【2024年8月更新】特定技能「自動車運送業」取得のための3つの試験

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

2019年に始まった在留資格「特定技能」は、外国人を正社員として雇用できることから人手不足で困っている業界にとってなくてはならないものとなっており、2024年3月に新しく4分野が特定技能に追加されました。

その中の1つに「自動車運送業」があります。運送業は慢性的な人手不足に悩まされ、人員を確保したくても確保できず、配達の総量だけが増えていくような状況にあります。運送業を中心とする人手不足の解消のために、自動車運送業が新分野として追加されました。

本記事では、自動車運送業の取得に向けた3つの試験を中心に解説します。

特定技能」について最新情報と一緒にまるっとわかる

目次

1.特定技能自動車運送業の試験3つ

特定技能「自動車運送業」に関しては、3つの試験に合格する必要があります。

① 特定技能1号評価試験

特定技能を取得するには、技能試験として各分野ごとの特定技能1号評価試験を受けて合格しなければなりません。

自動車運送業の分野では、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック運送業、タクシー運送業、バス運送業)を受けることになります。自動車運送業ではトラック・タクシー・バスと分けられており、それぞれのジャンルにおける評価試験を受ける必要があるのです。

技能水準や評価方法に関する目安

  • トラック運送業
    運行管理者等の指導・監督の下、貨物自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や荷崩れを起こさない貨物の積付け等ができるレベル
  • タクシー運送業
    一般乗用旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができるレベル
  • バス運送業
    一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができるレベル

参照:法務省「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領

ちなみに「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」は学科試験と実技試験が必要となるため、試験合格に向けた対策を前もって立てることが求められます。

② 日本語の試験

特定技能の在留資格を得るには日本語の試験も合格しなければなりません。日本語の試験に関しても一定の基準を満たす必要があります。実はトラックとタクシー・バスでは、必要とされる日本語能力の水準に違いがあるため、注意が必要です。

トラック

トラックに関しては、日本語能力試験においてN4レベルに到達していれば、必要とされる日本語能力の水準に到達していることになります。N4レベルは「基本的な日本語を理解できる」レベルであり、日常的な場面において、「ややゆっくりと」した流れでの会話であれば聞き取れるというレベルです。

トラックの場合は業務において頻繁にコミュニケーションを取らなくても仕事に支障はなく、N4レベルであったとしても影響がないと言えるでしょう。

タクシー・バス

タクシー・バスの運転手に関しては、N3レベル以上の日本語能力が必要です。N3レベルは「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルであり、日常的な場面において、「やや自然に近いスピード」でまとまりのある会話を聞いた上で、話の内容を理解できるレベルとなります。

トラックと大きく異なるのは、タクシー・バスは乗客を乗せて運転をするため、乗客に対する説明や、事故など緊急時の対応においてある程度話せないといけません。

それぞれのレベルの外国人がどれほど日本語力があるかさらに知りたい方はこちらの資料で解説しています

③ 運転免許

特定技能「自動車運送業」を取得するには、運転免許が欠かせません。しかし、取得する運転免許もまたトラックとタクシー・バスで分かれています。

トラック

トラックに関しては第一種運転免許試験の合格が必須です。学科試験と実技試験をパスする必要があります。

タクシー・バス

タクシー・バスに関しては第二種運転免許試験の合格が必要です。

第一種免許との違いは乗客を運ぶ目的があるかどうかで、指定された教習所内部の試験、路上での試験に合格することで、第二種運転免許が与えられます。

↓外国人が運転免許を取得する方法はこちらの記事で解説しています↓

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2.運転免許の試験問題は多言語に対応

最近になり、外国人の方でもスムーズに免許を取得できるような環境整備が求められる時代となっています。その中で宮崎県では運転免許の試験で用いる外国語を20の言語まで増やし、インドネシア語やネパール語まで拡大して受験が行えます。

この20言語の対応は第一種免許・第二種免許それぞれで行っているため、その外国人の母国語などを選んで受けることができます。一方で、都道府県によっては試験の実施日が異なることがあるため、注意が必要です。いずれにしても、多言語化によって外国人の運転のハードルが下がったと言えます。

