インドネシア人を介護職で採用するには?在留資格の種類や採用の流れをわかりやすく解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

日本では少子高齢化社会が加速しており、大勢の高齢者を少ない若者が支えるような社会構造になろうとしています。そんな中、介護を必要とする高齢者が増える一方で介護職を担う労働力が慢性的に不足していることが大きな社会問題になっている状況です。

介護職の人手不足を払拭するため、特定技能「介護」を活用した外国人労働者の確保に期待が集まります。中でも、インドネシア人が介護職で採用されるケースが急増している状況です。今回はインドネシア人を介護職で採用する方法やインドネシア人の特徴などをご紹介します。

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目次

1.介護職に従事するインドネシア人は増えている

新型コロナによる規制も緩和されたことにより日本で働く外国人数は増加しており、インドネシア人も増加傾向にあります。

1-1.特に特定技能「介護」に従事するインドネシア人が急増している

引用:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」

特定技能「介護」を利用してインドネシア人が初めて日本に在留し始めたのは令和元年9月以降で、特定技能「介護」を利用する外国人がわずか16人しかいない中、インドネシア人は2人のみでした。その後令和2年6月末になると、介護で在留する外国人が170人いる中で43人と既に大きな伸びを見せています。

その後も特定技能「介護」で来日するインドネシア人は急増し、令和5年6月末時点では介護で在留する外国人が21,915人いる中で、インドネシア人は5,229人。令和元年9月末時点からは4年弱しか経過していない中で、5,000人以上が来日しています。

一方、特定技能「介護」で来日する外国人も令和4年と令和5年の同時期で比較すると、倍以上の伸びを見せています。その中でもインドネシア人は3倍近い伸びを見せるなど、介護の需要の高さとその需要に対してインドネシア人が供給側として支える構図になっていることは明らかです。

2.インドネシア人が介護職に従事できる在留資格

インドネシア人が介護職に従事できる在留資格は大きく分けて4つあります。

  • 特定技能「介護」
  • 技能実習「介護」
  • 在留資格「介護」
  • 特定活動「EPA(経済連携協定)」

インドネシア人が介護職に従事できる4つの在留資格について詳しくご紹介します。

2-1.特定技能「介護」

1つ目は特定技能「介護」です。2019年に新たな在留資格として誕生した特定技能は、慢性的な人手不足に対応するために作られました。先ほどもご紹介した通り、特定技能「介護」で在留する外国人は急増しており、わずか4年で21,915人にまで増えています。

特定技能全体での受け入れ人数は2019年度から2023年度までに345,150人を想定し、介護に関しては当初60,000人、その後新型コロナウイルス感染拡大などの影響を考慮し、50,900人に下方修正したものの、令和5年6月末時点で21,915人であることを考えるとまだまだ余裕があります。インドネシア人が特定技能「介護」で働くケースは今後も増えることが予想されます。※

※:出入国在留管理庁:「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(分野別運用方針)」

また、この制度は人手不足を解消するために作られ、特定技能外国人も急増していることから人手不足解消を目的に外国人を雇うなら最も採用しやすいといえるでしょう。

特定技能介護について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

特定技能についてさらに詳しく知りたい方は「特定技能まるわかり資料」をダウンロードください

2-2.技能実習「介護」

2つ目は技能実習「介護」です。当初技能実習制度では介護の職種はありませんでしたが、2017年11月に技能実習法が施行され、介護職が追加されています。

またこの制度は我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的」としていますが、2015年に検討された際には、外国人が担当するシンプルな仕事のようなイメージにならないようにすることや、サービスの質、日本人労働者の頑張りが損なわれないようにするなどの要件がまとめられ、制度設計が行われました。

結果として、入国時から日本での日常会話がある程度できる日本語能力試験N3レベルが望ましいとし、入国後講習では320時間のうち240時間を日本語に費やすなどコミュニケーション第一の固有要件が作られています。(※)

※:厚生労働省:「技能実習「介護」における固有要件について

ただ特定技能と比べて任せられる業務の幅が狭いことがあげられます。技能実習、また特定技能との違いを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

技能実習制度は廃止される?

2023年9月、技能実習の人権上の問題が指摘され続けた結果、政府は技能実習制度の解消を表明しました

参考:朝日新聞デジタル|ついに終わる外国人技能実習、30年の光と影 新制度への真の教訓は

技能実習制度に代わる新しい制度が導入される可能性もありますが、まだ政府からの正式な発表がないので、技能実習制度に関する最新情報は常に確認する必要があるでしょう。

2-3.在留資格「介護」

3つ目は在留資格「介護」です。在留資格として介護が認められたのは2017年9月と最近です。在留資格「介護」が認められるには以下の要件を満たす必要があります。

  • 介護福祉士の取得
  • 介護施設との雇用契約
  • 介護の仕事もしくは介護の指導を行っている
  • 日本人と同等以上の報酬である

在留資格「介護」を得るルートとしては、留学生として介護福祉士の養成施設に入ってから介護福祉士の資格を得るルートや特定技能などで介護施設で働き、介護福祉士の資格を得るルートから在留資格までたどり着く形です。

