外国人留学生を新卒採用するには?企業の採用担当者向けに詳しく解説!

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

グローバルな事業を展開する企業にとって、日本語と母国語、英語でのコミュニケーションが可能な外国人従業員は必須な人材となります。しかし、外国人留学生を新卒採用する手続きは企業にとっても外国人留学生にとっても複雑なため、諦めてしまう企業や留学生もいます。

この記事では外国人留学生を採用するメリットと、その手続きの流れについてわかりやすく解説します。

弊社は外国人の新卒採用の無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問合わせください。

目次

1.外国人留学生の日本での就活事情

1-1.日本へ留学している外国人数

2022年5月1日時点で外国人留学生の総数は約23万人です。コロナウイルス流行以降の新規入国の制限が緩和されたことで、大学入学の準備段階である日本語学校の学生数が大幅に増加しました。今後、大学や大学院の留学生数も増えていくと予想されます。

外国人留学生の在学段階の割合は以下の通りです。

1-2.卒業後の進路

2021年度に大学、又は大学院を卒業した外国人留学生のうち、日本国内で就職した人の割合はこのようになっています。

大学院(博士課程)30.9%                       
大学院(修士課程)20.4%
大学(学部)32.7%
専門学校47.5%

留学生全体のうち日本国内で就職するのは3人~5人に1人の割合であり、多い数字とは言えません。

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「2021年度外国人留学生進路状況調査結果」
出入国在留管理庁「令和3年における留学生の日本企業等への就職状況について」

2.外国人留学生を新卒採用するメリット

外国人留学生を新卒採用するメリットは大きく3つあります。

  • 日本語と母国語での業務が可能
  • 日本の職場にすぐ馴染める
  • 海外進出時に戦力となる

それぞれ詳しく説明します。

2-1.日本語と母国語での業務が可能

東南アジアや中国・台湾をはじめとした外国の企業との取引がある会社では、日本語と母国語ができる外国人従業員は翻訳・通訳として大きな戦力となります。

さらに、取引企業先の国に合わせた請求書の作成税金関連の事務手続きを任せることもできます。実際日本国内で働く外国人従業員の約20%が「翻訳・通訳」、約8%が「海外取引業務」に従事しています。

日本で働く外国人はどれくらいの日本語力を持っているのか解説している資料ダウンロードはこちらから

2-2.日本の職場にすぐ馴染める

外国に住んでいる外国人を新たに日本で採用する場合、外国人が日本企業の環境に慣れるまで時間がかかってしまいます。

日本語学校、大学時代を日本で過ごした外国人は最低で4年、長くて8年以上日本で生活しています。学生時代にアルバイトしていた外国人も多いでしょう。そのため、日本の大学や専門学校を卒業した外国人従業員は、日本での働き方を知っている場合が多いです時間厳守、プライベートに干渉しすぎないなど、日本人とうまく付き合うコツを掴み、それを実践しています。

2-3.海外進出時に戦力となる

経済成長が著しい外国の市場に進出しようと考えている企業にとって、その国の外国人従業員がいるのは心強いです。

外国の企業とのファーストタッチのときにその国の従業員がいるというのは、相手企業から見てもかなり心象が良くなります。

言葉だけでなく、相手国の経済状況やビジネスマナーを熟知できるというメリットもあります。

新卒の外国人従業員を採用すると以上のようなメリットがあります。人手不足を解消するだけでなく、海外進出を通じた新たなビジネスチャンス獲得にも繋がります

3.新卒で外国人留学生を採用する方法

3-1.【Step.1】新卒の外国人留学生を集める

大学又は専門学校を卒業予定の外国人留学生は、外国人向けの就職サイトや就職説明会で応募企業を探します。そのため、企業は就職サイトへの掲載や外国人留学生向け合同説明会への参加を検討することをおすすめします

さらに、外国人留学生が自社の情報を手に入れやすいように外国語版のホームページを作成することもできます。多言語に対応しているホームページから、グローバル展開を志す企業だと留学生にも感じ取ってもらえます。