参照:MRT宮崎放送「20言語に拡大 宮崎県警察本部が多言語に対応した運転免許学科試験を導入」

3.試験に合格してもらうには企業からの支援が重要

特定技能「自動車運送業」で合格していくには、企業からの支援が1つ1つ必要となり、以下それぞれが重要です。

  • 日本語支援を行う
  • 日本語学習に関わる費用をサポートする

① 日本語支援を行う

試験問題が多言語化しているとはいえ、やはり日本語能力が高いほうが有利です。

日本語学習教材を提供したり、オンライン日本語講座に関する情報を提供するなど、企業として外国人に日本語支援を行うことで外国人の日本語力が向上するだけではなく、外国人の企業に対する信頼にもつながります

また、法務省が定めている特定技能外国人に対して企業が行うべき義務的支援の中にも「日本語学習機会の提供」が含まれていることから、何らかの形で日本語のサポートを行うことが必要です。

↓特定技能外国人への日本語教育に関してはこちらの記事で解説しています↓

② 日本語学習に関わる費用をサポートする

試験に合格してもらうためには、日本語学習に関わる費用に関してもサポートをしていくことが重要です。特にバスやタクシーの運送業に従事するには一定以上の日本語レベルがないといけないため、前もって特定技能外国人が日本語学習のために日本語教室などに通う際などの対策を取ることになります。

この場合、義務的支援には企業側の費用負担について、過度な費用が発生しないようにすることが示されています。すべて企業側が費用負担を行うとすれば任意的支援の範疇となるので、仮に行わなくても問題はないと言えますが、どうすれば日本語レベルを高められるかを考えていく中で判断をしていくことになるでしょう。

近年は自治体が、企業が行う外国人従業員に対する日本語教育などに補助金や助成金などを出すケースが出てきています。企業側が外国人従業員の教育に関して費用負担を行ってもある程度自治体がカバーしてくれるので、積極的に活用しやすくなります。

↓助成金に関してはこちらの記事で詳しく解説しています↓

これらのサポートは登録支援機関に委託できる!

特定技能外国人を初めて受け入れる企業にとって、滞りなく支援を行っていくことは大変であり、手探りの中で対処をしなくてはなりません。特に直近2年において外国人労働者を受け入れたことがない企業は、すべての支援を登録支援機関に委託するというルールがあります。そのため、初めて受け入れる企業は登録支援機関に委託を行わなければなりません。

登録支援機関は企業に代わって義務的支援・任意的支援を行うため、スムーズな支援が行えるとともに、企業側は業務に関する指導に集中できます。

何より登録支援機関に委託すると、特定技能外国人が悩み事などを伝えやすく、サポートが入りやすくなる点もポイントです。あとは一連の義務的支援をスムーズに行ってくれる登録支援機関かどうか、費用面の問題も含めて検討していくことが求められます。

私たちJapan Job Schoolも登録支援機関として多くの企業様をサポートしています

4.運転免許取得のための「特定活動」とは?

外国人が特定技能自動車運送業取得のために日本で運転免許を取得する際は「特定活動」のビザに切り替える必要があります。日本の運転免許を取得するまでの期間、合法的に日本に滞在し、必要な準備を進めることができるからです

外国人ドライバーは日本に合法的に滞在できるようになるため、運転免許取得のための学習や試験準備、日本の生活環境に慣れるための時間を確保するのに役立てられるでしょう。

ちなみにこの間の期間は「特定技能1号」の在留資格としての通算在留期間にカウントされません。

在留資格「特定活動」における在留期間

  • トラック:在留期限上限6か月
  • タクシー:1年
  • バス  :1年

5.自動車運送業を希望する学生をいち早くご紹介します!

特定技能「自動車運送業」で働く外国人を数多く確保できれば、人手不足を理由に便数を減らすなど利便性低下を招いている状況を打開することも十分に可能です。
今回ご紹介した内容を踏まえて、特定技能外国人を積極的に採用し、特定技能「自動車運送業」で働く外国人を素早く確保していきましょう。

弊社では特定技能人材の採用などに関する事前予約も承っており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。



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