児童福祉施設でも外国人を採用できる!│採用までの流れや要件とは
特定技能「介護」では、児童発達支援センターなど児童福祉関係の施設でも外国人を採用することができます。
外国人従業員をまだ採用していない児童福祉施設でも「人手不足になる可能性に備えて、外国人職員の採用を検討している」という場合は少なくないでしょう。
そこでこの記事では、特定技能「介護」の中でも児童福祉施設を中心に、採用方法や施設・外国人の要件を解説します。受け入れ可能な施設種別もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
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1.児童福祉施設でも特定技能外国人を採用できます
特定技能「介護」で外国人従業員を受け入れることができる施設種別は厚生労働省によって定められています。
【対象となる施設】
介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認める施設のうち、現行制度において存在するものについて、訪問介護等の訪問系サービスを対象外とした形で整理をしたもの
【参考】:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」
児童福祉法関係の施設・事業では、すべての施設が受入を認められているわけではなく、受入可能施設が設定されています。
受け入れ可能施設 | ・肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関 (国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するもの) ・児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・障害児入所施設 ・児童発達支援センター ・保育所等訪問支援センター |
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受け入れが不可な施設 | ・知的障害児施設 ・自閉症児施設 ・知的障害児通園施設 ・盲児施設 ・ろうあ児施設 ・難聴幼児通園施設 ・肢体不自由児施設 ・肢体不自由児通園施設 ・肢体不自由児療護施設 ・重症心身障害児施設 ・重症心身障害児(者) ・通園事業 |
2.外国人に任せることができる職種
児童養護施設では、外国人従業員が従事可能な業務も定められています。
実は特定技能「介護」以外にも、特定活動(EPA)・在留資格「介護」・技能実習で外国人従業員を採用することができます。
外国人の持つ在留資格によって、任せることができる業務が変わるので注意が必要です。
2-1.在留資格「介護」
在留資格「介護」は、原則介護福祉士の資格を持っている外国人が取得できる在留資格です。日本の福祉施設を卒業しているため、知識・技能・日本語能力ともに高い水準を持っています。
在留資格「介護」は、他の在留資格と違い、唯一訪問系の業務に従事可能です。
一方で介護福祉士試験に合格できる外国人は少なく、2022年末で千人以下であり、同じ時期の特定技能「介護」(約1万6千人)の十分の一以下の人数しかいません。
2-2.特定技能・特定活動(EPA)・技能実習
※これら3つの在留資格で働く外国人従業員は、訪問系の業務に従事できません。
従事可能な業務以外を任せてしまった場合、不法就労に当たる可能性があるため、注意が必要です。
以下の記事もぜひ参考にしてください
3.児童福祉施設で外国人を採用するメリット
児童福祉施設で外国人を採用するメリットは以下の通りです。
〇 人手不足の解消につながる
〇 施設の多様性が向上する
〇 職場の雰囲気が明るくなる
それぞれ詳しく説明します。
3ー1.人手不足の解消につながる
児童福祉施設も他の介護分野の施設と同様に人手不足が大きな課題となっています。特に定着率の低さが問題となっており、就職後8年未満に40%、10年未満には70%未満が離職するという調査結果もありました。
外国人従業員は、日本で条件面でも精神面でも安心して働ける職場を求めています。一度職場に馴染めば、日本人従業員よりも離職する可能性が低いでしょう。
3-2.施設の多様性が向上する
もちろん日本人と外国人の生まれ育った環境の違いから、多くの面で価値観が異なりますが、子どもに対しても同様です。
子どもを大切に思う気持ちは同じでも、それを表す行動は文化によって異なります。例えば、東南アジアでは「子どもの頭に触ってはいけない」というタブーがあります。
それぞれの文化の子どもへの接し方を、日本人従業員と外国人従業員の双方が学ぶことで、多様な価値観を受容できる施設になるでしょう。
3ー3.職場の雰囲気が明るくなる
実際に介護分野で特定技能外国人を採用した施設の方から、「外国人スタッフの明るい笑顔に日本人スタッフだけでなく、施設利用者も励まされている」という声を聞くことがあります。日本語が伝わらなくても、諦めず笑顔で仕事に取り組む姿勢は、周りにいい影響を与えるでしょう。
また、日本人従業員も外国人従業員と信頼関係を築くために、積極的にコミュニケーションを取ります。休憩時間には業務内容以外の雑談をするようになり、施設職員全体の活性化にもつながります。
4.特定技能介護を採用する方法
実際に児童福祉施設で特定技能外国人を採用するときの流れを解説します。
4-1.企業の要件
特定技能介護で外国人を雇用するためには、施設が以下の要件を満たしている必要があります。
● 受け入れ機関(児童福祉施設)自体が法令違反をしていない
● 外国人と適切な「雇用契約」を結んでいる
● 外国人を支援する計画を作成・実施する体制が整っている
受け入れ機関(児童福祉施設)自体が法令違反をしていない
特定技能外国人を受け入れる機関は、欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと)に該当しないこと等、複数の基準を満たさなければなりません。
主に「法令等を遵守し『禁錮刑以上の刑に処せられた者』等の欠格事由に該当しないこと」、「保証金の徴収や違約金契約を締結していないこと」などです。
