就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い!雇用ポイントと移行方法、必要な手続きとは


執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)

外国人を雇用するとき、就労ビザの種類が多く、どれが自社に適しているか迷うでしょう。特に技人国と特定技能は、名称だけでは就労可能な範囲を予想しにくく、その違いがわかりにくいかもしれません。しかしどちらも、外国人労働者の受け入れに役立つビザです。

本記事では、技人国と特定技能の違いについてわかりやすく解説しました。また特定技能から技人国に移行するときのために、移行方法をまとめています。適切に外国人雇用を進めて、人手不足解消や優秀な人材確保に取り組みましょう。

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目次

1.【就労ビザ】技人国と特定技能とは

就労ビザには技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)と特定技能の在留資格があります。他にも就労ビザはありますが、これらの2つはよく比較されます。ここでは、それぞれどのようなビザなのか概要をまとめました。

1-1.技人国(技術・人文知識・国際業務)とは

「技人国」は、外国人労働者の専門的な知識・技術を活かすことが目的の制度です。主に技術、人文知識、国際業務の3つのカテゴリーに分けられます。そのため企業は語学を使う、または大学・専門学校の専攻と一致する業務で受け入れるのが基本です。

↓技人国について、以下でも詳しく解説しました。↓

1-2.特定技能とは

「特定技能」は、国内の人手不足とされる特定の産業分野を対象とした制度です。対象になる特定技能を持つ外国人は、在留資格を取得すれば日本で働けます。
特定技能は、介護、建設、農業など12の産業分野での就労が可能です。ただし、このビザを取得するためには、日本語能力試験と技能試験に合格しなければなりません。

特定技能の種類

特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。「特定技能1号」は、通算で5年が在留期間です。特定技能として働く外国人は、最初に1号を取得します。

1号から2号に移行する場合、実務経験を積み、特定技能評価試験に合格することが条件です。「特定技能2号」に移行できると、更新すれば在留期間の制限を受けずに就労できます。

特定技能についての詳細は以下の記事をご覧ください!

2.【就労ビザ】技人国と特定技能の違い

技人国ビザ特定技能ビザは、どちらも日本での就労を可能にするビザですが、対象となる業務、取得方法に違いがあります。企業は、どちらのビザで雇用したらいいのか迷うかもしれません。ここでは、それぞれの違いをまとめました。

大まかな違いについては以下の表のとおりです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2₋1. 業務分野における違い

「技人国」は、IT、医療、教育、法律などの専門分野で、外国人の受け入れができます。職種の例として、大学の教授やデザイナー、通訳、機械工学等の技術者が挙げられます。
なお、サービス業における清掃や品出しといった「単純作業」をメインとする業務では、雇用できません。

一方「特定技能」は、介護、建設、農業など12分野が対象です。特定技能の場合、技人国ほど専門性の高さは求められません。それぞれの制度を理解し、企業のニーズに適した人材を採用することが重要です。

※参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」
※参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)

2-2. 在留期間における違い

「技人国」ビザと「特定技能」ビザの在留期間は異なります。

技人国」ビザの在留期間は、最長5年間ですが、更新すれば働き続けられる仕組みです

一方「特定技能」ビザは、1号と2号で在留期間が異なります。特定技能1号の場合、通算で上限5年間です。特定技能2号は、3年・1年・または6か月ごとに更新できます。そのため永続的に日本に在留できるといえます。

永住権の取得条件

技人国のビザを持つ外国人は、連続して10年以上(そのうち就労ビザによる在留期間が5年以上)日本に在留している場合、永住権の申請が可能です。

特定技能は、1号だと永住権が得られませんが、特定技能2号に限り永住権の取得要件を満たします。ただし両者とも、生計を立てられる資産と技能が必要です。

2-3. 取得方法・学歴要件

技人国の在留資格は、一般的には大学や専門学校で学んだ知識と実務経験が必要です。具体的には、以下のどちらかの条件を満たさなければなりません。

・関連する科目を専攻して大学を卒業、またはこれと同等以上の教育を受けたこと
・10年以上の実務経験があること

一方で、特定技能の在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格することが条件です。

・日本語能力試験に合格すること
・特定産業12分野・業務区分で設定された技能試験に合格すること

「技人国」ビザは、通常、専門的なスキルや知識を持つ人々を対象としており、一定の学歴が取得要件になっています。(10年以上の実務経験がある場合は不要)「特定技能」ビザは、特定の産業分野で必要とされる技能を持つ人々を対象としており、必ずしも高度な学歴を必要とはしません。ただし、一定の日本語能力は求められます。