詳しくは「5.外国人留学生はどこで見つけたらいいのか」でも説明しています。

3-2.【Step.2】雇用契約を締結する

日本人の新卒学生と同様に、外国人留学生とも雇用契約を締結する必要があります。雇用契約を締結しないと、外国人留学生は在留資格を変更することができません。

雇用契約の内容については、外国人だからといって不当な扱いや給与にすることは認められていません。最低賃金、同一労働同一賃金は外国人にも適用されます。

3-3.【Step.3】在留資格を変更する

雇用契約を締結したら、在留資格を変更する手続きの準備を始めます。

在留資格変更許可申請の審査には通常3~4か月かかります。業務開始時期を4月にする場合は、12月に在留資格変更許可申請を提出します。

内定11月まで                     
在留資格変更許可申請 提出12月
在留資格変更許可申請 結果通知翌3月
業務開始翌4月

新卒外国人従業員が働ける在留資格は「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「特定活動46号」です。それぞれ、在留資格変更許可申請に必要な書類が異なります。

3-3-1.留学ビザから技術・人文知識・国際業務ビザへの変更

在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは、自身の専門分野(法律・自然科学・経済など)を活かして業務する外国人が対象となります。そのため、大学で学んだ専門と業務内容に関連がなければなりません

こちらから「在留資格変更許可申請書」などの書類はダウンロードできます。

〈外国人本人が準備する書類〉

  • 在留期間更新許可申請書写真(縦4cm×横3cm)
  • 最終学歴の卒業証明書の写し(学歴を証明するもの)
  • パスポート・在留カード(提示)

このほか、企業が準備する書類もあります。雇用する外国人の専門分野と会社の業務の関連性を証明するために、たくさんの書類を準備しなければならないのが「技術・人文知識・国際業務」の特徴です。

企業のカテゴリーと、カテゴリーごとの必要書類、申請の詳しい流れはこちらの記事を参考にしてください。

3-3-2.留学ビザから特定技能ビザへの変更

在留資格「特定技能」は、人手不足が著しい特定産業分野(12分野14業種)に従事する外国人に与えられる在留資格です。学歴要件や学歴と業務の関連性の要件などが必要ないため、「技術・人文知識・国際業務」に比べて外国人を採用しやすいです

留学ビザから特定技能ビザに変更する場合も、在留資格変更許可申請を行う必要があります。

特定技能ビザの特徴は、在留資格を得るためには「技能試験」と「日本語試験」に合格しなければならないという点です。

技能試験の内容に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。

在留資格変更許可申請に必要な書類は、新規に在留資格を得る場合に必要な書類とほとんど同じです。

提出書類に関してはこちらの記事を参考にしてください。

3-3-3.留学ビザから特定活動46号への変更

在留資格「特定活動46号」は、日本の大学又は大学院を卒業した外国人が、留学経験を通じて得た高い日本語能力を活かして業務に当たる場合に与えられるビザです。「技術・人文知識・国際業務」よりも従事できる業務の範囲が広いですが、その分要件が厳しいです。

〈外国人の要件〉

  • 日本の大学(4年制)又は大学院を卒業した
  • 日本語能力試験N1合格、又はビジネス日本語能力テスト480点以上

〈外国人本人が準備する書類〉

  • 在留期間更新許可申請書写真(縦4cm×横3cm)
  • 最終学歴の卒業証明書の写し(学歴を証明するもの)
  • 日本語能力を証明する文書(日本語能力試験N1合格証明書の写し 等)

「技術・人文知識・国際業務」と異なり、多くの部署で業務ができる「総合職」としての採用ができるのが「特定活動46号」です。しかし、学歴要件と日本語要件がかなり厳しいため、要件をクリアできる外国人を探す必要があります。

出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」

4. 外国人留学生採用時の注意点

出典:出入国在留管理庁「在留カードとは?」

4-1.在留資格を確認する

法的観点から、外国人を雇用する場合には在留資格の確認は必須です。在留資格の期限が切れている外国人を雇用したり、在留資格の活動内容から外れている業務をさせたら、不法就労助長罪で企業側も罪に問われてしまうからです。

在留資格の内容は在留カードから確認できます。

在留カードの見方はこちらの記事を参考にしてください。

4-2.労働条件を明確化する

日本と海外では、会社で働くうえでの労働条件が異なる場合が多いです。日本の会社の労働条件をしっかり理解してもらえるようにやさしい日本語での解説を付けたり、日本語があまりできない外国人には、母国語の翻訳を付けることをおすすめします。