現状は介護福祉士の養成施設に入れば当面試験なしで介護福祉士の資格が条件付きで得られ、5年の実務経験で正式な資格となります。

幅広い業務も任せられますし、永続的に日本に滞在できますが、即戦力人材ですので人材を探すのが比較的難しいです

3-1.特定活動「EPA(経済連携協定)」

4つ目は特定活動「EPA(経済連携協定)」です。今までは慢性的な人手不足を想定した制度でしたが、あくまでも経済連携協定とあって、経済的な関係性、結びつきの強化を想定した制度です。一定以上の日本語レベルに到達したインドネシアで働く介護士を招いて、日本の介護福祉士の資格を得ます。

一方で国家試験のチャンスは1回の特定活動の中で最大2回、仕事をしながら国家試験の勉強を行う形になるため、合格率は若干低めです。これは日本語の壁が高いことが要因とされています。

これらの在留資格の違いはこちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

3.インドネシア人の特徴6選

ではインドネシア人介護士を採用する前に、インドネシア人の特徴をいくつかご説明します。インドネシア人の特徴は以下の通りです。

  • 陽気な性格
  • 助け合いの精神が強い
  • 家族を大切にする
  • 米食文化だけど食事制限がある
  • 時間にルーズ
  • 怒られることに慣れてない

インドネシア人が持つ気質、特徴について詳しくご紹介していきます。

3-1.陽気な性格

1つ目は陽気な性格です。赤道直下にあるため、常に温暖な気候ということもあり、温厚な人が多く、性格も陽気な人が目立ちます。何事も前向きに、明るく取り組むため、難しい局面でも楽観的に取り組もうとする傾向にあります

またフレンドリーな性格の方も多く、介護職においてコミュニケーションにも活用できるため、インドネシア人の性格は介護職と相性がいいと言えるでしょう。

3-2.助け合いの精神が強い

2つ目は助け合いの精神が強いことです。インドネシアでは相互扶助の精神が行き届いており、別名「ゴトン・ロヨン」と呼ばれています。ゴトン・ロヨンは現地の言葉で一緒に運ぶという意味があり、それが相互扶助を表す言葉として用いられているのです。

ジャワ島ではそれぞれの村において全員が話し合う文化があり、この話し合いから一緒に作業を行うなどの動きにつながり、ゴトン・ロヨンの精神に発展していきました。伝統的に助け合いの精神が強く、介護職にも通じる精神と言えるでしょう。

3-3.家族を大切にする

3つ目は家族を大切にすることです。ゴトン・ロヨンの精神にも通じるもので、インドネシアでは伝統的に家族を重んじる傾向にあります。元々困っている人がいたら助けるという文化が強く浸透していることや、目上の人を敬うことを教育されてきました。

大家族が世界的にも多いとされるインドネシアではひとつ屋根の下に三世帯が住むケースも。家にいる祖父母など高齢者に対しても自然と優しく接し、配慮が行き届いています。自然と高齢者に優しくできるという状況は、介護職とかなり通じる部分と言えます。

3-4.米食文化だけど食事制限がある

4つ目は米食文化だけど食事制限があることです。インドネシアは米が主食であり、パン食が増えた日本よりも米食文化が根強いと言えます。米なしの生活はあり得ないくらい、インドネシア人にとって米は必要不可欠な食材です。

一方で、インドネシア人の約9割がイスラム教徒であり、イスラム教徒が食べてはいけないものも多く、食事制限を強いられることも。有名なのは豚肉やアルコールの禁止です。またラマダンと呼ばれる断食月に突入すれば、太陽が出ている間は飲食ができません。インドネシア人を採用する際にはラマダン時期の対応に注意が必要です。

3-5.時間にルーズ

5つ目は時間にルーズな点です。インドネシアでは時間に正確ではなく、時間の概念が柔軟すぎるということで「ゴム時間」とも呼ばれています。ゴム時間の要因はいくつかあり、赤道直下の気候で外で待つのに適さないという理由やインドネシアの交通網が整備されていない背景も要因です。

遅刻するのが当たり前で、ちょっとした遅刻は気にならない人が多く、マイペースさにつながる部分もあります。そのため、いきなり遅刻を注意すると、インドネシア人によっては驚いてしまう人がいても不思議ではありません。

3-6.怒られることに慣れてない

6つ目は怒られることに慣れてないことです。インドネシア人の9割を占めるイスラム教徒ですが、イスラムの教えでは、怒りは耐え忍んで抑えることが推奨されています。つまり、怒りの感情を他人にぶつけることは好ましくないという教えです。