2-4.家族帯同

「技人国」ビザでは、配偶者や子どもなどの家族の帯同が可能です。

一方、「特定技能」ビザでは、特定技能1号の場合、原則として家族の帯同は認められていません。しかし、特定技能2号の場合、家族の帯同が許可されています。また外国人が家族を呼び寄せる場合、「家族滞在ビザ」が必要です。

ここまで、「技人国」と「特定技能」における業務分野から家族帯同の違いを見てきましたが、これらの違いを理解した上で、企業は外国人労働者の生活環境を考慮した採用計画を立てると良いでしょう。

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3.【就労ビザ】技人国や特定技能で雇用するポイント

技人国や特定技能で外国人を雇用する際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。これらのポイントを理解することで、企業は適切な人材を採用し、最大限に活躍してもらえます。

3-1.技人国で雇用する場合

技人国ビザを持つ外国人を雇用する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

①専攻した学問と職業の一致

技人国ビザを持つ外国人は、専門的な知識や技術を持っています。そのため専攻した学問と職業が一致していることが、人材を最大限に活用するための重要なポイントです。

企業は外国人労働者から、卒業証明書や成績証明書を取得し、確認してみましょう。また一定の実務経験がある場合、在職証明書も提出してもらいます。

専攻や職歴と異なる職種については、就労許可の範囲外になるため雇用できません。

②単純労働は禁止

技人国ビザは、専門的な知識や技術を活用するためのビザです。そのため、単純労働は原則として禁止されています。企業は、この点を理解し、適切な職務を提供することが求められます。

例えば飲食店のお皿洗いや清掃、スーパーの品出しなどは単純作業です。同じようなサービス業でも経営に関わるポジションなら、専門的な知識を有するとして採用しても問題ありません。

③高度専門職にも移行できる

技人国ビザを持つ外国人は、一定の条件を満たすことで「高度専門職」への移行も可能です。高度専門職は、優秀な人材として認められた場合に取得できます。

この在留資格を取得すると、就労の幅が広がり、永住許可の要件も緩和されます。そのため企業は、長期的な人材開発の戦略を立てられるでしょう。

高度専門職については、以下でも詳しく解説しました。是非ご覧ください!↓

3-2.特定技能で雇用する場合

特定技能ビザを持つ外国人を雇用する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

①残りの滞在年数を確認する

特定技能1号の場合、在留期間は全職業で通算5年となっておりますそのため、自社で雇用する際にその方がこれまで何年間日本で就労していたのかということは、確実に確認する必要があります。確認せずに雇用してしまい、残りの期間が少ししかなかったなんていう事態も起こりうるため、企業側は十分に注意しましょう。

②日本語のサポートが必要

特定技能ビザを持つ外国人は、日本語能力試験に合格していますが、それでも日本語のサポートが必要です。職場でのコミュニケーションや生活上の問題など、さまざまな場面でサポートが求められます。企業は、これらのニーズに対応するためのサポート体制を整えましょう。また、次で解説する「支援計画」にも日本語のサポートが義務付けられています。

③支援計画を立てる

特定技能ビザを持つ外国人を雇用する企業、もしくは登録支援機関は、日本語のサポート、事前ガイダンスの提供、母国語での雇用条件の説明、空港からの送迎、住居の確保など、一定の支援が義務付けられています。そのため企業は、在留資格の申請前に「支援計画」を作成しなければなりません。

これらの支援は、外国人労働者が安心して働き、生活するために必要なものです。

支援業務に関しては、以下の記事「5.特定技能で必要な支援業務」で詳しく解説しています。↓

弊社Japan Job Schoolは外国人材の紹介から登録支援業務まで幅広く日本の外国人雇用を支えています。
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4.【就労ビザ】特定技能から技人国に移行できる

特定技能から技人国への移行は、制度的に認められています。

外国人労働者がより高度なスキルを活用し、長期的に日本で働きやすくなるため、移行を希望する企業も少なくありません。しかし、この移行には一定の条件があり、適切な手続きが必要です。

4-1.移行できるケース

外国人労働者のキャリアアップや転職により、特定技能から技人国への移行を検討することがあるかもしれません。

特定技能から技人国への移行は、一定の条件を満たす必要があります。技人国ビザを取得するための基本要件にあるのは「学歴(大卒または専門学校卒)」もしくは「実務経験10年以上」です。この学歴・職歴は、従事する分野に関連している必要があります。