特に「特定技能」は日本語要件が日本語能力試験N4合格なので、労働通知書の日本語を理解するのは難しいです。

日本で働いている、もしくはこれから働こうとしている外国人はどのくらいの日本語力を持っているのかはこちらの資料で解説しています

4-3. 職場での受け入れ態勢を整える

外国人従業員を雇用する場合には、社員の外国人従業員への理解を深めておくことで文化の違いを原因とするトラブルが少なくなります

外国人従業員の母国の文化研修を行うことや、機械の使い方の日本語を「やさしい日本語」にする、などの対応ができます。

さらに地域密着型の会社の場合は、地域住民への理解を促すことも必要です。地域によってはまだまだ外国人への理解が進んでいない場所もあります。地域住民へ説明する機会を設けたり、外国人従業員と地域住民の交流の場を作ることも有効です。

外国人の国籍ごとに特徴や性格をまとめた「外国人理解ブック」のダウンロードはこちら

5. 外国人留学生はどこで見つけたらいいのか

「3.新卒の外国人留学生を採用する方法」のStep.1で外国人留学生を集める方法について触れましたが、今まで外国人採用をしたことがない企業は、外国人留学生とどこで出会えばいいのか分からないかと思います。

ここでは「外国人の人材紹介を行っている企業に相談する」「外国人就労ビザ申請の代行サービスを利用する」の2つの方法を紹介します。

5-1.外国人の人材紹介を行っている企業に相談する

近年外国人採用が増えてきており、外国人を採用したい企業と日本で就職したい外国人留学生をマッチングするサービスを提供している企業がたくさんあります。

「技術・人文知識・国際業務」に特化しているサービス、「特定技能」に特化しているサービスなど様々なので、ぜひ採用する外国人の在留資格に合わせたサービスを見つけてください

我々JapanJobSchoolは「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」外国人の人材紹介も行っています
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5-2. 外国人就労ビザ申請の代行サービスを利用する

もう一つは、通称ビザサポートと言われる、就労ビザ申請の代行サービスを利用することです。

留学ビザから特定技能ビザや技術・人文知識・国際業務ビザに変更するのは、必要書類が膨大なため、非常に大変です。

そこで、日本で就職したい外国人留学生を紹介し、さらにビザサポートを行っている企業に相談することで、一気に外国人留学生の採用が簡単になります。

我々JapanJobSchoolでも外国人留学生のビザ変更のお手伝いをするサービスを提供しています
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6.よくある質問

6-1. 外国人留学生の採用を行っている企業はどれくらいあるのか

2022年10月末時点で、外国人を雇用している事業所数は約30万か所で、過去最高を更新しました。対前年度増加率は4.8%でした。

事業所数が多い都道府県は東京都・愛知県・大阪府で、首都圏に集中しています。また、事業所の規模は「30人未満」が最も多く外国人を雇用する事業所の60%以上を占めています。

6-2. 外国人留学生を採用するデメリットはあるのか

新卒の外国人留学生を採用することで、文化の違いや、コミュニケーションのすれ違いによるトラブルは一時的に発生するかもしれません。

しかしそれらのトラブルを乗り越えることで、異文化に柔軟に対応できる社内の雰囲気が生まれますし、事業の海外進出時にそのときの教訓が役立つ場合があります。

一時的なトラブルはありますが、長期的に見ればデメリットはほとんどないと言えるでしょう。

外国人採用でよくあるトラブルについては、こちらの記事を参考にしてください。

[厚生労働省「『外国人雇用状況』届出状況まとめ(令和4年10月現在)」]

7.まとめ

ここまで、新卒の外国人留学生を採用するための手続きの流れについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

日本の大学を卒業した外国人留学生の中で、日本企業に就職したいと考えている学生はたくさんいます。日本の文化や働き方に慣れているので、企業にも馴染みやすいです。

新卒の外国人留学生を採用したいと考えている採用ご担当者様は、ぜひ一度当スクールへご相談ください。留学生から就労ビザへの変更手続きの代行サービスも行っています。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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