具体的な法令は「出入国管理関係法令、労働関係法令、社会保険関係法令、租税関係法令」です。
外国人と適切な「雇用契約」を結んでいる
特定技能外国人の報酬の額や、労働時間等の雇用条件は同ポジションの日本人と同等以上でなくてはなりません。
また、外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設その他の待遇について、差別的な扱いをしてはいけないことも定められています。
外国人を支援する計画を適切に作成・実施する体制が整っている
受け入れ機関は特定技能外国人が安全に円滑に日々の業務と生活を送るために、定められた10の支援をする必要があります。
入管に在留資格の申請をする際には「支援計画書」として作成し、提出しなければなりません。支援計画書は日本語だけでなく、外国人が十分に理解できる言語も作成する必要があります。
さらに、支援計画書を作成するだけでなく、実際に受け入れ機関内で支援できる体制を整えなければなりません。
しかし、実際に自社のみですべての支援業務を行う体制を整えるのは困難であるため、ほとんどの受け入れ機関が支援業務を登録支援機関に委託しています。
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用した時に、受け入れ機関から委託され、その外国人の支援を代行する機関です。
受け入れ機関は、登録支援機関にすべての業務を委託することはもちろん、一部の業務のみを委託することも可能です。
登録支援機関については、以下の記事もご確認ください。
4-2.外国人採用までの流れ
特定技能「介護」で外国人を採用する詳しい方法は以下の記事でも解説しているので、こちらも参考にしてください。
Step. 1 外国人の要件を確認する
技能実習2号を良好に修了していない場合は、日本語試験と技能試験の2つに合格する必要があります。技能実習2号を良好に修了している場合は、試験が免除されます。ただし技能実習2号と特定技能1号の職種の関連が認められている場合のみです。
Step. 2 雇用契約の締結
同作業をする日本人と同等以上の給与・待遇で雇用契約を締結しなければなりません。また、雇用契約書は外国人が十分に理解できる言語でも作成し、認識の相違がないことを確認するようにしてください。
Step. 3 1号特定技能外国人支援計画の策定(特定技能1号のみ)
入管に提出する書類の1つが支援計画書であるため、入管への申請の前に支援計画を策定します。支援計画の作成及び実施は、受け入れ機関のほかに登録支援機関にその一部又は全部を委託することができます。
Step.4 地方出入国在留管理局(入管)に在留資格の申請を行う
外国人がすでに日本にいる場合は在留資格変更許可申請、外国から呼ぶ場合は在留資格認定証明書交付申請を行います。
これらの申請は受け入れ機関又は登録支援機関が代理人として申請が可能です。(事前に取次の承認を受ける必要があります。)入管の窓口か、オンラインで申請できます。
【出典】:出入国在留管理庁「特定技能制度 雇用における注意点」
5.外国人に必要な資格
特定技能「介護」を申請するためには、外国人は以下3つの試験に合格しなければなりません。
介護技能評価試験
介護日本語評価試験
他の分野は日本語試験と技能評価試験の2つのみですが、介護分野はそれらに加えて「介護日本語評価試験」に合格しなければなりません。
この試験は「介護のことば」、「介護の会話・声かけ」、「介護の文書」の3つの大問から出題されます。介護でよく使う語彙(体の部位等)が問われます。
サンプル問題はこちらから確認できます。
ただし、技能実習2号を良好に修了した方・介護福祉士養成施設を終了した方・EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方は3つの試験が免除されます。
【出典】:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
6.外国人を雇用する際の注意点・準備すべきこと
児童福祉施設で外国人を採用する際、介護職や児童福祉施設に対する考え方が日本人とは異なる場合があるため、注意が必要です。
考え方が異なっても、それを日本人従業員と外国人従業員ですり合わせができるような環境作りが重要になります。
6-1.注意点
通常外国人を採用するときに大きな問題となるのは、外国人の日本語力や、日本での働き方の理解が不十分であることなどですが、児童福祉施設ではそれに加えて、子どもに対する価値観や、児童福祉施設のあり方に対する考え方に注意する必要があります。
東南アジアにも困難な状況にある子供を支援する施設はありますが、日本ほど充実しているわけではありません。高齢者の介護の経験はあっても、児童福祉施設で働くのは初めてだという外国人もいます。
日本の児童福祉法や、社会的養護の施設等の機能について説明することもいいでしょう。
6-2.採用にあたって準備すべきこと
特定技能外国人を採用する場合、在留資格の申請の前に事前ガイダンスを行う必要があります。特定技能外国人への義務的支援の1つであるためです。
事前ガイダンスで各施設の理念について外国人の理解を得なければなりません。それと同時に、外国人本人が持つ児童福祉施設への考え方や、子どもへの接し方も確認するといいでしょう。
さらに、すでに働いている日本人従業員への異文化理解研修をすると、外国人従業員が安心して働ける職場に繋がります。お互いの不可解な言動の裏には文化・習慣の違いがあることを、日本人外国人双方が自覚しておかなければなりません。
7.まとめ
特定技能「介護」は介護福祉施設だけでなく、児童福祉施設でも従事可能です。
在留資格ごとに従事できる仕事が異なることや注意点に配慮して外国人を受け入れることをお勧めします。
外国人採用に興味のある児童福祉施設の方はぜひ一度、弊社JapanJobSchoolにご相談ください。
3分で分かる!採用までの流れを簡単解説
外国人を採用する前に必要な事とは?そもそも在留資格とは?など外国人を採用する際に気になることを分かりやすく解説