- 施設・外国人双方の要件を確認
- 登録支援機関を選ぶ
- 雇用条件・給与の設定
- 求人募集を開始
- ビザ申請
- 入社
特定技能「介護」の採用の流れについては、こちらの記事も参考にしてください。
5-1.施設・外国人双方の要件を確認
5-1-1.外国人が就業可能な施設の要件
まず、「2. 特定技能『介護』で外国人が従事できる業務」「3.特定技能『介護』で外国人が就業可能な対象施設」で触れた通り、特定技能外国人を受け入れられる施設と、外国人本人の要件を確認します。
5-1-2.外国人本人の要件
特定技能「介護」を取得するには試験に合格しなければなりません。
- 日本語能力試験N4レベル以上または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上
- 介護日本語評価試験
- 介護技能評価試験
しかし、介護職種の技能実習を修了した外国人は3つすべての試験が免除されます。
技能実習から特定技能への在留資格の切り替えについては、こちらの記事も参考にしてください。
さらに、在留資格「特定技能」は転職が可能で、同じ介護分野から転職する人の場合もすべての試験が免除になります。
5-2.登録支援機関を選ぶ
特定技能外国人を受け入れるためには、受入施設が特定技能外国人受入れのための支援計画を策定し、10項目の支援を行わなければなりません。
しかし、10項目の支援業務は負担が大きく、初めて特定技能外国人を受け入れる企業の多くはこの支援業務を登録支援機関に委託しています。
登録支援機関の役割・選び方などはこちらの記事を参考にしてください。
5-3.雇用条件、給与の設定
特定技能「介護」で外国人を採用する際には以下の3点の条件を踏まえて雇用条件・給与を決定する必要があります。
- フルタイムの直接雇用であること
- 給与・手当ともに同等の技能を持つ日本人従業員と同等またはそれ以上であること
- 業務内容は身体介護と支援業務がメインであること
特に2つ目の「同等の技能を持つ日本人と同一またはそれ以上の賃金」には注意が必要です。
外国人だからという理由で不当に給与に差をつける、手当や福利厚生の一部を除外するといった取り扱いがある場合には、出入国在留管理局での在留資格の審査が不許可になってしまいます。
5-4.求人募集を開始
雇用条件や給与を決定したら、外国人の募集を開始します。特定技能ビザは他施設からの転職も可能ですので、未経験の人を募集するのか、それともすでに他施設で働いている人を募集するのかなど、募集する人材の条件をはっきりさせるとよいでしょう。
募集方法は以下のようなものが挙げられます。
- 直接採用(自社のホームページで募集、SNSを通じて求人情報を発信するなど)
- 登録支援機関に人材紹介を依頼
- ハローワークなどの公的機関を利用
- 国内外の民間職業紹介機関を利用
- 介護福祉士養成施設などの専門学校や日本語学校などと連携
外国人との面接で何を聞いたらいいかわからないという方は「外国人採用面接質問シート」をご覧ください
5-5.ビザ申請
外国人に内定を出し、雇用契約を結んだら、施設から出入国在留管理局に特定技能「介護」の在留資格(ビザ)申請をします。外国人がすでに日本でビザを持っている場合は在留資格変更申請、海外在住者の場合は在留資格認定証明書交付申請を提出します。
在留資格の交付申請は原則、外国人本人または外国人を受け入れる企業が出入国在留管理局に赴いて行いますが、オンラインでの申請も可能です。
国内在住の外国人を採用する場合は外国人本人が、海外在住の外国人を採用する場合は受け入れ企業が申請を行います。
このビザ申請も登録支援機関に委託可能です。
5-6.入社
特定技能「介護」の在留資格を取得、または変更ができたら外国人従業員の入社手続きを行います。
健康保険・厚生年金加入の手続きは日本人従業員の場合と変わらないです。
また、外国人であっても雇用保険加入の手続きも必要です。受け入れ企業が雇用保険加入の手続きを行った場合「外国人雇用状況の届出」の提出が不要になります。
6.まとめ
特定技能「介護」で雇用された外国人介護福祉士は一人夜勤が可能です。
外国人採用を考えている介護施設の採用担当の方は、一定水準の日本語能力と介護福祉士としての知識を持つ特定技能外国人を採用してみてはいかがでしょうか。
当スクールでは特定技能外国人の採用に関するご相談を承っていますので、具体的な採用方法について相談したい方はお気軽にお問い合わせください。