例えば現場スタッフから本部のマーケティング部職員として、キャリアアップするケースを考えてみましょう。マーケティング関連の学位を証明できれば、技人国への移行が容易になります。

4-2.移行できないケース

特定技能から技人国への移行を申請しても、認められないケースがあります。それは、技人国のビザ取得要件を満たしていないときです。例えば希望する職種と学歴・職歴が異なっていると、外国人労働者の専門的な知識・技術を活かすことできず不許可になるでしょう。

また仮に学歴や実務経験があっても、業務に必要な日本語能力がなければ技人国で働けません。例えばエンジニアやプログラマーの場合、上司や同僚と業務でやり取りをするうえでの日本語能力が求められます。ある程度の日本語能力がなければ、許可を得るのは難しいでしょう。

ただし変更申請で許可が下りない場合でも、すぐに帰国を命じられるわけではありません。特定技能ビザを更新することで在留期間を延長できるケースもあるため、一度「不許可」になっても慌てる必要はないでしょう。

4-3.ビザの移行方法

特定技能から技人国に移行するには、「在留資格変更許可申請」が必要です。そのため申請内容に基づき、必要な書類を揃えます。これには、雇用の経緯説明書、納税証明書、健康診断の結果などが含まれます。

必要書類を「地方出入国在留管理官署」に提出し、審査の結果、技人国ビザが交付されれば、移行の手続きは完了です。

詳しい手続きは、以下で詳しく解説しました。是非ご覧ください!↓

上記の記事にて「必要な書類」「手続きの流れ」の項目を閲覧すれば、移行方法が理解しやすくなります。

ただし、ビザの移行には理解が難しく、必要書類をそろえるのに時間を要します。
お困りの方はJapan Job Schoolにお気軽にご相談ください。

4-4.ビザ移行手続きの注意点

特定技能から技人国への移行手続きには、いくつかの注意点があります。ビザの移行は期間に余裕を持って申請しなければ、有効期限が切れるかもしれません。早めに申請しても記入ミスや書類に不備があると、スムーズに許可されない可能性もあります。期限切れによる不法滞在(オーバーステイ)のリスクを防ぐために、早めに準備しましょう。

ビザの申請や更新には手数料もかかります。「在留資格変更許可申請」においては、許可されるときに手数料4,000円が必要です。その準備も忘れないようにしましょう。

参考:在留資格の変更(入管法第20条)

5.技人国・特定技能で転職してきた外国人の手続き

技人国や特定技能で転職してきた外国人を受け入れる場合、適切な手続きが必要です。外国人労働者の業務内容が前職と一致しない場合、入社前に「在留資格変更許可申請」をします。

例えば、現在「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で「マーケティング」の仕事をしている外国人が、別の会社に「代表取締役」として転職するとどうなるでしょう。「経営・管理」に該当する仕事に変わる場合、該当するビザへの変更申請が必要です。

新しい業務を開始する前に在留資格変更許可を取得しないと、不法就労とみなされるため気を付けましょう。
場合によっては、在留資格の取り消しや在留資格の更新が認められない可能性があります。

すでに技人国ビザを持っていて、同じ技人国ビザで働ける会社に転職する場合には、ビザの変更は必要なく、転職した旨の「届出(所属機関変更の届出)」を転職してから2週間以内に提出するだけで手続きが完了します。

特定技能の転職については、以下の記事でも詳しく解説しました。↓

※参考:所属機関等に関する届出手続|出入国在留管理庁

6.外国人の就労ビザは求める人材に応じて選択を!

「技人国」と「特定技能」どちらの就労ビザが適しているかは、企業様の求めるスキルセットと業務内容によるでしょう。

技人国は、専門的な知識や技術を持つ人々を対象としています。そのため企業は、自社では賄えなかった人材を雇用できるのが魅力です。例えばIT技術者の多い国から雇用すると、先端技術が取り込めるかもしれません。

また特定技能は、特定の産業分野で必要とされる技能を持つ外国人を対象としています。学歴を問わないため、応募者が集まりやすいでしょう。人手不足に悩む企業によって、スタッフの充足率を上げるのに有効です。

企業は、自社ニーズとこれらのビザの特性を比較し、適したビザを持つ外国人を採用しましょう。

株式会社JJSでは、「技人国」「特定技能」どちらのビザも扱っております。
ご不明な点や、ご要望等ございましたら、まずはお気軽にこちらにお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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