インドネシアでは人前で怒る人はみっともないとされ、人前で怒られることを最大の侮辱と捉える人もいます。そのため、小さい時から怒られ慣れていない人が多く、怒られることそのものに慣れていません。

日本では、「怒られるうちが華」という言葉があるように、怒られることは期待の裏返しという文化があります。こうした文化の存在を前もって伝えるなど、侮辱するために人前で怒るわけではないことを伝える必要があるでしょう。

4.インドネシア人と働く上でのポイント

インドネシア人と働く上で、主に3つのポイントに気を付ける必要があります。

  • 時間の重要性をしっかり伝える
  • 「叱る」のではなく「話し合う」ことを心がける
  • イスラム教を理解する

インドネシア人と働く上でのポイントについて詳しくご紹介していきます。

4-1.時間の重要性をしっかり伝える

1つ目は時間の重要性をしっかり伝えることです。インドネシアでは「ゴム時間」が一般的であり、ちょっとした遅刻が許容されていますが、日本には当然「ゴム時間」はありません。そのため、日本では時間できちんと動いているほか、1分1秒を大切にする文化であることを教育していく必要があります。

介護を受ける方や介護を受ける方のご家族に安心してもらうためにも、時間をきちんと守り、1分1秒を無駄にしない働き方を目指していくことが求められます。

4-2.「叱る」のではなく「話し合う」ことを心がける

2つ目は、「叱る」のではなく「話し合う」ことを心がけることです。日本では「怒られるうちが華」という文化が浸透している一方で、インドネシアでは人前で叱ること、誰かに怒られることは屈辱的な意味合いを持ちます。叱ることの意義を伝えることも大切ですが、叱る以外の方法で改善を図ることも大切です。

話し合いの場を持ち、あなたにはこうなってほしいと話し合いの中で改善を目指すのも1つの方法であり、インドネシア人の自尊心を傷つけずに指導ができます。その上で、怒ることは期待している証拠であるという思いも伝えるなど、日本ならではの指導スタイルも教えていくことが必要とされます。

4-3.イスラム教を理解する

3つ目はイスラム教を理解することです。イスラム教にはムスリムを始め、イスラム教ならではの風習ややらなければならないことがあります。特にラマダンになれば、およそ1か月ほど太陽が出ている間は飲食ができないため、一定の配慮が求められます。

介護の現場は人手不足が深刻化しており、ラマダン中なども多くの仕事がインドネシア人労働者がこなすような状況となるでしょう。その際にも最大限の配慮を示していくことで、インドネシア人労働者の安心感にもつながっていくことでしょう。

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5.インドネシア人を採用するまでの流れ

実際にインドネシア人を採用するまでにはどのような流れがあるのか、簡単に採用までの流れについてまとめました。

  • 募集をかける
  • 在留資格を確認し、必要ならビザの申請を行う
  • 内定、雇用の締結

5-1.募集をかける

インドネシア人を採用するためにはまず募集をかけることが必要です。採用はいくつかのパターンがあり、直接採用や登録支援機関への依頼、民間の職業紹介機関などルートは様々です。特定技能、技能実習制度など、在留資格に応じて適したルートで募集をかけることが求められます。

また介護福祉士養成施設など介護福祉士として資格を得た外国人を確保するルートなどがあれば、スムーズに人材を集めることができます。

5-2.在留資格を確認し、必要ならビザの申請・変更を行う

在留資格の確認を行い、場合によってはビザの申請を行います。国内にいるインドネシア人であれば在留資格の変更が必要になる場合があります。

こうしたビザの申請は登録支援機関に任せることも可能です。確実にビザの申請を行居た場合には登録支援機関の活用がおすすめです

登録支援機関についてはこちらの記事で解説しています。

5-3.内定、雇用の締結

ビザの申請が終われば、内定を出して雇用の締結となります。入社する際には事前ガイダンスや住所の確保などを行うほか、入社後は日本語の教育や文化交流など様々な形でアシストを行うことが求められます

特に介護職の場合は介護を行う日本人とのコミュニケーションが求められるため、できる限り日本語能力を高めておくことが大切であり、そのサポートを行っていく必要があります。

ただこうした外国人の支援も登録支援機関に委託可能です。

特定技能「介護」で外国人を採用する流れを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

7.まとめ

今回はインドネシア人を介護職で採用する際のあれこれについてご紹介してきました。

インドネシア人の明るい気質、前向きな性格などは介護職向きであり、インドネシアで介護職をしていた人物を招くことも可能なため、即戦力として採用することは大いに可能ですが、インドネシア人ならではの「ゴム時間」への対応や怒られ慣れていないこと、イスラム教の対策など、企業側が行うべきことも多々あります。

今回ご紹介した内容を踏まえて、インドネシア人を介護職で採用することに対する正しい認識を持ち、真面目に日本で働きたいと考えるインドネシア人労働者を積極的に採用し、人手不足の改善に結び付けていきましょう。

弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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